第222話

こつこつと困った人々を助ける様に藤林の者に頼んで人材を確保していたが、まさか異能の者をこんなに多く見つけることが出来るとは思わなかった。

その一つの成果が牛痘ワクチンを見つける顕微鏡を使う技術者?となる。

人間には特殊能力者と言う者が偶に居ることを知ったよ。

今回、どんな異能の者が力を発揮したかと言うと、目が途方もなく良い者。

これだけであるならある程度の人数居た。

アフリカの原住民が何キロも先に居る獲物を見つけると言うが、そう言った遠くを見る者も居れば、小さい物を見る者も居る。

そう言う能力に特化した者に顕微鏡を使いウイルスを見つけて貰ったり、比較して貰ったりをして得た成果である。

前世のTVか何かで米粒に文字を書く者見たけど、そう言った人々がもしかするとそういった小さい物を見る能力者なのかもしれないな。

その者たちに顕微鏡を使いウイルスを発見して貰った訳だが、通常の者には、勿論、顕微鏡を使ったからと言って見えるようなものではなかったが、この者たちが顕微鏡を使うとミクロの世界を覗く住人となる。

この目が良い者の利用法は他にもありそうではあるな。

他にもサーモグラフィーの様な目を持つ者、鼻が異様に効くことで薬効を嗅ぎ分けられるようになった者や病気を見つける程の臭覚を見せる者、聴覚が優れており心音などを聞き分けられる者、一度見た物は記憶できる者、等々の多くの異能を持つ人材が関わることで曲直瀬玄朔先生を中心とした研究チームは一丸となって偉業とも呼べるような成果を上げた。

聞くところによれば、朝廷にその成果を奏上したそうだ。

何か大発見があれば俺の名前を出して竜様(近衛前久)に頼んだりすればいいと言っておいたけど、竜様に報告してすぐに天子様に奏上された模様。

この功績をもって曲直瀬玄朔先生は天子様の典医にと推挙されたが、もっと研究を進めたいと言う事で辞退したそうだ。

ただ御断りすると語弊があるから、功績の多くを俺に付け替える様に渡したと聞く。

それが原因の一つで三位に爵位が上がったようだ・・・

全国的に流行っている天然痘で死ぬ者はこれにより大幅に減ったのかもしれない。

しかし、革新的に新しい物を取り入れることに抵抗ある者は多いし、今回の疫病では何処までが有効かは未知数である。

少なくても俺の親類縁者は天然痘にやられることはないだろうけどね。


「お~これはこれはよく来られました」

「お久しぶりです。玄朔先生」


京に行った序に玄朔先生の研究所を訪ねた。

研究者と言うのは研究を精力的に行うと若返るのかな?

以前会った時よりも若返っている様に見える程に活き活きとしている。


「いや~丸目三位様の派遣してくださった若者たちは実に良い!」

「そう言って頂けるなら彼らも喜びます」


関係は良好なようで安心した。

さて、京の屋敷に戻る事とした。

屋敷に戻ると竜様(近衛前久)が居た。


「長よ、お帰りでおじゃる」

「竜様・・・我が家の様に過ごされておりますね」

「ここは第二の我が家の様なものでおじゃるぞ」

「左様ですか・・・」


俺が留守中には竜様と信長がかわりばんこに借りているそうだ。

留守中の維持管理して貰えば問題ないかと思ったのだが、家賃としてそれなりの金額を払ってくれる。

竜様は・・・まぁ、身内だし、格安で貸している感じらしい。


「本願寺と織田殿の調停を行ったそうですね」

「何じゃ、知っておったでおじゃるか」

「それで、何で調停を?」

「織田殿が天下統一後は近衛家に一国渡すと言って来たでおじゃる」

「ほ~その報酬に目が眩んだ訳ではないでしょ?」

「おほほほほほ~それはおまけでおじゃる。何時までも戦乱なのはの~・・・飽きたのじゃ」

「まぁ生れた時から戦国の世ですしね~」


竜様は次の時代を夢見ての行動なのであろう。

信長の天下統一を夢見ているのだろうけど、夢は破れることを俺は知っている。

その時、竜様はどう思うのか・・・


★~~~~~~★


「貴方たち騙しましたね!!」

「うへへへへへ~騙される方が悪いんだよ」


長様と今日は別行動で私が京の町を散策をしていると一人の女性が数人の小悪党のような男どもに絡まれている?

