第174話
子供が多くなると賑やかだ!!
俺も一気に5人の子持ちとなったのであるが、赤ん坊と言っても個性はそれぞれで面白い。
春麗の双子は割と大人しい様で、静かに寝ていることが多い様だ。
羽(羽長)と利(利長)の2人は兎に角元気だ。
しかし、元気であるがこれも個性があり、羽は手足をばたつかせるのに対し、利は「キャッキャ」と笑うことが多いようだ。
赤ん坊なので直ぐに燃料切れして寝てしまうが、兎にも角にも元気だ。
そんな最中、トーレスさんが訪ねて来た。
「トーレスさんいらっしゃい」
「蔵人さん、今日は例の物をお持ちしました」
「例のもの?」
「はい、急ぎ取り寄せたのですが、他にも色々な物をお持ちしましたので、ご確認ください」
「はい・・・?」
「あ~忘れておられる?」
「実は何のことか覚えていません・・・」
聞けばオルガさん(オルガンティーノ)と何やら俺が酔っぱらっている時に何か約束したとのことである。
約束の内容としては、ピザを俺がご馳走すると言う話で、代わりに色々とオルガさんたちが手配すると言うことだそうだ・・・覚えていない・・・
持ち込まれたのは数種類の植物の苗木で、一つは間違いなくトマトなのは解るが、他は・・・これ、サツマイモ様では?そして、これはジャガイモ?それから、ひまわりの種?かぼちゃの種?・・・他はよく解らないが、トマトが実って収穫する前までにはチーズも用意するという事である・・・うは~彼らの本気度が怖いよ。
用件が終わると「私も楽しみにしています」と言って颯爽とトーレスさんは教会に戻って行った。
期待に応える自信は今の所無し!!うん、威張る事じゃなかったな。
前世でピザなんてピザ屋に宅配頼むかレンチン(電子レンジで温める)する物だと理解している俺に1からピザ作れと?・・・俺、剣豪・・・いや、最近は自分でも俺は何者と思うことはある・・・いや、俺、剣豪!!考えてみればほんの最近まで剣術指南してたわ~
それにしても、ピザ作るなら石窯必要?
石窯とか作ったことないぞ・・・あ~貰った苗木とか種とかも育ててみないとな・・・
俺、酔った勢いで他に何かとんでもないこと言っていないかが不安になる。
その時、多分、近くに居たであろう長門守に聞いてみると、ワインも作ると言っていたそうだ。
ワインを作る為に奴隷を購入するので手配して欲しいと話していたらしいので、その内そちらも連れて来るだろうとのことだ。
うん、ワインとピザいいね~食べるだけなら・・・
何だか忙しい事となる予感がする、いや、予感ではなく目の前に忙しくなると思える現物が・・・
取り合えず、丸目家の農業部門にぶん投げて試験作付けを依頼した。
この丸目家の農業部門は俺が実験的に農業のことを任せようと思い立ちあげた部門で、元農家の人々で構成される。
え?小作人と違うのかって?
ははははは~稲の品種改良とかさせているから多分違うと思うぞ。
稲の品種改良はTVで何かやってたの見てたからある程度はこういう風に試して~てことでぶん投げたが・・・今の所は成果らしい成果は上がっていないが、そんな感じで思い付きで立ち上げた部門だ。
うん、今思うぞ、俺の鮮やかな慧眼のなせる業!!
え?単に食い詰めて離散した農家さんと知り合って同情しただけだろうって?・・・いや、俺の慧眼です!!
子供が「お腹すいた~」って言って可愛そうになったんだろうって?・・・俺の慧眼・・・です・・・
「
「お~これはこれは、蔵人様、何か御用ですか?」
この吉助さんはその食い詰めた農家さんのお父さん。
他にも居るけどこの人をリーダーとしてこの試験場を任せている。
まぁ試験場言ってもただの田圃と畑だけどな。
「ほ~外つ国の野菜ですか・・・」
「そう・・・何か貰っちゃって・・・」
「試に作ってみますが、如何言ったもので?」
「一つは赤い実がなると思う。他は・・・よく解らん・・・」
「まぁ育ててみますので、経過を報告させて頂きます」
「よろしく~」
うし!これで野菜は万全だ!!
え?人任さだな~って?ははははは~俺剣豪!!え?それは聞いたって?・・・
さて、次だ次!!
「
「あ!蔵人様、いらっしゃいませ」
「相変らず硬いな~昔は長さん長さん呼んでたじゃん」
「う~親父に怒られますから・・・」
この人は金之助と言う神屋の出先機関のこの切野原村に商店を任された人物で、金蔵(5話目から登場、神屋の番頭)の息子さんである。
大抜擢でここの出張所的なお店を任されたから張り切っているんだよね~
金蔵の功績が大きいのでご褒美人事だと思うけど、この金之助も小さい頃から神屋で働く言わば将来の幹部候補生だったので、少し出世が早まった?的な感じだ。
俺と金蔵の関係からも選ばれた感は否めない。
紹さんもここを大いに利用する予定の様で、茶室とか内風呂の温泉とか色々作っているよ。
By俺の提案なんだけどね~
「まぁ金蔵は俺を「蔵人様」と神屋では唯一呼ぶからな~」
「そうなんですよ・・・まぁ蔵人様は官位持ちで偉い人ってのはあるので、呼び方に違和感は無いんですけどね~」
「そうか?まぁいいや」
「それで今日はどの様な御用で?」
俺は石窯の手配をした。
よく解らないことは誰かにぶん投げるのが一番だ。
しかし、逆に「それはどの様な物で?」と聞かれたので、説明したけど分かるかな?
