第172話

何時もお読み頂き感謝!!

近況ノートでこの作品の今後など少し書いております。

興味のある方は是非とも足をお運び頂けると幸いです。


近況ノート『4月終盤~5月頭の予定!!(少しネタバレあり)』


https://kakuyomu.jp/users/221t2/news/16818093076115694803


◇~~~~~~◇


博多を発ち現在の我が住み家たる切野原村に辿り着く。

は~やっぱりホームと思うとなんだか落ち着く。

会う人会う人が「蔵人様!お帰りなさいませ!!」と元気よく挨拶してくれる。

家に戻り落ち着くと、多くの書簡が溜まっていた。

書簡を開き確認していくと全国の色々な出来事を確認できる。

大きい出来事としては織田信長が浅井長政・朝倉義景と去年終わり位に和睦したそうだ。

あ~どうせまた対立して戦うんだろうな~遠い目をしていると、興味を持った藤林夫婦が聞いて来る。


「蔵人様?何か興味ある出来事でもありました?」

「あ~織田と浅井・朝倉の和睦なんだけどね~一時凌ぎだろうね~」

「蔵人様はそう予想されますか?」


前田又左衛門(利家)さんは家に信長の名代で来て、向こうに帰った後に今話している浅井・朝倉との戦いで手柄首を取ったとのことでお社にお礼の献金が直ぐに送られて来た、序に俺にもそれらのことについての文を送って来た。

多分、これは姉川の戦いだろう。


「織田は比叡山を焼き討ちするんじゃないかな~」

「なんと!!」「まさか!!」


夫婦がそれぞれ驚くけど、歴史の強制力なのか知らんけど中々侮れないだよね~

俺は検証も兼ねて試していることがあるが、必ず起こる事で事実が変わるかを検証している。

え?そんな素振り全く見せていないだろうと?・・・いや、色々試しているのは試しているよ。

さて、今はそれは置いておき。

俺が関与していない部分は少しの日時の前後はあるものの事件は起こる。

と言うことは比叡山焼き討ちは起こるとみている。

関与しても防げない物もあるようだしな。


「織田と言うより天下統一を目指す場合、叡山と石山は少し邪魔だよね~」

「そのような・・・」


情報集積していると見えて来るのだろう?

現に何となく2人とも感じていると思うからまさかと思いつつもあり得ると思っている風だ。


「比叡山は金貸しで富を得ている」


2人ともそれだけで何か察したようだ。

勿論、金貸しをするのは比叡山だけではなく多くの寺社仏閣が行っている。

しかし、比叡山は他とは規模が違う、そして、土地を担保にしているからその土地を・・・要はやり過ぎたのだ。

それに、比叡山は政治にも普通に口出しするし為政者にとって本当に邪魔な存在でしかない。

石山も一向一揆等の民衆扇動をしたりと為政者でも天下統一を目指す様な者にとっては邪魔になるからその力を削ごうとするだろう。

前世の史実と違い、顕如が居ないことがどう影響するのか見物ではあるが、殆ど変わらない様な気もする。

顕如一人でどうこう変わるなら苦労は無いよ。

まぁ脳筋剣豪の俺の予想など当たるかどうかなど知らんけどな。

お弓ちゃんは何やら色々考えているようだ。

さて、次の書簡を開くと、残念なお知らせが舞い込んで来た。

塚原卜伝の死去。

少しの邂逅ではあったが色々と話したし、俺にとってはまた会いたい人物であった。

天寿をまっとうされたであろうから仕方ない・・・ご冥福を祈った。

あの爺さんなら天国よりヴァルハラの方に行きたがるだろうな~

あそこなら戦う相手にも事欠かないだろうし、あの爺さんなら嬉々として英霊たちと死後を楽しみそうだ。

さて、他の書簡を開くと家さん(徳川家康)が上杉謙信と同盟を結んだそうだ。

家さんは精力的に動いているようだね~将来の天下人、頑張れ!!

