第126話

流石に天子様が居るのは警備上の問題もある為宮中にお戻り頂くこととなっていたが、ごねられた。

しかし、近衛殿下が今回はうまく対処してくれて天子様は無事に宮中へとお戻りになって行った。

宮中にも振る舞い酒と、後日に今回の収益の半分をお納めすることとなっている。

大儲けだったようで、定番化するのもありなどという事を宗さんたち商人連中や山科様が真剣に話していた。

魅力的な話ではあるが、用意含め数カ月かかるので拘束されるのはね~まだ色々とやりたいことはあるからね~目的は達成したし後はやりたい者たちに任せよう。

俺も何気に賭け金等で儲けているので、但馬守さんに試合で怪我させたし見舞金として100貫渡した。

200貫渡しても良かったんだけど、優勝したら200貫だったから準優勝という事でとか何とか理由を付けて渡したよ。

可成り遠慮されたが、将来は柳生家は剣術界の雄となるのだここで恩を売っておくのは今後の投資でもある。

さて、宴会が始まった。

宴会では試合に中てられた者たちが野試合を始めたりと大盛り上がりだ。

宴会では幾つか創作料理(久しぶりに食べたくなった物)を再現して振舞ったよ。

どれも好評を博したが、宗さん含め茶人連中は殊の外に「桜餅」が気に入ったようだ。

お茶請けとして出すことを検討しているようだ。

「桜餅」うまいよね~昔からある物の様に思っていたが戦国時代には無い物だったので試作したら驚かれたよ。

京のお茶屋さん協力の下作ったよ。

実はこれを作る為に桜の葉っぱと花を塩漬けにしたりと色々苦労した。

桜餅ではなく桜の葉っぱと花の塩漬けは作った段階で山科様が気に入って宮中に持ち込んだので実は京の町ではブームが起こっていた。

「桜は愛でるものぞ」等と言っていた山科様だが、塩漬け食べてからは180度意見を変えて「長は何でも美味しい食に変えるの~」等と失礼な事を言う。

失礼な!!とか思ったが、考えてみるとこっそりと飯テロを起こしているのは確かである。

今回は桜餅以外も戦国時代で出来そうな料理を考案した。

中でも人気を博したのが味噌炒めかな?

意外な事に「炒める」「揚げる」とかは戦国時代の料理には無かったようだ。

「煮る」「焼く」「蒸す」等はあるのに「炒める」無いのは不思議であるが、考えてみると「炒る」と言うのはあったが「炒める」は無かったので作った時に「炒るのですか?」とか料理人さんに言われたっけ・・・勿論、フライパンとか無いので鍛冶屋に依頼して特注したぞ!!

まぁ鉄なべあったので取っ手を付けて貰っただけの物だけどな。

そんな中でもニンニク味噌炒めは大人気だ。

ニンニクと言っても行者ニンニクを油に付け込んで行者ニンニク油を作った。

油はごま油だ。

ゴマの風味にニンニクの香の味噌炒めとか食が進むよね~

近くの山で猪を狩って来て入れたので味噌豚ならぬ味噌猪も作ったよ。

フライパン作ったからチャーハン食べたくなって作ったけど山科様が料理の様子を見て「飯まで炒るのか?」と言われたので行者ニンニク油で炒めたチャーハンを食べさせたら驚いていた。

俺的にはやはり胡椒が欲しい。

ここに胡椒が加われば極上に美味いはずだ!!

そう言えば、胡椒は外国の商人連中から手に入るかも?

大航海時代と言うのは胡椒を求めて旅立った事が始まりだったか?

う~ん・・・胡椒は金と同じ位価値があるだったかな?・・・高いので代用品必要だな・・・日本で手に入りそうな物は・・・山椒とかはいけるな!!

日本最古のスパイスと呼ばれる山椒は手に入りそうだから試してみた。

山椒を見つける過程でショウガも見つけたよ。

漢方薬でクレノハジカミとか言われてた・・・

山椒も同じくハジカミと呼ばれていたよ。

スパイスと言えば、九州のソウルスパイスの柚子胡椒も再現しよう!!夢は膨らむな!!

柚子胡椒は前世の俺の祖母から作り方を教えて貰ったので間違いなく作れるぞ!!

