第121話

うし!確定申告して来ます!!

これがUPされる頃には税務署に居ると思いますが、無事に終わる様に願を掛けてUP!!

念の籠った121話お楽しみください!!


◇~~~~~~◇


急ぎ師匠の後を追い掛けたが祝福の波で足止めを食い師匠を見失ってしまった。

明確に信綱師匠が俺のことと褒めてくれたことは嬉しいし、色々と感想なども聞きたいと思ったが、またの機会を待つより仕方ないだろう。

客席に行くとまた祝福を受け、「凄い連続技だった」と言う感想を多く耳にした。

霜台爺さんも「よく勝てたな」と言われたが、確かにみる者が観れば信綱師匠とは解らなくても、伊勢太郎は凄腕であるこは解るので、その事だろうと思い、「運よくな」と答えると、「運では無かろう?まぁよい」と言われた。

さて、会場は大盛り上がりの様であちこちで先程の試合の感想を言い合っている。

「ただの助平では無いと思っていたが・・・」とか聞こえて来るが・・・マジで俺の名前が「助平」になっているような気がするが・・・

興奮冷めやらぬ中、次の試合が始まるようで、出場者が試合場に踏み入って来た。

しかし、登場したのは3名だ。

どうやら美羽は不戦勝の様である。

試合の仕切りの者が美羽の不戦勝を伝えると残念そうな声も上がるが、次の試合を期待する応援の声も聞こえてくる。

もう一方の方は林崎はやしざき勘助かんすけVS宝蔵院ほうぞういん胤栄いんえいの戦いとなるが、此方は特に問題無く試合が行われているようで美羽の不戦勝を告げた後に美羽がその場を去ると天子様に一礼し構えをそれぞれが取り、開始の合図を待つ。

「ドン!!」と太鼓の音と「ワー!!と言う歓声と共に試合が始まった。

開始と共に林崎さんが間合いをスルスルと詰めて行くが、槍に見立てた長い棒が行く手を遮る。

胤栄さんの棒に行く手を遮られ、林崎さんは間合いを外す。

先程とは一転し間合いが開くが開始位置から胤栄さんは動く気配がない。

胤栄さんを中心に林崎さんは周りを回る様にしてスキを窺う。

胤栄さんはその林崎さんを警戒するように棒の穂先を林崎さんを負うように

向けながら自転する。

時計回りに回っていた林崎さんは一瞬逆回りをした様なフェイントと共に再度時計回りに周り間合い詰めようとしたが胤栄さんがまた侵入を許さず間合いの外に押しやった。

これは意外にも長い戦いになりそうである。

侵入を再度試みる林崎さんが侵入できずに押し返されるを何度繰り返しただろうか?

何度も何度も試みるが胤栄さんがそれを許さないが、胤栄さんも攻めあぐねている。

試合時間が半分終わった合図の太鼓の音が「ドン!!」と告げられる。

二人とも一瞬太鼓の音に反応したが、特に変わり無し。

そして、結局勝負付かずで試合は終了した。

この場合は天子様に判定をお願いしているので大会委員的な立場をお願いしている山科様が天子様の居る櫓へと向かい確認後、仕切に結果を伝える。

その間にも会場ではどっちが優勢だとかと言う論議がなされているが、俺から見れば完全な引き分けだと思うが、トーナメントの関係上決める必要がある。

天子様が決めれば批判も出ないと思いお願いしているので出場者にも予めそれは告げているので問題無いだろう。


「武蔵坊弁慶とする!!」


まぁ有効打は無いが、優勢に試合を進めていた胤栄さんの勝ちとしたのは仕方ないか。

林崎さんも仕方ないと言う顔で一礼しその場を去った。

胤栄さんも「ふう」と安心したような溜息を一度吐き、その場を退いた。

長時間の戦いとなり消耗したのが明らかに解る。

午後からの試合に影響は多少出るかもしれないな。

そして、最後の組の試合が始まろうとしている。

4人が試合場へと足を踏み入れて来た。


真里VS吉岡直賢なおたか

斎藤さいとう勝秀かつひでVS柳生宗厳むねとし


さて、誰が勝つか見物である。

ここまで残る実力者たちだ誰が勝ってもおかしくはない。

真里も俺的には見劣りしないと思うんだけど、賭け的には美羽と共に最下位となっている。

一番人気なのが宗厳むねとしさんだろう。

畿内一の剣豪との呼び声高い柳生宗厳むねとしさんに票が集まっている。

二番人気は武蔵坊弁慶(胤栄さん)で三番目が吉岡直賢なおたかさんだ。

俺?・・・何故か美羽・真里よりも人気薄だ・・・皆、俺が負けることに期待している?

