第245話

選抜を勝ち抜いた舞姫たちの踊りはどの娘もレベルが高かった。

今回の予選?を勝ち抜き残った10名はどの娘も実力伯仲で、愛くるしくも美しいと言える美少女集団だ。

まぁ花形の看板舞手の選抜なのでさもありなんだな。

美羽も「凄い」「綺麗」と選抜の様子を楽しそうに観覧している。

千代も「ほほ~やるな~」など言っている。

二人ともそれぞれに楽しんでいる様なので今回は丹波守(百地正西)に依頼された看板花形舞手の審査に集中しよう!!

・・・うん・・・どの娘もレベルが高過ぎて甲乙付け難し・・・

まぁそれだけ鍛錬を皆が皆積んでいると言う証拠だね。

これに優劣を付ける・・・

饗応役として俺たちの横に付いている丹波守に色々質問した。


「なぁ丹波守」

「何で御座りましょう」

「ここで選ばれなかった舞手たちはどうなる?」

「そうですな~別の職に就くことになったり、予備としての舞手をしたりなど等と色々に御座いまする」

「左様か・・・」


う~ん・・・予備になる娘はまぁいい。

舞手として生き残れると言い方は悪いが、己の目指したものに従事出来るのだから。

しかし、他の職か・・・身に着けた舞手としての技量が活かせる職ならばまだ良い方で、全く違う職に就く者も居るそうだ。

弱肉強食は何時の時代も人を駆り立て、生き残りを賭けて足掻く姿、必至だからこそ輝くのだ。

だが、・・・それが活かせなくなる娘も・・・


「折角磨いた舞手としての技を使えず、宝の持ち腐れさせるには惜しいな」

「いえ、身に着けた技は必ずや役立ちまする」

「うん、それは知っているし、解っている。しかしな・・・」


舞手の娘たちの必死さを見れば、どうしても今回のチャンスを活かして十二支の座の看板舞手となりたいのであろうと言うのが解る。

だって、前世の時代ではTVでアイドル育成番組などが人気を博したこともあった。

そんな番組を何度か観たけど、アイドルを目指す娘たちの意志の強さや自分の夢を叶えようと必死に挑む姿に見入ったものだ。

今、看板舞手を目指すこの娘たちもアイドルの卵たちと同様に必死に自分の可能性を信じ鎬を削り合う姿はキラキラと光っていた。


「あの娘たちが磨いた舞手の技を活かせる幅を広げる何かを考えておこう・・・」

「はっ!!あの娘たちやそれに続く者どもの励みになりましょう」


おう、そんなキラキラお目目で見られると、言った手前ハードルを自分で上げたことに一瞬たじろいでしまいそうだよ。

まぁ、俺は秋〇康でもつ〇くでもないが、考えてみよう。

俺一人で考えるのではなく他の皆にも良い考えがないか聞いてみることも必要だろうな。

里では俺の歓迎の宴に続き、この舞手選抜の宴と宴続きで大盛り上がりだった。

一夜の宿を求めただけなのに気が付けば3日滞在していた。

3日間連続の宴は祭り規模だったけど、世間は、今、惟任謀反で大騒ぎである。

まだお猿さん(羽柴秀吉)の中国大返しは巷では知られていないようではあるが、お猿さんたちの依頼で信長さんたちが生きていると言う噂も諜報員たちがそれとなくばら撒いているので色んな意味で巷は騒然となっているのに俺たちは暢気に祭り規模の宴を開いていた。

そんな最中、無事に宴は終焉となり、伊賀の皆に惜しまれつつも三河に旅立つ事とした。

三河にに意外と早く到着した。

送って行くと聞かない丹波守たちの懇願を断り切れず、伊勢まで送ってもらい、伊勢湾から三河を目指し船で三河に上陸した。

まぁ好意を無下に出来なかったし、空飛んで行くのも必要無いと思って応じた形だ。

俺の現在やれることは終わったと思っている。

山崎の戦だったか?お猿さんと惟任殿の進退を賭けた大戦おおいくさは手出し無用だろう。

あ!三日天下とか言われるけど、実際は三日ではなく十数日間の天下だったというから、上手く行けば山崎の戦の観戦は出来るかもね。

何にしても、家さんの安否確認後だね。

三河に到着後はまた徳川家の方々から大歓迎され、歓待を受ける。

気が付けばまた宴会に突入だ。


「家さん(徳川家康)、無事に到着していると思っていましたが顔を見たら安心しましたよ」

「はい、長さんが長門守殿方をお貸し頂けたことで大変快適な旅を満喫できました。追手を向けられている者とは思えない程に何の困難も無く伊賀に潜伏出来ましたし。三河まで何の滞りも無く戻れましたよ。ほれ、この通りです」

「それは良かった」


お道化たような態度をしつつも感謝の気持ちがひしひしと伝わって来る。

家さんと色々話したが、今回の一連の件は織田家内の問題として不干渉を貫くこととしたようだ。

まぁ歴史通りと言う所だろう。

集合場所をこことしているので、豊さん(式田豊長:元武田信豊)たちを待つだけだ。

2~3日の内にこちらに来るだろうと皆が予想している。

豊さんたちのグループは今は亡き武田家の裏切り者である穴山梅雪に張り付いて策を巡らせるとの報告を受けたと聞き及んでいる。

本当になんか俺の周り優秀な者が多いよね。

まぁ歴史に名を残す勇将智将に三大上忍、等々を味方に引き入れられたからだけどね。

お!ある意味これも知識チートだね。

優秀な人材を先手必勝で味方に引き込んだ俺の先見の明がキラリと光る。

え?偶々だろうと?・・・いや、先見の明です!!

偶然の産物を先見とか言って語るなと?結果オーライこそが歴史だよ!!

言ったもん勝ちと言う事で、結果が出てるので誇っておこう!!

それから数日後に豊さんがやって来た。


「豊さん、お仕事ご苦労様だったね~」

「いえ、宿願の一つが片付きました」

「そう?」

「はい、四郎様(武田勝頼)への手向けが出来ました」


まぁ元主君へ裏切り者を送ったって感じなんだろうね~

敵討ち的な感じ?

まぁ聞いていたので驚きはない。


「良かったですね」

「はい、これで何の憂いも無く長さんにお仕えできますよ」


爽やか~

俺はニッコリと心から笑顔の豊さんに笑顔で答える。

凄い爽やかで心からの笑顔なのに背中はヒュッとする・・・


「そうですか・・・お手柔らかに・・・」


〇~~~~~~〇


三河にて合流!!

さて、この時期の状況を確認しておきましょう。

主な勢力として羽柴秀吉はマラソン中。

惟任日向守(明智光秀)は京を中心に織田家の中心地の掌握中。

柴田勝家は上杉と対峙中なんですけど・・・主人公介入で上杉と織田は同盟関係なので歴史的には変わっています。

滝川一益は北条と対峙していて、 上野にご滞在中。

織田信孝、丹羽長秀が堺で四国征伐軍編成中。

有力な勢力はこういった位置に居ました。

本来は明智軍と最初にぶつかる可能性が高いと思われた勢力は織田信孝・丹羽長秀と思われるのですが・・・

では何故そうならなかったのか?

意外や意外、中心地に近かった事で機を逃しました。

逃した理由として、織田信孝・丹羽長秀は、丁度、徳川家康の接待の為に一時軍を離れており、その間に本能寺の変が起こります。

噂を伝え聞いた雑兵の多くは逃亡したと云われております。

そんな最中、光秀は安土・近江方面の平定を優先、大坂・摂津方面は後回しにしたことで織田信孝・丹羽長秀は難を逃れましたが機も失いました。

2人は光秀に内通の疑いがあった光秀の女婿・津田信澄を自刃に追い込むなどして体勢を立て直して居たようですが、これが本当に仇となります。

光秀の女婿であるとしても、津田信澄自体が謀反をした訳ではありません。

謀反に加担した証拠も無いのに自刃にまで追い込んだことで周辺勢力からは警戒され、味方に取り込みが難しくなり、中国大返しと言う奇跡を成し遂げた秀吉が周辺の有力者たちを取り込ませる結果となりました。

特に中川清秀・高山右近を始めとする摂津衆の多くが羽柴軍に味方したことで大勢力となります。

織田信孝・丹羽長秀は秀吉よりも小勢力となった為に逆に取り込まれるような形で合流し羽柴軍に取り込まれたようです。

この段階ですら光秀は柴田勝家への備えを最優先していたようです。

この時の動きが実に面白いと思えるのが、光秀の有力組下大名でに縁戚であった細川藤孝・忠興父子。

特に細川藤孝は光秀が加勢を再三の呼びかけしたにも関わらず、応じずに「喪に服す」として剃髪し幽斎ゆうさい玄旨げんしと号します。

そして、田辺城に隠居、息子の忠興に家督を譲って中立の構えを見せて光秀に味方しなかったようです。

裏切り者の代名詞のようによく言われる惟任日向守(明智光秀)ですが、裏切りと言うか情勢を見て勝つ方に着く事が非常に上手く、裏切り行為に近いはずなのに裏切りに見えないように卓越した動きを見せた人物こそが細川藤孝こと細川幽斎です。

この時は秀吉が軍勢を大返しして来ると味方しています。

この動きは非常に大きかった様で、光秀に味方する者は殆ど居なかったようです。

足利義昭を見限り、惟任日向守(明智光秀)を見捨て・・・細川幽斎はやり手ですが、中々に闇が深そうにも思いますね~

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