第278話
8/15日はお盆休みとさせて頂きました。
また今日より再開です。
700K PVオーバーしました。
お読み頂きました読者の皆様感謝!!
時間潰しの糧として頂ければ幸いです。
◇~~~~~~◇
何だか既視感のある1隻の船がヨーロッパにやって来た。
俺の所の船が来たと聞いて港に行ったんだけど、遠くの沖合に停まっている他の船より明らかに大きい。
他の船の2倍以上の大きさで、他の船を圧倒する大きさが仇となり、港に着岸出来ない。
それはそれ、沖合に停泊させ小舟で荷の積み下ろしをしている。
詳しく見れば、大きさもさることながら、その船が他の船と違うのはマストの数であった。
そして、人々を驚愕させたのは船速で、同じ帆船とは思えない程の速度で移動し、他を凌駕したと聞く。
その船は東洋より来たと言うことで噂の的である。
「兄上、お久しぶりに御座います」
「久しぶりだな」
何か弟たちが乗っていた。
弟たちもいいおっさんになっていた。
俺の方が外見が若く見えるのは仙術の御蔭?
勿論、俺の年は目の前の弟たちより上だけど、最近は老化が遅い気もしないではなかったけど・・・
おっと、見た目の話などは置いておき、寿斎以外の二人の弟たちが船に乗ってやって来た。
聞けば、奥さんは外国人で子供はハーフとなるので目立つし、一部で迫害を受けることもあるそうで、日ノ本では少し住み辛いらしい。
切原野ならそんな事にはならないらしいが、他の地域だとどうしても肌の色などで目立つので少数派となり、少数派となれば迫害の温床となる。
特に子供と言うのは残酷で、普通に過ごしていてもその違いでいじめを受ける。
と言う事で一念発起海外移住を決めたそうだ。
フットワークが軽いね~流石に俺も驚いたよ。
久しぶりに会う弟たちの窮状を聞きながらも歓迎した。
うん、色々大変だけどこっちで頑張ってくれ!!
王様(フェリペ2世)に会わせようと思ったけど、弟たちが権力者に会うのはハードルが高い様で、弟たちの方からご遠慮させて頂きたい旨のお言葉を頂いたよ・・・
考えてみたら、一般人がアメリカ大統領とかに行き成り会わされそうになるのと同じかな?
うん、普通に聞かれたら喜ぶか無理と言うかの二択で後者を言う人が多いかも?
平成・令和の世なら有名人と会えると喜ぶかも?
まぁ弟たちは静かな暮らしを望んだ。
(スペイン語の会話です)
「クランドよ、良いのかこんなに・・・」
「はい、実は此方に我が弟たちが移住して来ましたので陛下にはよしなにして頂きたいと思いまして」
「爵位を授けよう」
貰えるものは貰っておくと言う事で、弟たちが准男爵となりました。
一代爵位らしいのだけど、貴族位というのはあるなしで世の中大きく違うから本当に有難い。
豊さん(式田豊長)を補佐する形で此方で頑張って貰うこととしつつ、先ずは言語習得頑張れ。
王様が「良いのかこんなに」と言ったのは「神酒 神饌」。
ここで気付いた者も居るだろ?
いや、気付いてない?
まぁいいか、ヨーロッパでは「神饌」を「神酒」と紹介している。
本来の銘柄名は「霊酒 神饌」である。
「霊酒」と言うのは魂を込めて作ったと言う事で「
先ずは神に捧げる酒なので、杜氏(酒作る人々)も心血注いで本当に魂を込める様な感じで作っている。
だから名前はそれ由来の「
しかし、ヨーロッパ人に説明するの解り辛いだろうから「
よくあるよね?
海外展開するに当たって名を変える事って、国内では「全国」と名乗っているのに海外では「Pなソニック」と名乗っている家電メーカーみたいなものだよ。
え?違う?まぁ良いだろ。
その「神饌」を今回大盤振る舞いの1樽を献上した。
四斗樽なので72ℓ、一升が1.8ℓなので40升分となる。
大様大喜びだよ。
何でも王家で俺の献上した酒独占したので高位貴族たちにせっつかれていたらしいよ~
効能知ったら荒れそうな気もしないではないけど、王家で秘匿しそうな気もしないではないね。
本来は船が此方に来る毎に一升を売ることとしているから本当に今回は大盤振る舞いとなる。
イレギュラーなんだけど正直言って今回はナイスタイミングと言えるね。
恐らくはこの手配をしたのは弓ちゃん辺りかな?
帰ったら聞いてみるか?・・・まぁ忘れていそうなので、覚えていたら聞いてみよう。
そういえば、残りの弟・寿斎は如何しているだろうか?
