第119話
いよいよ最後のトーナメントの山の一回戦が始まろうとしている。
注目は真里VS柳生
柳生
「ドン!!」と言う開始の合図共に試合が始まる。
真里VS柳生
真里はいなしと崩しが上手い。
一方的に攻められているが、あれは真里の作戦だ。
太刀を振るうと言うのは消耗が激しい。
何故ならば攻める際は無酸素運動になりがちなので息が切れる。
ボクシングでも前半戦で優勢に見えた者が後半戦で失速することがあるだろ?
あれは攻撃で無酸素運動を続けたことにより息切れをして筋肉に乳酸が溜まり体が疲れるから起こる現象なのだ。
人間は激しく動くことは長く続けることは難しい。
鍛錬などでスタミナを付けて持続性を上げる事は出来るが、永遠では無いのだ。
案の定、テンポ良く攻め続けていた筈の
しかし、
中々長い時間受け続けた真里にも焦りが見え始める。
木刀を木刀で受け続けると手に振動が伝わり疲れる。
攻め続けるよりは体の負担は少ないが、腕への衝撃は残る。
真里もそろそろ勝負を決めようと攻撃に移る。
攻めては受けられ、受けられれば攻められる。
攻防が入れ替わり立ち替わりと目まぐるしく変わるが、前半に攻め続けた
「勝者!!真里
真里が勝った瞬間に「ワー!!」と歓声が上がり、真里を讃える声が所彼処で聞こえる。
もう一方の対戦は吉岡
霜台爺さんが吉岡さんの事は知っていて情報をくれた。
吉岡
完全に忘れていたよ!!あ~え~と確か・・・将軍家の指南役だったか?
思い出していると吉岡
あ~親父さんが信綱師匠に負けたからリベンジマッチ的に考えてるのかな?
戦えるのは決勝なのでそこまでお互い負けなければ戦えるだろうね。
次の試合もあっさりと勝負は決した。
柳生
やはりと言うかなんというか、隠れた実力者はやはりいたね~年の頃は20前後の若者ではあるが、斎藤
勝厳君の上位互換的な感じだね~宗厳さんとほぼ同時に勝負を決めお互いにニコリ笑顔で睨み合って気勢を飛ばしていた。
中々の名勝負になりそうな予感で明日。
3番目の山の明日の対戦は真里VS吉岡
★~~~~~~★
親父殿が負けた。
当代随一の剣聖に負けたのではあるが、仕方ないとも言っておれぬ。
将軍家兵法指南役の家として代々将軍家の剣術を指南して来た名門吉岡としては面目を回復する機会を探していた。
そんな時に上泉殿の高弟の一人、丸目四位蔵人殿が兵法大会を主催すると言う。
将軍弑逆の大事件が起こり沈んだ京の都がその話題で持ちきりとなり以前の賑わいを取り戻したように人でごった返す日々が続く。
まだ二カ月も先と言うに、皆が皆楽しそうにその話題で盛り上がる。
朝廷も協力する程のこの催しは畿内だけに止まらず周辺諸国にも噂が流れ参加者が続々と京の都を目指していると言うが・・・
野試合とは思えぬ規模となり、何と二千名以上の参加者が出そろったと言う。
その中の一人が某だ。
先ず最初に丸目殿の弟子と試合を行い勝った者が先に進み丸目殿の高弟と戦うと言う。
弟子に勝った者が多数の場合は勝ち抜き戦なる物で勝負を決めると言うが詳細は不明。
先ずは丸目殿の弟子に勝つことが肝要。
弟子の一人の女人と戦うこととなった。
可成り若い女人だが、噂では
構えを見て驚いた。
中々の実力者だと思える。
流石はこれだけ大きな催しをするだけはあると感嘆した。
しかし、負ける訳にはいかんと奮起した。
実力的に某が上の様で勝つ事は出来たが、丸目四位蔵人殿の門人は侮りがたい。
その実力を見ておれば某も勝負が五分五分と思える者が数名いる。
その内の一人も一度負けていると聞く。
残念な事にその勝った者の試合を見る事は出来なんだが、対戦した弟子の実力を見るだけでその勝ち残った者の実力の高さが伺える。
最初の試合で丸目四位蔵人殿の試合が観れた。
対戦した佐々木何某と言う者も侮りがたい程の実力ではあったが、丸目殿が勝った。
伊勢太郎なる者は早々に勝ち上がったので実力の底が見えぬ。
ここの残る者は全てが強者と理解した。
そして、我が番となった。
運の良いのか悪いのか、実力的には某の方が上の者と当たり難なく勝ち上がってしもうた。
横を見れ某が戦った丸目殿の弟子の一人の皇女様と面差しの似た者と戦った居るのは柳生の所の者か?
それにしても美しき女子じゃな。
天女だと言われても信じてしまいそうな程に美しい。
剣技も舞うように相手をいなしながら余裕で戦っている。
柳生の者も烈火の如き攻めを繰り出す。
会場は大盛り上がりよ。
しかし、終わりの時を向えた。
柳生の者が攻め疲れた所でスキを見せたその一瞬で勝負が決まった。
どうやら明日の対戦者はあの美しき天女様の様じゃ。
〇~~~~~~〇
1回戦の試合が全て終わりました!!
今回の御天覧試合の主要メンバーが出そろった感じですが、皆様の意外に思う人物は出て来たでしょうか?
本当にこんな豪華なメンバーでの剣術大会が有ったらいいな~とか思ってしまいます。
年齢的な物や諸事情で出せなかった剣豪もおりますのが非常に残念ですがこの物語ではこのような面子で戦うこととなります。
今回、新登場としては吉岡
そして、斎藤
天流の創始者で、朝廷から参内を命じられて三礼の太刀を披露して、判官の叙任を受けたそうです。
井手判官入道伝鬼房と称したそうで、出で立ちが羽毛で織った衣服を好んで着用したとのことで、元々修験道に目覚め修験者の恰好にそんな物を羽織ったことで天狗のような格好をしていたと伝えられています。
天狗繋がりなら出しとかんとね~という事で出馬頂きました!!
全身に矢が突き刺さって亡くなったそうなので壮絶な最期を遂げたようです。
しかし、矢が刺さっても戦い続けたと言うから凄いですね~
剣客と言うのは切った張ったの世界なのでこういうことは多々あったようですが、伝鬼房さんの怒りがその地に残り災厄が立て続けに起こったとされ、その土地の人々が小社を建てて伝鬼房さんの霊を祀ったそうです。
「判官の社」としては茨城県桜川市真壁町に建立されたそうなのですが、今は残っていないようです。
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