第180話
京に滞在中に木下藤吉郎が面会を所望して来た。
木下藤吉郎って後の
面識無いのに、何故、俺に面会に来るか少し疑問に思うが面会することとなった。
当日、現れた男を見て驚いた。
1人はお猿さんではないか!!
そして、もう一人は何か少し線が細いが出来そうなやり手のビジネスマン的な雰囲気を纏った男・・・流石は後の天下人だな、何か雰囲気から違う。
それに、信長のネーミングセンスの悪さよ・・・何処が猿?どちらかと言えばこっちの方が猿だよとお猿さんを見る。
でも、この2人が訪ねて来たと言うことはお猿さんがお猿さんの配下となったのか。
信長も面白いこと考えるよね~と思ってしまったよ。
「長さん!お久しぶり!!」
「おう!お猿さん、久しぶり!!」
早速2人を茶室にてもてなす。
この茶室で入れるお茶美味いんだよね~興が乗って八ツ橋と生八ツ橋を再現しちゃったよ。
将来、京で流行ったお菓子だよ!山科様からも大絶賛されて、何故か天子様にも献上してお墨付きを頂いたよ。
例の如く、里子のおやつで作成し、千代も大絶賛していた。
まぁそれを茶請けにお茶を点てる。
「では、長さん、いえ、丸目四位蔵人殿」
「お!俺の名前を知ってたか~」
「ふははははは~上総介様にお聞きした」
「へ~信長にね~」
一瞬、木下藤吉郎(竹中です)がピクリと眉を吊り上げる。
うん、自分の主の真名呼びで呼び捨ては不味かったね~ごめんごめん。
「ふははははは~上総介様を呼び捨てにする者など早々居ないのに相変らずだね~」
「ははははは~まぁ次から注意するよ」
そして、再度改まってお猿さんが自分の名を名乗るようだ。
そう言えば名前を聞いていなかったな。
「長さんには名乗っていなかったので、改めまして、拙者」
「オラじゃないの~」
「う~揶揄わんでちょーよ」
「おう、真面目に聞こう!!」
このお猿さんとのじゃれ合いは実に楽しいからついつい揶揄ってしまう。
さて、再度仕切り直しだ。
「拙者、木下藤吉郎と申す」
「え?」
はぁ~?お猿さんが
マジですか・・・
「あれ?長さんどうしたの?」
「あ、嫌なに・・・ご活躍の様で・・・」
「うは~恥ずかしいだがや~全ては長さんの御蔭!!」
その後は少し話し、俺と別れた後の行動を教えて貰った。
その場に居る者たちも驚きながら
落ち着いたところでお付きの方・・・の名前も教えて貰った。
うん!両兵衛の一角の竹中さんでしたよ。
和気藹々と話し、時間はあっという間に過ぎ去った。
「藤吉郎殿」と言ったが「お猿さんで良いので長さんと呼ばせて欲しい」と懇願されたので呼び名そのままとなった。
後の天下人に「お猿さん」呼びとか良いのか?と思うが、本人認定なのでまぁいいか~
本人は「身分が変わろうと何であろうと長さんとオラは友じゃ」と言う。
2人目の後の天下人の友達が出来ました!!