世の中は動いている。

それから2カ月ほどすると毛利元就の死去を隆さん(小早川隆景)が伝えて来た。

それから少しして、島津貴久の死去を藤林の情報網が伝えて来た。

そう言えばこの年はもう一人の巨人、北条氏康も亡くなるんじゃなかったか?

知り合いがどんどんとなくなって行くのは実に寂しいものだ。

お弓ちゃんに氏康さんの様子を聞いた。


「北条太清軒殿(北条氏康)の様子は何か知ってる?」

「はい、中風ちゅうぶの様で、呂律が回らず、周りの者の見分けがつかなくなり、意思の疎通も大分難しくなってきたようで、武田信玄公のことなどを話しても「それは誰だ」と聞く始末だそうでして・・・」

「あ~年内かな・・・」

「それは・・・承りました、心に留めておきます」


あの鋭い相模の獅子さんも中風でボケなども併発してしまい・・・見る影もなさそうだ・・・

関東に行った時に実にSSR武将は恐ろしいものだと思ったが病気や老いはやはり怖いな。

さて、暗い話題を置いておき、美羽が仙術を一気に開花させた。

妊娠中なのによくやるな~と思ったが、本人は幸運であったと言う。

安産祈願を兼ねて運動がてらにお社にお参りしていた際に、優婆塞うばそくと言う名前を名乗る天狗様にあったそうだ。

その天狗様は同族だからと言って天狗の仙術の初歩を手解きしてくれたそうで、その初歩の技を見せてくれた。

精神統一し背中に気を集めると羽が生えると言う。

実際見せて貰ったが、黒い翼が背中に生えた!!

生えた?厳密に言えば、羽が現れた?

体から生えたと言うより体の表面、服の上から羽がくっ付いている様な状態?

羽を触ろうとするが触れないので何か俺には解らない謎の力なのだろうと言うことだけは理解できる。

それって何も解らないと言うことでは?だと!!・・・その通りだ。

俺に理解しろとか無理言うなよ。

解らんものは解らん!!

現段階では飛ぶ事は出来ないが、この羽を出現させると仙術の軽身功の様な効果を得られるそうだ。

最終的には空を自由に飛べるようになると言うから羨ましい。

千代に「飛べるか?」って聞いたら「飛ぶのと同じような事は出来るのじゃが、厳密に言えば空中に留まったり移動しているだけなのじゃ」とのことだ。

うん、今の段階ではよく解らん!!

天狗の使う仙術は飛ぶことに特化した物らしいので初期段階から空を自由に飛べるようになるらしい。

「そ~ら~を自由に飛びたいな~♪はい!天狗の羽!!」て具合には上手く行かんがな・・・

美羽は飛ぶと言うよりまだ軽身効で跳ねる様な感じしか出来ないそうなので、出産後に修行頑張るそうだ。

そうこうしていると美羽が最初に産気づいた。


ウロ、ウロ、ウロ・・・ウロ、ウロ、ウロ・・・ウロ、ウロ、ウロ・・・ウロ、ウロ、ウロ・・・


「長様・・・目障り・・・」

「おう、すまん・・・」


出産部屋は男子禁制で俺の入場は拒まれた。

近くで応援したかったが仕方ない。

俺は別室で産まれるのを待っているのであるが、落ち着かない。

春麗に目障りと言われるが落ち着かずにまたウロウロしてしまう。


ウロ、ウロ、ウロ・・・ウロ、ウロ、ウロ・・・ウロ、ウロ、ウロ・・・ウロ、ウロ、ウロ・・・


「長様・・・木刀でも振って来られては?」

「莉里・・・振って来る」


莉里にも怒られちゃいました・・・まぁ木刀振って気を紛らわせよう。


ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・ブン、ブン、ブン・・・(以下略)


どれ程の時間、木刀を振っていたのだろうか?