悔しいので自分に1,000貫も突っ込んだよ!!

美羽たちにもお小遣い的に掛け金渡したら全額俺にBETして来た・・・女性陣は俺を信じてくれたようだ。

男性陣は・・・うん、儲けたいから全力で自分を信じて自分が強そうと思った者に賭けたのね・・・誰に賭けたか教えてくれなかったよ・・・

まぁ、勝つ予定なので悔しくは無いぞ~・・・いや、本当に悔しくないからな!・・・言い訳がましい?・・・

さて、試合場では四人が天子様に一礼し、対戦相手同士で向き合い、構えを取り合図を待つ。

「ドン!!」と合図が成ると試合が始まったが両試合共に間合いの奪い合いの様な攻防が繰り返されている。

真里は信綱師匠と同じような構えを好む。

下段に構え相手の動きを見ながら後の先を狙う。

対戦相手の吉岡さんは正眼に構え間合いを詰めたり少し外したりと出し入れが激しい。

真里も間合いを自分のものにしようと動きはしているが、吉岡さんに比べて動きは少ない。

今までの激しい場合の奪い合いが嘘のようにお互いにピタリと動きを止めた。

吉岡さんの気勢が上がったことからどうやら先手を狙い攻めて行くようだ。

逆に真里は後の先のカウンター狙いなので願ってもないと言った感じで微笑を浮かべる。

「真里皇女様素敵~!」「皇女様美しい!!」と男女共から黄色い歓声や野太い歓声が飛び交う。

吉岡さんがカッと目を見開き、一気に間合いを詰めた。

激しい攻撃が始まったが真里は微笑のままでその激しい攻撃を受け流す。

俺よりも信綱師匠の教えを最も自分の物にしているのは真里かもしれないと想えるほどに真里は信綱師匠によく似た剣裁きをする。

涼やかに相手の攻撃を受け流す。

流れる水の如くと言うように軽やかに相手の攻撃を迎撃していく。

まるで舞っている様にも見えるから面白い。

相手の吉岡さんは鬼気迫るような勢いで攻めを更に強める。

ポーカーフェイスで微笑を続ける真里だが、そんなに余裕がある訳ではないのは何時も一緒に居る師匠である俺だから解るが、戦っている吉岡さんにはどう映るか?

真里には余裕が無くても余裕を見せて相手を翻弄するようにと伝えてある。

その教えを守り微笑を絶やさず攻撃を受け流し続ける真里。

しかし、猛攻と言う物は長く続く物ではない。

どうやら真里は何とか相手の攻撃をしのぎ切ったようだ。

一瞬の揺らぎを逃さず真里が詰将棋の様に相手を追い込んでいく。

相手の吉岡さんは先程までの猛攻で息が上がり、今度は逆に防戦一方だ。

真里はフェイントも織り交ぜて相手の体力と気力を更に削いでいく。

疲れから吉岡さんが一瞬遅れたスキを突き真里の一撃が決まった。

吉岡さんもやられたと言う顔を見せ、勝負が確定したことを知らせる。


「勝者!!真里皇女!!」


「ワー!!」と言う歓声と勝ち名乗りは同時に上がる。

さて、もう一方はまだ勝負が決まっていないようだ。

見れば斎藤さんも宗厳さんも正眼に構えているが横目でそちらを見ていたが、斎藤さんの剣技は新当流だろうか?

卜伝爺によく似た動きをするので多分は卜伝爺さんの弟子の一人かもしれない。

宗厳さんとこれだけ長く打ち合えると言うのは可成りの実力者なのは解る。

打ち合いつつも間合いの取り合いを繰り返し、今の所は五分五分と言った感じか?

