第153話

★600オーバー!!

ご評価頂きました皆様感謝!!


◇~~~~~~◇


逼塞ひっそく(自宅謹慎)を食らい家にてのんびりと過ごす。

藤林の者の調べでは、嫁たちを連れて行ったのも反感を買った要因のようだ。

この時代の価値観て・・・と言いたいが、武士は験を担ぐ。

しかし、それ言ったら莉里は摩利支天様の末裔なんだけどね・・・畿内では知らぬ者など殆どいないのだが、九州ではまだよく知られていないようだ。

文句が言えなかったのは彼女たちの後ろ、要は義理の父たちの影響らしい。

いやいや、確かにそれも重要かもしれないけど、神の末裔だよ?・・・

無知ほど恐ろしい物は無いというけど、無知により第二の三好日向守や顕如が出ないように衆知する必要があるかもしれないね。


父様ととさま

「おう、如何した里子」


早い物で里子も大きくなったものよ・・・って大きくなるのが速くない?

里子も2歳になりました。

2歳にして5~7歳と変わらない大きさだよ。

いや、身体能力はそれ以上だね。

そんな里子が話しかけて来た。


「今日は家に居るんだね」

「そうだな・・・」


何かリストラ中のお父さんの気持ちが解ったわ・・・

家族、特に娘の何気ない一言が刺さる。

おっと、胸を押さえて「ぐは~」とか言ったから「父様ととさま?」と里子が不思議がっている。


「それで何か用かい?」

「遊んでください!!」

「おお!!良いぞ!!勿論いいぞ!!」


く~~~~~!!流石、我が愛しの娘、里子である。

何と可愛らしい事でしょう!!

さて、何をして遊ぶか・・・俺がOKを出したので里子が跳ねて喜び、源太と妹のおこうもやって来た。

それからそれから、藤林の子供たち数名の計8名の子供たちが揃った。

里子、源太、お香以外の5人を紹介しよう。

佐助さすけ才蔵さいぞう三平さんぺいきぬたえの5人である。

年は大体5~7歳位でお香と同じ位の年齢である。

忍者の卵ちゃんたちなので身体能力は中々のもので、最近は源太も負けじと精進しているようである。

さて、何して遊ぶか・・・以前にかくれんぼをしたが、流石は忍者の卵ちゃんたちで、前回遊んだ際に予想だにもしない場所に隠れられて探すのが大変だった。

よし、ここは定番の達磨さんが転んだかな?


「だ・るま・さん・が・・・ころんだ!!」

「「「「「・・・」」」」」

「だ・るま・さん・が・・・ころんだ!!」

「「「「「・・・」」」」」

「だるまさんがころん・・・だ!!」

「お香、源太、動いたぞ」

「「蔵人様ずるいーー!!」

「いやいや、そう言う遊びだからな」


源太、お香の兄弟は里子と忍者の卵ちゃん達ほどにはまだまだ体幹が出来ていないようで、ふらついてOUTとなった。

しかし、残りの者たちが手強い・・・


「だる・まさんが・・・ころんだ!!」

「三平、絹、動いた」

「う~蔵人様にやられた・・・」

「残念・・・」


残りは4人・・・

結局、4人には負けてしまった。

う~手強い!

