第184話

九州はMyHome切野原に剣聖・上泉信綱がやって来た!!

この噂は九州全域をざわつかせた。

九州各地より師匠を訪ねて多くの兵法者や指南希望者が押し寄せた。

師匠的には仙術修行をしたいこともあり、先ずは腕試しと言うことで俺達使った。

俺とか朝から晩まで試合することになろうとは思わなかったよ。

嫁たち、弟や俺の弟子たちも駆り出されて延々と思えるほどに試合を行いました。

これにより、師匠を倒して名を上げようと言う輩は淘汰された。

純粋に剣術指導を望む者は俺達のルーティンの朝稽古に参加するようにと言っているが、多くの者が参加している。


「師匠・・・」

「何じゃ?蔵人」

「いえ・・・そろそろ何とかしないと・・・」


10日程試合を続けているが、減る気配がない。

7日目位からおかしいと思い出身地聞いたら、中国・四国の者も混じり始めた。

兵法者を名乗る無法者も多く、切原野の治安が悪くなったのもある為、師匠が九州に慣れたら各地を巡ると言うことで挑戦者は追い返したよ。

多くの者が集まれば馬鹿もある一定居る。

馬鹿は騒ぎを起こし、切野原警備隊にボコボコにされて追い出されたよ。

次回問題起こしたら命は無いと付け加えてやれば逃げるように去って行く。

まぁ実際逃げたんだけどね~

それから20日程で状況が落ち着いた。

師匠の方もここでの生活に慣れた様で、温泉に食事も楽しんでいるようだ。

最近は「ここ以外で生きて行けるだろうか・・・」等と言っているが、ここは俺が色々カスタマイズしているから快適なんだよね~

師匠も堺で会った時より若返って見えるからね~

さて、師匠の仙術修行でも若返っていると思う。

千代曰、仙術とはを体内に取り込むことで活性化させる手法でもあると言う。

何だか気功かヨガみたいなこと言うな~とか思ったけど、あれらも仙術の延長上の技術なのだろう。

さて、師匠が仙術を取り入れて新陰流を更なる高みに押し上げた。

まだ技名とか付けていないと言うけど、動き見るとゲーム?と言いたくなるような変な動きが混じる。

その内、刀から風の斬撃とか出しそうで怖いわ~

俺と師匠の立ち稽古では瞬歩は当たり前のように使う。

流石に瞬歩を完全に覚えないと師匠に完封されるので、最優先で鍛えたよ。

他にも千代から色々教えて貰っている。

中国拳法も教えて貰っているんだけど、ただのお菓子寄越せ妖怪ではなかったようだ。

発頸はっけいとか見せて貰ったけど少し興奮したよ。

千代に「武術を誰に教えて貰ったの?」以前聞いたら「だるま」と言う天竺から来た僧侶に教えて貰ったそうだ。

その「だるま」さんと言う方は仙術を習いに来て代わりに千代に武術を教えると言うことで千代は仙術を教え尸解しかいにまで至らしめたと自慢していた。

仙人にはランクがあり、この尸解しかいに至ると言うのが仙人になったことを指すそうだ。

仙人ランクで言うと一番下。

尸解しかい<地<天となるそうだ。

千代は地仙となるそうだ。

千代曰、天仙に至らないと長生きと言うだけで不老不死ではないと言う。

地仙と言うのは仙道を得ているが地上に留まっている者で、300以上の善行を積んだ状態で、天仙になるには1,200以上の善行を積む必要があるそうだ。

悪行を1度でも行うとリセットされる模様。

千代は500を超えた程と言うから先は長そうだ。

さて、師匠は軽身効も少し使うようになった。

更に、元々忍術も知っている師匠は跳躍術もある程度使うようになった。

俺もそれらは最近使うので、師匠との立ち稽古は飛んだり跳ねたりも規模が違う。

3m以上の跳躍に、木を駆け上る等のもう剣術から大分懸け離れた様な立体機動も当たり前だ。

嫁たちとの対戦も師匠は楽しんでいる。

美羽との対戦では翼を生やし飛んで来る様な動きと戦う。

春麗との対戦では、春麗が隠形で身を隠し師匠に襲い掛かるし、さながらゲリラ戦かかくれんぼの様にも見える。

莉里が一番正統派であるが、莉里も普通に軽身功使うので一番剣術らしい動きとなると言うだけだ。

