第268話
話していなかったが、俺には子供が増えた。
莉里は欧州に旅立つ前、まだ日ノ本に居る時に身籠って、丁度、日ノ本を旅立つ少し前に娘が生まれた。
産まれたばかりと言う事で日ノ本に残して来ようと思ったのであるが、莉里から離れるとギャン泣きするので、離せず連れて来た。
船旅も多く、欧州と言う日ノ本とは文化が全く違う別世界と言う事で心配したが杞憂に終わった様ですくすくと育っている。
特に里子が可愛がっているので、凄く里子に懐いている。
名前を「
この子は母の莉里や叔母に当たる里子とよく似た面差しをしているが、1つ大きな特徴がある。
左半分が金髪で右半分が黒髪なのだ。
漫画やアニメのキャラの様なそんな髪色であるが、莉里たちの遺伝子は偉大だ。
凄く可愛いのでそんな髪色でも異彩を放ち愛くるしくそれでいて馴染んでいるので見た目が特殊でもあまり異端視されない。
確かに、阿保な貴族などが一部異端視したが、早々に完膚なきまでに潰してやり排除してやった。
え?子供への愛が重いだって?わははははは~褒めてくれてどうもありがとう!!
え?褒めてない?まぁいい。
さて、他にも子を儲けた。
次に生まれたのが春麗の子で名を「
通称、
たまたま被った様な名になってしまったが、特に意識した訳ではない。
被ったから欧州、特にフランス居る間は通称呼びを皆に通達したら定着してしまった・・・
しかし、同じ名と言う事でナンパど腐れ発情男ことアンリ3世がこの子を特に気に入ったようで、カトリーヌさん(カトリーヌ・ド・メディシス)とのお茶会で俺たちの子を見たいと言われたので連れてきた際に紹介し、その場に居合わせたナンパど腐れ発情男が同じ名と言う事で反応した。
「ほう、珍しき髪色だが・・・莉里や里子に似て愛らしいの」
「陛下、お褒め頂きありがとうございます」
「いや、事実を述べたまでじゃ。莉里と真実の愛について語り合いたいが、ふむ・・・如何じゃ?我が子とこの子の縁を結んでみる気は無いか?」
「お戯れを」
「うふふふふふ~まだ子が生まれていないから生まれたらになるけどね~如何だい?」
「それを決めるのは私ではなく、長様です」
後で莉里に会話の内容を聞いたけど、可愛い可愛い
言葉に出すとヤバいので殺気だけ飛ばして「|Parle dans ton sommeil《寝言は寝て言え》」と莉里から教えて貰った意味の言葉を練習して打診を本当にして来やがった時に言ってやったら「子離れしろよ」的な言葉を言いやがったので、殺気を
それ以来、子供たちとナンパど腐れ発情人攫い男とは会わせないようにしている。
そして、美羽にも第二子の女の子が生れた。
目鼻立ちは美羽に似ているので将来は美羽のような美人さんになるだろう。
少し美羽を日本人寄りの顔にした様な感じでもあるので、俺のDNAが少し頑張ってくれたようだ。
特徴としてはそんな感じであるが、この子も顔の一部分が日本人離れしていた。
その一部分とは、目だ。
目の色が空色であり、ブルーアイと言う感じかな?
もしかすると美羽のルーツにそういう目をしたご先祖様が居るのかもしれない。
日本人に少し寄った美羽バリの美人で神秘的なブルーアイ・・・将来が心配だ!!
まぁそれは置いておき、目の色から「
奇しくも三人共女の子で、可愛らしいが、我が家の男性率が一気に下がった。
まぁいいか~可愛いは正義だ!!
日ノ本に戻った際、もう一人の愛娘、
「何故、私も南蛮に連れて行って頂けなかったのですか・・・父上のせいで妹たちの可愛い姿を見逃してしまいましたわ!!」
うん、理不尽であるが、気持ちは解るので口答えをしなかったよ。
さて、現段階で目的を達成したと思うので、帰途も視野に入れ動く事となる。
幸いにも、スペインとイングランドの貴族籍を手に入れ、同じく両国に立派な屋敷も手に入れた。
その2つを有効活用して行こうと思っているが、さて、如何すべきか・・・
よくよく考えてみたらスペインとイングランドの2カ国それぞれ5隻の無関税の特権を認められた。
最初は5隻で運用とか思っていたけど、莉里提案で、それぞれ別々に運用して10隻を動かす方が良いのではないかと言われた。
確かにその通りだと思えた。
日ノ本より運んでくるのは大変だから出来れば大船団で海賊等に襲われても返り討ちに出来る位の規模が良いだろう。
護衛船とかも含めると本当に大規模になりそうではあるが、数は力だ。
それに、その乗組員たちを雇うことで人材も確保できる。
金はあるのだし、奴隷たちを助けることも可能だろう。
勿論、全ての奴隷を助けることなど不可能であるが、それでも多くの奴隷を俺が買って雇うことで助けられる者も多く出るだろう。
さて、そんな船団を率いる人間と、スペインとイングランドの2カ国に在中して差配する人間が必要になる。
意外にも欧州に豊さん(式田豊長:元武田長豊)が留まる事となった。
本人曰くであるが、日ノ本では顔が知れているので新天地で生活したいとの事と、意外とこちらでの生活が気に入ったそうだ。
確かに日ノ本スタイルではなく欧州スタイルの恰好を最近は好んで着用しており、食や文化も気に入った様で、下町にふらりと出掛けては色々と楽しんでいるようだ。
俺以上にこちらでの生活を満喫している感があり、羨ましいと少し思ってしまう。
そんな感じで生活に慣れて来ると、普通に言語も習得するのが早いのか、元々の地頭が良いのか、一年経つ頃にはラテン語を普通に話す様になっていた。
俺はまだフランス語が片言なのにな・・・なんか豊さんはフランス語もそれなりに話していたよ・・・
脳筋武将と知能派武将の違いをまざまざと見せつけられた思いだよ。
さて、そう言う訳で、スペインとイングランドの2カ国に話を通すと、豊さんも爵位を貰えることとなった。
一応は俺の代理人と言う事で、俺の不随爵位となるそうだ。
両国ともに男爵の爵位をくれたので、豊さんはこの二カ国ではシキタ男爵を名乗る事となる。
それと、次世代の育成も重要だ。
今回は以前から藤林家で次代を担う人材として里子の御付きとして
勿論、供の者は他にも何人も居るが、現行世代のこちらを任せるのは豊さんに決まったので、次の世代も考慮しないといけない。
と言う事で打診したところ、三平が次世代の駐在員を買って出てくれた。
そして、どうせならと言う事で、豊さんが三平の事を養子として迎える事となった。
三平は式田三平
そして、三平と恋仲だった妙が彼と夫婦になりこちらに残って俺の持つ伯爵家の取り仕切りを豊さんと共に行ってくれるという。
実にありがたい事だ。
★~~~~~~★
丸目蔵人たちが欧州を去った後、式田豊長はシキタ男爵と呼ばれるが、マールメ(マルーメ)伯爵家の家令とも認知された。
この伯爵家の性質上、政治に係わる事は無い家柄で、他国(日本)の外交官的な立ち位置で見られることが多かった様であるが、スペインとイングランドの2カ国の王室に顔が利き、両国間の王・王女からの密命・密書等の受け渡しも担うようになると、一部では「影の配達人」等とも呼ばれるようになる。
それを知る高位貴族たちからは一目置かれる存在として知られるようになるのは直ぐの事であった。
また、年に一度程度、日ノ本より珍しい品を運んでくる船荷の差配もすることで商売人としての顔でも知られるようになる。
日本では、彼の嫡男である武田次郎(武田信豊の嫡男)は本来、親である信豊と共に死ぬ運命であったが、信豊同様に丸目蔵人一党に助けられたことで名を変え生き延びて人生を謳歌した。
甲斐武田家の重圧から解放された彼もまた親父同様に自由奔放にその才を活かしたという。
後に欧州式田家に信豊の血を入れる為に彼の孫娘が嫁入りし欧州式田家に信豊の血を入れる事に成功した。
丸目家(マールメ、マルーメ伯爵家)と同じく決して世にあまりその名を知られる存在ではなく、知る人ぞ知る家であったが、その家は2XXX年になっても絶えることはなく、欧州の政財界で知られる程の名家として残る。
そして、その時代でも丸目家の家令の一家として栄えたという。
〇~~~~~~〇
これから一時は歴史と言うより主人公の権力基盤が築かれていく話や主人公外の話に飛び火して行きます。
さて、キャラが濃ゆいので今回もアンリ3世話をば!!
彼が同性愛者ではないかと言われたことは前話までで話したと思いますが、彼には多くの愛人たちが居ました。
これは特に珍しい事でもなく、王侯貴族には当たり前の話でした。
血を残すと言う事が重要ですからその確率を増やす為に多くの愛人を持ち、頑張っていたようです。
アンリ3世も御多分に漏れず勤しんでいたようですが、子は居なかったようです。
さて、彼は同性愛者の根拠の一つがこれでとも云われますが、それ以外にも彼は色々な説が唱えられています。
実は女装趣味があったとも云われます。
女装趣味が高じて同性愛者となり、子が出来なかった説と、そもそもが彼が子を成せない体だったかもとも云われます。
現代社会では医療が発達し不妊の原因は女性だけではないというのが一般常識です。
男性不妊の原因のうち約8割が、精子の数が少ない、動きが悪い、等、の精子を作る機能に問題があると言われます。
これを病名で言うと、「造精機能障害」といいます。
実はアンリ3世はこれだった可能性があるかもとも言われます。
勿論、女装趣味の方が面白そうなので女装趣味が高じて同性愛に一票ですが・・・
アンリ3世は暗殺されたと前回語りましたが、暗殺されたことで彼がヴァロワ朝最後のフランス王となりました。
アンリ3世の暗殺により王位を継承したのはアンリ4世、ブルボン朝初代のフランス国王として即位しました。
このブルボン朝とか言うのは家名の ブルボン=ヴァンドーム家から取って付けられています。
アンリ4世は在位中から現代に至るまでフランス国民の間で人気の高い王の一人と云われており、「良王」等と呼ばれます。
死して尚その人気は高く50フラン紙幣において肖像が採用されるほどだったようです。
話を戻し、アンリ3世を含むアンリ2世とカトリーヌ・ド・メディシスの子供たちのうち王位に就いたフランソワ2世、シャルル9世、アンリ3世の三人の兄弟は「不幸三兄弟」等とも言われます。
順に脳炎で病死、若くから結核で早死、健康だったのに暗殺と三人共若死にしているからでしょう。
実権は母であるカトリーヌが常に握っていた様ですが3人目のアンリ3世が亡くなる半年前に亡くなってしまったのでアンリ3世の権力基盤が弱まり、暗殺となったのは仕方ないのかもしれません。
もし、母のカトリーヌが生きていればまた違った未来があったかもしれませんが・・・
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