第162話
父母にも説明したが、耳としっぽを見た母が何かに撃ち抜かれたように固まり、次の瞬間に多分落ちた・・・これって孫(里子)見た時に可成り似てるな。
そして、耳としっぽをモフっております。
「そこは駄目なのじゃ~」と言って悶えながら蕩け顔の千代・・・うん耳の付け根としっぽの付け根は弱点?の様だ。
里子も一緒にモフりだし、嫁たちも次々に・・・
父も「ほ~お狐様か!!今年は間違いなく豊作じゃ!!」と言って大喜び。
稲荷神(豊穣の神)の使いと思って父は喜んでいるようだな。
本当に何時も思うが、うちの一族は変に度量が大きいようだ。
流石に身内以外の者が居る時に耳としっぽは隠す様にと指示を出している。
本人も理解しているようで通常は幻術で前と同じように隠している。
お公家様の2人は「報告すべきか」と言う話し合いをしたようだが、流石に実物見ないと誰からも信じて貰えないだろうと結論付け、もう開き直って諦めたようで温泉等を堪能しております。
さて、何時もの朝稽古をしているのですが、名代として来た人々も参加しているのでメンバーが異常に豪華だ。
前田利家、北条氏照、武田信豊、小早川隆景、戸次道雪、島津義弘・・・お~本当に豪華なメンバーが朝稽古で汗を流す。
上杉謙信の名代の樋口さんは見聞を広める為との名目で息子さんをお連れで、10歳前後のお子様と一緒に木刀を振る。
彼は
親父(樋口さん)は創建式までは外交宜しくここに来た他の名代の人々と交流を図るので暇そうにしていたので、里子たちの面倒見がてら誘ったら暇を持て余して居た様なので喜んで誘いに乗って来た。
一応は樋口さんに断りを入れているよ。
恐縮されたけど、1人増えても問題無い!!
源太と同世代で張り合う様に色々競い合うので見ていて飽きない。
それを見て里子も張り合っているようだ。
うん、ライバルって良いよね~
「蔵人殿」
「何かな与六殿」
「与六と呼び捨てで結構です。それより、あの簿記と言うのは素晴らしいです!!」
勿論の様に簿記も教えているぞ!!
里子はまだ小さくて勉強が苦手の様だけど、勉強がと言うよりじっとしているのが嫌いなのだろう。
本当に誰に似たのやら・・・俺?・・・いや、真里・・・真里じゃないな・・・俺似・・・そうかもしれない・・・それはそれで嬉しい?
さて、与六は中々の秀才の様で簿記を教えたらひたすら感動していた。
この年齢で簿記の価値解るとか将来優秀だな。
でも、朝廷では可成り知名度上がっただろうし、商人の間では簿記を知りたいと言う者が後を絶たないというし、知名度は高いと思ったけど、越後など関東・東北とか北陸とかではまだまだだったようだ。
この樋口与六君は剣術も年の割に中々やるし、勉強の方も秀才タイプで着実に覚えていくようで可成り優秀なお子様だ。
上杉家の重臣の子だし、関東方面の簿記の伝道師と是非ともなった欲しいものである!!
そうそう、俺も子供たちと遊んでばっかりじゃなよ~
面会の問い合わせが引っ切り無しだ。
特に俺が相良家から抜けたことは最大の関心事だったようで、仕官を打診される。
人に雇われるって大変だよね~前世でもそれは失敗した俺だから今世でも失敗しても頷けたから「もうこりごりである」と言うことを理由に仕官の打診は全てお断りしている。
その後も親交を深めている次第。
「長さん、何時頃、私に手解きしに来てくれるんですか?」
「あ~
「そうですよ!九州に戻られたかと思ったら相良家に仕官されたと聞いていましたから少し諦めかけていたんですけどね」
「ははははは~そうですね、自由の身になりましたし、創建後落ち着いたら最初に伺いましょうかね~約束ですし」
「ほ、本当ですか!!」
「はい、伺いますので宜しくお願いします」
今は隆さん(小早川隆景)と茶を飲みながら歓談中だ。
隆さんがこちらに来てから改めて親交を深め、長さん隆さんと呼び合うこととなった。
「畿内では織田家が公方様を支えているそうですね」
「らしいね~某が京を離れた後に織田軍が公方様を伴って上洛したようだし、詳しくは近衛殿下か山科様が詳しいかな~」
「確かに・・・」
「山科様は織田殿に館を貸しているらしいしね~」
「館を?」
「らしいよ~何だか館の離れの庵をいたく気に入ったそうで」
「庵と言いますとあの!」
「あの?」
「はい、神域の様な庵だと聞き及んでおります」
「神域?・・・」
あの庵がね~本当にどうなっているのか・・・
他の日には北条氏照と和気藹々と茶を飲みながら歓談。
「長先生」
「何?」
「関東には、また来られないのですか?」
