第142話
故郷の実家に帰る道中に遠くから見える近所の山が・・・何か立派な建物が建っている様に見える・・・気のせい・・・いや、間違いなくあれは要塞だ・・・
10万の大群にも耐えるとか紹さんの手紙で大げさに豪語しているから、はいはいそれは立派な建物なんだろうね~位に思っていたけど、間違いなく要塞だ。
うん、立派なお社ですね~ショウサンガンバッタネ~アハハハハハ~
美羽が引き攣った顔で声を掛けて来る。
「長様・・・」
「あれが・・・真里を安置するお社だ」
「お城では無いのですか?」
「多分・・・違う?」
ふと気になり莉里を見ればどうだと言わんばかりに胸を張っている。
うん、成長著しいけど、もう成長は止まっているよね、立派なお胸ですこと・・・
「莉里・・・若しかして何か手配した?」
「よくぞ聞いてくださいました!!」
莉里曰く、俺の事だから京のお社ですら10万貫を投入したのだからこちらのお社にも資金投入するだろうと先に5万貫を投入済みだったそうだ。
それを知った紹さんも5万貫を投入した・・・うん、豪商は怖いね~
そりゃ入れ揚げてこちらで陣頭指揮するわ。
実は摩利支天様のお社作成も依頼していた。
摩利支天様は武士・忍者に人気の神様であるが、商人にも人気のある神様の一柱だ。
摩利支天様の霊験は気力・体力・財力を与え、更に厄除・招福・開運に恵まれると言われている。
諸天善神中でも霊験が最も顕著な神として知られる。
凶事が起こり真里と莉里のご先祖が摩利支天様と知った時、紹さんにも勿論の様に知らせたよ。
紹さんの盛り上がりようは凄かったことを博多滞在中に貞清から聞かされた。
故に、真里の事を弑いた三好や本願寺に対しては並々ならぬ恨み言を貞清は何度も何度も聞かされたと・・・貞清がしみじみと語ってたよ。
うん、色々な意味でも力の入れようが凄いね・・・
事情をこのメンバーの中で最も詳しい莉里に聞けば、当初は恵比須、大黒、天照大神、猿田彦命、天狗を祭る各種社が建立される予定だったそうだ。
それに加えて、キリスト教の施設・・・
恵比須様は博多由来、大黒様は五穀豊穣の神で親父の要望、天照大神様は俺が官位を賜り真里と莉里が天子様の皇女となったので、天狗様はここが天狗の居た場所と言うことからだろう。
猿田彦命は実は天狗と混同される神様で、天狗の様な容姿の神として知られ、実は天照大神以前の太陽神では無いかとも言われる国津神なのだが、天狗繋がり的に入れたようだ。
そこに摩利支天様、日天様、梵天様が加わった。
天狗と猿田彦命を一緒とみなせば何じゃこれ七福神爆誕だな・・・ははははは~笑うしかない!!
家に戻ると母が出迎えてくれた。
父はお社建造に行っているそうだ。
「長・・・真里さんは残念なことでしたね」
「はい、本当に残念です・・・」
おっといかんいかん、しんみりとしてしまうぞ。
手紙で伝えていたが、美羽・莉里・春麗と夫婦になることを改めて母に伝えた。
そして、真里の忘れ形見である里子を紹介。
母が壊れた!!いや落ちた・・・
里子を見た瞬間に蕩けたよ・・・今はもう初孫にメロメロです。
うん、こんな母は今まで見た事無いぞ。
そして、帰って来た親父も孫馬鹿化した。
俺が呆れて見ていると、同行メンバー全員が、俺の方を見て遠い目をしている。
春麗が代表した様に「長様の血筋」と笑顔で言うし、皆頷く、俺はここまでは無い筈だ・・・無いよね?
そうそう、嫁たちに何時までも長師匠と言われるのは何となくあれなんで、「長」と呼ぶように伝えたら「長様」と呼ぶようになった。
「様」とか要らんと思ったけど、そこは譲れないポイントらしい。
知らせを受けた紹さんもやって来た。
俺は親たちに祝言を挙げる事を宣言した。
うん、これで何とか約束は果たせそうだ!!
俺の帰還を知るとこちらに居た時に弟子としていた者たちもやって来て大宴会となった。
猪とか鹿とかの肉も持ち込まれたので久しぶりに色々と作った!!
定番の生姜焼きに味噌焼き、パオンなる何この硬い物体と思える様な物も持ち込まれたので、砕いてパン粉作ってトンカツも作った。
いや、猪カツに鹿カツか?
そして、ソースとか無いから味噌カツ!!
