第277話

王様(フェリペ2世)に人材育成の為の村を作りたいと言ったら一瞬変な顔をされたけど、内容を話すと社会貢献と思われた様で王家の土地の未開拓地の一部を使って良いと言う事で、そこに村を作ることとした。

佐助さすけ才蔵さいぞう三平さんぺいきぬたえの5人が協力して色々動いているけど、人員が足りないと言う事で日ノ本より増援を依頼すると言う事となった。

海外移住になるけど良いのかな?

まぁ本人たちが問題無いと言っているので問題は無いのだろうし、日本人奴隷を購入することも検討されている。

村人となるのは孤児院などの子供たちが将来的にそこに住んだり、彼らが認めた善良な者たちを住まわせ此方での人員確保を数年単位で行い、最終的には忍者育成所にもしたいと言っている。

将来は金髪や黒人の忍者が生まれると思うと何だか面白いと思ったので、発破を掛けたら何故か皆が顔を引き攣らせて「徐々に頑張らせて頂きます」とか言われたよ。

う~ん・・・生きている内に見たいな~とか思って、何時見れるかなど具体的に聞いたのが不味かったかな?

まぁ運が良ければ生きている内に見れるかもね位に思っておこう。


「それにしても、此方に拠点を作る意味はあるのか?お主は国に帰る予定であろう?」

「そうですね・・・将来的に娘が此方に移住する可能性も御座いますので・・・」

「娘?・・・ああ、リコか?」

「はい、他の娘や息子たちも場合によっては移住させます」


日ノ本はお猿さん(羽柴秀吉)の時代はまぁ良いけど、家さん(徳川家康)の時代になると外国人を殆ど見なくなる。

貿易を平戸に限定して行ったり、スペイン・ポルトガルを締め出したりと鎖国とも呼ばれる程に外国との外交・貿易を限定する。

そうなるとハーフの里子たちは住みにくい国となるのかもしれない。

その時の保険としてもこの国で基盤を持つ事は重要だと思える。

運のよい事にイングランドの貴族籍も得た。

イングランドの王室は令和の時代もまだ在ったし、場合によってはそちらに身を寄せるのも手かもしれない。

どの様になるかは様子見となるが、日本に拘らなければ意外と大丈夫な気もする。

恐らく、平和になれば大きな力を持つ者は疎まれるだろう。

現在、日ノ本で情報を牛耳っているのは、多分、俺だと思う。

時の権力者がそれを認めるかどうかは解らないし、帰ってから考えないといけない一番の問題だろう。

幸いにして現時点ではお猿さんとも家さんとも仲が良いが、今後はどうなるか解らないことも踏まえて考える必要はあるのかもしれない。

王様(フェリペ2世)に少しだけ日ノ本の国内情勢を伝え、最悪の場合の家族の受け入れをお願いすると、快く引き受けてくれた。

「クランドとその家族、クランドの配下の者と言うなら喜んで受け入れよう」と言ってくれた。

本当に有難い事だ。

此方での仕事も大体片付いて来たので、1年以内には日ノ本に向けて旅立ちたいと思っている。

戻る頃には此方に旅だってから5年位の月日が経つこととなるだろう。

歴史で少しは如何なるか知っているが、詳しい所は朧げしか覚えていない。

戻る頃は恐らくお猿さんの天下統一事業の真っただ中だと思う。

あのお猿さんが関白とかにも成ると思うと少し疑わしいけど、俺の知る歴史では成るのであるから何かの異変が無ければ歴史通りの事が起こっていると思われる。


★~~~~~~★


時は少し戻り、日ノ本では。


蔵人様の命で急ぎ造船を依頼した。

20隻を注文しておるが、流石に今年は5隻の船が完成するのみとのことだ。

蔵人様の文を儂・お弓と羽長様・利長様で検討し、今後とも造船が必要であろうと言う事から船を作れる奴隷を購入し、船を作るのに興味を持つ者たちを集め急ぎ造船所を立ち上げたが、ここで面白くも不思議な出来事があった。

