第221話
今回の御馬揃えの見物は家族全員で行こうかと思っていたが、莉里が第二子を孕んだ。
莉里の子である利も残ると言ったので切原野に残る事となった。
と言う事で今回は二人がお留守番である。
俺、美羽・春麗と子供たち、長門守に藤林の者たち、果心・鳶も幻術士コンビ、
焔は相変らず無口ではあるが、勉強したり、剣術したりは結構好きなようだ。
そして、剣術をしていると自然と笑顔になるので、もしかすると結構好きなのかもしれない。
好きこそ物の上手なれとも言うし、意外と手練れになるかもね。
「焔、剣術は面白いか?」
コクコクと頷く焔。
う~む、やはり無口。
現在、体力を鍛える事と木刀を振る事位しかしていないのに嬉々として楽しんでいるようだ。
うん、中々努力家で優秀優秀。
まぁもう少し時が過ぎれば話すようにもなるかもしれないね。
さて、
奴隷として航海などをしてきた関係上、体力が大分落ちているのでそちらも鍛え直し中だ。
しかし、彼女は実に面白い。
バスターソードを奴隷商から仕入れた。
持たせようとしたのであるが、俺の剣術を学びたいそうだ。
基本となる新陰流の剣術を先ずは教える予定だ。
(※日本語をまだ覚えていない為、この会話はポルトガル語の会話です。)
「マスター!!素晴らしい理論の剣技ですな!!」
「そうだろう!そうだろう!!俺の師匠の編み出した剣技は素晴らしいのだ!!」
「グランドマスターは素晴らしい方なのですな!!」
少し手解きしたら真綿が水を吸うように技術を吸収して行った。
話は変わるが、全国的に飢饉と流行り病が蔓延している。
原因としてはやはり戦続きで多くの者が貧しく栄養失調であることも大きいのかもしれない。
ただし、医療の進歩と言うのは凄いと改めて思う。
現在、流行っている疫病は天然痘だと思われる。
俺が前世で生きた昭和から令和の時代には絶滅したとまで言われた病気だが、この時代はバリバリの現役の病魔だ。
さて、俄知識ではあるが、各地の提携し支援している医師たちに俺の知る牛の種痘についての知識を提供していたら、天然痘ワクチンの
餅は餅屋と言うが、まさか顕微鏡擬きも何となくで開発しそれも渡したからかな?
この時代でも仕組み知ってたら意外と簡単に作れることに驚いたし、この時代に顕微鏡が無かったことに少し驚いたぞ。
まぁこれが知識チートと言うやつ?
色々と終わった後に気が付いたので感動が全く無かったよ。
おっと、特に藤林の医療系忍者と曲直瀬玄朔先生を中心に立ち上げた医療研究所なる機関の成果が凄い。
時代に先駆けて顕微鏡擬きを使い病気の原因菌を一部見つけたり、牛痘からの天然痘の予防手法を編み出した訳だ。
曲直瀬玄朔先生は俺の知る歴史以上の凄腕ドクターになったのかもしれないね。
俺が余り関わらない部分で歴史改変が起こった事例かもしれない。
多くの者が救われたが、中には牛痘ワクチンの接種を嫌がり命を落とした者も居るが、少しは俺の知る歴史よりましな結果となったのかも?
★~~~~~~★
時代は遡り、数年前の話。
「蔵人様より使い方を教えて頂いておりますので、早速御見せ致します」
「宜しくお願いする」
儂は神仏の
丸目四位様よりもたらせられた顕微鏡なる道具を使って見て驚いた。
使者の方が懇切丁寧にその道具の使用方法と、どういった趣旨で使用する物なのかを教えてくれた。
半信半疑で筒を覗き込む。
「何じゃこれは・・・」
「蔵人様曰く、この道具で医の道は革新的に道が開けるそうで御座います」
「俄かには信じられぬが、大きく道が開けると予感はする・・・」
叔父(曲直瀬道三)より高みを目指すことが出来るそんな予感がする。
叔父に任されてこの仕事を引き受けたが、今はこの幸運に感謝している。
丸目四位様の成す事は神仏の御業の様に思えてならない。
「それから、蔵人様は
「な、何と!!」
古今東西、疱瘡は多くの者の命を奪った病だ。
祈祷だの、為朝札だので防ごうとする者は多いが、病がそんな事で防げるなどとはとても思えん。
神仏は存在するであろうが、神仏に頼るのは人知を尽くした後であると儂は思う。
疱瘡と言う祈るしかない程の病魔を予防?
