第248話
あ~・・・何故か竜様(近衛前久)と一緒に惟任殿(明智光秀)にご対面しております。
竜様は俺の話を聞くやいなや、参内されて朝廷内で何か話された結果、惟任殿に二箇条の申し送りをすることとなったようだ。
俺は護衛依頼で竜様に付き従い金魚の糞状態、俺は無言で竜様の少し後ろに控えて無になっております。
さて、問題の「
一つ、京の都で戦を行わない
二つ、京の都を放棄した場合、元正二位右大臣の地位にあった者を弑逆した罪として朝敵と致す
と言うものだ。
う~ん・・・俺の単細胞な頭脳でも解るよ・・・前に出て戦えってことね。
これって、多分、朝廷が次の権力者になると踏んだお猿さん(羽柴秀吉)へのなんちゃって援護だよね~
藤林の諜報からは惟任殿たちは京を放棄して坂本で迎え撃つ予定にしていた模様。
自分の有利な場所で戦に臨むのはセオリーだよね~しかし、それを朝廷がシャットアウトした形だな。
朝廷はお猿さんに貸しを作るつもりで何となくふんわりとした仕掛けをしたのだろうし、惟任殿が朝廷に従うかと言う事を見る為に命令したのだろう。
そういった思惑で値踏みする意味でもこの条件を付けたのかもねと俺のブレーン(長門守・豊さん、等)たちが言う。
まぁ俺も何となく、そう、本当に何となくだけどそう思う。
え?話に乗っかっているだけで解っていないだろうと?・・・いや、俺の勘が囁いている!!
野生児の勘は侮れないと?わははははは~そうだろう!そうだろう!!
調子に乗るなと?はい、すみません・・・
さて、坂本とは近江国滋賀郡坂本(滋賀県大津市下阪本)の事で、ここは惟任殿が治める土地で、坂本城と言う居城がある。
琵琶湖に面する平城で俺の前世では廃城した城で痕跡があまり残っていない城で謎多き城と云われていた。
まぁ負けた人間でそれも謀反人の城、縁起悪いと言う事で徹底的に壊すよね~
現状では、勿論、健在で、惟任殿のホームグラウンド。
そこで待ち構えて敵を迎え撃つ予定だったんだけど・・・予定が狂ったようだ。
TV番組かなんかでの聞きかじりだが、そもそも惟任殿が戦った場所って言うのは何故か不利な場所で、大返しして来てあまり準備できなかったお猿さんにとってはラッキーだったと聞いたことがある。
何故に頭脳明晰な惟任殿がそんなミスを犯すんだろうか?と疑問だったけど・・・これか・・・
確かに説明していた司会者か専門家だかが朝廷が惟任殿に注文付けたとか何とか言ってたような?・・・まさにこれなのか?
「近衛様!!どういう事で御座いましょう?」
「どういう事とは何でおじゃる?」
あ~竜様が俺を連れて来たのはやはりボディーガードとしてか?・・・
生死掛かっているから惟任殿たちも必死、一つ目は飲めても二つ目はね・・・
「一つ目は解りますが、二つ目の事は
「そうでおじゃるか?」
「我らは坂本にて迎え撃つ算段で御座った」
「さよか」
どうでもいいと言う様な態度で竜様は言い返す。
まぁこれが交渉なのだろうね~上から目線でのご命令。
立場も上だけど、重要なのはそれ以上に朝廷の命令に従うか。
そして、朝廷の命令を惟任殿が否定すれば、この後に朝敵認定でもする算段なのかな?
「惟任よ」
「何で御座りましょうか?」
「織田殿がお主に攻められた際は場所が選べたのでおじゃるか?」
「それとこれとは話が違いまする!!」
まぁそうだよね~話のすり替え。
でも、朝廷としては謀反起こす様な人物が上に立つのを望んでいないのかもね。
言外に「お前も選べるとは思うなよ」とでも言いたいのかも?
それに、竜様は次の天下人をお猿さんと見定めている様な予感がする。
俺の言動から何か探られた?・・・よう解らん・・・
「話が違う?まぁ確かにそうでおじゃるな」
「・・・」
「しかしな、朝廷としては謀反を起こしたお主が朝廷を見捨てて逃げると言う事となると織田殿の様に、何時、寝首を掻かれるか不安でおじゃるでな」
「それは・・・しかし、私めは朝廷に牙を剥く事など
「さよか・・・しかしの~皆が皆、お主が何時織田殿の時の様に事を起こすかとびくついておじゃる」
まぁ裏切り者は何度も裏切ると思われるよね~
竜様の場合はその一般常識を逆手に取って、今、交渉中。
相手の怒りでどう行動するかも見定めポイント?
でもね・・・相手が逆上した際のストッパーが俺・・・おい!竜様、俺は体の良い武力装置ではないぞ!!
「京を守りながら戦えと言う事ですか?」
竜様は扇をばさりと開き口を隠し「おほほほほほ~」と笑い、惟任殿をねめ付け言う。
「お主が謀反を行った事実は変わらぬでおじゃるが、京の都を、朝廷を、主上を守る意志あらば、この条件を飲み、織田殿への謀反は朝廷の為に行ったという態度を見せるのは悪い事ではおじゃらぬと思うがな~惟任は如何思うでおじゃる?」
「・・・お言い付けに・・・従い・・・まする・・・」
「おほほほほほ~惟任よう言った!!天晴じゃ!!」
まぁここまで朝廷の実力者に言われ従わないとか、無いわな~
こじつけではあるけど、話の筋は大体通っている?まぁ俺の知ったことではないな。
南無南無、ジーザス、ア~メン、ア~ミン、オームにスンバヤ~ン。
惟任殿の無念を晴らせるよう俺も心の中で何となく祈っておこう・・・まぁ惟任殿の自業自得だけどな。
「長よ」
「はっ!」
「話は済んだでおじゃる。お暇しようでおじゃる」
俺は竜様に従い立ち上がり、「惟任殿、お達者で」と挨拶して帰った。
苦々しい顔で竜様を睨み付けるが、何か手出しして来ることはなかった。
帰途中に竜様に一言だけ言っておこう。
「竜様・・・」
「長よご苦労でおじゃったな」
「いや、いや、ご苦労でおじゃったでは無いですよ!!殺されなかって事にホッとしましたよ」
「おほほほほほ~長なら危害を加えられても大丈夫でおじゃろう?」
「まぁ某だけなら・・・」
「それでよいのでおじゃる」
どうやら竜様にとっては自分が斬られてもそれはそれで良く、その現場を同行者の俺が見て朝廷に報告するのも手段の一つだったようだ・・・朝廷、いや、お公家さんはやっぱ怖えよ・・・侮れないのは知っていたけど、交渉事でここまで命張るとか・・・
まぁ今回は何も無く帰っているので考えないようにしよう・・・
竜様は「主上に報告して参るでおじゃる」と言われ内裏に向かわれたよ。
先に見える内裏が、今は伏魔殿の様に見えたけど・・・俺は落ち着く為にも自宅に戻り、茶でも飲もうか。
〇~~~~~~〇
朝廷も暗躍し始めたようです。
さて、事実、惟任日向守(明智光秀)に朝廷は「京での戦はしないように」と言ったと言われます。
これから始まるであろう山崎の戦ですが、中国大返しして来た秀吉たちの方は兵が疲弊していて不利だったとも言われます。
実際、山崎で戦うのは光秀にとってあまり有利な場所でなかった為、疑問に思う歴史家も居ると云われています。
光秀のホームの坂本に退くか、山崎よりも別の場所で戦をした方が良かったとよく云われます。
何と、朝廷が戦の場所すら指定した等とも言われます・・・
事実はよく解っていないのであくまでも都市伝説の類の様な話ではありますが・・・
さてさて、そんな山崎の戦ですが、前話で「この山崎の戦は古来、天王山の戦いと呼ばれました。」と言いましたが、何故、天王山の戦いとも言うかと言うと、山崎古戦場跡と呼ばれるこの戦いの場所があります。
この主戦場の中心地から南西約3~4kmの位置に両軍ともに重要ポイントと定めた場所がありました。
実はここが天王山と言う山で、秀吉が上手くこの場所を抑え勝利したと云われています。
まぁこれは秀吉側の喧伝で、実際は天王山を抑える事が勝敗のポイントではなかったようですが・・・
さて、ではどうして明智光秀が負けて坂本城に逃げ帰る羽目になったのか・・・
是非とも続きでご覧頂きたい!!
あ~勿論、史実と少し違う形になるかも?しれませんが・・・大体は史実通り!!
次回、光秀側の話となります。
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