第219話
呪いのシンガ改め
燃え立つ火の事だ。
セクメト様の様な灼熱から連想だ。
さて、本人は気に入ったかはよく解らないが、多分気に入ってくれたと思う。
何故なら元が呪い由来だしな。
彼のご先祖である神の名由来と言ったので頷いていたしね。
その神にも会って承認を得ていると言ったけど首を捻っていたよ・・・
うん、普通信じないよね~俺も他の者が「神に会った」とか言ったら「寝言は寝て言え」て返すかも・・・
ジョンとベンは土木系技術者だ。
そして、ソンは朝鮮半島の出身で、瓦や陶器を作る職人とのことだ。
アリとサラは
アリとサラは同じ村の出身で、飢饉の際に親に売られたそうだが、選択肢が死ぬか村を出るかしかなく、売れれば金銭が多少なりとも家に入ると言う事で本人たちも意外と納得していた。
二人とも中東系の顔立ちである。
意外ともう少し大きくなれば美男美女に成るかもね。
さて、切原野に到着し焔とアリ、サラは家で住み込み。
他の者は家の
「焔~」
「・・・」
「喋れない訳ではないんだよな?」
うん、と頷く焔。
本当に無口だが、仕える以上は無口のままと言うのは良くない。
勿論、家で問題視することはないが、連れ回す際などに喋らないことで不都合が発生することもある為、追々直して行かないとな。
「焔、お前を連れ回す際には話さないと不都合もある。だから、少しずつでいいから話すようにしなさい」
「はい・・・」
うん、無口なだけで素直だな。
うちの子供たちも興味深そうに彼を見ている。
そうこうしている間に、弥七と誾千代が親元に戻る事となった。
「弥七も誾千代も達者でな」
「はい、師匠!お世話になりました」
「お世話になりました」
弥七と誾千代が順に深々と頭を下げ、挨拶をする。
長い様で短い様な変な感じだが、今生の別れと言う訳ではないのではあるが皆別れを惜しんだ。
送り返した後に戸次道雪さん・高橋
弥七(高橋
まだ、養子にはなっていないようではあるが、近い将来そうなるのであろう。
さて、九州は大友が龍造寺と島津に圧される形で現在、家の周辺も戦火が激しいのではあるが、独立独歩の家の領地に攻め入る者がいないようで、何故か難民が家の領地に来ることが多くなっている。
村長的な立場が現在の俺の立場なのであるので家の領地に住まわせて欲しいと言って来るものが本当に後を絶たない。
現在は結構豊かな場所なので戦仕掛けて来るかな?とか思っていたけど、特に攻めて来ることはないようだ。
一応、相良家に年貢を治めてはいる。
現在も相良家は島津家に従属しているようだ。
一応、家に攻めて来た野盗もいたが、丁度良い実践チュートリアルと思い、弟子や里子等々の実戦経験の無い者を引き連れて殲滅したんだけど、噂になっているようだ。
1,500人の軍に10人で切り込み根絶やしにしたと言う噂になっている。
実際は100人位の盗賊団を15人位で殲滅したんだけどね。
勝手に天狗党等と呼ばれているんだけど、何も名乗っていないからね。
さて、島津家と龍造寺家と大友家の3家から仕官の勧誘が来るんだけど、「相良家と約束で他家に仕えられません」と回答して躱している。
その相良のお殿様から「あの約束事は反故して頂きたし」と書状で言って来たよ。
俺は返書で丁寧に「武士に二言は御座いませぬ」等と相良家には伝えている。
相良のお殿様は島津家と俺の板挟み状態らしいけど、もう武将とかやる気なしだよ。
宮仕えは大変だと言う事を俺は理解したからね~
★~~~~~~★
「源太~」
「何で御座るか?」
「そんな言葉今まで使ってた?」
蔵人様は初陣の俺に声を掛けて来たので武士言葉で返すとにやりと笑い揶揄って来る。
俺は蔵人様の旧姓の「山本」と言う苗字を頂いた。
現在は山本源太長元と名乗っている。
今日が初陣である。
同じような者が俺を含め十五名、里子様もそれに含まれている。
「よし!うちの村を狙っている野盗どもを諜報部が知らせて来た」
藤林長門守様の配下の諜報部の方が野盗の情報を掴んで来たそうだ。
それを聞いた蔵人様は情報を精査し、初陣に丁度良さそうだと判断された。
「敵の野盗どもは百名程らしい」
「百程・・・」「え?そんなにいるのか?」「たった百程?」
皆大騒ぎだ。
一人言っていることがおかしいようではあるが、里子様は百では足りない様な不満顔で言うのだが・・・
「いいか~一番倒した人数が多い者には褒美をやろう!!」
「「「「「おおーーー!!」」」」」
「勿論、参加者には褒美出すがそれ以外で俺が良い物を送ろう!!」
「「「「「おおおおおーーーーー!!!」」」」」
先程まで不安顔の者たちが現金なもので、褒美と聞いて目の色を変えた。
そう言いつつも俺も期待で目をぎらつかせている。
「でも、里子様がいるから・・・」
一人の者が里子様がいるから一番になれないだろうと不安な声を漏らす。
確かに!
