第129話
300K PVもう直ぐですのでお礼の一話を先行して今日は1話多めにUPします!!
お読み頂いております読者の皆様ありがとうございます!!
暇つぶしの一助になれば幸いです!!
序に400,000文字オーバー!!
次は500,000文字オーバー目指して頑張ります!!
◇~~~~~~◇
「真里・・・」
「長師匠・・・無事ですか?」
「ああ、お前の御蔭で無傷じゃ」
「良かった」
真里はにっこりと笑いそう答えた。
泣きそうだ・・・俺もにっこりと笑い涙をこらえた。
「長師匠」
「何だ?」
「夢枕にマーリーチー様が御立ちになりました」
「マーリーチー?」
「長師匠たちが解らなければ
真里が神の名を告げて来た。
真里の夢枕に立ち何を言われたのか・・・
「何でも私のご先祖様だそうです」
「そうか・・・」
マジかーーー!!河童曰く真里と莉里のご先祖様は天女とは聞いていたが・・・摩利支天・・・
「それで何と言われた?」
「私の事が不憫なので
「神の加護・・・」
その場に居る者たち全員が固まる。
しかし、固まってばかりもいられないので話を進めよう。
「それで摩利支天様は何と?」
「はい、私が長師匠を庇って一度死んだそうです」
「死んだ?」
「はい、しかし、子孫の私が不憫なので一時的に現世に戻すと言われ今ここに居ります」
「そうか・・・」
「はい、でも、長くは持たないと言われております」
「・・・」
長くはもたない・・・神に感謝!!と思ったが・・・いや、この時間をくれた神に感謝だな・・・
「今すぐ死ぬ訳ではありませんよ」
「そうか・・・」
真里はにっこりと笑い、「泣かないでください」と言う。
ハッと気付き頬を触ると一筋の水が流れていた。
「摩利支天様は1つだけ願いを叶えてやろうと言われました」
「何を願った?」
「長師匠との子が欲しいと願いました」
そう言って更ににっこりと笑う。
子など要らぬ生きて居て欲しいと俺は叫びたかったが、真里の顔を見ていると何も言えなくなった。
「摩利支天様は戻ったら直ぐに契れと言われました」
「契れ?」
真里は顔を真っ赤にして俯く・・・
あ~子作りか・・・そう思うと俺も顔が熱くなる。
泣いたり恥ずかしがったりと忙しいが、なんと御セックスを神が言ってきた・・・
「子を産むまでは死なぬように加護してくださるとのことです」
「子を産むまで・・・じゃあ」
「摩利支天様は期限を一年とされました」
無慈悲にも余命宣告・・・いや、1年間の猶予を神はお与えになったのだ。
1年以内に死ぬ者とは思えない程、真里はご機嫌でにっこりと笑いながらそう言った。
怖くは・・・怖くない訳がない・・・怖いが堪えているのであろう。
莉里たちは涙を一杯に貯めて居るが泣くのを堪えて俺と真里の会話を聞き続けている。
「解った、真里は天子様の義理の娘だ、天子様にも全てをお伝えしないといかん」
そう言って山科様の方を見ると「うん」と頷いたので伝えて頂けるのであろう。
そして、真里の噂は瞬く間に京の町に広まった。
信じる者も居れば、勿論、信じない者も居たが、神の末裔と言う者に面と向かって文句を言う者など居なかった。
俺の「神託」や「天狗の弟子」と言う物や「天女の末裔」と言うのを事前に広まっていたことなどから信憑性が高いと思われたのかもしれない。
いや、この時代の者は意外と信心深いのだ。
平成の時代とかだったら「何?新興宗教?」とか言われそうだ。
そして、そんな真里の悲劇話は全国を駆け巡る。
朝廷も神の関わる案件だ、速やかに本願寺と三好家を朝敵認定した。
神と言うパワーワードは強いようで、即座に三好家からは朝廷に朝敵認定の取り消しと俺への詫びを言ってきた。
俺に詫びるのではなく真里に詫びろと思うが、真里から諫められたので堪えた。
三好家からは俺と懇意にしていたという事で霜台爺さんが現三好家当主の三好
朝廷からは「丸目四位蔵人が赦すならば朝敵を取り下げる」との内示があったことは山科様より聞いている。
さて、目の前に深々と頭を下げる二人。
「この度は我々の不始末、誠に申し訳ない・・・」
「今更詫びられても遅い、真里は余命一年だ、どう責任を取る!!」
「それは・・・」
一睨みすると左京大夫は「う・・・」と言ったまままた頭を下げる。
本当に威厳も糞も無い、あの三好長慶の後継者とは思えない程に弱弱しい・・・
「長・・・いや、丸目四位蔵人様、何とか落としどころは無いのですか?」
爺さんがそう言うが、俺は何を求め妥協する?・・・
必ず必要なのは首謀者の首だ!!