ある程度遊んでいると長門守が声を掛けて来た。


「蔵人様」

「何かあったか?」

「はい、京に使いにやっていた者が戻りました」

「そうか」


京に使いにやっていた藤林の者が戻って来た。

今回は試験的に船を出来るだけ使わずにどれ位掛かるかを試す為に基本徒歩で行き来して貰ったが、結構時間が掛かった。


「山科様より相分かったとのお返事いただいております」

「他に何か言われた?」

「特には」


報告としては今回特に手紙などもあずかっていないとのことで了解の返事のみだったが、残念がられていたとのことだ。

さて、俺が自宅謹慎の間にも両社の造営は着々と進んでいる。

両方ともにもう直ぐ完成予定だ。

そして、逼塞ひっそく(自宅謹慎)明けに相良家より致仕ちしすることと決め、後日報告することとしている。

あれだけアウェーな職場も無いので退職待ったなしだよね。

さて、50日の逼塞ひっそくらしいのだが、これは処分としてはかなり重いらしい。

そこまでされる程に何かしたかと聞かれると疑問符を浮かべたくなるが、擁護する者も殆ど居なかったようであるから仕方ない。

え?嫌われているのかって?・・・まぁお殿様とその周辺からは間違いなく嫌われているだろうし、内田さんからも嫌われているだろうね~何にしても仕えたばかりでやらかしたような感じだし~・・・言ってて切ないわ。

この自宅謹慎の間に大口城は陥落したそうだ。

島津家の猛攻で城内の殆どの者が討死をしたそうだが・・・ご冥福を祈ろう。

さて、京より戻った者の話で織田信長が覚慶さん改め足利義昭さんを連れて上洛を果たしたそうだ。

それから、信長が堺に矢銭を要求したらしいけど確か今の堺のトップって宗さんだったよね?

報告を聞けば、2万貫を要求したそうだが、堺全体としてはこれを拒否。

しかし、儲けに儲けている宗さん・天さんは自分たちが支払うからと言い、何と倍の4万貫を信長に支払ったそうだ。

そして、信長に対して倍額払ったのだから文句を言うな的な事をやんわりと伝えたらしい。

しかし、支払い反対だった者たちは治まりが付かない。

新たな火種となっているとの話だ。

それから、足利義栄の死去が噂となり足利義昭さんが将軍職をGETして室町幕府15代将軍に就いたらしい。

世の中は胎動しているんだね~と改めて思う。

さて、真里の遺骸を安置していたいおりだが、京を発つ前に改装して茶室に良さ気な感じにリホームして来たが、山科様は大層気に入られて「真里支天庵」と真里と摩利支天様にちなんで名付けしたそうだ。

気に入ってくれているならばそれでいい。

しかし、この庵は清浄な空気が漂い、入れた茶は甘露で同じお茶とは思えない程に美味しくなるらしい。

うん!京に今度行ったら是非ともあそこで茶を飲もう!!

俺が京を立ち去る少し前に作った菓子が京で大人気らしい。

銅鑼焼きと言う菓子食べた時に「本当のどら焼きちゃうわ!!」と叫んだのは懐かしい思い出だ。

作り方は小学校の自由研究でカステラの作り方を提出したので覚えていたのが大きい。

しかし、強力粉用意するのが大変だった。

カステラ生地を作るための材料としては強力粉・卵・砂糖・味醂・はちみつ・サラダ油を混ぜ合わせるのだけど、サラダ油の代わりに菜種油入れたり、砂糖は黒砂糖だったりで大分違う。

これ作る過程で丸ぼうろ出来たのでそれはそれで美味しく頂いたよ。

さて、強力粉はタンパク質の多い硬質な小麦の粉なんだけど、小麦を産地別に臼挽きして小麦粉作って何度も焼いて作ったよ。

しかし、丸ぼうろも前世で食べた物とちょっと違うから厳密に言えば同じ物では無いんだけど、この時代にしては再現性高いし美味いと思う。

何故か丸目焼きと皆が言うようになったんだけど・・・

さて、どら焼きは餡も4種類で1つは生地にお茶混ぜて白あんもお茶混ぜた抹茶どら焼きも作ったよ!!

山科様にも近衛殿下にも大うけで、皇室献上品にまでなるとは思わなかったけどな・・・

どうやら天子様もお気に入りのおやつらしい。

そして、逼塞ひっそく明けに相良のお殿様に致仕ちしすることを届け出た。

理由としては今回の件のけじめとしてと言う事にしたけど、俺自身が今回の件って何よ?と言いたいけど、認められて晴れて俺は自由の身となった。

でも少し時間が掛かったのは何故だろうね?

