第206話

里子も9歳となった。

羽・利・春・麗華の4人の子供たちも7歳となる。


「うわ~可愛い!!」

「本当だ~可愛い!!」

「麗華の小さい時思い出す~」

「私、こんなに可愛かったの?」

「うん!可愛かったよ~」


里子と麗華がお猿さん(羽柴藤吉郎)と寧々さんの第一子であるけいちゃんを見ながらそう言っている。

うん!お前たちも本当に可愛いぞ!!

我が家の娘たちは揃って美人さんだ。

里子は金髪の美少女で、多分、真里の小さい時にそっくりなのかもしれない。

麗華も春麗の小さい時にそっくりなのだろうと思う。

この子も実に美少女だ。

親馬鹿めだと!ふふふふふ~言っておれ!この可愛さ・美少女ぶりが解らん阿保どもに見せるものなど無いわ!!

さて、男児たちも俺のDNAが負けているようだ・・・美男子で、何処か垢抜けている。

羽は黒髪だけど青い目で、少し肌が黒い。

成長すればワイルド系イケメンとなるだろう。

利は金髪でこれまた美男子だ。

将来は金髪王子様?

春は黒髪で俺の子の中では一番日本人っぽいが、春麗に似ている様な気もする・・・

キリっとした目元がクールなイケメンになりそうだな。

容姿だけ優れているのではなく、子供たち全員に英才教育的に剣術やその他諸々教えているが、利が文よりで、他の子は全て武寄りの様だが、才能豊かなようだ。

里子はその中でも群を抜いて全てに才能を見せ、中でも剣術などは異彩とも呼べるほどの片鱗を見せている。

真里の子ではあるが、剣術は特に俺や美羽に教えられた為か俺たち寄りの攻撃的な剣術を使う。

他の子たちも剣術の才能はあるが、里子が特に凄い。

まぁこの頃の2歳というのは大きいので他の子どもたちも後二年もすれば里子と同じことが出来るのかもしれないが・・・

そうは言っても現状では里子が頭1つどころか3つも4つも跳び抜けていると思う。

さて、我が子だけではなく、現在預かっている弥七と誾千代も色々と我が子に混じり英才教育を施している。

うちの子供たちが異常なだけでこの二人も十分に優秀だ。

そして、源太・お香姉弟も里子の側に着け色々としているが、優秀だ。

源太は剣術の才能があるようだし、一度どうするか聞いてみようか。

お香は文の才能がある。

莉里の秘書の様な事まで最近し始めた。

その関係から利と仲が良いようだ。

利が6歳にしてお香を口説いていた場面を見ているし・・・もしかするとこの二人その内結婚するのかもね。

そう言う意味では利が子供たちの中では精神年齢が高いようだ。

才能面で面白そうなのが、麗華だろうか?

料理の才能でもあるのかもしれない。

料理するのが大好きで、色々と覚えては試してオリジナル創作料理を7歳にして作るのだが、これが美味い。

俺が前世の知識活かして作った物は大概作れるし、それを組み合わせて自分で創作したと言いクリームどら焼きとか油淋鶏ユーリンチー擬きとか煮込みハンバーグ(味噌煮込み)を作り出した時には驚いたよ。

勿論、俺が教えた訳ではないぞ。

さて、そんな子供たちだが、寧々さんのたっての希望で俺の子供の誰かの許嫁にして欲しいと言って来た。

生後数か月の赤ん坊に許嫁とか・・・う~ん、この時代は普通なのかな?

