第296話
カルロたちは海賊のアジトを知らなかったので、他に捕まえた海賊を締め上げて色々と情報を聞き出した。
「本当に教えれば助けてくれるのか?」
「ああ、考慮する」
お決まりの「考慮」と言う名の検討しましたが却下されましたと言うやつだ。
まぁもう一人捕まえていた仲間に拷問かけてその様子を見せていたから、恐ろしさのあまり思考も回らなくなっていた様でその後はペラペラと色々話してくれたよ。
カルロとシャルを仲間に引き入れたが、最終的には処分する予定だったようだ。
どういう事かと言うと、今回の件が片付いたらカルロは始末し、シャルは病気しているとはいえ容姿に優れている為、非合法な娼館等に連れて行けば金になるとの目算があったようだ。
雇い入れる為の金額も相場に色を付けた程度にしてたらしい。
あまり高いと今度は色々と疑われてしまうらしいから等と悪知恵も色々と教えてくれた。
それを聞いていると、カルロがどんどん気落ちして行き、シャルがほら見たことかと言う感じの目線をカルロに向ける。
まぁ事無きを得たと言う事で、仲裁しておいたよ。
でも考えようによっては運が良いのかも?
まぁ俺の下に付くのが良い事かどうかは今後お知りくださいと言った感じだ。
カルロたちにアジトの場所を教えなかったのも下手に逃げられた時に困らないようにと言う事だが、本当に悪知恵が回るこって。
さて、何時もの様に海賊のアジトを潰してお宝回収した。
世の中が少しだけ綺麗になったので気持ちも晴れ晴れとしたよ。
カルロが奮闘して居残り組の残党を駆逐に頑張った。
おっと、カルロとシャルは最初、カルロス、シャーロットさんと呼んでいたが、給金を話した後、病気を治し、忠誠を誓われ、その後には「愛称で呼んでください」と言われたので全員が愛称呼びしている。
その後は順調な航海で、途中の寄港地までは海賊にも会わずに到着した。
日ノ本までは最後の寄港先となるマカオで補給しつつ市中散策すると、やはりと言うか何と言うか、日本人女性の奴隷が多いこと多いこと。
それも二束三文と言いたいほどに人が安値で取引されていた。
俺はここぞとばかりに権力を振りかざし、日本人女性を買いまくった。
いや~まさか500人を超える程のお買い物になるとは思わなかったよ。
それにしても安い。
どれ程安いかと言うと、今回の売り上げの十分の一程の金額で買えた。
俺が買い付けている噂を聞き付けてどんどん売りに来る。
高値で売ろうとした阿呆も居たけど、権力にものを言わせるとあっさりと定価に落ち着くのでその値段で買って行った結果、500人を超えた。
多くは戦で負けた領地で略奪されて来た者たちで、行く当てももう無いという。
今後は貿易を手広くやろうと考えているので、マカオのスペインから派遣されている統治者に話を通し、日本人街的な物を作り、そこに住まわせることとした。
勿論、要望を聞き日ノ本に帰りたいという者は次の船便で帰国させる事としたんだけど、希望者は意外と少ないようだ。
取り合えず、住んでみないと解らないだろうと思い、ここでも数人の責任者を残して行き色々と貿易する為の下準備をお願いした。
責任者は
ラテン語とスペイン語と英語を習得させて現地で働いて貰うこととしたものだ。
勿論、本人たちも同意の上であったのでマカオに滞在は最初から決まっていた。
英才教育の賜物で、二人とも腕もそこそこに立つ。
破落戸程度なら1人で2~3人は相手出来ると思うぞ。
さて、この2人以外の数名も残して彼ら彼女らを責任者とし、500人と合わせて我が貿易会社のマカオ支社の礎を築いて貰うこととした。
そんなこんなで2週間の滞在の後、いよいよ日ノ本に向けて俺たちは最後の寄港地マカオを後にした。
「戻って来たぞーーーー!!」
叫ばずには居れなかった。
何か数年ぶりの日本の大地を見ると興奮してしまって船の舳先で両手を挙げて大絶叫してしまったよ。
俺が日ノ本を離れ大凡5年程の月日が流れている。
相も変わらず国内は戦でドンパチしているのだろうか?
それともお猿さんが天下統一を進めて落ち着いているのだろうか?
