第302話

一応、豊臣家にお伺いを立てた。

調べれば茶々姫は猿公えてこう(豊臣秀吉)のハーレム入りしてた。

調べれば調べる程、お猿さんの女好きが判明する。

何?ハーレム入りした女性の数が多過ぎて調べる労力に見合わないとか報告上がって来たんだけど・・・まさに猿公である。

いや、調べなくても流石に知ってたけど・・・それに茶々姫も世に有名な淀君その人だからな~流石に調べるまでも無く知ってたよ。

でも、今の段階では淀君ではなく茶々様と呼ばれているそうだ。

何で淀君?・・・うん、そこら辺はよく知らんので、その内解るのかな?

そして、次女の初姫は京極高次の嫁入り予定とのことだ。

あれ?初姫って京極マリア?・・・確かそう思うけど、自信が無かったので藤林の諜報に確認して貰うと、ドンナ・マリアという洗礼名でキリスト教に入信したようだ。

あれ?伴天連追放令ってそろそろ発動だった様な気が?大丈夫かな?初姫・・・

まぁもしもの時は何か手助けしよう。

そしてそして、三女の督姫は佐治一成という武将に一度嫁いだ。

織田信雄に仕えていた者らしいのだが、数年前にあった小牧・長久手の戦いでお猿さんの不興を買い、大野を退去させられ、序に姫とは離婚させられたそうだ。

お猿さんの命で離婚させて、今度は豊臣秀勝に嫁ぐようにと命を受け督姫は二人目の旦那さんの下に嫁いだ。

この人物は中々の人物の様で、お猿さんに丹波を任され、朝廷では左近衛権少将という職を与えられているので丹波少将と呼ばれているのだが、中々の出来人と評判の人物らしい。

あれ?でも督姫って家さん所の次男だか三男だか二代目将軍となる人物と結婚するんじゃなかったっけ?

まぁ何かあってそっち方面との縁が出来るのだろうが、今は丹波少将の嫁になっている。

三姉妹はそれぞれに嫁いでいる(初は嫁入り前)が、丁度、聚楽第に揃っていることでアポを取った部分もある。

俺・千代・羽(羽長)・里子・美羽・莉里の6人で伺う予定だ。

勿論、長門守と何人かは護衛として就いて来る。

それにしても、聚楽第は実に巨大な城だった。

平安京大内裏跡に建築中であるが、一部完成している為、完成している所には既に人々が生活していて、その中に三姉妹も居る。

あの助平猿(豊臣秀吉)はハーレムの真っ先の完成を優先した様で、最初に出来たのがここだという。

(※居住区を真っ先に作るのは当然なので、主人公の偏見です。)


「長さん!久しぶりだがねー!よう日ノ本に戻られた!!」

「お、おう・・・何でお前さんここに居るの?」

「そりゃ~長さんが来ると聞いたからだがねー」


浅井三姉妹に会いに来たらおまけのお猿がついて来た。

ご機嫌なのは良いけど、今は千代と浅井三姉妹を会わせることが目的だったんだけど、趣旨が変わりそうなのですけど・・・


「まぁいいか~お猿さんよ邪魔するなよ、後でお前さんとはゆっくり話そう」

「わははははは~それは楽しみだがねーよい!よい!ほれ、好きに話されよ」

「言われるまでも無く、今回はお市殿の忘れ形見への様子見だからな」


そう言って、三姉妹の方を向いて話す事にするが、殆ど初対面に近いので俺の留守中に彼女たちの様子見をしていてくれた息子の羽に取次ぎ的に場をほぐして貰う事とした。


「ほれ、羽、紹介してくれ」


そう促すと羽が三姉妹に向き直り、時節の挨拶等々も述べ、俺を紹介してくれたが、何か羽が立派になり過ぎていて見ない間の成長率が凄くない?とか思ってしまったが、それ以外にも、何か・・・


「はい、帯刀たちはき様、お久しぶりです」

「姫様方もお元気そうで何よりです。此方、我が父の丸目蔵人と申します」


何か代表して長女の茶々姫が応対しているが・・・何か羽に秋波を出している様に見えるけど・・・気のせい?

いや、恐らく間違いないし、ここに居る全員が気付いていると思う程だから・・・一応は今の夫となるお猿さんを見ると唖然とした顔の後、一瞬だけ悔しいと言う様な顔をした。

うん、嫉妬だね、天下人の嫉妬は怖いと思うが、もし、仮に息子の羽に手を出せば、俺は黙っているつもりはない。

さて、話を進めよう。


「紹介に預かった某は丸目蔵人長恵と申す。姫たちが幼き頃に何度かお会いしておるが覚えておられるかな?」

「朧気では御座いますが・・・母からは困ったことがあれば丸目様を頼れと言われておりました」

「左様でしたか・・・お市殿は他に何か言っておられましたか?」

「はい・・・嘘か誠か、言われたことを信じて良いのか・・・」

「お市殿は何と?どんなことでも某は信じますぞ」


やはりと言うか何と言うか、お市の方は千代の事を話していた。

お市の方と千代は前世で姉妹だったことを茶々姫たちに話していたようだ。

そして、その千代が今世では義理とは言え俺の妹となっていることも聞いていた。


「そうか、ならば・・・ほれ千代話せ」

「何じゃ?話せと急に言われても・・・何を話せばよいか・・・解らんぬのじゃ・・・」


千代は急に振られたことでしどろもどろとなり、お見合いか?と言う様な「今日は良い天気じゃな」「好きな物は何じゃ?」とか聞いていやがる。

そして、そこに茶々を入れるお猿さん。


「わははははは~前世で姉妹?実に面白き半紙だがねーそれにしても、長さんの妹御が別嬪とはの~如何じゃ?儂に嫁いで来ぬか?今や天下人、良い話であろう?無下には扱わぬと約束するだぎゃー大事に、大事に、玉の様に大事にするがねーどうじゃ?」