九州に居る藤林忍軍も同じ様に修行しているので恐ろしい程の手練れに成長している。

少し、いや、大分、地域格差が出て来たので入れ替えてこちらで他の藤林の者たちも修行予定と長門守は言う。

そして、弓ちゃんは肉体活性を特に好んで修行しているようで、美魔女に更なる磨きをかけている。

千代と長門守の内緒話で「房中術とはあの様に過酷な物なのですか?」と聞いていた。

うん、それ房中術じゃなくて、妊活だと思うぞ。

弓ちゃんが美魔女と言っても年れ・・・背中がゾクリとした。

建物の陰を見れば笑顔の弓ちゃん・・・笑顔なのに殺気が駄々洩れです・・・うん!妊活頑張れ!!

師匠から「新陰流目録(至)」と言う物を頂いた。

師匠曰く仙術の技法をも取り入れた物で、仙術の悪用を防ぐ意味でも他の者にこれを授けるつもりはないと言う。

仙術を取り入れた新陰流と以前の新陰流ではもう別物過ぎて他の者に教えることも難しいだろうとも言われた。

そして、「日ノ本国一人」と書かれた認可を頂いた。


「師匠、これなんですか?」

「うむ、蔵人に教えることは多分もう無い」

「左様で・・・」

「うむ、新しく流派を立ち上げるなり新陰流を名乗るなり好きにしろ」

「はあ・・・」

「蔵人のことじゃ新しき流派を立ち上げるのであろう?」

「まぁ・・・そのつもりであるのですが・・・」

「新陰流を死ぬまで名乗るならお主が正統後継者じゃ」

「え?」

「話は終わった!風呂に行って来る」


師匠はそう言って話は終わったとばかりに風呂に行かれた。


〇~~~~~~〇


さて、この世界線の丸目蔵人はタイ捨流、新陰流のどちらを選ぶのか?

うんちくは前回に続き仙人話を致します。

仙人は作中にも書きましたが3種類あります。

尸解しかい仙<地仙<天仙となるのですが、仙人になる為に修行をする者は道士と呼ばれました。

呂尚や諸葛亮、等も仙術を習得していたと言われますが、本当の仙人と言えるかと言われれば微妙ですね。

さて、尸解しかい仙とは仙術を習得した者が肉体の死を迎えた時、蝉・蛇の脱皮みたいに魂魄が死骸から脱け出て、後日、肉体を取り戻しにくると言われています。

これを知った時、キリストの復活ってこれに似てるな~とか思いました。

死体は消失し棺の中には死体以外の物が残るそうです。

そして、仙道を得て昇天せず地上に留まって長生する者を地仙と呼びます。

作中で書きましたが、地仙は300以上の善行を積んだ状態で、天仙になるには1,200以上の善行を積む必要があるそうです。

悪行を1度でも行うとリセットされると言うのも書きましたね。

善行とは儒教の徳であり五徳ごとく五常ごじょう)を指します。

仁・義・礼・智・信の5つのことです。

天仙は昇天して仙人になる事で、昼間の衆人環視の中で昇天することを白日昇天はくじつしょうてんと言います。

この昇天は道教の究極的な到達点と言われております。

しかし、昇天は仙術の中の錬丹術れんたんじゅつで作られる金丹きんたんと言う霊薬の中でも太清丹たいせいたんと呼ばれる霊薬を更に錬丹して第九転丹と言う9回焼き練りを繰り返した物で叶うようです。

この第九転丹と言う特殊金丹は1匙で昇天すると言うのですが・・・毒薬?

さて、これを使えば白日昇天はくじつしょうてんも思いのままです。

ちなみに、この錬丹術れんたんじゅつと言うのは東洋の錬金術と呼ばれます。

不老不死と錬金の内、丹砂(硫化水銀)を金に変化させるのが基本技術だったようで、そこからそう呼ばれます。

錬丹は本当に毒物を使いますから水銀中毒などの危険が可成り高いですが、以前うんちくで語った弘法大師(空海)が持ち帰った有用な物の中にこの錬丹術が含まれていたと言われます。

即身成仏する為の手法に水銀を飲むことが書かれていたそうで、これも仙術の一部の様ですから、密教の即身成仏と言うのは仙術の延長なのかもしれません。

次回は少し年数が進みます。

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