第178話
宗さん・天さんは羽毛布団を将軍様(足利義昭)と信長に先ず献上することにしたそうだ。
俺達が天子様に献上することを話したら宗さん・天さんもその後に献上予定とのことである。
堺で旧交を温めた後は京に向かった。
京の滞在先は山科様のお屋敷だ。
門番は「お帰りなさいませ」と言い顔パスだったよ。
事前に手紙で知らせていたので山科様も屋敷に居たよ。
「長、久しいな」
「はい、肥後大平神社の式典以来ですね」
「主上も首を長くしてお待ちじゃったぞ」
何でも堺で茶の湯の天下三宗匠がその価値を認めた布団と言うことで既に話題と言う。
天子様に献上し、将軍様(足利義昭)と信長に献上後に争奪戦が起こるのではないかと既に各界隈で噂されていると言う。
大げさだな~とか思うが、まぁ高値で売れるってことは仕入れてくれた
まぁ俺の面目なんて机の上の
欲しいから入手を依頼しただけで、もしなかったら作るのは大変だったよ。
羽毛布団無いとかだったら真綿か木綿の掛け布団も検討したかもね~
この戦国時代に来て不満の一つが布団だったんだよね~
何この薄さ?と思える位のペラペラで、畳の上で寝られれれば最上とか・・・腰痛くなるし、肩もガチガチで、朝起きた時に「よっこらしょ」って言わないと起きれない程に体がカチコチ・・・
最初にやったのが布に藁詰めて藁の敷布団作ってのは懐かしい思い出だよ。
庶民は床で横になるとかデフォらしいからね~前世では羽毛布団にポケットコイルのマット使ってたからね~
おっと、戦国時代では前世の常識非常識だし、まぁ郷に入りては郷に従えとは言うけど、慣れるまでは辛かったよ。
「丸目四位蔵人殿、莉里皇女様、面を上げられよ。天子様が直答をお許しで御座います」
「はっ!!」「はい」
何故か参内して天子様の御前。
山科様に宅配を頼もうとしたら怒られました。
用意万端とばかりにお金が用意していた参内用の衣装にお着替えして今の状態。
莉里も十二単です。
日頃では絶対に見ない姿に見惚れてしまい抱き寄せて「莉里、綺麗だ」と言ったら、莉里が顔を赤らめる。
控えていたお金に「ん、んん!!」て咳払いされて急げとは言わないけど怒られた感じだよ。
まぁ急ぎ参内することとなったけど、偉い人に会うことってこんなに簡単なの?通常はもっと日数掛かって待たされると思っていたんだけどね~
山科様曰く、天子様のたってのご要望とのことだ。
早く用事が済んで良い事ではあるんだけど、本当にフットワークが良いよね。
山科様に「朝廷は迅速で素晴らしいですね」って言ったら目を逸らされた。
うん、やっぱり今回が特例らしい。
「これが例の羽毛布団であるか?」
「はい、水鳥の羽が詰められており軽くて暖かい布団に御座います」
「ほう!この様に厚みがあるのに軽いと?」
「はい」
莉里(義理の娘)の婿と言うことで
天子様は羽毛布団を両手で抱えられて「なんと!本当に軽い!!」と驚かれている。
天子様は早速使いたいと言われて、一時会見中断で天子様は寝所に向われた。
俺と莉里はその間待つが、中々戻って来られない・・・
「四位蔵人様、莉里皇女様・・・天子様は安らかに御休みでして・・・」
天子様は気持ち良さそうにお眠りになっているそうなので今回は会見終了!!退所させて頂く事と成った。
後日、天子様より今回の件の詫び状が届く事と成る。
うん、完全に寝落ちする程に気持ちよく気に入った様で、詫び状には羽毛布団の素晴らしさがコンコンと綴られていた。
天子様は「桃源郷で眠るが如く」と表現された。
そして、合わせて皇后様よりも礼状が届く事と成る。
返書に博多の神屋との合同で献上したことを付け加えたので、後日、神屋にも勅使が行き礼状を渡しに行くと言う。
紹さんたち驚くだろうね~まぁ家宝が出来て良かったとか、羽毛布団に箔が付いたとでも思ってもらおう。
天子様と皇后様のお喜び様を山科様より聞いたが、山科様も布団渡して愛用しているが、山科様も「雲に包まれた心地」と表現されたが、今の所、俺が聞いた中で一番詩的で良い表現だと思ったよ。
でも、皆大げさだな~とか思ってしまうんだけど・・・ウォーターベッドとか、低反発マットレスとかポケットコイルのマットなんか作ったら何て言うかな?・・・そんなことを考えたが、技術的に無理そうだ。
俺は寝具職人でもないので作るとか無理!!
簡単に作れそうで今無い物を作るのが先の山だ。
お!そう言えば、あれがまだ不満だった!!
