第138話
堺の宗さんの所に滞在して3日目、キリスト教のトリオがまた訪ねて来た。
相変らずリーダーのガスパル・ヴィレラさんが俺との折衝を担当するようだ。
日本語がある程度堪能なの少しは驚くが、うちには莉里と言う天才が居るので驚きも無いよ。
「丸目四位蔵人様、お久しぶりです」
「あ~お久しぶりです・・・」
「何でも聖地にお帰りとか」
「せ、聖地?」
「コスメ・デ・トルレスよりガブリエル様ご滞在だった場所に
何そのノビタなアートって・・・
解らない物は聞く方が早いので聞いてみれば、修道会員の養成機関とのことだ。
細かい部分は日本人のロレンソ了斎さんがご説明。
別にポルトガル語でもいいんだけどね~
うん!よく解らんが、日本で初めて作る建物らしいことは理解した・・・
うん、うん、よく解らん箱物を作るのは止めて欲しいが、今の領主の親父が乗り気で、社と教会建造に力を注いでいるらしい・・・資金欲しいと手紙来たから3,000貫を寄付した覚えが・・・ある・・・うん、すっかり忘れていたよ。
何作るとか興味全くなかったしね~しかし、社の方は真里を安置するんだ、荘厳にして豪華な物を作るべきであろう!!
早速とばかりに博多の紹さんにお社の資金を5万貫位送ればいいのかな?
あ・・・資金使う時には莉里に相談しないと怒られるな・・・
最近の俺の資産管理を莉里に任せている。
え?もう財布の紐を掴まれているのか?だって失礼な!!お願いしているの!!
え?奥さんの尻に敷かれている者は皆そう言うと?・・・いや、違うぞ・・・多分・・・
会見後に莉里に相談したら20万貫位までならOKとか言われた。
うん、何か聞いた話だと俺の資金使って三好と本願寺の物買い叩いて転売でもの凄い利益を出しているそうだ・・・20万貫を先送りしている利子だと暗い笑みで莉里は言っていたな・・・利子?絶対それ位の金額じゃないよね?くわばら、くわばら。
そう言えば、紹さんの手紙で聖地・・・うちの近所の山なんだけど・・・が要塞化している様なことが書いてあった。
10万の大群が攻めても守り切れるんじゃないかとか何とか。
宗教施設だよね?・・・あ!本願寺とか宗教施設か軍事施設かよく解らん感じだし、今のスタンダードなのだろう。
まぁ立派な物が出来ているのかもしれないな。
良きかな、良きかな!!
更に資金投入するからね~莉里からもOK貰ったし早速とばかりに手紙を書こう。
さて、キリスト教トリオに粘着されるのも困るので、「天啓」名目で情報をリークした。
近い内に京の統治者が変わること、その者にキリスト教の京での布教をお願いしてみたら?って言っておいたよ。
確か、信長が布教OKするんだったっけ?・・・知らんけど、キリスト教トリオの事は信長に投げとこ!!
3人は大喜びでお礼を言いながら去って行ったよ。
しかし、この時の俺はこの気軽に出した「天啓」が後にとんでもない事になることをあまり考えていなかった。
★~~~~~~★
「丸目四位蔵人様が予言されたらしいぞ」
「それは本当か!!」
「おう、伴天連の者から聞いたのだが、何でも三好が転ぶらしいぞ」
「三好家は四位蔵人様と敵対していたな」
「いや、敵対と言うか真里姫様を弑たのは三好日向で三好全体の総意ではないが、まぁ二十万貫だったか?四位蔵人様に三好家が詫び金として献上するらしいな」
「は~真里姫様と言ったら摩利支天様の末裔と言う?」
「ああ、だから三好家は武運を無くした様だぞ」
噂が噂を呼び、三好家は慌てふためく。
しかし、莉里や堺の商人たちが裏で暗躍し、三好家は絞られている為残り10万貫の目途はたっていない。
そして、その噂は本願寺にも伝播した。
しかし、本願寺は今の所は粛々と事の成り行きを見守り特に何かする訳ではない。
三好家と同じく残り10万貫に苦慮はしているが、武運等は自分たちには関係無いとばかりの様だ。
そして、慌てた三好家は・・・
★~~~~~~★
三好家から使者が来た。
うん、何でこうなった?
