第93話

折角来たんだし、弟子たちの初陣もここで済ませることとした。

初陣を地元で飾らなくていいのかだって?知らん!!そもそも俺の初陣何て抜き打ちの様に行き成りだぞ!!

親父が行き成り来て「初陣じゃ!用意せえ!!」だったかな?よう覚えていないがそんな感じだったぞ。

それに比べればましもまし!それにな~・・・地元でとか言ってたら何時になることやれだよ。

特に寿斎、吉兵衛、九朗は俺に連れ立って動き回り初陣がまだなので申し訳ないと思っていたので丁度良い。

家さんにお願いし、陣借りして三河一向一揆に参戦じゃ!!

家さんからは「客人にそのような」とか遠慮されたが、好きでやるので問題ないことを告げ陣借りをした。

顔がバレると何か不都合あるかもしれないので、俺と弟子たちは仮面を付けることとした。

俺は赤い天狗面を少し改造して顔に着け、山伏の恰好に鎧を着こんだ。

弟子たちは黒い鴉天狗の面を改造して顔に着けさせ、俺と同じく山伏スタイルに鎧だ。


「長さんとその弟子たちだけで本当に良いんですか?」

「あ~家さん!問題無いですよ~少し暴れて来ます」


そう言って弟子たちを連れて出陣!!

莉里と春麗もそれなりに育ったよ。

会ってた時は11歳と12歳だったけど、あれから3年と強ほど経つ。

莉里15歳と春麗15歳だ。

女性の年をばらすと怖いので今後は語ることは無いぞ!

さて、この時代の15歳は大人の仲間入りと言える。

元服と言うのがそれ位だからだ。

そして、この2人も丁度15歳だし大人として扱うこととした。

栄養状態が良いとすくすくと育つようで莉里は西洋人らしく20歳前後位には見える。

春麗も同世代の者より発育は良さそうだ。

何だか子供を見るような目線になってしまう俺だが、最近皆のアピールが凄い。

鈍感を装っているが、美羽と真里はそれなりの年だ・・・いや、何でもない。

女の勘とは恐ろしい、2人の年を考えただけで一瞬殺気が・・・いや、すまん・・・

まぁ何だ、2人の事は好意的に見ているので今度実家に戻ったら結婚することとしようと考えている。

おい!フラグ立ったと言った奴!出て来い!!

そんなフラグはへし折ってくれるわ!!

さて、そんな話は置いて起き、丸目天狗隊の出陣!出陣!!


「長師匠、おう!僧侶狙えよ~」

「「了!」」


莉里と春麗が俺に毒されている気がすると?・・・気のせいだ。

俺の言葉を真似るようにしたのは彼女たちの選択だ、俺が悪い訳じゃ・・・無いよね?