蔵人様が日ノ本に居られた時分に暇を持て余して手慰みとして小さな船を作られた。

今まで見たことも無い船であったので興味を持ち蔵人様本人に聞いてみた。


「蔵人様、見た事無き船で御座いますが、それは何方の船で?」

「あ~この模型は・・・」

「もけい?」

「模型とは大きい物を小さく縮小して見やすくした?物かな」

「成程!!して、そのもけいとやらで作られた船は何方の船で?」

「南蛮の船?」

「ほ~南蛮の船で御座いますか」

「まぁ・・・先の未来の物かな?」

「未来と言うと・・・神仏か天狗様にでも見せられたので?」

「まぁそんなとこ・・・」


何故か話されながら苦い笑顔で少しだけ顔を引き攣らせていた蔵人様・・・恐らくは気のせいであろう。

その事を思い出し、造船する者たちにその船を見せた。


「藤林様・・・私の知る限りそのような船は見たこと御座いませぬ」

「さもありなん、蔵人様曰く、先の未来の船らしい」

「何と!!」

「神仏か天狗様のお知恵らしいのだが・・・作れるか?」

「何卒その小さき船をお借り出来ますか!!」

「ああ、構わぬぞ。蔵人様に頂戴して予めばらしても良いと了解を取っておる」

「おお!!しかし本当にばらしても良いので?」

「構わぬぞ、予備で同じ物がもう一艘ある」

「では、ばらして構造等確認いたしますのでよしなに」


そして、既存の船と並行して一隻だけ未来の船を作っている。

完成するのが楽しみじゃ。


〇~~~~~~〇


新造船をするなら安土桃山時代頃には無い未来の船を出したいよね~と言う思いがあったので出す予定でしたが、どの位の時代の船にするか迷って検討しておりました。

安土桃山時代は世界的には大航海時代と云われる時代の真っただ中で、外洋に出ることが出来る船が開発されており、特に欧州ではその船で多くの発見をしております。

丁度この時代はコロンブス等が活躍した時代よりも少し後となります。

主流の船は、勿論、帆船ですが、キャラベル船・キャラック船から海賊から身を守るため大砲を大量に積載できるガレオン船に代わって行っている最中でした。

まだまだガレオン船よりキャラベル船・キャラック船の方が多い時代となります。

そうなると、未来の船って何よ?と思うと思います。

蒸気船と言うのも面白いとは思いますが、流石に脳筋主人公が蒸気機関の細かい仕組みを知る訳ありませんし、丸投げしたとしても無理ああります。

快速帆船を登場させようかと思っております。

19世紀に登場する船で「Clipper《クリッパー》」とも言います。

快速帆船は大型帆船ですが、積載量よりも速度を重視した船と云われています。

全長は長いのですが船体は狭く、多くのマストと帆を持つ事が特徴です。

イングランドの快速帆船で「カティーサーク」とかが有名ですかね?

是非とも登場させたいと思っておりますが、それを成す為に後付けで色々書く形になりそうです。

特にこの船での技術革新部分としては従来より2倍の強度となるロープの編み方が考案されたことや鉄製のワイヤーが導入されたことで解るように、ロープの強度が重要となります。

そこら辺は書く予定にしてます。

しかし、最終的には他にもマストの鉄製化やウインチが導入等々多くの技術が取り入れられた船なのですが、あまり技術寄りに書くと技術説明だけで本文を費やすことになるので少し曖昧にすると思いますが、そこはそれ、ご愛敬と言う事で流して頂けると有難い所です。

実はこの快速帆船というのは、帆船模型では定番中の定番で、マストなど多く見栄えが良い為人気なのです!!

そういう理由で主人公が帆船模型を作ったと言う事になると快速帆船かな~とか思ってしましました訳です。

丁度時代的に見れば次世代の船だし良いかな~と思っての事でもあります。

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