いや~それはそれとして、前世でも上司と折り合い合わずに会社辞めて自営業を選択したけど、今世でも同じ様な事になるとは思わなかったよ。

どうやら俺の性格は誰かに仕えると言う物が性に合っていないことが前世と今世を通じてはっきりしたよ。


「よし、武将は諦めた!!何か飯の種探さんといかんね~」

「長様何をご予定されています?」


警戒するように弓ちゃんが聞いて来る。

嫁たちが俺に甘々だから弓ちゃんは俺の引き締め役なんだよね~


「そうだな~長門守の方はどんな感じ?」

「はっ!蔵人様のお言い付け通り人を集め、特に孤児を集め伊賀、京、関東、そして、ここで少しづつ鍛えております」

「この計画始めて3年位か?」

「はい、最初期に集めた者はある程度は使えそうですが、まだまだと言った感じです」

「忍びに向かない者も居るでしょ?」

「はい・・・居ります」

「その子たちはこっちに集めてくれる?」

「何かお考えが?」

「うん、適材適所だよ」

「てきざい・・・てきしょで御座いますか?」

「そうだね~・・・量才録用りょうさいろくよう量才取用りょうさいしゅようてことで解るかな?」

「成程!!」

「要は得意な事させればその子は伸びるよ!!」


他にも色々と人材確保をしている。

弓ちゃんの方では歩き巫女を引き入れて全国的な情報網を構築している。

それと同時進行で、忍者間の情報のやり取りを行うことを第一段階として、情報屋よろしく大名や武将の一部と情報をやり取りし、そこから収入も得られるような仕組みを構築中だ。

何でも関東方面を統括するお銀が頑張っていると弓ちゃんは言っていた。

確か家さん(徳川家康)や宗哲さん(北条幻庵)に紹介状を書いたな~

まぁ弓ちゃん曰く今の段階では順調とのことだ。

他にも色々手掛けることとしているが、先ずは社の完成後に動くこととなるだろう。


〇~~~~~~〇


さて、作中で2万貫の矢銭(臨時の賦課税)の催促の話が出ておりますが、史実でも織田信長は堺の町衆に対して2万貫の矢銭の催促を行ったそうです。

堺の町はこの当時は自治権が認められており矢銭の催促自体は三好家からも行っておりましたが、額が大きい事から堺では拒否し信長と全面対決の姿勢を取ったようです。

ただし、この矢銭だけが問題と言う訳ではなく、この時に同時に兵を雇うことも禁じました。

堺の町衆にはお金以上にこの兵を雇うことの禁止がネックだったのかもしれません。

しかし、この時に抜け駆けしたような行動を取った人物が居ます。

今井宗久はこの時、鉄砲・火薬を信長に売り御用商人の地位に手に入れました。

信長の鉄砲関連の取引を全て引き受けたというのですから莫大なお金が動いたことでしょう。

これにより、堺のトップに今井宗久が成ったと言われます。

これにより信長によって町を焼かれることは回避できたようです。

しかし、信長は更に堺に対して重い税を課します。

これに不服を唱えた町衆は10人の代表者を信長の下に送りますが、10人全て処刑されたそうです。

尼崎の町にも信長は同じように矢銭の催促を行います。

尼崎の町衆はこれを完全に拒否したことにより信長は3,000の兵を派遣し町を焼き払ったそうです。

その後、今井宗久や千利休を信長は重く用い、堺と信長の交流が続くのですが、本能寺で信長が倒れ秀吉に権力が移って行くと、秀吉は大坂城を作る為に堺の町から商人を強制的に大坂に引っ越しさせたそうですが、その後、秀吉は堺に対して壕を埋めるように命じたそうです。

これにより、堺は敵の攻撃から町を守ることができなくなり、大坂夏の陣の際に町が焼かれたそうです。

この時代で堺は会合衆えごうしゅうと呼ばれる36人の豪商たちにより運営されていたそうです。

そして、日本全国で一番安全な都市としても名を轟かせていました。

この物語では信長の要求額の倍の金子を出し黙らせました。

しかし、信長がこのまま黙っているとは思えませんがはてさてどうなる事か。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る