第259話
南蛮貿易って知って居るかい?
南蛮人とは、ポルトガル人とスペイン人を指し、この人たちと交易するのを南蛮貿易と言った。
間違いなく儲かるので知識チート活用で仲の良い商人たちと色々としていた。
俺は紹さん(神屋紹策)の伝手で美羽たちを手に入れて以降、彼らに色々吹き込んでいるのだが、その一つが、南蛮人は銀を欲しがることと、日ノ本の銀の相場と世界の銀の相場が違う事を含めたあれこれを教えた。
取引自体も美味しいが、銀の差額でも外国の商人たちが儲けていることを教えた。
その対策としては、日ノ本から出荷する物に付加価値を付けて外貨を獲得することで釣り合いを取ることと。
ある程度の大店の者たちと協力して銀自体の価値を外国人たちとの取引の時は吊り上げて価格差の旨味を無くすという事で対応している。
旨味は減るが誤差の範囲と南蛮の商人たちは考えたのか、取引は変わらず、いや、さらに拡大して行っている。
さて、実は俺も南蛮貿易を始めた。
海外渡航の序とばかりに海運業に乗り出しました!!
王様(フェリペ2世)に会見する際の献上品はこの貿易序に運んで来た品から渡している。
珍しいMade in Japanの商品は以外にも王様にウケた。
特に革ジャンと皮のファーコートがお気に入りだと王様自ら言われたよ。
外国人と言う事で大きく作ったけど、運よく王様のサイズにピッタリの物だった。
王妃様とか他にも仲良くなった貴族など等から問い合わせもあり、次回の便で持って来させるように手配しているし、寸法なども測ってオーダーメイドも承ったよ。
もしかしたら、丸目印の皮製品はヨーロッパでも人気になるかもね。
今の所そんなブランドは無いけどな。
日ノ本でも人気の品だけど、海外でも人気になりそうな予感だから、皮・革製品を取り扱う天王寺屋の天さん(今井宗久)はウハウハだろうね~
王様は日常使いの部屋着として室内では主に革ジャンを着て、見た目を重視で出歩く時などは皮のファーコートを着こなしていると言う。
凄く気に入ってくれたようで、色々な人に自慢してくれるので良いコマーシャルとなっている。
上の者が着ている物・使っている物はトップダウンで流行りに流行るね~
これは日ノ本でも同じことをしたのであるが、王様が気に入るかどうかは判らなかったので、良い誤算だと思っている。
王様の着るファーコートの皮なんだけど、実は北極熊?の物のようだ。
実際、熊の皮と言う触れ込みで購入したと聞いたけど、白い熊とかサイズ感とか寒い地域とかの幾つかの情報から俺は何となく北極熊だと思ったけど、実際はよく解らん。
まぁそれはそれとして、皮自体も中々のお値段だったという。
値段聞いた時に皮からそっと手を離したことは言うまでもないかな?
でも、白い毛がふさふさしていて見た目も良いし、触り心地もいいんだよね~物も良いし物珍しいだろうと献上品にと持って来たけど、王様は大層気に入ったことで、流行りの予感ビシビシ。
さて、革ジャン方も特別製です。
背中に登り龍の刺繍がなされたヤンキーのような仕様だけど、日ノ本では四位以下の者は買えないと言う括りまで設けたお品となります!!
龍は特別なんだよ!!
だからなのか、信長さんは褒美の品として数点を部下の武将に渡したという。
柴田・丹羽・滝川・惟任(明智)の4人しか持っていない程のお品だと天さんから聞いたな~
「クランドよ、他にも何かあるのか?」
「他と言いますと?」
「そちの国には他にも珍しき物はあるのか?」
「此方と文化が違いますし、色々あると思いますよ」
意外や意外、愛国心が強くお国物が大好きと聞いていたんだけど、日本製がお気に入りになられたようだ。
時代を可成り先取りした「Cool JAPAN」だね~やはりブームが来るかも!!
