第254話
あれから5年の月日が経過した。
その間俺は何をしていたか?と言うと、外国に行っていた。
そう、月日は5年前に遡る。
お猿さん(羽柴秀吉)たちの許を離れた後は京の屋敷に戻った。
少しのんびりしていると、朝廷から呼び出される事となった。
この時点では、勿論、何で呼び出しが来たのかは知らないけど、もう使わないかもなど思っていた一張羅を用意して参内。
天子様にご挨拶した後は直ぐに本題となった。
そして、ある依頼を受けざるを得なくなる。
その依頼とは世に言う天正東欧少年使節団の随行員として欧州に行き、多くの国に日ノ本の名を知らしめる朝廷の代表に選ばれたので行ってくれないかと言う打診と言う名の強制命令だ。
まぁ外国語使えることを知られているので「蔵人しかおらぬで頼む」と天子様直々に言われたからね、もう詰みも同然の状態だったよ。
竜様含めその場にいる公家たちは断るなよオーラが凄かったし、「だが断る!!」とか言える雰囲気は皆無と言えた。
そこで言うのが俺だろうと?いやいや、そこは空気読もうよ!!
流石に首チョンパは無いけど、朝廷権力を使う時躊躇うだろ。
と言う事で、お受けしたよ。
皆、ホッとした顔であったのは間違いないし、一部の者は凄く喜んで声掛けて来たから・・・俺が断ったら彼らにお鉢が回って来たのかもね~
それに伴い、官位をまた上げられてしまった・・・
従二位となった経緯としては、代表者の格を上げる為と言う名目だが、天皇の義理の娘の婿でもあるので元々それ位までは最低上げたいという目算だったようで、二位蔵人と言う訳の分からない官位が爆誕した。
これからは「二位蔵人」と呼ばれるようだ。
早速とばかりに言って来るお公家さんも居たから間違いない。
官位にそれ程のと言うより全く?の拘りが無いし、もう半分以上は上がろうが下がろうが諦めたけどな。
そんなこんなで俺はこの使節団の随行員として朝廷を代表して外務官?として欧州諸国を巡る事となった。
朝廷を代表してと言うなら通常はその使節団の代表じゃないの?と思うだろ。
しかし、この使節団の名称をよく見て欲しい!!
「天正東欧少年使節団」なのだ。
代表者として主席正使・伊東マンショと言う名の少年が務める。
俺はあくまでもそれに便乗する形だ。
さて、大本の事の
この時、カブなんちゃらと言う名のおっさん(フランシスコ・カブラル)が日本で色々やらかしていた。
会ったことあるだろ?名前位覚えとけだって?・・・いやいや、一度しか会ったことない人の名など早々覚えんぞ!!何年も前の話だぞ!お前も忘れるよね?・・・はい、そうですか・・・俺の脳みそでは無理だったんだよ!!逆切れちゃうわい!!それに、俺にとってどうでもいいおっさんだったしな、会った次の日には脳みそから
さて、そのカブのおっさん(フランシスコ・カブラル)はそのやらかしをヴァリニャーノさんに注意されたのであるが、反省どころか批判した。
何様と思うだろ?カブのおっさんは日本支部のトップと言う立場だったらしいから偉い人。
しかし、悪は滅びる!!
悪じゃないだろうと?まぁ良いじゃないか~
批判されたアレッサンドロさんの正体は実は正義のヒー、違うだろうって?
