第371話

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◇~~~~~~◇


「治兵衛殿(羽柴信吉)、よく参られました」

「徳川殿、着陣の挨拶を申し上げます」

「ははははは~そう硬くならず、我らは御親類なのですから」


態々、家さんが挨拶にやって来たが、秀さん(豊臣秀長)が留守居となったので代りに

家さんが孫七郎(羽柴信吉)の指南役を仰せつかったそうだ。


「長さん、久しぶりです」

「家さん、お悔やみ申し上げる」

「いいえ、それよりも、心付けをあんなにありがとう御座います。戦が終わり落ち着きましたら菩提を確り弔いたいと思います」


家さん(徳川家康)は俺に対して深々と頭を下げた。

それにしても、クソ猿(豊臣秀吉)は京の聚楽第で病に臥せっていた朝日姫(駿河御前)が病死すると家さんとの婚姻関係による同盟的なものが無くなると危惧したようで、人質に出した長丸君(徳川家康の三男)と養女の小姫おひめ(織田信雄の娘)を速攻で婚姻させた。

すっごい身勝手でご都合主義だよね~とか思ったけど、権力者なんてそんなものだよね~と思ったけど、朝日姫、会ったことはないけど可哀想と思ってしまい、何かムカつく。

お猿さんも知り合った頃は人情派で身内を大事にしそうに見えたのに、権力者になると・・・


「おお!蔵人殿、権大納言様の所に陣借りしておるそうですな!」


又左殿(前田利家)が孫七郎に挨拶を終えて俺にも声を掛けて来た。

へ~孫七郎って権大納言なんだ~・・・あれ?

孫七郎ってそんな高い官職を賜わってたのか・・・おっといかん、いかん。


「又左殿、そちらに羽(羽長)がお世話になっているそうで」

「いや、いや、儂が無理言って帯刀殿(羽長)に我が陣中に陣借りしてもらったんじゃ」


いや~羽と又左殿って昔から仲良しなんだよね~

又左殿は恵ちゃんという許嫁いなかったら自分の娘を嫁がせたかったと言っていたほど。

恵ちゃんが嫁いで来たし、子供出来たら側室を羽にと考えてるらしい。

羽のこと滅茶苦茶気に入っているんだよね~

因みに、春(春長)の事は虎之助(加藤清正)が気に入っているし、利(利長)の事は天子様が、麗華の事は家さんが特に気に入っている。

そして、長女の里子に関しては引く手数多と言う程に大人気です。

エロ猿が我が愛しの我が子・里子ちゃんを口説こうとしたと聞いた時には暗殺考えたよ。

しかし、里子はその時、「寧々様に言い付けますよ」とニッコリ笑い、エロ猿を躱したと聞いた時にはスカッとした!!

更にエロ猿は千代も口説こうとしたらしい。

千代は「夢は寝て見ろ」と言ってけんもほろろに塩対応したらしい(笑)

まぁエロ猿だけど、あれでも天下人なんだよね~

そんな事を考えていると、続々と色々な人物たちが挨拶に訪れたけ。

ここ以外にも幾つかの拠点が設けられ、続々と大軍が集結して来ているらしい。

マジで小田原征伐って弱い者いじめ感あるよね~とか思ってしまう。

中仙道方面から攻め入る予定なはずなのにここまでやって来た又左殿は恐らく、俺の前世で知る歴史上の前田利家よりアクティブだと思うぞ。

三月中頃から碓氷峠の方に進軍すると言う事で、又左殿は挨拶が終わると自分の集結場所へと急ぎ戻って行ったよ。

又左殿の集結場所にいる俺の知っている人物は喜平治殿(上杉景勝)喜兵衛(真田昌幸)が居るとの事だったので、又左殿に宜しく伝えて貰うように伝言して貰った。

そうこうしている内にもお猿さんが駿府城入り間近との知らせが届いた。

既に戦は始まっているのではあるが、総大将のお猿さんが来ると皆の意気込みが変わるようで、今まで以上に士気が高まった様なそんな感じとなり、見掛ける者見掛ける者が高揚間のある顔をしている。

戦本番間近となって来た。


「皆の者、面を上げよ!」


あれぇ~?可笑しいな?俺の前に居並ぶ諸将。

チラリと横を見ればお猿さん。

時は少し遡る。

俺は陣借りなのでこんな場に出る気は更々無かった。

お猿さんに呼び出されたかと思うとお猿さんと並んで上座に鎮座いしております。

位で言うと従一位関白太政大臣のお猿さんに次ぐ、正二位となるが、この場には

同じく正二位内大臣の三介殿こと織田信雄バカが居る。

バカ《織田信雄》が俺の事を睨んで来るが、知らんがな!!俺は俺の横に座るクソ猿に請われてここに座って居るだけ、いや、遠慮したよ、いや、遠慮どころか「嫌だ」とはっきり物申したよ!