里子様が居るから一番は難しい。
「里子は別枠だ!!」
「「「「「よかった~」」」」」
「え~~~~!!」
皆ホッとして声を出す。
里子様も不満そうに叫ばれた。
「里子は三十人までな」
「は~い・・・」
一人で三十人を切り殺す予定のようだ。
里子様なら可能であろう。
そして、蔵人様が続きを話された。
「さて、皆の者!褒美は欲しいか!!」
「「「「「おおーーー!!」」」」」
「得物は持ったかーー!!」
「「「「「おおーーー!!」」」」」
「では!出陣!!」
そして、野盗たちが根城にしている廃寺に討ち入りを敢行した。
里子様は先頭を切って討ち入り、即座に三名の者の首を刎ねた。
負けてはおれんな!!
「後は皆頑張って~」
里子様は早々に三十名を討伐されたようだ・・・
現在、俺は三人目を相手にしている。
「おい!お前ら何者だ!!」
「切原野の者だ!!」
「え?これから襲う予定の・・・」
「あ~やっぱりか・・・」
「し、知っていたのか!?」
俺はその後、その野盗を斬り伏せた。
「ハァハァハァ…3人目」
残念なことに俺は4人目までしか倒せなかった。
里子様が切り殺した三十名を除けば残り七十名、十四人で割れば一人五名が平均なのに・・・それを下回る人数・・・
「え~結果発表!!今回の一等賞は源太!!」
「え?」
何と二十名は逃げ出そうとした為に里子様と周辺で監視していた者たちで対処したそうで、十四名で五十人程の討伐を行ったそうだ。
そして、運よく、俺が一等を取れた!!
「え~一等賞の源太にはこちらをお渡しします!!」
蔵人様より名のある刀を頂いた。
〇~~~~~~〇
弥七と誾千代が去って行きました。
余り出番はなかったのですが、後々また出てくる予定です。
さて、切原野の自警団が強くなっています!!
戦国時代の村は普通に自警団がありました。
通常時は農民ですが、戦の際は借出されて農兵やりますので、それなりに強いです。
近隣で戦があれば戦死者の刀や鎧、身包みを剥ぐこともしますので、武装もそれなりに持っていました。
秀吉の刀狩りはこの手持ちの武装を農民から奪う目的で行われました。
しかし、戦国時代は何故に自警団が必要だったかと言うと、野盗が普通に多く存在する時代だったからです。
年貢の取り立てが厳しい領主から逃げて離農した農民や戦場から敵前逃亡した者や、野武士、抜け忍した元忍び等々の者が行き着く先として野盗をやっていました。
更に、戦国時代の領主は自分の管理する土地以外は味方でなければ普通に略奪をしていましたので、そう言う意味でも自警団は必要不可欠でした。
守っている間に自分の所の領主が援軍に駆け付けると言うのが基本スタンスでした。
さて、現在の主人公たちの村は一応相良家所属の村ですが特殊なので周辺から狙われてもおかしくないのです。
「1,500人の軍に10人で切り込み根絶やし」と言う噂は意外と抑止力になります。
襲って損害を多く被れば他勢力から狙われますからね~
そして、里子が無双し始めましたが、今後は下の世代も活躍して行く予定です。
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