流石に情報は1年程前のものなので、それからも大分変っているかもしれない。
到着したのは長崎港。
現在の長崎港は南蛮貿易の中心地となっており、街中にも外国人が見られる程には国際的な場所となっている。
流石に新造の大型船では港に乗り入れる事は出来ないので、お迎えの船が来て乗り換えとなった。
今後この快速帆船を利用する場合は不便なので数拠点程名所を確保して大型船が乗り入れ出来る様にしないと拙いな。
港に着くと先ずは宿に向かう。
宿で休んでいると面会者がやって来た。
「丸目二位蔵人様、お久しぶりです」
「誰?」
会いに来たのは
そう、貞坊こと貞清だった。
見ない間に貫禄が出て・・・頭も丸め面影は・・・少しだけあるが、一瞬では解らない程に変わっていた。
「長さんは変わらないですね」
「貞清の方が変わり過ぎて解らんかったぞ」
貞清改め
考えてみれば彼も三十半ばを過ぎた年齢で、そういうお年頃なのであろう。
帰国したばかりなので丁度良いと思い色々と国内情勢を聞くこととした。
現在の日ノ本はお猿さんが豊臣姓を天子様より賜り、関白の座に就いているという。
そして、九州征伐を掲げ諸将が九州に押し寄せているという。
お猿さんが九州に来るのが何時になるかと言うのが話題であるという。
現在の九州の情勢を聞けば、数年前に肥後の熊こと龍造寺中将(隆信)は島津家に敗れ敗死しており、大友家も圧される一方で島津家の九州統一目前と言われていたが、お猿さんの九州介入で情勢が変わって来たという。
弟子の
がんばっている様で何よりだ。
宗湛曰く、他にも竜様(近衛前久)が現在は九州に来ているという。
切原野に滞在中であろうとの事なのでタイミングが合えば会えそうだ。
俺からも、国際情勢や子供たちの事や色々な事を話したが、外国で新しく生まれた子供たちを実際に彼に紹介した。
まだまだ赤ん坊を少し抜けた程度なのであるが、それぞれに活発な子供たちで、女の子としてはお転婆と言える感じだろうか?
莉里の子「
翼は片方が白でもう片方が黒のカラーリングで少しだけ俺の中二心を駆り立てたが、実に愛らしい。
杏、いや、あの国王が居ないので杏麗と呼んでいいだろう。
杏麗は駆け回るのが大好きなようで、ちょこちょこと動き回る元気さだ。
莉彩も二人に負けていないが、母の莉里に似たのか理知的であるように感じる。
はしゃぐ時ははしゃぐが場を弁えている様な雰囲気すら感じるとこがある。
難しい話でも理解している様に見えるのは気のせいか?
話は尽きないので夜更けまで宗湛と語り合った。
〇~~~~~~〇
日本に主人公が帰還!!
さて、ここはやはり私の推し武将の立花宗茂の話でしょう!!
この時期は丁度島津家が九州統一に王手をかけたとも言われる時期でした。
しかし、そんな島津家の野望を砕いたのが彼の実父である高橋紹運と言われております。
島津忠長・伊集院忠棟らの島津軍5万を現在の福岡県太宰府市に在った岩屋城と言う山城で迎え撃ち、763名の城兵で戦ったと言われています。
島津家の兵士数は諸説あり2万とも言われますが、圧倒的多数に少数で向かい打ったのは間違いありません。
この戦いを岩屋城の戦いと云われます。
大軍に対して賢く守り籠城戦が始まって半月も戦ったそうです。
島津は多くの戦死者を出したと云われます。
しかし、守る方も紹運以下763名全員が討死する程の壮絶な戦いとなりました。
高橋紹運の最後は壮絶な物で、残るは紹運の籠る詰の丸だけとなった時、紹運は高櫓に登って島津軍に見せつける様に割腹をして、果てたと言われています。
島津は岩屋城を攻略したものの味方の多数の将兵を失った為、態勢の立て直しに時間を要し、九州制覇は夢と消えたと云われています。
総大将だった島津忠長以下島津軍の諸将は高橋紹運の首実検の際にその雄姿を讃えたと云われています。
特に島津忠長は「類まれなる名将を殺してしまったものだ。紹運とは友であったならば最良の友となれたろうに」とその死を惜しみ、地に正座し涙を流したと云われます。
そして、島津軍は撤退と相成りますが、ここで立花宗茂は後に秀吉に「忠義も武勇も九州随一」と言わしめ、「西国一」「九州の逸物」とまで語られるほどの大活躍をします。
後にこれらの事で「西国無双」「武神」等と呼ばれる立花宗茂のこの時の活躍は何と撤退中の島津軍に友軍を待たずに追撃して数十の首級(武将の首)をあげ、奪われた城を三つ奪い返したと云われています。
立花宗茂は「飛将軍」とも呼ばれました。
行動が素早く、勇敢な将を指して呼ばれる誉め言葉です。
彼の言葉として残る物の中に「彼(敵)のなさんとするところを、先んじて我なせば、勝たざるごとなし」というものがります。
その言葉からも彼の行動の素早さを表しているように感じます。
敵より速く動くという難しい事を成したからか、彼は生涯無敗だったことから「常勝将軍」とも呼ばれました。
推しなのでまたの機会にまだまだ語りたいところですね。
そうそう、
マカオの漢字の当て字は「澳門」と書きます。
「澳」とは水が奥深く入りこんだ所を指し沖合を意味しますが、「くま」と呼び「
難しい言い方で「
隈(澳)と門と言う謎掛け的なものでした。
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