第202話

「又左~」

「おう!藤吉郎!何か用か?そう言えば、右府うふ様(織田信長)に激怒されたらしいな~」

「も、もう、それは言わないで欲しいがね!・・・それより、お主の甥っ子って上杉行くんだったがね?」

「らしいな」

「じゃあ、この書状を丸目殿に渡して欲しいと頼んでくれ」

「お、おう・・・頼んでみる・・・」


羽柴藤吉郎より丸目蔵人宛ての書状を頼まれた前田又左(前田利家)は甥の前田慶次にその書状を託す。


「慶次」

「ん?何だ叔父御」

「上杉に行くんだよな?」

「ああ、右府様の命にて使者として向かうぞ」

「それなら、これを丸目殿に渡して欲しい」


前田慶次がその書状を受け取り越後へと向かった。


★~~~~~~★


謙信公とは色々と話した。

鳶加藤さんや果心さんなどの幻術使いの忍を配下に置くのはお怖くないのか?や、金山の話なんかもしてしまったよ。


「裏切ると思うから怖いのであって、誠意を尽くせば良い味方ですよ」

「成程な・・・信じる・・・」

「それに、神仏より怖いとは・・・」


何となく納得してくれた。

早いもので、3カ月滞在し、剣術指導をしている。

その頃になると慶さん(前田慶次)が信長に報告した後に同盟締結の使者としてやって来た。

そして、松風の代金として2,500貫支払うと言って来た。

特に今の所は使う当てもないので宗さん・天さん・紹さん等々に再投資となるであろう。

そう言えば、何故か従三位に上がった・・・

上がった理由は信長が奏上したとのことで、朝廷はこれ幸いと俺の位階を上げて来た。

慶さんがその旨の書状を預かって来た。

そう言えば、信長と竜様(近衛前久)は鷹友だったよ。

竜様からの書状で、九州に帰る前には必ず京に赴き昇殿する様にとのことが書かれていた。

竜様の書状には功績が積もっていたので朝廷としては何かあれば即座に俺の位階上げるつもりだったらしい。

これからは丸目三位蔵人となるらしいよ。

他にも、天子様の義理の娘婿なので三位に早めに上げたいという思惑もあったと言う。

その際に信長も正二位・右大臣になった。

そして、織田軍は本願寺と本格的に争う事となった。

俺の知る歴史よりも大分織田軍は余裕が出来たと思う。

奇しくも俺が関与したことで織田軍が得をしている形となるのかもね。

上杉と和睦・同盟に本願寺の弱体。

しかし、本願寺は顕如亡き後は息子の教如きょうにょが本願寺を継いだ。

まだ二十歳はたち前の教如を本願寺の重鎮たちが補佐する形で盛り立てていたようだが、歴史は繰り返す様で、織田と本格的にぶつかる事となったようだ。

この本願寺の動きも裏では将軍様(足利義昭)が暗躍しているようだ。

藤林の情報網がそれを掴んでいるので間違いなさそうだ。

前世では「お手紙将軍って・・・雑魚!!」とか思っていたけど、諜報に係ることで見れば侮れない人物だと言うのが解って来る。

覚慶かくけいと名乗っていた時しか俺は知らないが、意外と柔軟な考えの持ち主で、機転も利く人物だったからな~

侮れないと言うのは間違いないが、現在は俺の知る通りに毛利の庇護下でお手紙をバンバン発行しているようだ。

さて、他にも慶さんは書状を持って来た。

送り主は羽柴藤吉郎。

信長に叱責され、柴田さんと仲良くする意味も込めて改姓したと言う。

そして、その書状の内容は霜台爺さん(松永久秀)の最後の言葉と様子を伝えるものであった。

霜台爺さんは3度目の謀反を行った様だ。

これも将軍様の手引きである。

そして、霜台爺さんは信長に平蜘蛛の茶釜を指し出せば赦すと言われたそうだが、それを拒否したそうだ。

歴史通りなのかもしれないが、仲良くしていた人物が死去した話はやはり心に来るものがある。

家族からの手紙にも俺が気落ちしていないかの心配事が書かれていた。

話は戻し、霜台爺さんへの使者としてお猿さん(羽柴藤吉郎)が向ったとのこと。

平蜘蛛の茶釜を渡す様にと勧めたが、「あれだけは渡すことはできん!!」と言い、俺に伝言を願ったので聞き入れたとのことだ。


「流石に儂の物でない物を勝手に渡すなど出来ん・・・仕方なし、長よ、地獄に持っていくから必要ならばお前が死んだ後に取りに来い!それまでは大事に預かっとく!!では、おさらば!!!」


読んだ瞬間に目から汗が出た。

馬鹿な爺さんだ・・・茶釜など信長にくれてやればいいものを・・・

しぶとく生き残るのが爺さんの戦国生き残り戦略じゃなかったのか?