いや・・・何方かと言えば絡んでいる?


「あのな~奥さんよ、あんたの旦那がいい馬だって言って買ったんだろ?」

「しかし、あの馬の値段としては法外です!!」

「はぁ~?言い値で買うって言ったのはあんたの旦那だよ~」

「そ、それは・・・しかし」

「しかしも案山子も無いんだよ!返品なんぞ受付ませんぜ~」


何を揉めているのか・・・ついつい聞き耳を立てていると、小悪党が下卑た顔でとんでもない事を言い始めた。


「げへへへへへ~奥さんが俺たちの相手をしてくれるなら返品を考えてやらんことも」

「本当ですか?本当に考えてくれるんですか?」


あ~この流れは良くない。

この女性も何をそんなに切羽詰まっているのか、余裕が無いから周りが見えていないようだ。

仕方ない、助け舟を出すか。

私はその者たちの間に入ることとした。


「相手は私がしてあげようか?」

「ん?何だお前は・・・お!いい女だな~」

「そこの人の代わりに私が相手してあげるわよ」


そして、私はその男たちの相手野試合をしてあげた。


「畜生覚えてやがれ!!」

「あ~覚えるの面倒だから私に用があるなら丸目邸に来なさい」

「へっ?・・・お前、いえ、貴方様は?」

「私は丸目蔵人が奥、美羽よ」

「!!いえ!覚えなくて結構です!!」

「そう?じゃあ、この女性から巻き上げた金銭を返しなさい」


そして、購入資金の殆どを返させた。

馬を買ったと言うが、何故騙されたのか不思議なくらいみすぼらしい馬であった。


「あの・・・お礼を」

「あ~そう言うの良いから」

「でも・・・」

「見ていて気持ちの良い物でなかったから介入しただけ」


そう言って私はその場を去った。


〇~~~~~~〇


前話の続きの話でした。

原始的な顕微鏡でどうやってウイルスを見つけるかを考えると、散々神様の出て来る物語なのでやはりここは「神の力」を・・・とか考える思うのですが、こういった歴史的な功績の様な物などに神の力を借りてと言うのも何だかな~と思い、「人の力」で何とかできる方法はないかな?と考えた時、ギフテッドと言う物の存在を思い出しました。

通常は平均より著しく高い知的能力を指す用語なのですが、神または天から与えられた「天賦の資質」を指す用語としても使われます。

そして、同じように人より際立ってすぐれた才能を持つ者を「異能」と呼びました。

ゲームや物語などでは属性は光・炎・雷・水・影・氷・土・風・生命・精神の10種類がある等と言われています。

しかし、ゲームや物語ではなく、本物の異能者と言うのは現実世界に本当に居るようです。

目に見えないものが見える霊視と言うのもある種の異能なのかもしれませんが、実は目が良い者と言うのも異能と言われます。

現実世界、スポーツ界では空間認識能力が高い者などが活躍することは多々ありますが、この能力も人より際立って優れていれば「異能」となり、イーグルアイ等とも呼ばれます。

さて、作中で出てきた能力の中ではサーモグラフィーの様に見えると言う方と以前に私はお会いしたことありますが、体の表面温度を赤~青色で見えて、異常がある部分は黒く見えるそうです。

実に面白いですね。

さて、この異能者たちはによって保護され集められました。

さてさて、どうなって行くかもお楽しみ頂けると幸いです。

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