第112話

山科様に霜台爺さんとの話し合いの内容を伝えた。


「そうか・・・三好も将軍弑逆の件で藻掻き苦しんでおる様じゃの~」

「まぁ、大罪だし民衆からも非難が激しいようですからね~」

「そうじゃの・・・」

「しかし、京を抑えているのは三好ですし、朝廷も顔色伺いしていると・・・」

「そうじゃの~余裕の無い者は何をしでかすか解らん、今度は主上に襲い掛かるとかもあるやもしれぬな・・・」

「まぁ武士はそう言う者でしょうけどね・・・」

「長もそうか?」

「某は自分に火の粉が及ばない限りは」

「そうよな~朝廷は火の粉が飛んでくる事もあろうし・・・ここで三好に恩を着せておくのもよさそうじゃな~」

「それは山科様たちが決めることですから某は何とも」


山科様は後日、三好の件は追認と言う訳ではないが今回の騒動は武士間の問題として処理し、黙認することを決め、三好側にもそう伝えるとのことであった。

俺は霜台爺さんにその旨の手紙を出して今回のミッションをクリアーした。

後日、霜台爺さんの手紙で三好も俺のイベントを承認はしないが黙認することが決まったことと、霜台爺さんは観に来ることとなった事を伝えて来た。

そして、山科様に朝廷への許可の件をお願いしたら天子様が「観たい」とのことを言われた為に天覧試合の様な様相を呈して来た・・・

空前絶後の剣術大会の様な形となったが、さてどうしたものか・・・

天下一武闘会を開く予定は無いので何か考える必要があるが、さて、どうしたものか?

数日考えて良い案を思いついた。

予選会ならぬ挑戦者を募り、先ずは弟子が相手に戦って貰う。

そして、勝者が後日、俺と試合する!!

おお!良いじゃん、良いじゃん!!

序なので賞金でも出せば対戦者も集まること請け合い!!

更にイベント事には欠かせない売り子さんで飲食販売して・・・いや、一部無料で施そう!!

今、京の町には浮浪の者も多い。

先の戦で浮浪児等も多いと聞くし、町が少し荒廃しているのは肌で感じる。

全部が全部無料とするのではなく、ほんの一部を無料にしよう!!

幸いにして使えきれぬ程の資産もある・・・

堺寄った時に宗さんから聞いたら凄い額の余剰金が発生したので宗さんや紹さんなどの知り合いに低金利で貸し出すこととした。

資産運用だよ!資産運用!!昭和から令和の時代もあっただろ?

銀行預けるより余程に高金利だよ!!

平成、令和の時代何て銀行に預けてるのに利子より取り出す手数料の方が・・・まぁそれを許すあの時代の政府なんて税率だけ上げて民を苦しめる輩しか居なかったんだろうね~消費税?〇〇%とか言って他の税金以外にも物を動かすだけで金を搾り取る悪法を作り運用するような・・・おっと、未来の政府を批判しても今は意味無いな・・・この世界線では如何なることやらだが、俺はもう経験しないであろう未来だ。

さて、ノブなんちゃら、オブなんちゃらだよ!!(ノブレス・オブリージュです。)

え?貴族ちゃうやろって?一応は四位だよ~

偶には大盤振る舞いして・・・本音?・・・人を集めたい!!イベント成功させたいよ!!


★~~~~~~★


時間は少し戻り宮中では


「四位蔵人に願って三好の考えを聞き出して御座います」


その後は長より聞いた情報を皆に伝える。

そして、黙認することが決まった。

武士の問題とすることで不介入を決め込む事としたのだ。

そして、雑談序に長の催し物の事について話すと主上が興味を示された。


「山科権大納言・・・朕も観たいのだが・・・」

「ご臨検という事で・・・」

「うむ、四位蔵人に席を用意する様に言うてたもれ」

「ははー-!!承りました!!」


長に話すのが楽しみな事よ。

大喜びすること請け合いぞ!!

どの様な催し物となるか確認するようにと主上より託けられた。

そして、関白殿下からも長と会いたいとのことを託けられた。

例の件であることは間違いない。

松平の要望は全て叶えることに相成った。

長も喜ぼうが、家康殿は更に喜ぼう。

聞かば三河を統一したと噂に聞く。

追認の様な物であるが、誰も損をしない一石三鳥の事よ。

長は友の願いを叶え喜び、家康殿は朝廷の承認で権力基盤を強固に出来喜び、朝廷と長に感謝する。

そして、朝廷も功労者の長のお願いを叶えた上に長と家康殿に恩が売れる。

言うことなしじゃ!!


★~~~~~~★


四位蔵人・・・朝廷を動かす程の発言力を持つとは・・・危険じゃ。

松永とも懇意となれば厄介極まりない。

近い将来、足元の魚の目の様に煩わしき存在になるやもしれぬ。

長慶様は遺言の一節に丸目四位蔵人と敵対することはまかりならぬと残したが・・・

速い内に芽を積む必要があるやもしれぬ。

丁度、京の町で大規模に野試合をすると言う。

さて、如何したものか・・・


★~~~~~~★


あの忌々しい小僧がまた京に来たと言う。

あの日の屈辱を忘れた日は無い。

いつの日か雪辱をと思うておったが、面白き噂を聞いた。

何でも京の町で野試合を行うと言う。

そして、三好のところの日向守(三好長逸)があの小僧を敵視しておるとも聞く。

三好の為に動いたとも聞くに恩を売った相手から恨まれるとは不憫な事よと思うが、あの小僧の日頃の行いが悪うて裏目に出ておるのやもしれぬ。

日向守(三好長逸)を上手く示唆すれば・・・


「誰やある!」

「お呼びで?」

「内密に三好のところの日向守と・・・」


その謀が動き出そうとしていたが、この時、謀をした者たちはその結果を知り何と言うだろうか?

喜び?後悔?それとも・・・


〇~~~~~~〇


丸目蔵人が史実で最も華々しく名前を世に広めた「兵法天下一」の高札事件が近づいてきました!!

愛宕山、誓願寺、清水寺で「兵法天下一」の高札を掲げて諸国の武芸者や通行人に真剣勝負を挑み、誰も名乗り出ず、勝負することなく帰国したらしいです。

史実では戦うことなかったのでどのくらいの時間募集したのか知りませんが、それなりの時間でしょうし時間潰すの大変だっただろうな~とか思ってしまいます。

これは前にも語っているかもしれませんが、実は咄嗟の思い付きじゃないかと思われる節があります。

何故ならば、この上洛は師匠である上泉信綱に会いに来たのですが、上野に里帰り中で会えなかったので時間を持て余した丸目蔵人が、折角、京に来たのだし何かやるか?とでも思って行ったのではないかと推察できます。

九州から態々京まで出向くほどのアクティブ派ですし、まだこの頃位までは鼻っ柱の強い人物だったような印象を受ける出来事だらけだからです。

まぁ更に年を重ねても色々遣らかしてる人物ですが・・・

武将としては今一と言うか最低評価を受ける人物ですが、こと他分野に関しては恐ろしいまでの才能ある人物です。

さて、何が起こるか続きをお楽しみ頂ければ幸いです。

そして、謎の恨みを持つ人物!!

過去でこの物語の丸目蔵人を恨む人物と言えば!!

結構、初期段階で決めてたストーリーの1つなので書くのが非常に楽しみです!!

物語中最大の見せ場になればいいな~とか思ってます!!

そこまでは少なくとも脱落せずに読んで頂きたいと思っているのですが・・・もう少しです!!

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