第173話

羽長はねながのお披露目!!

と言ってももう既に皆は見ているけどね~

例の如く、父母が陥落した。

うん、子より孫が可愛いと言うしな~


「里子の妹?」

「いや、弟だ」

「う~しっぽとお耳が無いのか・・・」

「ソウダネ~」


里子は自分にきょうだいが出来た事は嬉しいけど、やはり妹の尻尾と耳をモフリたかった模様。

誰か普通の人間には尻尾と耳が無いことを教えてやってくれよ。

皆と目が合うとそっぽ向かれるので、里子に教えるのを俺と同じで躊躇って今の結果なのだろう。

それはそれとして、里子もはねを見て「かわい~」と言っている。

うん、里子も可愛いぞ!!

さて、数日すると今度は春麗が産気付いた。


ウロ、ウロ、ウロ・・・ウロ、ウロ、ウロ・・・ウロ、ウロ、ウロ・・・ウロ、ウロ、ウロ・・・


「長様・・・」

「あ・・・鬱陶しいな・・・木刀振って来る」


ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・(以下略)


どれ程の時間、木刀を振っていたのだろうか?

弓ちゃんが「おめでとうございます!!お生まれになりました!!」と報告来るまで一心不乱に振ってたよ。

何だかデジャブだ。

汗だくだったので湯浴みをして着替えてから急ぎ向う。

聞けば待っている間に莉里も産気付いたそうで、2人とも出産を終えていた。

春麗が双子(男女)を出産し、莉里が男の子を出産していたよ。

さて、名前を決めねばなるまい・・・

春麗の子供の男の子の方を春長はるながはると言う愛称で呼ぼう!!

そして、女の子の方が麗華れいかと名付けた。

莉里の方は「莉」と言う字の読みは「ち、れい、り、らい」だったな・・・長付けると語呂が悪い。

「莉」の字は女の子に付けることが多い字だ。

さて、どうしたものか・・・頑張って考えたよ!!

草冠を外して利長としながとして愛称はとしとした。


「あれ?・・・」

「尻尾と耳か?」

「うん・・・妹にしっぽもお耳も無い・・・」

「ソウダナ・・・」

「でも!かわいい!!」

「おう!可愛いな~」


やはり皆何故かこの話題になると俺と目を合わせない。

俺も里子が事実を知り悲しむ姿は見たくないので、もう少し大きくなれば里子も人間には通常は尻尾も耳も無いことを自ずと理解するだろうことを期待しよう。

父母は今回も大喜びだ。

特に母は大喜びで「私も子育て手伝いますからね~♪」とご機嫌で嫁たちに言っている。

うん、嫁舅戦争が無くてホッとするよ。

「あなた、もう一人どうですか?」と弓ちゃんが小声で長門守に言っている・・・聞こえちゃったよ。

珍しく長門守が顔を真っ赤にして「考えておく」と返事してる。

うん、確か弓ちゃんは40てま・・・何も考えてないよ~本当だよ~年齢のことなど・・・うん!何でもないよ~

長門守よ、もう一人位頑張っても大丈夫だと思うよ。

弓ちゃん美魔女で年齢不詳だし、まだまだ若いからね~

さて、我が家は一気に子供が増えて賑やかな事となった。

産まれた順で長女:里子、長男:羽長はねなが(羽)、次女:麗華れいか、次男:利長としなが(利)、三男:春長はるなが(春)となる。

丸目家は男の子は愛称呼びなのだ、伝統だ!!知らんけど。

里子が名呼びなので、女の子は普通に名で呼ぶ事とした。

うん!皆可愛いね~何か自分の子供見るとついつい似ている部分探しちゃうよね~

何となく目元が・・・いや、口元が・・・耳元が・・・いや鼻が・・・

何か俺のDNA負けてる?・・・いや、母親似の可愛い子供たちである。

一気に子ども増えたし、父ちゃん頑張って稼ぎまくるからね!!

しかし、丸目蔵人は元から金に無頓着な為、商人たちに融資している金がどんどん増えて行って、自分の知らない間に自分自身がどれ位の金持ちなのか理解する間もなくどんどん増えて行っていることをまだ知らない。

この場で実状を知っているのは藤林夫婦と莉里位なのだが・・・


★~~~~~~★


輸入仕入れする物を聞いたら羽毛布団寝具を提案して来る長さん。

父も感心している。

盲点だった!!


「貞清」

「何ですか?」

「盲点であったな」

「はい、正直言ってしまえば硝石とかを提案されると思っておりました」

「儂もじゃ・・・長さんは羽毛布団と言っておったな?」

「はい、羽毛と言うことは鳥の羽でしょうか?」

「恐らくは鳥の羽を詰めた物なのであろう」

「真綿の物も言ってましたね」

「真綿の物は既にあるからそちらは問題ないが・・・伴天連の者にでも聞いてみるか?」

「そうですね、確認してみないといけませんね」


神屋は西洋の商人やキリスト教の者などに聞き、羽毛布団が存在することを確認した。

西洋・北欧諸国では値の張る品物であるという事で、試にと最初に50枚の羽毛布団が国内に持ち込まれることとなる。

20組(羽毛布団と真綿の敷布団)は丸目蔵人の手元に行くのであるが、それ以外の羽毛布団は信じられない程の高値が付くこととなる。

西欧・北欧諸国でも富裕な王侯貴族が利用する寝具で、「羽毛布団で寝る」=「贅を尽くす」とまで言われる品物だ。

仕入れ値もさることながら、日本国内では布団1枚で城が建つのではないか?と言われる程の価値を生んだ。

羽毛布団を所有するという事はある種の成功者のステイタスとして見られるようになるのはもう少し先の話。


★~~~~~~★


一気に子供が増えました!!

さて、羽毛布団の話は既にしましたが、歴史ではなく他の部分で掘り下げてみましょう。

羽毛布団な中に入れられる羽毛ですが、グースとダックの2種類がよく見かける物となります。

グースとはガチョウのこと、ダックとはアヒルのことをいいます。

一般的に、ダックよりもグースのほうが高品質とされています。

グースの方が量が取れないので高級品となりますが、それ以外にも理由があり、グースの方が身体が大きいためダウンボールも大きくなるから原料ベースで比較した場合、約2倍の価格差となるほどの差が付きます。

現代でこれですから戦国時代とかだとどの位の価格差が出る事やら。

もう一つ羽毛布団で注意点はダウン(羽毛)とフェザー(羽根)の比率です。

水鳥などの胸の部分のふわふわの部分をダウン(羽毛)と言います。

他の部分はフェザー(羽根)となります。

ダウンは、保湿性に優れている為、ふんわりと温かく、安らかな睡眠をサポートしてくれると言われています。

一方のフェザーは吸湿性と放湿性に優れており、布団の中がジメジメ蒸れることが少ないとされています。

ダウンの比率が高くなるほどふわふわ感と温かさはアップしますから、それに比例して値段も上がります。

実はこれダウンジャケットにも言えることで、高級な物ほどダウンの比率が高いのですが、ダウンとフェザーの黄金比と言う物があります。

ダウン90%、フェザー10%、が黄金比率と言われています。

何故ダウンが高いのか説明するまでも無いと思いますが念の為!

ダウンは先に述べた様に水鳥などの胸の部分のふわふわの部分でフェザーより量が取れません。

そして、ふわふわであれば空気を含みますから温かくなるので防寒と言う意味合いでは優先順位ではダウンが上となります。

羽毛布団、ダウンジャケットなんかもこの比率を見て買うと失敗が少ないようですが、現代は有名メーカーの物を買えばそもそも問題無いですね~高いかもですが。

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