便りの無いのは元気な証拠等と言う言葉が俺の前世の昭和~平成の時代に使われることがあったが、この時代で便りの無いのは便りが無いだけで、元気かどうかはマジ不明なので心配ではあるが、きっと元気であろう。
これも戻ってから覚えていたら確認だな。
そう思っていたが、日ノ本に戻ってから過去に俺が大友宗麟の要請で剣術教える事となった時、色々忙しくて数回教えた後は寿斎を呼び寄せ代りに寿斎を宛がっていたことをすっかり忘れていた。
戻って確認して大友家でそれなりの待遇で剣術を指南してしていることを知り失念していたことを思い出したよ。
★~~~~~~★
「ビエックション!!!」
「先生、お風邪ですか?」
「いや・・・誰かが噂しておるのやもしれませぬな」
★~~~~~~★
弟たちが来た際に色々と国元の事を確認したら、思わぬ訃報を聞く事となった。
親父と紹さん(神屋紹策)が亡くなったそうだ。
親父は朝起きて来なかったので寝床を見に行くと亡くなっていたそうで、本当に眠ったまま永眠したそうだ。
親父本人が生前に
紹さんは博多の神屋で床に伏し、数日後に亡くなったそうで、周りの者たちに色々話した中に俺の事も話していたそうだ。
日ノ本に戻ったら博多の神屋を訪ね墓参りをさせて貰おう。
4年の月日は短い様で長い。
俺の前世で4年に一度に開かれるスポーツの祭典やサッカーの大会等あったが、考えてみればそれ程に時が過ぎている。
もう一年もしない内に日ノ本に旅立つ予定にしているが、親や恩人の訃報を聞き気持ちが逸る。
早く戻りたいと言う気持ちから今回乗って来た快速帆船の旅の日数を聞けば、1ヶ月半位だと言う。
「早くね?」と言うのが俺の感想だ。
確かここに来るまでには8カ月位掛かったぞ?
それでも早い方だと言われたのを記憶している。
何でも、東洋からだと1年以上かかっても普通だと言われた。
1年と言う事は12カ月、快速帆船の圧倒的な速度に驚いたよ。
そういえば、まだ日本に居た時に長門守に色々聞かれたのを思い出した。
重要なのは帆やマストを張る時に使うロープで、強度が重要なのを話した。
どうやって強度を得るかを聞かれたので、ロープの中に針金入れればと言ったな~
流石にワイヤーロープとかは無理と思ってそう提案したんだったな・・・
後ほどロープを見せて貰ったが、見事に縄と針金が6:4の特殊ロープがそこにはあった。
全て針金のワイヤーロープを前世で見慣れていた俺から言うと異質に見えるが、これはこれで面白い。
聞かれて適当に答えただけであったが、どの時代も職人さんは凄いと思える出来事だったよ。
話が逸れたな。
現行の帆船の約5倍ほどの速度で航行した事となる。
赤く塗っても3倍なのに(※決して赤く塗っても速くなりません)・・・約5倍か~スゲエな~
感傷に浸っていたが、日本に帰り付くのは意外と早そうである。
〇~~~~~~〇
松下電器うんちく放り込もうかと思いあえて「霊酒 神饌」をヨーロッパでは「神酒 神饌」としましたが、誰も気が付いてくれない・・・
誤字報告されるかもとか思いましたが、何となく受け入れられたので変な回答もせずに済み、今回伏線回収です!!
さて、松下電器と言えば創業者の松下幸之助さんでしょう!!
「経営の神様」とも呼ばれる方で、多くの逸話の残る方でもあります。
この方の名言で感銘を受けたのは「わからなければ、人に聞くことである」と言う言葉です。
意外とこれ歳を重ねる程に難しくなるのですが、自己啓発本でこの言葉を知り、実践しております。
勿論、行き成り「解らないから教えて」は基本タブーですし、空気を読んで使うことが肝要です。
先ずは調べ、その中から自分はこう思うけどまだ解らない部分もあり教えを乞うと言うスタンスで聞くこととしていますが、この名言の私なりの解釈として、「知ったかぶりをするな」と言う事だと捉え実践しています。
何気ない普通の言葉ですが、実に良い名言だと思っております。
さて、快速帆船については「快速」と付くので従来船より速いのですが、実際どれくらい速いのか?
イングランドで利用された高速帆船は
大体、ティークリッパー(お茶)かウールクリッパー(羊毛)と言うのが多かった様である意味では有名です。
従来18〜24ヶ月掛かったものが、クリッパーの登場によって100〜120日前後となったと言うので大凡本作と同じ位の速度となります。
19世紀後半にはシドニー〜ロンドン間を72日という最速記録を打ち立てたらしいですから本当に船においての技術革新が凄かったようです。
快速帆船の登場は19世紀になってからと言われますので、この物語では実際の歴史より200年以上進んだ物を登場したことになります。
これにて主人公のヨーロッパ編は終了となります。
次は主人公以外の所の話が続きます。
外伝として書くか迷いましたが、外伝で書くと別にまた作品を増やす事となるので止め、閑話として書くかも迷いましたが、今までもその手の話は閑話にせず本文に盛り込んでいたので今回もそれに倣うこととしますので宜しくです!!
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