まぁ違うけどな。
話を戻そう。
お前がややこしくしているだけ?今日の天の声さんが何時も以上に手厳しい・・・
さて、本当に話を戻そう。
実は巡察師と言うのはカブのおっさんの役職を解任できるほどの立場であったので、即解任されたらしい。
阿保だなカブのおっさんは、立場的には知っているだろうに・・・監査の人に歯向かう不正木っ端管理職的な人だったようだ。
そして、如何いう
その使節団はキリスト教の布教がある程度上手く行っているエリアである九州の大名を中心に話が回り、大友宗麟・大村純忠・有馬晴信らのドン三人衆が名代として少年たちを派遣する事となった。
九州の大名たちがこの使節団を送り出すと聞き付けた京を拠点に活動していたオルガさん(グネッキ・ソルディ・オルガンティノ)はここで一つの案を考えて推薦と言う形で朝廷に奏上した。
そして、朝廷はその案を受けて俺を代表者として送り出す事となったそうだ。
歴史が動いた瞬間だな。
俺の知る前世での歴史でそんな事は起こらなかったので、何かの歴史的強制力でも働いた?知らんけど。
その打診後にオルガさんに文句言いに行ったのは言うまでも無いよ。
しかし、その際にオルガさんからは謝罪された。
悪気は無い感じだし、許したよ、勿論だろ?
帰り際に「ローマ法王が是非ともあなたにお会いしたいと申されまして・・・」と言っていた。
うん、ねじ込んだ理由がここら辺にありそうだけど、この時代の欧州に興味もあるし、この依頼を受けることでのメリットが大きかったので受ける事とした訳だからもうグタグタ言わない。
何故、ローマ法王が俺に興味を持ったかと言うのはトーレスさん(コスメ・デ・トーレス)が教えてくれた。
準備の為に一度帰郷した際、トーレスさんと話す機会があった、その時の会話で知れた。
「長さん、是非とも見聞を広げて来てください」
「あははははは~そうですね。折角行くので大いに見聞を広げて来ますよ」
「はい、是非に!!」
「そう言えば、俺にローマ法王様が会いたいと言っているとか何とかお聞きしたのですが?」
「え?・・・誰から聞きました?」
「オルガさんからですよ・・・」
何か俺に聞かれたら不味かったのか?とか思ったけど、特にそうではないようで、直ぐに答えてくれたよ。
「多くの者が長さんの功績を報告したことで、あちらではガブリエルの使徒等とも呼ばれているらしいですし、長さん自体が既に聖人認定を受けておりますから、それででは無いかと思いますよ」
「え?俺は天狗の弟子ですが?それに、聖人認定って・・・」
「天狗ガブリエルですね!」
そう言って今話している場所の後ろに見える謎の天狗の像?を見やるトーレスさん・・・
「天使では無く天狗ですよ?」
「はい、勿論、解ってます!!」
いや、絶対、解ってないと思う・・・まぁこの件はもう諦めよう。
「たしか、聖人認定されたと言うのは、以前にお話ししましたよね?」
「・・・」
聞いたような?聞いていないような?どうでもいいと思ったので、多分、聞き流してました・・・
ただ、重要な話はそこではない。
ローマ法王が俺に会いたい理由は、恐らく、珍獣を観たい的なあれであろう。
そうだよね~上野のパンダに市原のゾウ、平川のコアラに日本平のレッサーパンダ。
珍しい動物は観れるなら是非とも観ておきたいよね~
凄く気持ちは解る!!
しかし、珍獣として見られると思うと何だか気が重いわ~
ああ、これは過去の話ね~何かローマ法王からは大歓迎を受けたよ。
聖人認定って晴れ舞台らしくて、何か荘厳な式とか執り行われたけど、これが一つの目的だったようだ。
ローマ法王含めその多くの人は熱烈に歓迎してくれたよ。
でもね~歓迎する人間がいれば、その逆も居る。
何かね~その人たちからは「ペテン師」扱いされたりとかしたので「聖者とか要らんわ!!」ブチ切れて言ってやったけど、歓迎してくれた人たちの方が大慌てしてたね~・・・留意されたので現状維持で聖者認定者となった。
俺を批判する者どもはあまりにも粘着されてグチグチとグチグチと執拗に言うもんだから、俺っちぶちキレて色々やらかしたよ。
まぁ奥さん子供や一緒に来た仲間たちも一緒になってブチ切れて制御不能になったのは、多分、仕方ないこと。
え?何やったかって?・・・軽身功使って壁を駆け上がる?美羽の仙術使って一緒に飛んだり?目の前から消えて見せたり?向こうの因縁吹っ掛けて来た騎士たちをボコボコにしたり?・・・他にも色々やったけど、うん、何かね~俺は要らんと言ったのに「聖騎士」の称号も貰ったんだけど・・・使い道無いし、本当に要らんわ!!
大道芸人みたいなことをしたことで美羽たちも「聖女」「天女」と呼ばれる様な存在になったらしい。
特に人気が里子。
嫁たちと一緒に長女の里子もローマ法王によって列福宣言と言うものを受け、聖女等と呼ばれるようになった。
一応は莉里が
その娘である里子は「プリンセスリコ」とも呼ばれ、他にも「聖女リコ」「剣姫リコ」等と呼ばれる存在となり釣書が山の様に届く事となったが・・・俺がそんなもの認める訳ないだろ?綺麗に全てを灰にしてやったよ。
何か俺の一団は「東洋の使徒」「奇跡の一団」等と呼ばれるようになって一目置かれるようになった。
多分、この世界線の歴史に大きな爪跡を残したのは間違いないと思うぞ。
〇~~~~~~〇
海外に飛び出しました!!
さて、告知通りに大転換ですが、ここはまだ序の口です!!
何て言ってハードル上げる気はないので、ハードル低めにご覧ください!!
ただし、まだまだ色々と転換して行きます。
さて、この天正遣欧少年使節ですが、作中でも書いている通り、アレッサンドロ・ヴァリニャーノが立案し、キリシタン大名と言う名の宗教狂いである大友義鎮(ドン・フランシスコ)・大村純忠(ドン・バルトロメオ)・有馬晴信(ドン・プロタジオ)らドン三人衆の名代としてローマへ派遣された4名の少年を中心とした使節団でした。
大友宗麟の名代として伊東マンショ(主席正使)、大村純忠・有馬晴信の名代として2人の親族であった千々石ミゲル(正使)それから、中浦ジュリアン(副使)、原マルチノ(副使)と言う少年たちが中心の使節団で、ローマ教皇やスペイン・ポルトガル両王に日本宣教の援助を依頼することが第一目的で旅立ちました。
裏の目的として、日本人にヨーロッパのキリスト教世界を見聞させ、実体験させて、文化水準の違いなど等を知らしめ、少年達自ら語らせることにより、日本での布教優位にして行き役立てたいと言う事と、実物の日本人をヨーロッパの諸国に見せたいと言うものでした。
この使節団の影響で、当時の日本で最も権力がある人間が大友宗麟だと一時的に誤認させてしまったというミスリードがあったようです。
恐らくは使節団の首席正使であるマンショ君の存在が大きかったのでしょうし、朝廷が介入しなかったので勘違いしたのでしょう。
何と、織田信長よりも知られた存在になっていたというのだから驚きですね~
さて、作中で「聖女」と言うパワーワードが出ました。
キリスト教において「尊者」「福者」「聖者」と言うものがあります。
列聖省と呼ばれる聖人認定などする為に調査する機関があります。
その機関で英雄的、福音的な生き方をしたと見なされた者が「尊者」となります。
「福者」という敬称は「聖者」の一歩手前で、一つの奇跡を起こした者や殉教者や困難を乗り越え信仰を続けた者などに送られるようです。
「聖人」は「福者」となった上で、さらにもう一つの奇跡を起こした者や殉教者等に送られたようです。
教皇が公に聖人の列に加えると宣言することを列聖と言います。
列聖認定されると列聖式が執り行われますが、ローマの聖ペトロ大聖堂で盛大に執り行われるそうです。
「聖女」と言うのは書いて字の如く、「聖人」の女性版ですが、キリスト教で「聖女」と言えばキリストの産みの親でもある「聖母マリア」を思い浮かべるかもしれませんが、別枠の様な存在で、「聖女」よりも格上的な存在として「聖女」に含まれない様です。
「聖女」として有名なのはマザー・テレサとかジャンヌ・ダルクとかでしょうか?
まだまだ海外での話続きます!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます