第260話
何か王様が屋敷くれた。
中々の大豪邸で、古き良き時代のお城って感じの屋敷だ。
今までの定宿としていた宿を引き払い、ここに居を移す事となった。
取り合えず、臨時の日ノ本大使館と貿易会社の事務所も兼ねる事としたがそれでも有り余るほどの部屋数と敷地面積だ。
何故、屋敷が貰えたかと言うと、話は少し遡る。
スペインの貴族たちの俺に対しての暗殺の続きの様な話なのだが、毒殺・銃殺等々の物理的な暗殺は無理と判断された様で次に奥さん娘への魔女裁判をという権威的・宗教的な恫喝も失敗した貴族は次にとんでもない事を画策した。
「
「何だ?千代」
「呪われておるぞよ」
「誰が?」
「義兄上が」
「マジ?」
そう、ある日、義妹のお狐様がそう
俺の渾身の作であるプリンアラモードを頬張りながらそう言って来た。
プリンアラモードは今度の茶会に出してみよう試作品を兼ねて作ってみたが、大絶賛され、お狐様は3個目を食べ始めた矢先にそんな事を言う。
「どうして解る?」
「ふむ・・・教えておらなんだので丁度良いのじゃ」
「教えてない?何を?」
千代は悪しき物を視る為には気を目に集中させる事が肝要だという。
何それ面白そうと思い、試すが意外と難しい。
「父上!出来ました!!」
「お!里子は要領が良いのじゃ」
く~流石は愛娘の里子、天才過ぎてパパ嬉しいよ!!
里子曰、角生えた黒い体の変な奴が俺に取り付いているという。
マジかよ・・・
「あ・・・」
「如何じゃ?視えたかえ?」
「ああ・・・」
里子の言う通り何かそんな感じの奴が俺の後ろに居る・・・
何だか悪魔に見えるのだが・・・気のせいか?
それに目が合った様な気がしてまじまじと見るとその黒い奴がニヤリと笑う。
「千代、これなんだ?」
「呪詛じゃな」
「そうか~呪詛か~・・・はぁ?俺が呪われていると言う事か?」
「さっきからそう言っておるのじゃ」
うん、今度は呪術的な手段に出たようだ・・・
さてどうしたものかと思っていると、千代が言う。
「な~に、簡単に祓えるのじゃ」
「おう!どうやれば?」
「お主の腰に下げた刀は何じゃ?」
「日本刀?」
「戯けめ!!」
怒られました・・・千代曰、俺の大小の刀の内、太刀(三池典太光世)の方は魔を祓う刀らしい。
そして、短刀(※何て名付けたかど忘れしたので後々調べて名入れします、要修正箇所!!)は神より与えられた神刀で、魔をも滅するらし。
違いとしては、呪詛を刀で斬る要領で斬り捨てると効果があるそうだ。
マジで簡単過ぎて驚くが、それだけの力ある刀だと千代は言う。
「太刀の方で斬るとどうなる?」
「祓われたそれらは元に帰るのじゃ」
「元に帰る?」
「簡単に言えば呪詛返しなのじゃ」
プリンを頬張りながらなので緊張感に欠けるが、千代曰、俺は色々な者や物から守られたいて呪詛が入り込めないそうで、後ろに立つような形で呪詛が隙を狙っている様な状態が今らしい。
おふっ・・・聞きながら飲んでた紅茶を少し吹いたぞ。
マジで呪術的な何とも実感の湧かない話になって来た。
しかし、目に気を集めて視ればそこに奴が居る・・・
呪詛返しをすると俺を呪った相手が呪われて願を掛けた通りの事になるそうだ。
多分、俺が太刀(三池典太光世)で斬り祓えば元の呪い先の人物がその内死ぬか病気になるって事だろう。
「じゃあこっちならどうなるんだ?」
「その短刀で斬り祓えば即座に呪いは消え失せるのじゃが、呪い元は一気に呪詛がその者を襲うから即死じゃろうな~」
「あ~呪い・・・人を呪わばって奴か?」
「少し違うが・・・普通はな呪った相手も呪われた者が死ねば行き場を失って呪詛が元に戻るから、穴二つと言う結果になろうものじゃが・・・じゃがな、お主位の色々と守られたような者に手を出せば、呪っても呪った己が死ぬだけなのじゃ。無知ゆえの自業自得じゃな」
千代は4皿目のプリンを掬って食べた後、空のスプーンを首に当てる様な動作の後、首を掻っ切るような仕草で結果を伝えた。
「うわ~・・・」
「まぁ義兄上を呪う事がそもそも出来ると勘違いしたお馬鹿の無知が原因じゃし、死して教訓にすればよいのじゃ」
お狐様が辛辣にそう宣う。
今回は検証を兼ねて短刀を試す。
次の日にある貴族の訃報が宮殿に届けられたが、まぁ俺の事で陰口を叩いていた貴族だったので恐らくは・・・
またある日、里子が言う。
「父上~またなんか変な黒いの着いてるよ」
「おうそうか・・・」
俺は今度は太刀で斬り祓う。
後日、病気を理由に爵位を息子に譲った貴族が居たというが、その貴族は20代半ばで健康そのものだったのに急に病気となり一気に痩せ衰えたと聞いた。
悪い病気に罹ったのであろうと噂されている。
少し前に里子に言い寄り、俺に手酷く撃退された貴族であるが、後日、俺を遠目に見てニヤニヤと嫌な視線を俺に投げ掛けていたことを思い出した。
そんなある日、王様(フェリペ2世)とお茶会をしたのであるが・・・
★~~~~~~★
俺は父上たちの帰国を待たずに祝言を挙げた。
お香にとは以前から恋仲となっていたが、中々に踏ん切りが着かず待たせていたので、祝言を挙げようと言えば泣いて喜ばれた。
本当に待たせて悪い事をしたなと思うが、父上たちに言おうとした矢先に父上たちは日ノ本から旅だったので仕方がない。
大急ぎで旅だった父上たちに言う機会が中々無かったので仕方ない事ではあるが・・・
切原野の村はお祭り騒ぎとなり、家族以外にも多くの許たちから祝福を受け、婚儀は行われた。
仲人として藤林長門守夫妻が取り仕切ってくれた。
「はぁ~お香が羨ましいです・・・」
そう言うのは異母兄妹の麗華(主人公と春麗の子)だ。
姉上(里子)同様に麗華はお転婆で、周りからも嫁の貰い手を心配されているが、その反面、小柄で儚く見える外見に騙される男たちも多い。
しかし、麗華も父仕込みの剣術に母(春麗)仕込みの忍術を駆使して戦える女子で、その腕はそれなりの者である。
また、
「父上たちが戻られたら麗華も嫁ぎ先を見つけて貰わんといかんな」
「利~私も貴方と同じく自分のお相手は自分で見つける予定ですよ!!」
これ以上この話題は危険と話を切り替える事とした。
「そう言えば、春(春長:主人公と春麗の子、麗華の双子の片割れ)は如何した?}
「あ~春は武者修行にと言って何処かに出て行って・・・連絡が付かず・・・」
「まぁ急ぎの祝言だったし・・・仕方ないな・・・」
兄弟中で最も活動的な春は、旅立ち何処かに行っているそうだ。
藤林の諜報でも見つけられないとは何処をほっつき歩いているのだか・・・
〇~~~~~~〇
主人公が摩利支天より貰った短刀の名前ど忘れしちゃいました・・・
260話にもなると設定を忘れるので時間ある時にでも自分用として設定資料必要そうですね~
まぁ私の耄碌はさておき、うんちくをば。
南蛮貿易は明国のマカオを拠点にポルトガル人を中心にして営まれました。
重要な品物には日本の銀と中国の生糸があったと云われます。
何故、日本の銀が求められたかというのは明国の国内事情とも加味します。
この頃の明国の取引は銀本位制と言っていい程に銀が流通の基本でした。
前話でポルトガル(スペイン)の外交政策の一環として「地租(土地の租借料を払う)を条件として広州の海道副使からマカオの居住権を獲得」という話をしましたが、この地租が日本の銀が大量に使われたとも云われます。
勿論、全てがここで消費されたという訳ではありませんが、大部分が使われたのは間違いないようです。
日本と中国で直接やり取りすれば早いように感じますが、それぞれの国の事情で間接的なやり取りが行われ、中間マージンとしてスペイン・ポルトガルの利益となったのは言うまでもあるません。
明国の税制では銀が必要とされていたようですが、国内需要に対し銀が枯渇していたようです。
それと、明国は海禁政策で日本との貿易は禁じられていたそうです。
海禁政策とは海賊取り締まりや密貿易防止を目的として行わたものなのですが、海外貿易等の外洋航海や、時には沿岸漁業や沿岸貿易としての国内海運までもが規制されたそうですから日本と中国の公的な交易は皆無と言っていい程だったようです。
この政策を「下海通蕃の禁」と呼ぶのですが、一般的には「海禁」と略称されて呼ばれました。
元々は朝貢貿易で日本と中国は繋がっていたようなのですが、朝貢貿易の衰退とともに密貿易の方が盛んになっていったようです。
朝貢貿易も一部残っていて細々とは取引したいたようですが、本当に微々たるものだったようです。
実はその朝貢貿易の際の輸入品目の中に永楽銭と呼ばれる銅銭がありました。
日本もこの朝貢貿易が下火になった影響で永楽銭の国内需要に対し枯渇気味になり擦り切れた様な永楽銭が出回るようになります。
これを悪銭と言い、通常の価格より下の価格で流通通貨として使用されましたが、戦国期末期はどんどんその悪銭が増えて行ったので、ポルトガル人が永楽銭と言う銅銭をどんどん日本に輸入していたとも云われています。
ポルトガル商人たちは儲けたい、明国は日本の銀が欲しい、日本は永楽銭や珍しい外国製品が欲しいというWinWinのような関係が出来上がり、南蛮貿易の前半戦はこの貿易に関わるもの皆に恩恵を与えたようです。
勿論、儲け話があれば損話もありますが・・・
さてさて、次話はフェリペ2世との話となります。
プリンアラモードと呪術・悪魔の話の何方をするか検討中。
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