第9話 彌子の話
彦徳には妹がいる。
名前は「彌子」(みこ)。
彌子はいわゆる「視える側の人間」で、
何があっても一切物怖じしない、気の強い性格だ。
「彦兄、入るよ」
コンコンとドアを叩く音がした。
普通逆じゃないのか、と思いつつ彦徳は、
「なんか用?入れよ」
ドアが開き、彌子が何かを持って立っていた。
彦徳が座っていた椅子からドアまで4m位あるので、
一瞬何を持っているのか分からなかったが、数秒して
ゾッとした。
首のない人形だった。
服装が着物の様に見えるが、日本人形だったものか?
「この子が彦兄の部屋で寝たいって」
彌子はそう言って、ベッドの枕元にその人形を座らせ、
部屋を出て行った。
彦徳は啞然としていたが、彌子の行動の中では普通の部類に入るので、
ただただ見ていることしかできなかった。
静まり返った部屋で人形が微かに動いた様な気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます