第225話

体調不良と季節外れの繁忙期でリアルが忙しくUPが中々出来ませんでしたが、今月は目標週2話でUP予定です。


◇~~~~~~◇


藤林の諜報網に武田の歩き巫女が引っ掛かった。

と言うより、武田の歩き巫女自体が既に藤林の下請け業者となり下がっている。

武田もさ~情報収集に金ケチるからそうなるんだよ。

知らぬは武田ばかりかな。

さて、武田家は存亡の危機的な状況となっているようだ。

穴山梅雪は既に徳川・織田の調略にかかっている。

元々が織田家と敵対することを反対していた急先鋒な上、現当主の武田勝頼の側近たちと仲が悪いと来た。

更に、勝頼の娘を嫡男の穴山勝千代君に嫁がせることにしていたらしいんだけど、豊さん(武田信豊)の息子さんに変更を画策していると言う。

お銀の調べでは勝頼の側近以外にもこの件は武田四天王の一人である春日虎綱(高坂昌信)も裏で画策していると言う。

一門衆なのに信用無いよね~長篠の戦で消極的だったらしいし仕方ないのか?知らんけど。

穴山梅雪の立場で言えばここまでコケにされたら絶対裏切るよね~

まぁ俺は歴史を知るのでお銀にそれとなくそのことを知らせているんだけどね。

俺の知る歴史では京での御馬揃えの後は甲斐征伐が行われることとなる。

既に織田と同盟関係の徳川が動いており武田と交戦状態なので時間はあまりない。

次郎さん(武田信繁)を救えなかったことは未だに残念に思っているので出来ればその息子の豊さん(武田信豊)は救いたいと思っている。

俺の知っている歴史では武田一門は悉く首を晒す事となる。

裏切って首を繋ぐか首を晒すかの二択だったのかもね。

裏切らなかった豊さんも確か味方の裏切りで自害することとなったはずだ。

俺自信が今の段階で動くと色々な所が警戒し俺たちの立てている計画が狂うだろうからお銀を甲斐に派遣した以外は今の所は動いていない。

サポートとして幻術士の二人(果心・鳶加藤)を派遣している。

そして、武田が負けた段階で現地に俺は向う予定としている。

ただ不安要因として上杉謙信が未だ健在で御館の乱は無かったこと等々や俺の関与で少し変化したものがどの様な影響を齎すかだな。


「蔵人様、徳川様が武田より高天神城を奪ったとの知らせが届きました」

「そうか・・・では長門守、行って来る」

「お気をつけて」


長門守に後は任せ、美羽・千代(妖狐)と空を舞った。


★~~~~~~★


時は少し戻る。


「藤林お銀と申します」

「武田典厩だ、してどの様なご用向きかな?」


藤林お銀を名乗る見目好い女と相対する。

この者は長さんの配下の者であるようだ。

丸目三位殿が率いる忍びの一団は凄腕で北条や徳川も一目置くと聞く。


「主、丸目蔵人よりの指示にて伺いました」

「丸目三位殿の・・・」

「はい、時間は余り御座いませんので簡潔に申し上げます」


そして、お銀が話す内容は何となく理解は出来るし最悪の事態として想定しておったが、神仏の声を聴くと言う長さんの言葉として語られるそれは予言と思う程の言葉に感じ武田家に先が無い事を如実に表していた。


「そうか・・・私も自害するのか・・・」

「はい、今のままではそうなります」

「今のままでは?」

「主、蔵人様は典厩様を御救いしたいと仰せで御座います」

「長さんが・・・」

「はい、蔵人様は「次郎さんを救えなかったのでせめて息子の豊さんは救いたい」と仰せです」

「・・・」


その言葉を聞いてもまだ覚悟は決まらぬが・・・

しかし、武田家を残そうと奔走していたことが水泡に帰す事だけは今理解した。

今、私が下手に動けば味方より後ろから刺される事もあるだろう。

現在の武田家は危機的状況だ。

現当主の四郎様(武田勝頼)の派閥と反対派の者たちで真っ二つに割れておりとても統制が取れていると言える状況ではない。

分が悪いのは火を見るより明らかで、誰が裏切っても不思議に思わぬ。

現に梅雪殿は裏切っているのではないかと思える・・・勿論、証拠がある訳ではないが、状況から考えると裏切るのが道理とも思える。

だが、武田一門の者が武田家の当主を裏切る・・・決してあって話らぬ事だ。


「して、長さん、いや、丸目四位殿は」

「呼び方は改めなくても大丈夫で御座います。蔵人様は気にされませんから」


そう言ってニッコリと微笑むお銀。

忍びの者とは思えぬ影の少ない女だと思えた。

それだけ長さんが良い主なのであろう。


「では、長さんは他に何と?」

「はい、「九州に移住する気はあるか?」と申されておりました」

「ははははは~甲斐を失うのにそんな事は気にしないと言うのに・・・是非も無し!!」

「それはようございました。断られた場合の他の案は御座いませんでしたので」


そう言ってお道化るお銀。

会談は良好に終わった。

その後、木曾きそ(木曾義昌)が織田家と内通し武田家を裏切りその討伐へと赴く事となった。

それが引き金だったのかもしれない。

あっという間に武田家は滅んだ。

逐一藤林の者が知らせてくれたので経緯は解っているが夢の様にも感じる自分自身が居る。

四郎様(武田勝頼)も織田家に追い詰められ自害したと聞く。

事前に分かっていたこととは言えその事を伝えなかったことは裏切りではなかったのか?と自問自答してしまう。

しかし、行ったとしても信じては・・・


浄喜じょうき殿(下曾根浄喜)が裏切らりました!!」

「左様か・・・」

「父上!何故そんなに落ち着いておいでですか!!」


計画は密に、敵を欺く為に長さんとの事は味方にも伏せていた。

「味方の裏切りで自害」と聞いていたので誰が裏切るかと思うておったが、まさか一門衆の者が裏切るとはな・・・

いや、供の者たちから裏切りが無かったことを行幸と思おう。


「これより我らは自害した事とするぞ」

「そ、それはどういう事で?」


集まった皆に計画を話す。

しかし、多勢に無勢だ、既に取り囲まれているが、不思議なことに敵が攻めては来ぬ。

その後は、現在、我らの居る信濃小諸ころも城の二の丸にて待つこと暫し、待ち人が現れた。


「やあ、豊さん久しぶり!元気してる~?」

「長さん・・・今にも死にそうです」


そして、自身と嫁・息子・母と供周りの家臣二十名程と共に長さんに救われた。


〇~~~~~~〇


武田信豊を味方に引き入れました!!

まだまだ続きます。

さて、今回のストーリーの重要人物、穴山信君(梅雪)は後々登場。

作中では出番の無かった武田勝頼ですが、この人物の評価と言うのは実に面白いです。

「愚将」とも言われますが、武田家で「最も強い武将」とも言われる人物です。

戦国最強武将と言われた上杉謙信に最も似ていた武将とも言われます。

武田勝頼のターニングポイントは武田の家督相続をしたことだと言われています。

武田家の家督は本来、兄の義信が継ぐ予定でしたが、信玄にクーデターを仕掛け失敗した義信が失脚したことで嫡男となりましたが、勝頼は元々が他家の人間と言う扱いでした。

父親は勿論、武田信玄なのですが、嫡男になるまでは諏訪勝頼と名乗っていました。

諏訪家を継ぐ予定だったので甲斐武田家の子供に与えられる「信」の字を与えられませんでした。

そして、家督相続も信玄急死の為、なあなあとなり求心力が弱いままに当主となってしまいました。

さて、勝頼が武田家で「最も強い武将」と言われたのは武将としての評価で、大名としては運が無かったようです。

しかし、上杉謙信は勝頼を「片手間であしらえるような相手ではない」と評価しておりますし、徳川家康も勝頼が自分の居城である新府しんぷ城を去る際の行動を見て「中世人の常識を超えた行動」と評し高く評価したと言われています。

信玄を恐れていたと言われる織田信長も当初は軽視していましたが、東美濃侵攻を通じてその武勇を高く評価するに至ったと言われます。

多少の政治的な失策があったとはいえ「愚将」と言えない人物だと思いますが、「愚将」と言う声もあります。

家を潰えさせたことがそういう評価になるんでしょうね~

戦国武将は家を繋いで何ぼですからね!!

さて、次回は主人公たちが甲斐に到着後の動きを語る事となります!!

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