王様から俺の船3
代りにこの無関税の権限がある内は此方に品物を持ち込んだ際に商品のどれでも
3品好きな物を献上するという事として合意した。
俺は既にこちらに来るに当たり1隻の船を所持し、此方にその船出来た。
最新式の船らしいが、どこら辺が最新式かは知らん!!
船の知識無いからそこら辺は専門家に全部お任せだ。
この権限を頂いたので、早速、追加で2隻建造し、運用予定だ。
「クランドよ、その船にお主の船と解る様な旗を着けておけ」
「旗ですか?」
「そうじゃ。その旗がある船は我が領の港なら何処でも関税無しで受け入れようぞ」
「有難き幸せ」
ということで、急遽、旗を考える事となった。
タイ捨流の九曜紋(少し大きな丸が中心に8個の小さな丸が真ん中の丸を取り囲むように並ぶ文様)で良いかどうか迷ったけど、シンプル過ぎるし、他にもこの家紋を使う家もあるので、新しく独創的な旗印を作る事となった。
俺の苗字は丸目だから、丸に目玉を書いてみた・・・何か円の真ん中に目玉ってリアルな目の目玉お〇じか、フ〇ーメ〇ソンの亜種の様な変な図案となったが・・・
そこに天狗の弟子と言う事で両サイドに翼を着けてみた。
独創的ではあるが・・・何かこんな妖怪いたかも?と思える様な不思議な図案が出来た。
1人ソファーに座り首を捻りつつその絵を眺めていると後ろから覗き込み里子が話し掛けて来た。
「父上!それは何ですか!!」
「お~里子~これは・・・旗印?じゃ・・・」
「何故に疑問なのです?それにしても・・・へ~ひょうげた旗印ですね」
「里子は気に入ったか?」
「はい!気に入りました!!」
決定!!
里子が気に入ったならば仕方ないよね~
しかし・・・キモ可愛い的な気に入りなのかな?
我が愛しき愛娘が独創的な感性の持ち主だと言う事を知れた。
意外と妻たちにもウケが良く、船のマストにもこの絵柄が描かれることとなり、海賊たちに「海の悪魔」「冥界の目」等と言って恐れられる印となる。
襲った海賊は悉く斬り伏せられたり捕まってしまう事から、特に海賊たちにはこの旗印を見たら逃げろとまで言われるように後々なって行くのだが、それはまた別の話。
★~~~~~~★
一方、日ノ本では
「父上たちは何時戻って来るのじゃ?」
「さあな、外つ国のそれも南蛮は遠いと聞くし、まだまだ数年は戻らぬと思うぞ」
「そうだよな・・・」
「利(利長:主人公と莉里の子)はそろそろ祝言をあげたいのか?」
「まぁ・・・」
異母兄弟の利はやっと意中の相手と恋仲となり、後は何時娶るかと言う話にまでなっている。
お相手はお香だ。
お香は姉上(里子)が行き倒れていた所を見つけ保護したという。
そして、源太の妹でもある。
「お香もいい年頃じゃし、早く夫婦になってお香を娶ってやりたいが・・・」
「父上たちに報告してか?」
そんな事を話していると、通りがかった弓ちゃん(藤林長門守の奥さん)が偶々聞こえたのであろうが、俺たちの話に加わって来た。
「あら、利様・羽様(羽長:主人公と美羽の子)、長様はそんなこと気にされませぬよ」
「そうかな?」
弓ちゃんは幼き頃より世話になり母の様な存在でもある。
それに長門守の奥方なので「弓殿」と言ったら何故か怒られ、「弓ちゃん」と呼ぶようにと言われた。
父上もそう呼ぶのでそれに従いそう呼んでいるし、「ちゃん」付けするには歳をくっ・・・殺気が・・・父上が女性の年齢を考えるのも危険と言っておったが・・・これか・・・考えるのはよそう・・・命は大事にじゃ。
まぁ昔から今も「弓ちゃん」と呼んでいる人物だ。
利が弓ちゃんの意見で何やら考え始めた様じゃ。
「利様はまぁ時間の問題として、羽様はどうなのです?」
「私か?」
「はい、確か羽柴様の御長女を許嫁としておられますよね?」