一応はお猿さんの意見も必要かな?と思い手紙出してみたら、返書で「嫁には出さん」と凄まじく歪んだ字で書かれていて、呪詛でもされそうな字だったよ。

それを寧々さんに見せたら「あの人の事は無視して結構」と言う・・・

かかあ天下なのね・・・

流石に我が丸目家は自由恋愛なので物心ついてから目会わせることとしようと言うことで一件落着。


★~~~~~~★


あの人は子供が生まれたことを大層喜び、今回は行った先でおいたをしていないようである。

それは小一郎さんや他の者たちの知らせからもそれが読み取れる。

流石に上様(織田信長)に怒られたばかりだし自重しているようだ。

そう、最近、莉里・春麗たち御一行がまた長浜に戻って来られた。

今度は丸目三位様とその奥の一人、美羽様も来られた。

丸目様も美羽様も「様付け不要」と言われたので丸目様は夫に倣い長さんとお呼びし、美羽様も美羽と呼ぶこととなった。

私の事は愛称の寧々ねねとお呼び頂くこととした。

娘のけいは長さんたちのお陰で授かった子供だ。

莉里・春麗・千代ちゃんのお陰でもあるし大変感謝している。

そして、滞在中に仲良くなった長さんの御子達の内どの子かと夫婦になって欲しいと願っている。


「長さん!」

「おお、寧々さん如何されました?」

「実は折り入ってお願いがありまして・・・」

「お願いですか?私に出来ることですか?」

「はい、長さんにしか出来ない事かもしれませぬ」

「そ、そうですか・・・何だか怖いな~」

「いえ、怖いお話では無く、目出度きお話です」

「目出度い?」


私は長さんに我が娘と長さんのお子の許嫁の打診をした。

流石に一家の主に確認しないと不味いだろうと言われ渋々それを受け入れたが、あの人からは「嫁には出さん」という汚い歪んだ恨みがましい字で返書が送られて来た。


「あの人の事は無視して結構」

「いや、しかし・・・」

「もう決まったお相手でも御有と言う訳では御座いませんよね?」

「ないですが・・・我が家は自由恋愛を・・・」

「まぁ!そうなのですね!!では物心付きましたら再度目合わせて頂けますか!!」

「も、勿論・・・いいですよ・・・」

「その日が楽しみです!!」


現在、長さんのお子は三名の男児が居る。

どの子も接して見て解ったが、利発でそれぞれに豊かな才能があると思う。

それに、容姿にも優れ恵も将来私に感謝するであろう。

どの子と夫婦になっても恐らくは幸せにしてくれることは間違いないと思えるし、何より莉里・春麗・美羽と縁者となるのは非常に楽しみだ。

残念ながら莉里からは「利はお香狙いみたいな気がする」と言われた。

しかし、春麗・美羽からは春君・羽君に特定の相手は今の所居ないと聞く。

よし!二人のどちらかが将来の息子か!!

実に楽しみだ。


〇~~~~~~〇


お猿さんの子と蔵人の子が!!

さて、この戦国時代は武将たちは政略結婚が当たり前の時代ではありますが、自由恋愛が無かった訳ではありません。

この作品にも登場した鍋島直茂の恋愛は中々面白い自由恋愛だと思いますし有名ですね。

有馬晴純との合戦に勝利した龍造寺隆信が、鍋島直茂らと軍勢を従えて、佐賀城への帰城の途中に、飯盛城に立ち寄り、昼食をとったそうです。

飯盛城の城主・石井常延は、鰯を焼いて振る舞うことにしたのですが、龍造寺一行の人数が多く、城の台所では侍女たちがなかなか人数分の鰯を焼くことができずに手間取っていたところ、石井常延の娘の彦鶴ひこつるがそれを見て、侍女たちの手際が悪さを指摘し、自ら釜戸の火をかき出してと指示を出しそれを庭先に広げ、その上に鰯を並べて、速やかに鰯を焼き上げ龍造寺一行をもてなしたそうです。

この機敏で機転の利く姿に感嘆した鍋島直茂は「あのように機転の利く妻を持ちたい」と、彦鶴姫に求婚したという逸話が、『葉隠』と言う書物に伝えられております。

直茂32歳、彦鶴29歳で結婚しており、今で言う自由恋愛に該当します。

直茂は屋敷の者に「盗人」と間違われて足の裏を斬られる怪我をしたと逸話が残る程、毎夜この彦鶴姫の下に通っては求婚したと言う情熱ぶりだったようです。

戦国のバカップル、おしどり夫婦として有名な鍋島夫婦ですが、文禄の役の際に危機を迎えます。

何と夫の鍋島直茂を戦地に向かわせた張本人である豊臣秀吉がここで登場します。

この朝鮮出兵の時に秀吉は九州の名護屋城に居を構えておりました。

彦鶴は秀吉から名護屋城へと招かれたそうなのですが、この当時秀吉は好色で有名でした。

お招きと称してつまみ食いするほどの好色爺でした。

そして、それを知る彦鶴も一度お断りしますが、たっての希望と言うことで再度招かれます。

この当時、天下人であり絶対権力者である秀吉には逆らえず応じるよりなかったその時、彦鶴さんは名案で乗り切ります。

この時の様子を「葉隠」には「御額おんひたいかくにお作り異形の御面相にて御出でお目見えなされ候」と書かれております。

どういう事かと言うと、ヤンキー風の剃り込みを自分の額に施して秀吉に会ったのです。

度肝を抜かれたんでしょうね~お猿さん(豊臣秀吉)からのお招きは二度と無かったそうですからナイスアイデアだったようです。

好色なお猿さんもその姿を見て流石にナニが萎えたのでしょうね。

夫直茂との仲は終世まで良く、隠居した直茂とともに穏やかな老後の生活を送ったと言われます。

直茂の死後は尼となり陽泰院ようたいいんと名を改め夫の菩提をと貰います。

直茂の死から10年後、陽泰院は鍋島家が名実共に佐賀藩主となったことを見届けて、89歳で生涯を閉じたと言われます。

墓石は直茂が朝鮮に出陣した折、陣中で枕とした石を持ち帰っていたものが用いられ、直茂の墓石に寄り添うように建てられているそうです。

凄く良い話ですね~隠し味のお猿さんとの話も実に良い!!

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