さて、後ろで扇動している僧侶どもを撫で斬りしていくことした。


「何奴!!」

「見て解らぬか!天狗じゃ!世の者どもを惑わす僧侶の皮を被った悪鬼を成敗しに参った!!」

「ヒー!!」


扇動されていた農民兵たちが逃げ惑う。

俺たちは一気に突っ込んで行き僧侶だけを狙い撃ちにして狩って行く。


「僧を殺すとは仏罰が降るぞ!!」

「ははははは~たわけたことを!神罰を与えに来た天狗に向って仏罰?」

「うう・・・」

「片腹痛いわーー!!」


回りを見ると美羽も真里も黙々と淡々と扇動者らしき者を狩って行く。

美羽は手に入れた「正宗」で嬉々として撫で斬りしていく。

跳ねるように飛ぶようにと言った感じで縦横無尽に相手を撹乱しながら指揮者を狙う。

真里は逆に待ち構えた様にその場で待っていたかと思えば、急に動き出し一気に間合いを詰めて同じく撫で斬りして行く。

棒手裏剣の得意な春麗は狙撃の様に目に棒手裏剣を打ち込んで扇動する者を狩る。

その傍らで「あ、彼奴」などと言いつつ春麗に扇動者を教える莉里、実に頭が回る。

他の弟子たちも縦横無尽に狩って廻る。

俺は囮となり敵を引き付けつつ撹乱しながら弟子たちの動きを観察している。

槍で突いて来た雑兵の槍を逆に掴んで取り上げる。

槍を取られた雑兵は慌てて逃げるが追い掛けて横に並び「仏を語り荒し回るとは死にたいか?」と言えば「天狗様!もうしませぬで許してけろ~」とか言いつつうずくまる。

ギロリと周りを見渡すと槍や刀、鍬などをその場に投げ捨てひれ伏す雑兵たち。

まぁ農民兵なんだろうね~


「ヒーーー!!天狗様の祟りじゃーーー!!」

「天狗様がお怒りじゃーー!!」


農民たちは恐れ戦き大パニックで戦場は大混乱しているので更に先導する指揮者が狩り易くなる。

俺も弟子たちに負けてられんと次々に扇動者を狙って突っ込んで行った。


「長師匠~終わったっぽいね~」

「今は大天狗様と呼べ!」

「へいへい、王天狗様~」

「おい!王じゃなく!!」

「どっちでもいいじゃん」


本当に言葉が乱れている・・・まぁ諦めよう。

向こうの方で狩りまくっていた美羽が此方に手を振っているので振り返した。

真里も狩り終わった様で「終わりました~」と言いながら戻って来た。

さて、家さんの所に戻るか。

岡崎城に向うと何だかこちらに厳戒態勢の松平軍・・・ああ!血だらけの天狗と鴉天狗の一団が来ればそりゃ~そうなるか~

俺は皆に促し仮面を取り少し離れた場所より声を掛ける。


「陣借りしておった丸目と言う者じゃ!家康殿に伝えてくれ~!!」

「す、少しお待ちを!!」

「伝令が駆けて行ったのでその内お迎が来るだろう」


その後、三河一向一揆は終息を迎えた。

農民の中には宗旨替えをして本願寺の教えから離れる者も多々現われた。

その中には「天狗の祟り」を言う者も居たと言う。

そしてその者たちは「赤い鎧を着た天狗の一団が」と言うが、実際には血に染まった姿を誤認したのではないだろうか。

そして、赤い鎧は神聖にて強さの象徴として三河武士の中でも精鋭が着る赤備えなる軍団が出来たとか出来なかったとか。

武田信玄の赤備えを吸収したと言う説もあるが、実際の成り立ちはようとして知れない。

しかし、三河にその後天狗を祭る社が建立され天狗信仰が生まれたことにより更に寺社勢力が衰える結果となった。

人々の間では子供の悪さを戒める際などに「悪い事をすると天狗様が懲らしめに来るぞ」とこの地域では言われるようになる。


★~~~~~~★


天狗様が現れたと恐れる者が続出し、一向一揆が成り立たなくなった。

家康様に逆らったこともありこのまま三河に残ることもできないと言う者も多いが家康様が今回に限り赦免すると御触れを出されたので元家臣の面々が集まり話し合うこととなった。

本多正信、蜂屋貞次、夏目吉信などの三河でも名だたる者が集まり話し合いをした結果、「家康様に会わす顔無し」と言い出奔する者もいたが、家康様が「一向宗に騙されただけであろうし今回は赦免し帰参を許す」というお触れを出されたのだから帰参すると言う者に分かれた。

本当に騙されたのだろうか?・・・しかし、考えるところもあるが、儂は家康様の下に戻ることとした。

儂こそが松平家一の槍の使い手などと思っておったが、平八郎も中々にやりおる・・・

負けた訳ではない、いや、負けられぬ!


正信まさのぶ殿(本多正信)は如何される?」

「儂は家康様に今は顔を合わすことははばかられるからの~日ノ本を見て回り将来に家康様に役立つよう色々見て廻ろうかと思うとる・・・そっちは如何する?」

「儂か・・・儂は帰参するつもりよ」

「そうかそうか、家康様がお許しくださると言うとるしええと思うが、何か迷いがあるのか?」

「ああ・・・本当に坊主に騙されたのかの~」

「それは解らぬ、解らぬから見て廻って確かめたい」

「そうか・・・達者で」

「そちらもな」


そして、儂は家康様に頭を下げて帰参したが、何とあの忌々しい丸目が家康様を唆したと聞き及んだ・・・今は耐えよう。

何時の日か丸目蔵人に仏罰を下してくれようぞ!!


〇~~~~~~〇


さて、うんちく入れないで数話書いておりますが、何方が良いかご意見を頂ければ幸いです。

結構うんちく語ったので満足した部分もありうんちくを入れずにストーリーを書いてみました。

語れるうんちくもまだまだありますが以前にうんちく不要と言われる読者様もおられましたので敢えて満足している今確認の意味で読者の皆様にお聞きします。

必要か?必要ないか?コメお待ちしております!!

次は伏線回収?

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