そう、羽柴殿の奥方の寧々殿より打診があり、最終的に俺の許嫁となった。
正直、親父殿の羽柴殿に似ていないことにホッとする。
「恵姫とは順調じゃ」
「あらあら、これはご馳走様です」
にんまり笑顔で弓ちゃんは微笑む。
揶揄っているのであろう。
しかし、己が顔が熱い・・・火照っているのであろう。
「羽!決めたぞ!!」
「何がじゃ?」
「俺はお香と夫婦になる!!」
何時も冷静で事を俯瞰している様な利が珍しく熱くそう叫んだ。
私もその熱に当てられたのであろう、恵姫に会いとうなった。
〇~~~~~~〇
主人公の欧州漫遊記はもう少し続きますので、ちょこちょこ日ノ本サイドの話も差しはさむこととなると思います。
さて、1584年には天正遣欧使節団がフェリペ2世に、1615年には支倉常長が伊達政宗の名代としてフェリペ3世に謁見しております。
日本とスペインの間には盛んな往来があったようで、衣食住を含む当時の日本の文化や世界観にもある程度影響を与え、南蛮文化というものが生れました。
キリシタン禁教の強化と鎖国体制によってこれらの関係は途絶したと一般的には云われております。
1868年の修好通商航海条約で日本とスペインは国交を回復したのですが、当時は関係が希薄だったようです。
南蛮貿易の切っ掛けと言われるのはあるポルトガル船船長が山川(鹿児島県指宿市)で人を殺めたことに悩む「ヤジロウ」と言う日本人と知り合い、どういう経緯かは知りませんが彼を載せてマカオへ向かい、インドのゴアで宣教活動をしていたフランシスコ・ザビエルに引き逢わせ殺人の罪を懺悔させたことで、ザビエルが日本を知り、ザビエルの来日の切っ掛けとなったと言われております。
そして、その事でザビエルは日本に布教をする為に先ず薩摩国の坊津(日本三津の一つ)に到着して、平戸、山口、豊後国に行き布教を始めました。
ちなみに、「ヤジロウ」は日本人初のキリスト教徒と言われております。
さて、南蛮貿易の港は平戸と豊後から始まり、九州の諸大名はポルトガルとの貿易を受け入れたと言われます。
単純に儲かりますからWinWinの関係で規模はどんどんと膨らみます。
直ぐにマカオ・日本間の定期航路が開設された様で、南蛮貿易はこの航路を中心に盛り上がったようです。
高価な品物とお金を乗せた船が行き交う事で海賊が出現します。
歴史好きの方には釈迦に説法かもしれませんね。
13世紀~16世紀位に活躍した海賊で、朝鮮半島・中国大陸の沿岸部や一部内陸、更に東アジア諸地域で活動した日本の海賊や私貿易・密貿易を行う貿易商人に対する中国・朝鮮側での蔑称なのですが、実際は日本人よりも朝鮮半島の海賊や中国人の海賊の方がこの倭寇を名乗り活躍していました。
倭寇と言う言葉が有名ですが、
さて、勿論の様に南蛮人の海賊も居ます。
海賊と言っても船乗りです。
貿易序に海賊行為と言う事もありますが、ポルトガル人には中国船に同乗する者も居た様で、中国人などに交じって海賊をやっていた者たちも居ました。
そう言う者たちを
同じ海賊ですから明軍の倭寇対策によってこのポルトガル人たちも討伐対象でした。
ポルトガル王室艦隊も密貿易や海賊の鎮圧に乗り出しております。
その時の司令官のリオネル・デ・ソーサという人物が明国からマカオの上陸を許可されたそうです。
やがてポルトガル人はマカオに居住をする者が現れ始めたので、地租(土地の租借料を払う)を条件として広州の海道副使からマカオの居住権を獲得したと云われたいます。
こうしてポルトガル領マカオを拠点に日本・中国・ポルトガルの三国の商品が取引が活性化します。
この話題は中々に面白いので次話でも続きを語りたいと思います。
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