赦す気はない、そして、・・・特に欲しい物は無いが、やはり俺の価値観は昭和から令和の未来人の価値観に引き摺られて居るのかもしれない。
詫びの対価、示談するには金と思ってしまう。
しかし、意外とこれはシンプルだ。
太古の法典にハンムラビ法典と言う物がある。
「目には目を歯には歯を」と言う語句が有名な法典で、これはタリオの法と呼ばれる。
要は同害報復と言う受けた損害を同等の物で支払えと言うものだ。
しかし、これは対等な身分の場合に成立する。
首謀者の三好日向守の命と天子様の養女にして神の末裔である真里が対等な訳がない。
よく人は皆同じと言うが身分と言うのは同じとは限らないのだ。
そうは言っても落としどころは金銭となるな・・・
「先ずは首謀者、三好日向守の命!!」
「・・・」
「如何した?」
「実は・・・三好家は二つに割れておってな・・・儂らとあ奴らは敵対関係にある・・・」
話を聞けば、現在目の前にいる三好
朝廷は三好全体を朝敵としたが、俺に侘びを入れて来たのは目の前の少数派の義継の方・・・事件の首謀者の三好日向守は勿論の事、詫びなど考えていないようだ。
まぁ詫びるという事は死を意味することは理解しているだろうからな。
首謀者を裁けない以上、話は進まない、今回はお開きとなった。
そして、この日の話は何故か世間にまたも広まる・・・
いや、わざとリークしている訳では無いぞ!!
何故か漏れた・・・いや、人の口には戸板が立てられないので仕方なしだ。
時は過ぎて行くが俺は残り少ない時を真里に捧げた。
程なく真里が身籠った。
やることやっているので出来るのは当たり前ではあるが、真里の死が近づいたと思うと喜び半減だ。
しかし、そんな姿を真里には見せられないと大喜びして見せたが、俺の行動から心を読む真里にはバレバレなのかもしれない。
時は過ぎ3カ月ほどするとある噂が流れて来た。
本願寺の有力な者たちの夢枕に阿弥陀如来様が現れ、「摩利支天の末裔を害すような者が居る所の者たちを極楽浄土にて受け入れる事は出来ぬから死んだ後はそう心得よ」と伝えられたと言う。
顕如はだんまりだが、多分その夢を奴も見ているよね?
有力者たちが騒ぐもんだから門徒さんたちにもその噂は広まる。
そうなると、朝廷が朝敵認定したことが再度蒸し返されて信憑性が上がる。
顕如は可成り追い込まれているようだ。
自分たちが信じる仏が夢枕に立ち語るのだから効果絶大だよね~
さて、本願寺がどの様に動くか見物だ。
〇~~~~~~〇
まだまだ暗闘は続きます!!
さて、今回登場した神、摩利支天とはどのような神か。
陽炎、太陽の光、月の光を神格化した神と言われます。
仏教においては仏教の守護神である天部の一尊の梵天の子にして天部の一尊の日天の妃と言われます。
つまり、梵天も日天も仏教の護法善神の代表格の十二天のメンバーです。
摩利支天は隠形の身で、常に日天の前を
そのガーディアン的な特性から武士の守護神とも呼ばれ多くの武将が信仰した神で、作品で登場した毛利元就や戸次道雪は摩利支天を旗印として使ったそうです。
そして、ここ重要!!
タイ捨流剣術では、現在でもなお、「タイ捨流忍心術」摩利支天経を唱えてから稽古や演武に入るそうですから丸目蔵人も信仰していた神となります。
さて、更に日天と言うのは太陽を神格化した神で、仏で言うと観音菩薩を差します。
ですから日天は観音菩薩の変化身の一つと言われます。
梵天は古代インドの神ブラフマーが仏教に取り入れられたもので、ヒンドゥー教では創造神ですのでその子(娘)という事は相当に力のある神であることが解ります。
はい、ここまで話せばお解りかと思いますが、ヒロインの一人、「真里」の名前は、摩利支天由来です。
タイ捨流、天女の末裔、真里と言うワードから何人がこの伏線に気が付いたかな?
ヒロインの中で一番在り来たりそうな名を付けたのですが、実は一番拘った名付けでした!!
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