第167話
「竜様(近衛前久)、摩利支天様と稲荷神様にお会い出来ましたので、今後如何すべきかを聞いてきましたよ~」
「ほ、本当でおじゃるか?」
「はい、あの酒も千代を助けたお礼とのことでした」
「成程の・・・そうでおじゃったか・・・それで、麿はどの様にすればよいでおじゃると?」
2柱の神に聞いたことをそのまま伝えた。
竜様は少し考えてから俺に礼を言う。
「長よ」
「何でしょう?」
「助かったでおじゃる」
「いえ、某は何もしておりませんし・・・」
「ほほほほほ~長は謙虚でおじゃるの~神の言葉を聞くというのは誰でも出来ることでは無いでおじゃるぞ」
「まぁそうですね~」
「神が自由に動けば運開けると言われたという事を聞けたのは途轍もなく大きいでおじゃる」
竜様は深々と頭を下げ再度感謝の言葉を述べられた。
そして、その件が片付いたので心晴れやかに残りの行事に参加できることを喜ばれた。
次の日には教会の設立の記念式典が行われる。
スポンサーの大村純忠と大友宗麟の名代の戸次道雪さんは勿論参加だ。
俺も参加するのであるが、他にも多くの者がこの式典に参加する。
トーマスさん以外にもキリスト教関係者は多くの者がこの式典に参加するようで、会ったことある人物としてはロレンソ了斎さん、ルイス・フロイスさん、ガスパル・ヴィレラさんの畿内布教チームも来ていた。
他にも有名人が居るのかもしれないが、面識無いから解らん。
あ!そう言えばフランシスコ・ザビエルって居るのかな?
前世の学校の教科書に載った様な河童頭の人は居ないので、居ないようだ・・・うん、残念。
名前は知らんので仮名称として肥後大平山教会とでもしておこうか。
ここの司祭はトーレスさんが初代となると言うことを聞いた。
社の造営時にこの教会施設も取り囲むようにして石垣等が設けられて軍事施設と間違われてもおかしくない程の堅牢な壁で守られた場所となった。
社群は更にその内側にまた石垣が組まれてここより一段高い位置にあるが、ここはそのままそこに教会施設が幾つか作られている。
よく知らんけど、洗礼式等で水に浸かったり、聖水作成に使ったりする為に神社と同じように山の石清水を引いて水場を作ったそうだ。
教会の設立式典が終わると洗礼式が行われるそうだ。
大村純忠は多くの洗礼者を引き連れているし、道雪さんも主君の大友宗麟に言われて連れて来ているそうだ。
少し聞いた話では大友純忠は自分の岳父である長崎
へ~ではあるが、トーマスさんから聖地と聞いてそれを選択したようだ。
道雪さんも連れてきた面々は同じ様な立場の物であろうが、道雪さん自体は仏教徒とのことだから、大友宗麟に名代序に引率して来たのみと飲みの席で言っていた。
大友宗麟もここに来たがっていたが諫めたそうだ・・・道雪さんご苦労様。
さて、式典では讃美歌が歌われたがキリスト教のお経みたいなものだから歌われるとは思ったけど、うん、よく解らん!!
前世は昭和~令和社会の日本人宜しく、仏教に神道のハイブリットでイベントとしてクリスマスやハロウィンすら楽しむ様な感じだった。
今世も親父はこの時代には珍しいグローバルな・・・いや、何でもあり的な価値観の持ち主だ。
キリスト教も特に否定しない価値観の持ち主なので受け入れている訳ではあるが、この儀式に参加して「ほへ~」みたいな顔で儀式を見物していた。
う~む・・・聞いたことも無い曲を歌っているので前世とは違うのかもしれないな・・・キリスト教のことはよく知らないので、見物客として見ているのみだが、前世での讃美歌とはまた違うのか?よく解らん!!
さて、それが終わると聖書の朗読会の様な感じで、トーレスさんが壇上でキリストの言葉を語り出す。
横にいる親父が「きとりすさんは面白い事を言うの~」と言っているが、「きとりす」ではなく「キリスト」な。
長い儀式が終わり、一般客はご退場し今回も宴会だ!!
神社と同じく一般客には餅と振る舞い酒を用意した。
一応はトーレスさんにそれでいいのか確認したがOK出たので神社と同じとした。
宴会に突入するとキリスト教側からも「ワイン」を提供された。
うん、前世で飲んだ物と比べてはいけないけど、知っているから比べちゃうよね~今一なのでその内これも自家生産して美味しいワインを作りたいな。
流石にワインの作り方とか知らんからトーレスさんたちに相談してまた奴隷を買うか~
俺的には奴隷と言うより従業員なんだけどな~
さて、宴会ではトーレスさんよりカブラルと言う人物とオルガンティーノと言う人物を紹介された。
カブラルと言う人物は俺を・・・と言うより日本人を馬鹿にしている風な感じである。
こちらがポルトガル語が解らないと思っているようで見下したこと横のお付きの人物と話している。
うん、俺、ポルトガル語分かるからね~
チラリとトーレスさんを見ると困ったと言う様な顔をしていた。
あ~トーレスさんは俺がポルトガル語を話せること知ってたかな?
まぁ何方でも良いが、今後とも関わりたくない人物であろう。
さて、もう一人のオルガンティーノさんは実に面白い人物だ。
聞けばイタリア人だと言う。
イタリア人は明るく陽気でおしゃべりと言うイメージだったが、イメージ通りのイタリア人で、話の内容も多岐に渡り話題に欠かない。
話序にワインを作りたいと言ったらワイン作りが出来る奴隷を斡旋して頂けることに!!