弓ちゃんが「おめでとうございます!!ご長男がお生まれになりました!!」と報告来るまで一心不乱に振ってたよ。

慌てて美羽の下に向おうとしたが、汗だくだったので湯浴みをして着替えてから急ぎ向う。


「美羽!!おめでとう!!」

「ふふふふふ~長様もおめでとうございます」

「ああ、そうだった!俺の子か!!それにしても里子の時で慣れたと思うていたけど、慣れないな」

「そうですね。それで名前を付けて頂けますか?」


俺が付けていいの?とか思ったけど、この時代の価値観としては父親が息子の名を決めるのは普通のことらしい。

さて、何も考えていなかったぞ・・・美羽の子だからここから一字入れたい。

「美」か「羽」だが、男に「美」は無いので「羽」だな。


羽長はねながとしよう」

「ふふふふふ~私と長様の子って感じのお名前で良いですね」

「おう!略してはねと呼ぼう!はね、宜しくな~」

「ダー」

「お!返事した!!」

「赤ん坊ですよ?まだ生まれたばかりなので返事とかしませんよ」

「いや、里子もそうだが羽も天才かもしれぬ!!」


親馬鹿と思うなら思えばいい!!

我が子との対面にまたもや感動した!!

さて、次はどっちが先に出産となるか?


〇~~~~~~〇


今回は東洋医学的な話を致します。

作中で出て来た「中風」とは何か?

本来、中国医学で言うところの中風は風邪かぜを指しますが、戦国時代頃の日本では、現在で言う所の脳血管障害(脳卒中)の後遺症を指してそう呼びました。

症状としては半身不随、片麻痺、言語障害、手足の痺れや麻痺などですが、北条氏康はそれ以外の症状も出ていたようです。

家臣の大石芳綱は、「風聞としてではあるが、呂律が回らず、子供の見分けがつかず、食事は食べたい物を指差すような状態で、意志の疎通が難しく、武田信玄が豆州に出たことも分からないようだった」的な事を記し伝えているそうで、「呂律が回らず」と言うのはまさに中風の症状ですが、ほかは・・・認知症・痴呆症の症状に見受けられます。

さて、中風と付くものには「真中風」「類中風」「卒中風」などと言う種類があるようです。

真中風は風邪かぜ、類中風は熱中症や食中毒、卒中風は脳卒中を指します。

中風は外の風にあたった病ではなく内に生じた風にあたった病とされます。

風と言うのは原因(ウイルスとか気温、乾燥等々)のことで季節に合わない風 = 風邪ふうじゃを体に受けることで病気に罹るとさせました。

外の風と言うのは季節外れに暑かったり寒かったりして体調不良から来るものを指します。

現代では扇風機やクーラーも外の風に該当します。

さて、内に生じた風と言うのは内風ないふうと呼び、体内の変化が原因で発生するものを指します。

基本的に不摂生から起こる物全般は内風ないふうに該当します。

特に中風のようなものは色白、肥満、飲酒などが原因で中年(40歳過ぎ位)を過ぎて気の衰えた頃に発病すると言われています。

厄年は男が42歳、女性が37歳とされておりますが、これは大昔は人生50年の時代なので、大体それ位に大病に罹ったりと厄を得るからとされたようです。

中風はその厄とされる病気の一つですが、食事や運動である程度防げますので適度な運動・適度な食事で病を防ぎましょう!!

因みに適度な運動=少しきつい位の運動(息切れする位の運動を最低60分以上毎日位)、適度な食事=栄養バランスは良いが量的に物足りない位の食事です!!

さて、「上杉謙信との同盟を破棄して武田信玄と同盟を結ぶように」的な事を氏康は遺言として残したとされているが、真偽は不明です。

認知症・痴呆症の症状が出ている者が本当に言えたの?と言う疑問がわきますが、氏康死後、北条・武田は再同盟し、再び上杉謙信との抗争に突入していくので、もし遺言残したなら真逆のことしてますね~北条家・・・

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