更なる寝具革命を行う事となったのはまた別の話。
★~~~~~~★
上様(足利義昭)と儂にと献上された。
先に天子様に丸目四位蔵人殿が献上したと言うが、天子様は試にと使ってみたところ、余りにも気持ちよくてそのままお眠りになってしまった程の物だと言う。
儂も早速使ってみたいが、寝てしまうと今日の政務が滞る為、夜までの我慢じゃ。
「さて、寝るとするか」
寝所に向かうと何時もの布団・・・
「誰ぞある!!」
「御用でしょうか?」
「ああ、何時ものままの様であるが?」
「そ、それが・・・」
「よい、申せ」
「はい・・・実は・・・」
何でも興味を持った帰蝶が昼間に試し、そのまま自分の寝所に持ち込んでしまったと言う。
ぐぬぬぬぬぬ~楽しみにしていただけに残念ではあるが、帰蝶に文句を言うなど儂はしたくない。
では、如何すべきか・・・答えは一つだ。
「帰蝶の下に向かう!!」
「では先触れを」
「頼む」
何時以来であろうか、帰蝶と共に寝屋を共にするのは。
帰蝶も「あ、しまった」と言う様な顔を一瞬して、何もなかった様に笑顔で「ほほほほほ~上総介様にお返しするのをつい忘れておりましたわ~」と言うが、儂も使って見て解る。
帰蝶は忘れていたのではない!!
儂もこの快楽を知った後に返すなど考えにも及ばぬ。
次の日、儂は起きると直ぐに今井にこの寝具の注文をする。
出来れば最低でも10枚以上は欲しいと思うたが、1枚で城が出来るのでは?と思う金額で驚いた。
今は金が他で要る・・・
しかし、我慢出来ずに6枚だけは何とか2人に頼み込み確保できた。
まさか寝具程度で商人に頭を下げることになるとは思わなんだ。
それに、茶堂として今井・津田・千の3名に輪番として儂に着く様にしておいたことが功を奏した。
もしも、かの者たちを任じておらず、今井を岐阜に伴っていなければ・・・買い逃しておったやも知れぬ。
いや、存在すら遅れて知る事となったと思われる。
今井は直ぐに津田にも連絡してくれた様で、数日中に全て届けることを約束してくれた。
一枚は帰蝶にもう一枚は嫡男の奇妙に、残るは4枚・・・姉川での朝倉・浅井の戦いでは竹千代(徳川家康)の所に世話になったな・・・竹千代の所は侮れぬ、ここは一つ友好の標しとして贈ってみるか。
ふむ、これは褒美としても使えそうじゃが、高い物よ・・・しかし、その金子以上の価値はある。
これを貰った者の忠誠心は鰻上りになるであろうことは使った儂本人が理解しておる。
残るは3枚・・・もっと欲しいが今はこれ以上の入手は難しいかもしれぬでまた仕入れたら直ぐに声を掛ける様にと今井・津田に申し付けておこう。
それにしても・・・これを使った後にこれ以外で寝れようか?・・・無理であろう。
地獄の業火に焼かれようともこれだけは手放すことは難しいのではないかとすら今は思う。
〇~~~~~~〇
寝具革命!!
さて、次は何が飛び出すか!!
今回は
この時期の信長は40歳手前です。
正妻の奥さんは斎藤道三の娘、帰蝶です。
道三が当時居城としていた
安土城に移り住んだ後は
これも諸説あります。
総見院で於鍋の方(信長の側室の一人で嫁の中でも上位の者)の隣に葬られた養華院が、信長の妻の1人として葬られていることは確かですあるようですが、それが濃姫であると断定は出来ていないようですが、濃姫ではないかと言われています。
濃姫と信長との間には子が出来ておりません。
そして、織田家の公式な行事などを記した史料にはこれまた濃姫が登場していないらしく、病気など何らかの理由で死んだ為だと考える説もあります。
濃姫が本能寺の変の際に薙刀を振るって信長とともに戦って戦死する場面がよく色々な読み物で描かれることがありますが、これは創作と言われています。
勿論、現在の段階では生存説が最も有力です。
1583年に信長公夫人主催で一周忌を執り行ったという当時の記録があるそうで、羽柴秀吉主催とは別で、於鍋の方や他の嫁たちとは別人の様なので濃姫主催ではないかと言われています。
本能寺の変以降も生存していた説として、信長の次男の織田信雄が編纂命令したと言われる資料があります。
1587年前後に「織田信雄分限帳」と言うその編纂された資料には家族や家臣団の構成をまとめた内容で、その中に「あつち殿」と言う女性が登場するそうです。
その資料の記載で、「あつち殿」は600貫文の知行を与えられており、女性としては御内様(信雄正室)、岡崎殿(徳姫、信雄の実妹)に続く3番目に記載され、その次が大方殿様(信長生母・土田御前)と言われています。
順番から考えると濃姫以外に無いのではないかと言われています。
N〇Kの大河ドラマ『信〇』で、濃姫が78歳まで生き、天寿を全うした様に放送したようですが、これ従来説と大きく違うのですが、あり得そうなのが中々に興味深いです。
中々にミステリーな女性で興味に絶えませんね。
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