女好きとは聞いていたが手あたり次第、そして、そう言われた千代が不機嫌そうにお猿さんを見ていう。


「五月蠅いの~何じゃお主、お主程度が我に何じゃと?天下人?はははははは~滑稽よの~高々天下を一時預かるだけの者が我に色目を使う?滑稽極まりないのじゃ」


そう言って話の腰を折ったお猿さんに対して不快を不快という態度で表してそう言った。

しかし、そう言われたお猿さんはポカーンとした顔になっていた。

あまりの滑稽さに「クスクス」と皆が笑う。

皆、と言っても俺の身内の関係者たち。


「何がおかしい!?」


空気が冷たく凍る。


「何がおかしいか?聞きたいかや?」


あ~この流れヤバいよね~と思いつつも俺も止める気は無い。

姫たちは心配そうに俺たちを見るけど、安心するようにとニッコリと笑い間に入る。


「千代、それ位で止めとこうか」

「何じゃ、兄上殿はこの猿公えてこうに味方するのか?」

「いや、俺は現段階では千代の側に付くぞ」

「そうか、なら良いのじゃ」


そう言って千代は満足そうにニッと笑う。

そして、俺はお猿さんの方を向き言い放った。


「おい、猿、調子に乗るな!!」

「長・・・さん?」

「天下人?だから何だ?それを友や友の家族に持ち出して見せしめて逆らうなとでも言いたいのか?」

「いや・・・そうでは・・・」

「じゃあ何だ?」

「済まんかった・・・」

「ああ、今回は俺とお前の仲だ、無かったこととしよう」

「ああ、ありが」

「しかし!次は無いぞ!!お前さんに言ったかどうかは覚えておらぬが、俺の身内に害を成す者を俺は放っておかないぞ」

「儂はこれでも」

「天下人とでも言うなら、それでも俺は喧嘩を買うぞ」


その言葉を言うとお猿さんは黙った。

そして、「わかった・・・本当にすまぬ」と言って部屋を出て行った。


〇~~~~~~〇


暗雲立ち込める様な展開となって来ました。

さて、どうなるか!!

今回は先ず聚楽第について語りましょう。

秀吉が建てた建物の一つで未だに残る建物ではありませんが、政庁・邸宅・城郭で構成されており、京で秀吉が政務を取り仕切る為に建てられたと云われています。

しかし、建てられて僅か8年で取り壊された為、不明な点が多いようです。

九州征伐を終えた後に秀吉が大坂よりここに移り、政務を取り仕切っていたと云われます。

後陽成天皇の行幸と饗応、天正少年使節の謁見などで使われた様です。

秀吉はこの聚楽第を豊臣秀次に譲った後も後陽成天皇の行幸の2回目も受けた場所なのですが、秀次切腹事件が起こると秀次を謀反人として印象付ける為に秀吉が徹底的に色々と処罰を断行したのですが、その一つが聚楽第を徹底的に破却することだったと云われます。

この頃の時代は縁起と言うか験担ぎが大にして行われる時代なので、縁起が悪いという事で本当に徹底的に破棄されたようです。

実際に秀吉への当て付けの様に秀次が高野山に追放された後自ら切腹しているので感情的な部分も若しかしてあったのもかもしれません。

聚楽第を破却した後、秀吉は京で政務を行う場所として新たに京屋敷を建設しています。

必要に迫られて、現在の仙洞御所含めた土地に新城を建造していますが、北政所と呼ばれました。

当初は太閤御所や京都新城、秀頼卿御城等と呼ばれたそうです。

実はこの城は秀頼の為に建てられた城郭風邸宅だと云われています。

そして、秀吉の正妻の寧々がここを後々居住したことで彼女は「北政所きたのまんどころと呼ばれました。

秀頼の為に建てられたのに寧々がここに居住したのが中々に面白いですが、これにも色々な事情がありますのでまたその時にでもうんちく放り込みたいと思います。

さて、淀君こと茶々は何故、淀君なのかですが、秀吉と茶々の間には秀頼が生れる以前に鶴松という夭折した子供が居るのですが、懐妊を喜んだ秀吉から山城淀城を賜りそこで子供が生まれるまで静養していたことから「淀君」「淀の方」「淀殿」等と呼ばれるようになりました。

昔の奥方の愛称は意外と場所などでその呼び名が決まりました。

例えば、織田信長の正妻だった帰蝶は美濃から嫁いで来たということで、美濃の濃の字を取って「お濃の方」等と呼ばれましたがそういう事が多かったようです。

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