俺に借りていると言う体なので信長に渡すのを拒んだと思うと遣る瀬無くなった。

お猿さんは「覚悟が滲み出ていた」と書いているが、「そんな覚悟するな!!」と言ってやりたいが、故人に言うセリフはもう無い。

遺体は見つからない程の大爆発でその影響で城は大炎上したとのことだ。

前世の読み物で爆死説あったけど、この世界線ではまさに爆死を選択し、首すら信長に渡さなかったようだ。

三好長慶にあの世で叱られるといいわ!!

数日程、落ち込んでしまったが、美羽や藤林の者たち、鳶加藤さん、果心さん等々の多くの者が気遣ってくれたのが嬉しかったよ。

お猿さんの続きの文章には信長に大激怒して叱責を受けたが今回の活躍で一時処分を保留してもらえることとなり、播磨国への侵攻を命じられたそうだ。

その後は、奥さんとの熱い夜についての事がつらつらと書かれていた。

最初の部分では目から汗が出ていたのに読み終わる頃にはその汗も止まっていたよ。

流石、人たらしの秀吉!!多分、恐らく、絶対に、俺の気持ちを軽くする為に書いたのであろう。

しかし、それ以外の文章の5倍も睦言が書かれた文章読む羽目になった。

文章構成が逆だったら破り捨てていたかもしれないな・・・

嫁たちの手紙にはお猿さんの奥さんに房中術を千代が伝授したと記載があった。

多分、その影響で盛ったのかも・・・

お猿さんの性を搾り取って子宝に恵まれるといいね。


〇~~~~~~〇


お手紙将軍に掛けてお手紙の話でした。

主人公の官位が上がりました。

三位蔵人くらんどとなります。

と読ませることで完全に令外官となっているのでこの物語内では上げても誰も文句言う人も居ない様な状態ですが、三位というのは参議など朝廷の要職に任ぜられる官位ですので通常は蔵人くろうどは任官されませんが、何にでも例外と言うものがあります。

例外として、在原行平は参議と蔵人頭を兼任したそうですし、藤原兼家は蔵人頭左中将のまま三位に叙せられそうです。

そのまま中納言に昇任しても二カ月間、蔵人頭の職にあったそうです。

さて、房中術の話の続きを!!

内丹術という修行法の一つである房中術は陰丹とも呼ばれました。

内丹法は、清修派と双修派の丹法に大別されます。

一人で行う単修法が「清修派」で、修行者の殆どはこの丹法で、これはオ〇ニー(自家発電)ではありません!!

禁欲的な方法です!!

さて、話を戻し、房中術を取り入れた物含め、男女の二人で修行する「双修派」の丹法があります。

男女が肉体的にドッキングして気を循環させる「体交法」と、肉体をドッキングせず意識のみで行う「神交法」がありますが、前者は房中術となります。

「神交法」は、隔体神交法とも呼び、肉体での交わりはせず離れた所から互いに意識だけで気のやりとりを行う方法となるのですが、これを知った時、若しかして「アストラルセックス」かな?と思ってしまいました。

この「アストラルセックス」とは何ぞ?と思うと思いますが、簡単に言うと、幽体離脱して事を成すことです。

何でもコロナ禍になり徐々に流行り始めたらしいです。

オカルト界では常識らしいです・・・知らんけど・・・

脳イキという絶頂があるそうなのですが、感覚が一つ遮断されると他の感覚が鋭く敏感になる人間の特性を上手く利用することで起こるそうで、アストラルセックスは五感全てを遮断させて行う行為なので魂イキなどとも言うそうですが・・・これって昇天?・・・まぁ信じられない様な快感を得られるそうです。

でも、意外とこれ面白いのが、悟りって快感を得て幸福MAXで何でも許せる様な寛容な慈愛の心らしいので・・・

さて、今回は少しエロ&オカルト話でした。

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