「う~ん・・・遠いしな~」
「そうですね~遠かったです」
「あ~ご苦労さん。それにしても九州で創建の事よく知ってたね」
「あれ?情報を管理されていないのですか?」
「あ~長門守~」
長門守に声を掛けると「何でしょう?」と言う。
「情報網の構築如何なっている?」
「そうですな~現在は奥州辺りに繋ぎをつけておるようで」
「へ~」
俺と長門守のやり取りを聞いていた氏照が溜息を吐きつつ言う。
「はぁ~暢気ですね・・・」
「まぁな~俺って何処にも所属してない自由人だし~」
「あ~確かに何の
「まぁ全く無いことは無いけど、殆ど無いね~」
そんな事を話しているとどたどたと足音を響かせてケモミミ幼女が駆けて来た。
いや、今は幻術で隠しているからただの幼女か。
「長兄上!!」
「お~千代~どうったの?」
「こ、こ、こ、これは何なのじゃ?」
「ん?」
千代の両手に掲げる物体を見ると茶色い衣の奴を握り締めている。
「お!稲荷寿司か~」
「おお!いなりずしと言うのか!!」
「それが?」
「この至福の食べ物をもっと我に!!」
「あ~それはお供えで稲荷神に捧げる予定で作ったんだけど・・・先にちゃんとお供えしたよね?」
「・・・お供え?・・・も、も、勿論じゃ!!」
お稲荷様を祭ると決まって急ぎお社を造営し、お稲荷さん(神)にはお稲荷さん(寿司)だよね~と思い料理人にお願いして作って貰った奴だね~
お揚げさん(油揚げ)作るのは問題無かったよ。
料理人さんが知っていた!!
何でもお坊さんが代用肉として既に作っていたそうで、説明途中で理解して作ってくれたけど・・・今まで見たことなかったぞ?
料理人さん曰く、高級品らしい。
油で揚げるその油が高いらしい・・・OH~MY GOD’S!!
そりゃ見たことない筈だよね~まぁ京でも一部では食べられているそうで、どんなものか気になって作って貰ったらガンモドキ?みたいなものだったよ。
油揚げ完成後は甘しょっぱい味付けにする為に味噌の上に出来るたまり醤油みたいなのと黒砂糖に清酒で味を調えて煮詰め外のお揚げさん完成!!
中には酢飯なんだけど、野菜などを刻み入れた五目酢飯に柚子の風味を足してお揚げさんで包んでおいなりさん完成!!
食べてみたら、うん!現世の高級料亭で出て来ても違和感ないクォリティー。
前世の食べ物の再現で最も再現度が高いかもしれないとか思えるレベルだよ。
そう言えば、稲荷寿司ってまだ無かった?
確かに見た事無いけど、うどんと一緒に食べたいな~
よし!今日のお昼はきつねうどんに稲荷寿司!!
千代は慌てて台所に駆け込みお皿に乗せた稲荷寿司をお社に運んでいってるので・・・まぁお供えする様なので今回のつまみ食いは不問としておこう。
そんな光景を見ている2人(北条氏照・藤林長門守)は和やかに語り合う。
「長先生の周りは何時も賑やかですね」
「ははははは~主が蔵人様で良かったと思っております」
〇~~~~~~〇
樋口与六登場!!
さて、お稲荷さんについて語りましょう。
え?与六ちゃうのかと?・・・いえ、稲荷寿司で!!
うどん食べに行った時に柏おにぎりにするか稲荷寿司にするか迷いますが、稲荷寿司美味しいですよね~
稲荷寿司発祥の地の一つとも伝えられるのは愛知県豊川市!!
愛知県豊川市と言えば豊川稲荷!!
豊川稲荷の門前町などで、江戸時代に誕生したとされています。
豊川稲荷は三大稲荷神社の1つと言われます。
他の2つは茨城県笠間市にある笠間稲荷神社と京都の伏見稲荷です。
さて、稲荷神と言うのは国津神の
また、「日本書紀」では
何方にしても力のある神で、穀物の神と言われます。
何故、その穀物の神が狐と関わるの?と思いますよね。
稲荷神(宇迦之御魂神)は
また、穀物を食べる
穀物を食い荒らし、狐が捕食する動物として
伏見稲荷では雀焼きと言う名物料理があります。
狐の大好物らしいです。
本当に雀の焼き鳥なんですけど・・・
さて、話は稲荷寿司に戻ります。
稲荷寿司が何故に稲荷神と結び付けられるのか?
稲荷寿司は見た目が
俵と言えば豊作、豊作と言えば穀物の神!!と言うことで稲荷寿司は稲荷神の好物的に捉えられるようになり、稲荷神が好きなら神使の狐も稲荷寿司好きだよね~稲荷寿司好きならお揚げも絶対好きなはず!!と言うことで狐=稲荷寿司・お揚げとなったようです。
千代は主人公の影響で間違いなく稲荷寿司好きになりそうですが・・・
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