問題は青唐辛子があるかだな・・・

無ければ輸入だな。

たしか、諸説あるが唐辛子は鉄砲伝来とともに伝わったと聞いたことがあるし、探せばあるかも。

でもな~諸説の中には朝鮮出兵時に加藤清正が持ち帰ったと言う話もあるし・・・取りあえずは確認案件だな。

後日、胡椒の代わりに山椒を入れたチャーハンは山科様にウケた!!

これも宮中で振舞われて天子様もお気に入りの食事の一つだと聞いたが・・・

京都と言えばちりめん山椒だな!!それに七味もいるな!!

剣術の次は飯テロだな!!

肉みそ炒めを食べながらそんな事を考えていると、訪問者がやって来た。

真里に紹介されたが北畠具教!!国司剣豪様だ!!


「お初にお目に掛かる。北畠権黄門ごんのこうもん具教と申す」

「これはご丁寧に。某は丸目蔵人長恵と申します」


挨拶を交わし本題に入る。

具教さんは剣術を教えて欲しいと言う。

今は難しいが落ち着いたら教える為に伊勢に向かうことを約束した。

さて、更に訪問者がやって来た。

横で酒盛りしている霜台爺さんが顔を顰める。

訪問者はしま左近丞さこんのじょうさん。

現在、絶賛敵対中の家中の人らしい。

まぁ俺は関係ないので嶋さんと友好的にお話だ。


「是非とも某に四位蔵人様の兵法の手解きをお願いしたい!!」

「あ~」


霜台爺さんがこちらをジッと見詰めてくる・・・

まぁ敵対中の人物だしね~・・・でも俺には関係ないよ。


「四位蔵人様がそちらの松永殿と懇意にしておることは知っておりますが・・・」

「まぁ懇意にはしておりますが」


爺さんがどや顔だ・・・嶋さんにマウントを取った感じなんだろうね~

だが、剣術広めるのは俺の仕事だと思っているからね~来る者拒まず去る者追わずの精神で、頼まれれば受けるよ!!