「それで・・・丸目四位蔵人様・・・」
「何で御座る?」
あ~顔が引き攣るよ・・・長門守と弓ちゃんの情報収集で三好家が何を言いたいか事前に理解できている。
「近い内に京の支配者が変わる」と言うのが三好家にとっと聞き逃せない情報だったのだろう・・・
文句言おうにも、「天啓」で発信源が俺・・・三好家から言わせれば「どういう事ですか!!」と怒鳴り込みたいところだろうね~
「「天啓」の件で御座います」
「左様で・・・」
「はい、篠原よりこの件について詳しく聞く様にと言われておりまして・・・」
「あ~篠原殿ですか・・・」
目が泳ぐよ・・・
多分、霜台爺さんは三好長慶と共に今後の展開聞いていたから既に色々動いていそうなんだよね~
そして、篠原さんたちの今の主流派たちは寝耳に水だろうな。
「出来ますれば、色々とお聞きしたく・・・」
うん、気持ち解るけど、明日には俺はここを発ち九州に向かう予定だ。
「何をお聞きしたいので?」
「出来ますれば来て頂く訳には・・・」
何でも三好主流派の人間もそうだが、現在の将軍様である足利義栄さんも自分の後ろ盾の者が京より追い出されると聞き慌てていると言う話だ。
あ~これは目の前の使者が言った訳ではなく、藤林の情報網に掛かった話しな。
藤林の諜報員は着々と拡大している。
現在は人手も足りないと伊賀の里に残した者たちも総動員で、更に孤児なども引き入れて教育中であるらしい。
5万貫を組織立ち上げ資金として渡そうとしたが、多過ぎると言われ1万貫渡したけど・・・弓ちゃんも顔を引き攣らせて、「蔵人様は天下を狙うのですか?」とか言われたよ・・・
おっと、今は目の前にご使者殿に目を向けねば。
「申し訳ないが、明日には某は九州へと戻りますので」
「左様ですか・・・」
一応は情報をぼかして伝えたよ。
霜台爺さんとは縁切りとまでは行かないが、最近は疎遠だ。
しかし、爺さんを恨んでいる訳ではないので余り邪魔したくないと考えたからそうした。
使者は納得していない様だが俺に強くも言えず、とぼとぼと重い足取りで去って行った。
〇~~~~~~〇
さて、九州に向かいます!!
ノビチアートについて話して行きたいと思います。
主人公がふと思ったようなノビタのアートではありません!!
戦国時代ごろのキリスト教の施設は色々ありますが、教育機関としてセミナリヨとコレジオ、ノビチアートと言う物がありました。
セミナリヨはイエズス会司祭・修道士育成のための初等教育機関で、小神学校とも呼ばれました。
コレジオは聖職者育成のための神学校で最高学府となります。
1581年に豊後国府内(大分県大分市)に最初に作られたそうです。
さて、ノビチアートですが、ノビシャド、ノビシアド、ノヴィシャド、ノヴィシアド、とも言われます。
全て修練院を指した言葉です。
歴史用語としてはノビシャドが一般的で、1581年に豊後国府内(大分県大分市)にコレジオと共に作られました。
教育機関としては中等教育課程を行う場所と言う認識すると解り易いかもしれません。
セミナリヨで初等教育を受け、ノビシャドへ進学?し、最高学府であるコレジオへと進みます。
ノビシャドは修練院とも呼ばれますので修練の場ですので、聖地に作った?・・・て感じですかね。
しかし、予算増えたので・・・
帰郷後はまた主人公の運命の転換期となりますので話がまた変わって来ると思います。
キリスト教がどう関わって来るか!!
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