この世界線では味噌カツ発祥は熊本県と言われるかもね。
さて、味は・・・う~ん、色々足りない気がするけど、皆には好評だ。
パオンなる物を持ち込んだのはトーレスさん。
彼もここにキリスト教の立派な教会を作ると息巻いている。
親父も変に乗り気だ・・・まさか、キリスト教に入信してないよね?
聞けば、「儂は神道に仏教じゃ!!」とか言う。
一体どっちなの?
うん、前世の価値観に近いのかもね・・・キリスト教にクリスマスとか教えられたら、多分、意味も解らずお祝いするんだろうね・・・
母も父も孫の里子を可愛がるが、その他のお子様連中も可愛がっている。
流石に反抗期間近?の源太は遠慮しがちだが、妹のお香は嬉しそうにしている。
親の愛に飢えてるのかもね。
赤ん坊の千代も可愛がられている。
皆楽しく時を過ごした。
そして、次の日に親父が爆弾を投下するのである。
〇~~~~~~〇
故郷に戻って来た蔵人、親父はどんな爆弾を落とすか。
さて、神殿建造中です!!
規模が山城化しているのは気のせいでしょう、いや、気のせいちゃいますね・・・
さて、七福神と言う物があり、七福神信仰が日本はあります。
現代では恵比須・大国天・毘沙門天・弁財天・寿老人・布袋・福禄寿の7柱(実際は6柱1人?布袋様は中国の僧侶で仙人となったなど言われます)を指して七福神としますが、少なくとも江戸時代に大体固定されたようで、それ以上前はメンバーが色々だったようで、お多福・福助・ひょっとこ・稲荷神・猩猩・虚空蔵菩薩・宇賀神・達磨・楊貴妃・鍾馗・不動明王・愛染明王・白髭明神・等々色々な神仏が七福神として祭られたようです。
この信仰は中国の八仙からではないかとも言われますが、定かではないようです。
現代の七福神は国際色豊かで、恵比須(日本)・大国天(日本)・毘沙門天(インド)・弁財天(インド)・寿老人(中国)・布袋(中国)・福禄寿(中国)となります。
しかし、あくまでも私の私見ですが、寿老人と福禄寿が一緒に七福神には居るのが不思議です。
何が不思議かと言うと、この二柱は道教の神で南極星の化身と言われます。
同じ神の別バージョンとちゃうのか?と思ってしまうのです。
さて、それはさておき、以前に莉里の事を「弁財の莉里」と呼ばれたことを覚えておいででしょうか?
勿論、この弁財と言うのは弁財天のことを指します。
弁財天はヒンドゥー教の女神であるサラスヴァティー神が、仏教に取り込まれた呼び名ですが、ブラフマー神(梵天)の妻であると言う説もある女神です。
おー!何と真里・莉里のご先祖様(親類縁者)でもあるのかも?
サラスヴァティー神は聖なる川の化身と言われます。
何処の川?と多分思われると思いますが古代インドの川で現存しないガッガル・ハークラー川ではないかと言われています。
水と豊穣の女神でブラフマー神が自らの体からサラスヴァティー神を造り出したと言われています。
あまりの美しさに作った本神が自分の妻にしようとしたほどだったらしいです。
元々はラクシュミー神、ガンガー神と共にヴィシュヌ神の妃でしたが、三神は仲が悪くそれに嫌気を指したサラスヴァティー神は離婚してブラフマー神の下に戻り、ブラフマー神と結婚し、その間に人類の始祖であるマヌが誕生したと言われます。
ここら辺もまぁ諸説ありますが・・・
古代インドの神話にもギリシャ神話のノアの箱舟の様なマヌと大洪水の物語があるのが実に面白いです。
その大洪水でヴィシュヌ神の助けで生き延びたマヌは人類の始祖となったとも伝えられています。
話を戻し、サラスヴァティー神は黒髪で
さてさて、更に七福神に話を戻し、大黒天・毘沙門天・弁才天の三尊が合一した三面大黒天を天台宗の開祖である最澄が祀ったという伝承があります。
そして、大黒天の息子である恵比須様も一緒に祭られることとなり、これが七福神の始まりの原型ではないかと言われています。
布袋様は僧侶・仙人と言われますが、
大きな袋を背負った太鼓腹の僧侶の姿で
衆生救済・極楽往生を表す仏様で、減罪のご利益があると言われています。
そう言う意味でも大人気の仏様でした。(日本では平安時代位から末法思想で上生信仰と言う
そこに江戸時代に五穀豊穣・商売繁盛・家内安全・長命長寿・立身出世と言う何でもありの様な御利益の毘沙門天が大人気で合併してきました。
江戸幕府推奨の儒教と共に道教も日本に入って来ました。
その道教の神、寿老人と福禄寿が合流し出来上がったのが現七福神ユニットなのです!!
七福神の成り立ちは諸説あるので本当はどれがどれだか解らないのですけどね~
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