しかし、従二位権大納言の家さん(徳川家康)に陣借りしている従二位権中納言の孫七郎に「是非に」とか言われたら断れないって・・・

目が泳がないよう、キョドらないようにジッと遠くを見つめ石になっております。


「北条なぞ相手ではないが、これは祭りじゃ!存分に手柄を立て、祭りを楽しむとよいぞ!!」

「「「「「ははあ~~~!!」」」」」


うん、猿が何か言ってる。

みんなが一斉に頭を下げてるよ・・・


「時に長さん」

「な、なんだよ・・・」

「天下人の風景は如何じゃ?」

「どうじゃと言われても・・・」


学校で表彰された時を思い出すよ。

前世で偶々、引っ手繰り犯を捕まえて高校の朝礼で皆の前で表彰された。

そん時の気分のような?

偶々捕まえただけだから表彰される程の事ではないと思っていたのに、表彰されて場違い感が半端なくて、あの時も時間が過ぎ去る事を必死に考えていたな~


「場違い感が半端ではないな・・・」

「場違い感?」

「ああ、俺は天下人では無いし、天下人になる予定もない。だからかな場違いな場に連れて来られてただただ呆然とする」

「わははははは~長さんらしいことじゃがー」

「お前は俺を揶揄いたいのか?」

「そうじゃが?」

「おい!」


俺とお猿さんの掛け合いコントを皆がポカーンと見ていた。

俺がお猿さんに対してため口なのも特に気にしない者もそれなりに居るが、驚く者が多いし、「無礼では無いのか?」等と言っている者も居る。

いや、無礼だと思うなら連れて来るなって話だ。

お前らが猿を止めろよ!!


「もう良いだろ?早く話進めろよ」

「わははははは~解ったがー」


そして、お猿さんが「進めよ」と言ったことで、司会進行役の石田三成がここに居並ぶ諸将に何処を誰が攻めるかという話を進めて行った。

あ~早く終わらないかな~


〇~~~~~~〇


いよいよ小田原征伐本番が始まります!!

小田原征伐に参加した豊臣方の主力は豊臣秀吉、徳川家康、織田信雄、織田信包、蒲生氏郷、黒田孝高、豊臣秀次、豊臣秀勝、宇喜多秀家、細川忠興、小早川隆景、吉川広家、宮部継潤、堀秀政、池田輝政、浅野長政、石田三成、長束正家、立花宗茂、大谷吉継、石川数正、増田長盛、高山右近、筒井定次、蜂須賀家政、大友義統、加藤清正(兵のみ)、福島正則、長谷川秀一、滝川雄利、丹羽長重、金森長近、金森可重、京極高次、約17万で私も大凡しか覚えていなかったのでwiki参照させて頂きました。

さて、他にも水軍が長宗我部元親、加藤嘉明、九鬼嘉隆、脇坂安治、菅達長、毛利水軍、約1万。

北方隊が前田利家、上杉景勝、真田昌幸、小笠原貞慶、依田康国(松平康国)、毛利秀頼、佐野房綱、約3万5千。

関東勢が佐竹義宣、佐竹義重、宇都宮国綱、結城晴朝、多賀谷重経、里見義康、1万8千。

推定総計約21万の大軍だったと云われます。

それに対し、北条方は約8万の動員だったと云われます。

21万VS8万と二倍以上の戦力差での戦でしたので圧倒的に豊臣方が有利でしたが、1大名で約8万も動員した北条スゲエ!!と思うかもしれませんが、内情は中々シビアで、下は15歳から上は70歳までの男子を領内から徴兵し、大砲鋳造の為に寺の鐘を供出させたり、徴兵した兵士に与える武器が足りずに竹槍や農具で戦わせたとも云われます。

それに対して豊臣軍は事前に準備金として大金を参加者に分配し、潤沢な資金で揃えた兵士で攻め込んで来た訳ですから、その戦力差は・・・

さてさて、豊臣方の基本的戦略は開戦前から大方の予想がされていたそうで、足柄・韮山・山中の三城が特に精鋭を揃えて北条方は戦に臨んだようです。

北条側は地の利は十分にありますから、特に箱根山中での迎撃持久戦を想定した戦略を推し進ていたようです。

しかし、北条家内では意見が割れ、北条氏邦、北条氏照、伊勢貞運らは野戦を主張し、北条氏規や松田憲秀らは籠城策を主張したと云われます。

北条氏邦は領内ではなく駿河国に逆に奇襲を掛ける策など提案したそうですが、却下され、それならばせめて富士川などで会戦を行いたいと主張したがこれも却下されたそうです。

成功するかは別にして私的には中々良い策だともうのですが・・・

北条氏邦は自分の出した野戦策が却下されたことを不満に思い、自分の居城の鉢形城に帰り、単独で籠城戦を行ったそうです。

北条氏邦は鉢形城が完全包囲され攻勢にさらされると、降伏勧告を受け入れたそうですが、戦後は剃髪して宗青と称し城攻めの大将であった前田利家の預かりとなりました。

そのまま前田利家の家臣となり、50歳で病没するまで前田家に仕えたようですが、金沢で荼毘に付された後、遺骨は北条氏邦の菩提寺である正龍寺(埼玉県大里郡寄居町)に移されたそうですが、この時、行われた大法要に集まった参列者の列は一山越える長さに及んだという逸話が残っています。

北条氏邦の死後、四男が京で喝食かつじめ乞食こじき)をしていたそうですが、前田利家が見つけ出し還俗・元服させ北条庄三郎と名乗らせて仕えさせたそうです。

この彼は前田利益(前田慶次)の娘を妻にした人物ですが、中々の奇縁ですね~

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