★~~~~~~★
「藤吉郎様」
「ん?如何した半兵衛?」
「丸目四位蔵人様のことで」
「長さんがなんじゃ?」
「いえ、丸目四位様のお付きの者見ましたか?」
「あ~凄そうな者じゃったな」
「はい、藤林一族棟梁の長門守殿です」
「ほ~あの者が!!」
藤林一族からは情報共有と言うことを打診されたと蜂須賀殿より報告があった。
何でも情報を情報で取引したり、金子で買ったりも出来ると言う。
この仕組みを考えた者は情報の価値と言うものをよく理解している者だ。
正直言ってしまえばこの仕組みを考えた者を恐ろしいとまで思っている。
試にと一部情報を買った。
我らの全く知らぬ情報をあの者たちは届けてくれた。
正直その情報量にも驚かされたし、知りたかった情報は我らにとって値千金とも言える程の物であった。
確かに品物が存在しないから高いと感じる者も居ようが、あの情報を得る価値も解らぬ者は淘汰されるであろう。
私は蜂須賀殿に即座に提携するようにと藤吉郎様の了解も得ずに指示したが、藤吉郎殿はそれが当たり前と言うように私を誉めそやした。
私はただ優れた情報を得られる仕組みを提案されたから利用しただけの話であるのだが・・・
興味を持ち、京に来た際に藤林の者と会い話を聞きたいと思い打診した。
現れたのは藤林お金と言う女人であった。
畿内総元締めと名乗った。
肩書からも上位の者であることが見て取れるが、話してみれば驚いた。
「情報とは鮮度が重要に御座います」
「左様!!」
「それを得る為に忍びの者たちは
「そうよな~」
「そこで、命の代価として情報と金子で賄い、取引しようと言う話にて御座います」
「成程!!」
「勿論、必要な情報を出す以上は得る物も大きく、また、失う物もあるかと存じますが」
「であろうの~」
「それを加味して使うのが忍びを使う方たちの腕の見せどころではございませぬか!!」
「ほう!忍びにそこまでの価値を見出せと?」
「うふふふふふ~忍びが減れば情報を得ることは難しくなるのでは御座いませぬか?」
「・・・」
確かに情報を得る為に使い潰すことはある。
しかし、それが何だと言う気持ちがあるが・・・
「既に多くの一族がこの仕組みに賛同して御座います」
「な、何と!!」
「何処の何方がと言うのは忍び以外に漏らす事は出来兼ねますし、もしも漏らした者は」
「生かしておかぬか・・・」
「それはご想像にお任せしますが、一度裏切れば信用は底すら打ち破りましょう」
確かに裏切りをそのままにしておけば崩壊するやもしれぬし、信用と言うものは積み上げる物じゃ。
一度でも裏切る様な者が二度目も裏切らないという保証など全く無い。
情報を得たいのなら裏切るなと言うことでもあろう。
しかし、私の様な策士にはこの仕組みは有り難い。
お金は「情報網」と言うた。
まさに網の目の様に情報を格子状に何処からでも得られる仕組みなのやもしれぬ。
丸目四位蔵人様かその周辺にこの仕組みを考えた者がいる。
いや、多分は丸目四位蔵人様の考案であろう・・・藤吉郎様に授けたと言う策も見事であった。
末恐ろしいと思うが、今仕えておる藤吉郎様と仲の良い御仁である。
今日の面会でその仲の良さをまざまざと知った。
この繋がりは大きい物じゃ。
何時の日か藤吉郎様の大きな助けになる様なそんな予感すらある。
実に楽しみなことよと一人ほくそ笑んだ。
〇~~~~~~〇
やっと主人公が秀吉を認知しました!!
これから関わりも増える事となると思います。
さて、八ツ橋・・・竹中半兵衛
ご存じ「今孔明」様です。
黒田官兵衛と合わせて「両兵衛」「二兵衛」と呼ばれました。
しかし、竹中半兵衛は軍功に関する逸話や美談の多くは後世の創作によるもので、史実上の実像が不明瞭な人物であるなどと言われます。
作中ではエリートビジネスマンと評しましたが、「太閤記」等には「その容貌、婦人の如し」的な事が書いてあるようで、体が弱く見た目は
逸話も多い人物ですが先に述べた様に後世の創作も多い為、本当かどうかは不明ですが、中国攻めの陣中で病死する際に、秀吉は京で養生するよう勧めたそうです。
しかし、竹中半兵衛は「陣中で死ぬ事こそ武士の本望」と断ったとされるそうですからこの当時の武士の常識なのか半兵衛の心構えかは分かりませんが、漢気に溢れますね~
それに、「今孔明」と呼ばれるようになった出来事である稲葉山城の城落としより、私的には黒田官兵衛が敵城に捕らわれた際の話の方が秀逸だと感じております。
信長に謀反を起こした荒木村重の説得に彼の居城に赴いた黒田官兵衛は城内で捕縛・監禁され外部との連絡を断たれたそうです。
信長は黒田官兵衛が荒木村重に加担したと思い込み、彼の嫡男である松寿丸(黒田長政)の殺害を秀吉に命じたそうです。
この時、竹中半兵衛は信長の首実検に際し、秀吉に偽の首を提出させ、松寿丸の命を助け、松寿丸は自身の領地に引き取り匿ったそうです。
後に助け出された黒田官兵衛はこのことを大変感謝し、竹中家の家紋を貰い受けたそうです。
秀吉の直臣では無くて与力として信長から派遣されているのによくやるな~と思いつつも、この出来事が後の秀吉の大きな助けになるのですから間違いなく竹中半兵衛は秀吉の第一の功臣だと思いますね~
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