少し酔っぱらって来てから話していたからか、イタリアと言えばワインにピザにパスタだろうと思い話した。
「へ~オルガさん(オルガンティーノ)はイタリアか~」
「ヘイ、ソウデゴゼマス。ナガサンハシッテイル?」
「おう、知っているよ~気候が良くて食事も美味いよね~」
「オウ!タベモノナニガオイシカッタカ?」
「そうだな~イタリアと言えば」
う~飲みすぎ注意と言われ控えると誓っていたが、飲み始めて止まるなら苦労は無いと言うことだろう。
俺は陽気にその問いに答えた。
「先ずはワイン美味しいよね~」
「ワハハハハ~ナガサンハサケスキ?」
「おう!大好物♪」
「ホカニハホカニハ?」
「う~イタリアと言えばパスタ!!」
「ホ~ナガサンハパスタタベタ?」
「おう!それにピザ美味かったな~」
「ホ~ピザ」
「あの赤いソースに白いチーズに色々な具材を乗せて焼くと言うシンプルなのにあの食欲をそそる彩がたまらん!!」
「アカイソース?ソレハナンノソースデスカ?」
「んん?そんなもんトマトに決まっているだろ?トマト!!」
「トマト・・・」
「あれ?・・・」
「トマトトハドンナモノデスカ?」
「丸くて、赤くて、え~と何だっけ・・・そう!ベラドンナに似ている」
「
「メイラベリラータ?」
「ナガサン、ソレタベルノキケン!!」
「ん?美味しいよ~」
「ドク、キケン」
「毒?毒無いよ~トマト手に入れてくれるなら作るよ~あ!チーズもよろしく~」
★~~~~~~★
「う~きぼち悪い・・・」
「長様・・・」
「美羽・・・すまん、また飲み過ぎた・・・」
例の如く奥さんたちに怒られました。
数日前の誓いは・・・次から守ろう!!
★~~~~~~★
(※ここからはポルトガル語で話していることとします。)
長さんは実に面白い人物であった。
トーレス曰く、「神の言葉を聞く」「ガブリエル様の弟子」等と言っていたが、話してみれば陽気な若者で実に興味深い人物だった。
「オルガンティーノ、長さんはどうでしたか?」
「実に面白い方でした」
「そうでしょう、そうでしょ!!」
「ふはははは~トーレスは我が事の様に誇らし気ですね」
「ふふふふふ~はい、長さんとは良い友人関係で、彼が褒められるとなんだか嬉しくなります」
「そうですか、気持ちは解ります」
「それにしても・・・」
「如何しました?」
「カブラルは実に困った人物ですね・・・」
「何かありましたか?」
「カブラルが長さんの前で見下した言葉で話しておりました・・・」
「カブラルらしいですね・・・でも、それで何が如何したと?」
「長さんはポルトガル語を理解していますよ」
「な、何と!!本当ですか?」
「はい、ガブリエル様より教えて頂いたそうですよ」
「そうですか・・・カブラルはその事を知っているのですか?」
「勿論!!失礼がない様に伝えていたのですが・・・」
「本当に仕方ない方ですね・・・」
カブラルがどうやらやらかしたようだ。
事前にトーレスより色々と聞いていたし、長さんは陽気で気さくな方であるが、この国の中枢で実力者として一目置かれていることも事前情報として教えられていた筈なのに・・・
しかし、幸いなことに奴隷の斡旋や毒リンゴと呼ばれる観賞植物を手配するなどの約束を取り付けた。
ガブリエル様の弟子である長さんと仲良くすることは、私たちにとっても有益なことでしかないというのに、当にカブラルには困ったものだ。
さて、長さんと話していて思ったが、もしかすると私たちの知る物とは別物の物を指してパスタ・ピザと言っているのかもしれない。
色々と手に入れて渡してみるのも面白そうである。
ガブリエル様の英知の一部を知る切っ掛けになるかもしれないとワクワクしてしまう。
さて、先ずは
〇~~~~~~〇
さて、色々と伏線が発生しました!!
ピザ語りたいですが後々出て来るので今回は讃美歌を語りましょう!!
讃美歌は神をたたえる歌で、礼拝や集会等で歌われるのですが、プロテスタントでは讃美歌と言いますがカトリックでは聖歌と呼びます。
宗教歌を指すのですが宗派によって内容も異なるようです。
どの様な曲があるかと言うとクリスマスの時期によく聞く「きよしこの夜」などがその一つで、現在600曲あるそうです。
私の知る物では「聖なる聖なる」とか「主よ、みもとに」等ですね~
さて、昔ですがゴスペルも讃美歌と思っていました・・・
しかし、実はゴスペルはアメリカ発祥の讃美歌(宗教音楽)を基にした教会音楽、クラシック音楽と、黒人音楽の融合音楽ジャンルで、音楽ジャンルの一つです。
映画「天〇にラブソングを」観て「讃美歌ノリノリじゃん!!」とか思ったんですが、後々にゴスペルと讃美歌別物と知り少し恥ずかしくなりました。
さて、讃美歌は元々は旧約聖書の「詩編」に音楽を付けて語られたり歌われたことから始まったと言われています。
最初期はヘブライ語の詩を朗誦する形で歌われていたそうで、詩編の言葉を交互で歌い交す交唱の形や、リフレインを多用した応答唱、知っている民謡を替え歌にしたり、楽器や手拍子を用いたり、ダンスをしながら賛美していたようです。
要は神を讃えれば良かった物が一般的になり形骸化したものが讃美歌なのです!!
何が言いたいかと言えば、ゴスペルも古くは讃美歌です!!
私は間違っていなかったと言うことですね~(いや、間違ってます)
次回、いよいよ結婚式です!!
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