第106話

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◇~~~~~~◇


日向守ひゅうがのかみ(三好長逸ながやす)様、失敗いたしました・・・」

「ほう、其方に命じたは覚慶の方であったな」

「はい、邪魔立てする者がおりまして・・・」

「何者じゃ?」

「丸目四位蔵人様にて・・・」

「え?何故あの者が邪魔をする?」

「四位蔵人様曰くですが、松永霜台様の依頼と・・・」

「久秀め・・・」


流石は長慶様の懐刀と言う所であろう。

先日の評定の場では久秀の息子の久通ひさみち、今は義通よしみちが「近衛の女子たちは助けて近衛に恩を売るべきでは?」と言って来た。

息子に言わせるとは・・・しかし、確かに近衛に恩を売るは良い案ぞ。

儂自らが動き助けて恩を売っておこう。


「して、四位蔵人は何と?」


忍びの者は四位蔵人の言ったことを儂に伝えて来たが、同じ三好の者?久秀と儂では同じ三好は三好でも家来と親族、格が違うわ!!

まぁ陣営としては同じじゃし、久秀と一度話してみるか・・・坊主の一人など始末は何時でも出来ようし、覚慶を始末すれば興福寺が五月蠅かろう・・・久秀の事だそこら辺も加味した考えやもしれぬ。


「分った、始末は保留する」

「はっ!四位蔵人様には忍びの者も着いて居るようで御座いまする」

「ほう・・・厄介な事よ・・・敵対している訳でもないし、長慶様も侮れぬと言っておられたな・・・ああ、よい、下がれ」

「はっ!」


長慶様が生前に同じと言う名で侮れぬ者がおると言うておったが、調べてみれば言われる通り侮ると痛いしっぺ返しを貰おう者だ。

あの忌々しき義輝に一泡吹かせたとも聞く。

嘘か誠か解らぬが、任官の際の挨拶の時に義輝に剣術で圧勝し更には投げ飛ばしたと言う。

その場を見れなかったのは至極残念ではあるが、密偵の報告を聞きほくそ笑んだものよ。

「天啓」を聞き無駄に争えば神罰をも降ると言う。

下手に手を出して火傷するなどの愚は犯せぬ。

今は大事な時じゃ。


★~~~~~~★


「上様!!」

美作守みまさかのかみ進士しんし晴舎はるいえ)そこを退け!!」

「いいえ!退きませぬ!!将軍たる者が三好の高々一万の軍勢、然も寺参詣の軍勢に怯え逃げたなどと末代までの恥に御座います!!」


上様と父上が言い争いをしておる。

何故に漏れた?

計画通りに事は運び後は門を抜けて三好が来る反対側に進むだけであった。

門前に待ち構えた父が上様に言い募って避難を留意しようとしておる。


「藤延殿・・・すまぬ・・・」

「藤英殿・・・まさか・・・」

「美作守殿が知らぬとは思わなんで・・・」


あ~某の父じゃ、まさか知らないとは思わず話してしまったか・・・

藤英殿は申し訳なさそうな顔で押し黙っているが、もう時は無いし、この騒ぎじゃ三好には伝わるな・・・今更逃げても意味は無かろう・・・

上様にはご避難を諦めて頂くより・・・


「もう、上様が避難するのは難しかろう・・・この騒ぎじゃ、三好の手の者で聞き付けた者が既に報告に走らせておろう・・・」

「それでは!」

「一度上様と話す必要があるが、某以外の者たちには次の世代の足利将軍の為に身を隠して貰うこともあるかもしれぬ・・・」

「しかし・・・」

「いや、ここに至ればもうそれより仕方なきこと・・・死して足利家の礎とお成り頂くより無いかもしれぬ・・・某もお供仕る所存にて・・・」

「その役目は某が・・・」

「いや、某の父が上様をお止めされた・・・某がおめおめと生きながらえる訳には行かぬ・・・」

「そうであれば某も!」

「そこで一つ頼みがあるのじゃが・・・」


某は遠縁の者より預けられた義理の弟を藤英殿たちに託した。

その者の実の兄は、今、朝倉に仕えておると聞く。

上手くすれば上様の弟君の助けになるやもしれぬ者じゃ。

それに、まだまだ若く死なすには惜しい・・・生きながらえて進士の家名を残して欲しいとの願いもあり藤英殿たちに義理の弟を託し数日間は身を隠し、場合によっては京より一時退避するように伝えた。

上様には・・・事後報告となるがその事を伝えようぞ。

某はまだ言い争いの続いている上様と父上の下に行き両者を宥めた。


「「藤延」」


宥めると二人ともが某の名を呼ぶ。


「上様、残念ながら事は終わりました・・・父上!上様のお邪魔をしたのです、お覚悟をお決め頂きたく存ず」

「相分かった・・・」


上様は事が終わったことを理解して馬を返し御所へと戻って行かれた。

父上の方を見据えると不満顔だ。


「藤延よ、何を言っておる!!」

「父上!明日、三好がここに攻めて来ます」

「はぁ~?何を馬鹿な・・・」

「上様は何か言いなされておりませなんだか?」

「同じことを言われておった・・・」

「何とお答えしてお止めに?」

「三好腹が攻めて来れば我が身を盾にしてでもお守りする!討死覚悟でお守りすると・・・」

「左様で・・・ならばお覚悟を・・・」


そう言って某は上様の後を追い御所へと向かった。

その日の夜分に三好上洛の知らせが届く。

決戦は明日!攻めて来ると解っているので手薄な城門には柵を作り三好勢に備える。

こうなれば一人でも多くの三好の者どもを道連れに閻魔様にお会いしに行こうぞ!!


〇~~~~~~〇


歴史は繰り返されました!!

しかし、少しだけ歴史改変が起こったようです。

さて、三好勢はどうなる?

進士しんし晴舎はるいえは実は58話で主人公VS剣豪将軍の決着の際に騒いだ人物はこの人です!!

名前出すかどうか考えてもし別の人にした方が話面白そうならそっちに変えるかと思い名前を伏せましたが当初この人の名を出す予定でした。

さて、次はいよいよ永禄の変が始まります!!

最も史実では城門に柵とか作っていませんので防備が変わっていることで結果が少し違うかも?

如何なるかは続きでお楽しみを!!

史実では清水寺参詣を名目に約1万の軍勢を御所向けた三好軍は御所巻きをすると、足利義輝に要求ありと取次を求めたようです。

進士晴舎がその訴状の取次に往復する間に三好側は鉄砲衆を四方の門から侵入させ攻撃を開始したと伝えられています。

将軍方が応戦している間に、進士晴舎は敵の侵入を許したこと嘆き、詫びて、義輝の御前で切腹したらしいのですが、進士晴舎は三好勢との取次であり、義輝の下に戻れたかどうか・・・

義輝の下でなく別の場所で交渉決裂の責任を取ったとも、交渉の場で自害したことで三好方から交渉決裂・手切とみなされて攻撃が開始されたとも、あるいは三好側の大義名分として処された?・・・色々な事が考えられます。

後に語られる歴史は美しく美化されたり逆に貶められることもある為、事実は闇の中ですが、この当時の進士晴舎は小侍従(義輝のお気に入りの愛妾)の父で義輝の下で可成りの権勢を誇っていたようです。

権力欲の強い人物とも伝え聞きますので・・・この物語では何をどのような行動をするのか!!

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