場合によっては石窯作れる奴隷買う?
俺もこの時代に慣れたものだな~と思う。
前世だったら奴隷を忌避してたかもね~まぁ従業員を雇う感覚で買っている感あるかも?
特に虐待とか考えてないしね!!
と言っても、今の所は奴隷は元奴隷の妻や義妹だけではあるけどね~
近い内に色々と技術ある
★~~~~~~★
※ポルトガル語で話してます。
トーレスが教会に戻ると熱心に研究中のオルガンティーノに声を掛ける。
「蔵人さんに渡してきましたよ」
「助かりました」
「自分で行かなくて良かったのですか?」
「今、研究に集中したくて頼んだのですが、迷惑でしたか?」
「いえ、蔵人さんと会うのは楽しいですし、構いませんよ」
「そうですね~次は私が行くとしましょうか」
「それが良いでしょうね」
オルガンティーノは日本語の更なる習得と共に法華経について研究していた。
現地での別の宗教を研究することは自分たちの教えを広める為には必要なことである為、熱心に研究をしており、声を掛けなければ寝食すら忘れる熱の入れようである。
「この国の都に向う前に研究し尽くしておかなければなりませんしね」
「ははははは~そうですね、しかし、ちゃんと食事と睡眠はとるようにしてくださいね」
「ど、努力します」
トーレスはこの国の気質を高く評価した人物である。
同じく、オルガンティーノも多くのこの国の人々に触れ、トーレスと同じように高く評価した。
オルガンティーノは孫氏の兵法ではないが、この国で流行っている宗教を学ぶことで如何に自分たちの教えをこの国で広めるかを模索していた。
これはトーレスやオルガンティーノたち、適応主義者と呼ばれる者たちに多く見られる傾向である。
それに対し、フランシスコ・カブラルは入国すると殆ど直ぐと行っていい程に早い段階から京に向い、宣教を開始したが、ヨーロッパ中心主義の考えを持つカブラルの成果はあまり上がらなかった。
理由としての1つは、勿論、その傲慢な性格による所が大きいのではあるが、カブラルの恰好が大きく影響したと言われている。
キリスト教のイエズス会の者たちは「清貧」を好んだ。
「清貧の精神」と言えば聞こえは良いが、簡単に言えばみすぼらしい格好だ。
そして、ここ日本の気候の温厚多湿の影響でカブラルは臭った。
みすぼらしいぼろを着た汗臭い者が訪ねてくれば・・・
その影響は面会の際に門前払いをされる程には出ていた。
しかし、日本の文化に合わせようとしない彼は悉く門前払いを食らう羽目となったが、本人に改善しようと言う意思は無い様だ。
〇~~~~~~〇
石窯のうんちく行っちゃいましょう!!
さて、石窯は煉瓦(耐火性)、コンクリート、岩石、粘土、等で作られます。
オーブンの原型で、空間で調理する
薪火の石窯は欧米で「ローマ」などと呼ばれたそうですから、古くからあったのは間違いありません。
この「ローマ」と言うのは共和制のローマを指します。
「ローマ帝国」は古いのですが、共和制のローマは18世紀に誕生した国家です。
ローマのややこしいのは、19世紀にまた同じく「ローマ共和国」が樹立します。
その為、18世紀誕生の共和制のローマを「古代ローマ共和国」と呼びます。
実にややこしいですね~世界史覚える受験生は注意!!
さて、更にややこしい事を言います。
ローマ帝国の帝政が開始前に共和制のローマがありました。
このローマを「共和政ローマ」と呼びます。
紀元前509年の王政打倒から紀元前27年の帝政の開始までの期間のことを言います。
因みに、この共和政ローマとローマ帝国の時代を合わせて古代ローマと呼びます。
ローマ、ローマ言って頭こんがらがりそうですね~さて、話を戻します。
最初に言った石窯の呼び名の「ローマ」は共和政ローマのことを指しそう呼ばれました。
石窯はそんなに古い時代から使われていた様で、伝統ある調理道具なのです!!
この時代は煙で窯の天井に煤が付くことで真っ黒になる事から「ブラックオーブン」などとも呼ばれました。
石窯の
ピザを焼く予定なので、ピザストーンと言う窯の中にコンクリートの床を設けます。
イメージ的には前面に出し入れ口がある設計の石窯でこのピザストーンがある感じに作られると思いますが、細かい色々を入れると奥深いので本編は色々暈すと思いますので宜しくです!!(いや、多分、すっ飛ばしてピザ窯出来て速攻ピザ焼くことに・・・)
次回はまだまだ赤ん坊たちの話!!
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