「某で宜しいので?」

「是非ともお教えくだされ!!」


嶋さんに兵法指南する約束をしたよ。

爺さんは苦虫を噛み潰したような顔でジッとこちらを見詰めて来る。

仕方ないな・・・


「霜台爺さんは気に入らないって顔に出てるぞ!!」

「気に入らぬな・・・」

「今は敵対してるからか?」

「そ、そうだ・・・」


バツが悪そうに爺さんが答える。

まぁ戦力UPになると困るからだろうね~


「爺さん・・・度量が狭いぞ」

「う・・・解っちょる!!だから何も言ってないだろう!!」

「まぁ気持ちは・・・解らんな・・・」

「解らんのか!!」

「いや、解るけど、解らん!!」

「どっちじゃ!!」

「そうだな~敵対者が強くなると言う不安は解るけど、それに固執して度量の狭い事を考える事は理解出来ん!!」

「う・・・」

「別に爺さんが教えて欲しいと言うなら教えるし、誰にでも教えるぞ」

「ただし、俺が気に入らない者に教える気は無いぞ」

「我儘だな・・・」

「そんなもんだよ、俺が嫌うという事は相手も俺を嫌っている」

「・・・」


爺さんは何か考える様に顎に手を当てて物思いにふけるが、話を続ける。


「嫌っているのに頭を下げてまで教えを請いたいと言って来るのは評価できると思うが、長続きはすまい」

「そうだな・・・」

「俺が嫌うという事は教え方も杜撰なるだろうから、同門の者も俺に忖度しその者を蔑ろにしよう、それはお互いの為にならぬ」

「・・・」

「だから教えぬが、嶋殿に俺は嫌悪の気は無い、だから教える。それだけだ」


爺さんはプイっと顔を背け「好きにせい」と言う。

言われるまでも無く好きにするが、それを聞いた嶋さんは大喜びだ。

その後は一緒に酒を飲み料理を摘まみ大いに盛り上がった。

京でのやることが終わった後に伊勢に行く予定である。

北畠さんとの約束だしね~その後に行くと伝えた。

「楽しみにお待ちする」と言われた。

楽しい宴席は遅くまで続いた。


★~~~~~~★


「如何じゃ?」

「ああ、丸目四位蔵人様の勝ちで終わった」

「やはり強いの・・・」

「まぁな・・・やれそうか?」

「勝って浮かれておろうし、勝負は一瞬じゃ」

「そうだな・・・」

「如何した?」

「いや、本当に四位蔵人様を狙うて良いと思うのか?」


目の前の男は少し考えてから儂に答えた。


「暗殺とはそう言う物じゃ」

「それは・・・」

「その者に恨みなど無くとも依頼されれば狙う」

「・・・」

「金の為にやっておる。今回は上人様のご依頼じゃ儂には誉よ」

「天に唾する行為とは思わんか?」

「ははははは~鬼が出ればそれを倒し、仏が出ればそれを倒しじゃ!」

「おいおい、仏も殺るのかよ」

「本当の仏や神であれば助かろうて」

「そうか・・・」

「もし神罰が下るのであれば儂が間違えたという事よ」


間違いか・・・儂は仕える主人を間違えたと思うておる。

これだけのことを成し、この戦国の世に人々に生きる希望を与える者に仇なすなぞ天に唾する行為だと思う。

ましてや、官職持ちで神仏と話すと言う物を殺める?・・・神仏は儂を許すとは思えぬが・・・この者も浄土の教えとやらに依存しておるのに何も感じぬのか?

ふと見ると、手に持つ椀が震えておる・・・

此奴も此奴で怖いのであろうが・・・上の者の命令じゃ逆らえまい・・・

丸目四位蔵人様の帰り道を襲うこととしておるが・・・成功しても恐ろしいし、失敗しても恐ろしい・・・


〇~~~~~~〇


さて、うんちく色々話せそうな回ですね~

「桜餅」について語りましょう!!

この和菓子は私は大好きでよく食べます!!

江戸時代、隅田川の近くのお寺の門番の山本さんと言う方が考案したと言われています。

大量に散る桜の花びらを見ていて、秋に桜の葉っぱが大量に積もっているのを見てなど諸説あるようですが、もったいないな~と思ったことが発端で、桜の葉を塩漬けにして餅に巻き付けて出したのが始まりと言われています。

元々はそのお寺に墓参りに来る方に「おもてなし」としてお出しした物だったようです。

2022年の東京オリンピックの時に話題となった「おもてなし」ですが、こういう話を聞くと本当に「おもてなし」と言うのは文化だよな~と思いますね~

このおもてなし文化から生まれた「桜餅」ですが2種類あることをご存じでしょうか?

道明寺桜餅と関東風桜餅と言う2種類あります。

どう違うのか?

道明寺桜餅は隅田川の近くのお寺の名前からと言う訳ではなく、道明寺粉を使う道明寺餅を桜の葉で巻いたからそう呼ばれます。

関東風桜餅はお餅は小麦粉に白玉粉や糯米粉、砂糖などを加えてやや薄く焼いたものを使います。

こし餡であるのも特徴です。

これは桜餅を考案したお寺の名を取って長命寺風桜餅とも言います。

逆に道明寺桜餅は関西風桜餅とも呼ばれます。

私の中で桜餅と言えば関西風桜餅です。

道明寺粉って何?と思いますよね?実はもち米を主原料とした和菓子などによく使われる粒状の食材を道明寺粉と言います。

もち米ちゃうの?と思うかもしれませんが、道明寺粉を作る工程は精白したもち米を蒸して乾燥させてから粗くひいて粉にした物を言います。

私の中の桜餅はこの桜色の道明寺粉に小豆の粒あんかこしあんが入っおり、桜の葉に巻かれたり桜の花があしらっている物を思い浮かべます。

桜と言えばソメイヨシノですが、桜餅に使われる桜の葉はオオシマザクラを使うそうです。

桜の葉が使われる理由は、匂いや香りが良く季節感があるからだけではありません。

最近は年中売っているので季節感はどうかと思いますが・・・

桜の葉には抗酸化作用があります。

そして、葉で包むことでパサつき防止にもなり長持ちすることで生菓子の中でも保存性が高いと言うことから桜餅は好まれているようです。

と言っても生菓子なので賞味期限は2~3日位ですけどね。

桜の独特の香と味の成分はクマリンと言う成分に由来します。

クマモンではなくです。

これは肝毒性がありますので食べすぎ注意です!!

肝毒性と言っても桜の葉数枚では危険性はありませんので安心してお食べください。

それと、桜餅は美味しいですけどカロリーも中々高いので、食べ過ぎると太りますので注意ですね~

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