宗厳さんが斜に構えた。

斎藤さんは上段に構えを変える。

斎藤さんが袈裟に斬るが宗厳さんはそれを躱すが斎藤さんはそのまま更に攻めに移行したようで、横薙ぎを続ける。

宗厳さんはそれを撃ち合い間合いを詰める。

間合いを外そうとした斎藤さんの足の後ろに宗厳さんの足が掛かる。

それに躓き斎藤さんがバランスを崩す。

宗厳さんはその一瞬のスキを見逃さずに木刀を突き付ける。


「勝者!!柳生宗厳!!」


勝ち名乗りがされると何時もの様に歓声が上がる。


さて、今日の二戦目の組み合わせが決まった様だ。


俺VSしま左近丞さこんのじょう

美羽VS宝蔵院ほうぞういん胤栄いんえい(武蔵坊弁慶)

真里VS柳生やぎゅう宗厳むねとし


俺の一門が全員残っているので可成りインパクトあるよね~多分!!

しかし、俺よりも美羽と真里の人気がうなぎ上りだ。

男女ともに人気の様で、美人剣豪として可成りの人気者になっている。

確かに二人とも美人なので仕方のない事だが、何か悔しいな~・・・

まぁ一門全員が決勝に残るのも伝説かもしれないので俺も頑張るが二人にも頑張って欲しいが、相手は胤栄さんと宗厳さん・・・勝てる保証はない。

いや、寧ろここまで残った二人を褒めこそすれ文句などない。


〇~~~~~~〇


剣術の試合が続いておりますが、お楽しみ頂けているでしょうか?

さて、次の対戦相手として持って来たしま左近丞さこんのじょうですが、島左近若しくは島清興と言った方が解る方は多いと思いますが、春日大社に灯籠一基を寄進しているらしいのですが、そこには「春日社奉寄進嶋左近丞清興」と刻まれているそうです。

作者の私は春日大社に参拝したことがあるのですが、参拝した後にこれを知り、見れなかったことをとても残念に思ったものです。

この時期の島左近は筒井家に仕えていました。

筒井家は順昭じゅんしょうが28歳の若さで亡くなります。

天然痘ではないかと言われています。

そして、その息子である2歳の子供が家督を継ぎます。

藤勝ふじかつと言いますが後の順慶じゅんけいと言う人物です。

島左近はこの2歳の幼子を補佐する形で重臣として仕えました。

この時期の筒井家の重臣には松倉まつくら重信しげのぶと言う人物もいたのですが、この人物は通称で右近と言います。

そして、島左近と共に「筒井家の両翼」とも呼ばれる程の重臣で、筒井家の「右近左近」称されたようです。

筒井家にはもう一人の森好之よしゆきと言う重臣がおり、3人を「筒井家三老臣」と呼びこの幼い主君を支えたようです。

後に筒井家を辞して最終的に石田三成に仕えることとなった島左近ですが、「治部少石田三成に過ぎたるものが二つあり、島の左近と佐和山の城」と謳われるほどの逸材だったようで、三成の手持ちの禄高4万石のうちの半分を与えられるという破格の待遇で迎え入れられたと言う逸話が残っている程の人物です。

そして、島左近と柳生家の関係が面白いです!!

左近の娘にたまと言う人物が居ます。

この人物は、柳生利厳とししげの奥さんとなる人物です。

実はこの利厳とししげさんは柳生厳勝しげかつ君の長男さんとなります。

つまりは、宗厳むねとしさんのお孫さんです。

意外な関係性があって面白いな~と思い剣豪関連なのに島左近登場ですが、実際に島左近自体は可成り剣術が出来る人物だったようです。

先陣を切って戦うこともあった様で、関ケ原の戦いでは西軍総崩れの後、再び出陣して黒田長政軍及び田中吉政軍に突撃し、敵の銃撃により討ち死したと伝えられております。

しかし、石田三成の次位に手柄首であるこの島左近ですが、大谷吉継の首級と共に島左近の亡骸は見つかっていないと言われています。

実は関ケ原では亡くなっておらず、名を変えて生き残ったいたのでは?とも言われる人物です。

関ケ原の後に京都で島左近を目撃したと言う者が相次いだという話も残っているようです。

実にミステリーで良いですね!!

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