驚愕するしかなかった。
その後聞いた内容は、牛の膿を使う何とも恐ろしい方法であった。
何を根拠にと思うのが普通ではあるが、神仏と対話し、天狗の英知を持つと言う丸目四位様の言う事だ、根拠は必ずあるはずだ。
「こ!これは!!」
「先生!!形が一致しますね!!」
今まさに疱瘡より取り出した病魔の素と牛の膿の中に同じ形の物を見つけた!!
話には聞いていたが、見つけた直ぐは驚いたが、感動の波が押し寄せる。
多くの者に治験を試みたが、驚いたことにその村では一人として死者が出なかったと言う。
この村も丸目四位様が以前私財を投げ打って助けた村で、この実験をするに当たって協力を快くしてくれた村だ。
この結果解ったことは、以前から伝え聞いていた通り、疱瘡に罹って幸運にも命が助かった者はその後に疱瘡に罹り難くなったり、罹っても軽症で済むと言うことを代替で行うことがこの牛の膿で出来ることが分かった。
丸目四位様の推挙でこの結果を朝廷に奏上した。
多くの公卿様方が猜疑の目を向ける中、近衛准三宮様(近衛前久)は真っ先にこれを受け入れられ、施行した。
儂は朝廷に奏上する際に「丸目四位様から伝え聞いたことを検証したに過ぎませぬ」と申し上げたのでそれが功を奏したのやもしれぬ。
その後、朝廷より典医をとの打診を頂いたが、まだまだ研究することが多く恐れ多い事ではあるが辞退させて頂いた。
天子様からは「更なる医の探求に期待する」と言うお言葉を頂いたと聞き及んだ。
本当に有難い事である。
その後、丸目四位様は三位へと官位を上げられたと言う。
今回の功績も含むと聞き丸目三位様に報いたのではないかと我ながら自画自賛してしもうた。
その後、曲直瀬玄朔は医聖と呼ばれるようになる。
我々の知る曲直瀬玄朔と違い、研究職として大きな爪跡を歴史に刻む。
世界初の大型研究機関を立ち上げた人物として日本だけではなく世界の医学界からも後々偉人として語られるようになる。
彼の功績により多くの人々が救われた。
〇~~~~~~〇
今回は顕微鏡について語りましょう。
顕微鏡の発明は18世紀頃だったと言われます。
レンズ自体は紀元前には有ったと言われますが、水を満たした球体の様な物だったようです。
モノクル(眼鏡)や虫眼鏡の様な使い方をされ始めたのは13世紀位からだと言われます。
諸説ありますが、望遠鏡が開発された後1600年前後位に顕微鏡が発明されたと言われています。
かの有名なガリレオ・ガリレイが複式顕微鏡を発明したとも言われます。
さて、顕微鏡には種類があります。
複式顕微鏡と言うのは望遠鏡の焦点を近づけて小さな物体を観察できることを発見して、対象物に向かって
そして、顕微鏡が発明されると顕微鏡解剖学と言う学問が生まれ、単純な単レンズ顕微鏡で300倍もの倍率を達成したと言われます。
作中で使用したのはこの顕微鏡としますが、これでウイルスが確認できるかは・・・詳しくないのでよく解りません・・・
さて、その後、光学顕微鏡が発明されます。
何と光学顕微鏡は19世紀後半以降に開発されます。
そして、恐らくはウイルスの状態を確実に把握できるレベルの顕微鏡は、電子顕微鏡なのではないかと思います・・・
更に更に、顕微鏡は更なる進化を遂げ走査型音響顕微鏡と言う音波を使い観測する物まで現れます。
現代社会ではスマートフォンの内蔵カメラを顕微鏡として使うアプリケーションソフトウェアまである時代です。
時代の進歩と言うのはどの分野も凄いですね~その内この顕微鏡の世界にもAIとか入って来るのかな?とか作者的には思ってます。
そうなって来たらどの様に使われるかは解り兼ねますが・・・
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