第86話
大友・毛利の和平交渉を行うこととなったので名残惜しいが博多を後にしてその後堺を目指すこととした。
今回は新たな仲間?スペシャルキャラの道雪さんが一緒である。
逆か、和平使節団の道雪団長にオブザーバーとして丸目蔵人とその一行が随行する。
俺的にはこの後にこの二家が和睦することを知っているし、双方とも構っている暇が無くなることを知っている。
お~何かこれって知識チートっぽいぞ!!・・・調子に乗るなと・・・はい、すみません・・・
まぁ犬猿の仲だしね~時間の問題と思うけど、早めに何とかしたい大友側としては丁度俺が博多に居たことは渡りに船だったんだろうね~
「やあ、隆景殿、久しぶり!」
「これは・・・何故、あなたが大友家の戸次殿と一緒に?」
「え~話は簡単で、知り合いの道雪殿に頼まれたから!」
それを聞いたもう一人の顔見知りが噛みついて来た。
「その方は大友に味方すると言うか?」
「あ~これはこれはお久しぶりですね~吉川殿」
「答えい!!」
相変わらずで逆に安心するよ吉川君!
でもね~今は俺が大友側に居ようとそんなの関係ないと思うよ~
だって戦ではなく単なる話し合い。
既定路線の和睦!!
「元春、やめい!!」
「しかし!父上!!」
「今は話し合いの場ぞ!」
元就爺さんが一括して黙らせた。
「久しいな蔵人殿」
「はい、ご無沙汰しております、
お互いわざと官職名で呼び合う事で正式な交渉の場の雰囲気を整える。
「して、大友家は此方に仕掛けて来た詫びが先の様に思うが?」
早速、毛利家の先制攻撃。
「先に事を起こしたわ、毛利家であろうが!」
カウンターで大友家が攻撃。
あ~毛利元就の家来と大友家の家来さんが凄い勢いで言い合いの応酬です。
それをお互いの代表者である元就爺さんと道雪さんは聞いているが特に口を挟むこともしない。
会議は長くなりそうです・・・
「あんの~を~これ何時まで続けるのです?」
既に同じ様な状況で3日ほど時を過ごした。
俺は他人事だし好きなだけ話せばと思い黙って見ていたが飽き・・・大いなる決断を迫った!!
「「何!!」」
両陣営の交渉人たちから凄い勢いで睨まれる。
皆俺に注目しているけど目で人を殺せるんじゃないのかと言う位の殺気をぶつけて来るが、そんなの知らんわ!!
俺は飽き・・・無駄な時間を過ごすほど暇ではないのだ!!
此奴らも飽きずに同じことを繰り返し叫ぶ。
解るよ~ここでスキを見せれば利権が奪われるかもしれない。
でもね~
今はまだ両国ともに盤石だけど、まごまごしていると足元救われちゃうよ?
大友は今後、九州で三つ巴の争いを島津・竜造寺と行うし、毛利は毛利で
大友を相手に居たまま勝てたかと言えば怪しい限りだ。
ここで手打ちにして他に当ったからお互い今回は生き残ったんじゃないのかな?
まぁ結果論だけどね~未来で起こる事を少しは知っている俺はこの言い争いを冷めた目で見ているんだよね~
少し知っているのはドラマでだろうと?・・・知っていることに変わりなし!!
「それで?蔵人殿は何やら言いたいことがおありのようで」
元就爺さんがじっと俺を見詰めながら聞いてくる。
「双方ともに構っている暇あるのですかな?」
「それはどういう意味かな?」
あ~爺さんも手打ちしたいと思っているのかな?知らんけど。
「尼子」
元就爺さん以外は今一理解に及んでいない様だが流石は知力100のチート武将の元就だ、その一言で全てを悟った様で息を飲む。
「ははははは~毛利家はここで和睦した方が宜しいようですな~」
大友側の者が意気揚々とそう述べる。
「竜造寺に島津」
「その二家が何か?」
「今後、勢いが出て来る家と某は見ますが」
大友の方も押し黙る。
★~~~~~~★
宗麟様をやり込めた青年、丸目蔵人長恵。
噂で神童など言われておったかと思えば博多に来れば「天啓」を得ると言う。
最初は何を馬鹿なと思うておったが、博多の者どもが恵比須様のお社を建立すると歎願して来た時に少し調べてみれば
お社建立の場所探しの際も恵比須様だから海近くにとの指示で探せば像が見つかったいうではないか。
それからは宗麟様、当時は義鎮様が詮議で呼び出した。
当時の宗麟様は長恵殿を処分する気であったと思える。
詮議の際に、「天啓」にて宗麟様の蛮行を攻め立てて、デウスの神が宗麟様に罰を与えると言うではないか。
儂を含め殆どの者が何を馬鹿なと思うたことであろう。
しかし、内容は宗麟様を
長恵殿のいう事通りの事が起き大友家中の者は恐れ
儂は面白い御仁だと思い対面を得ることが出来た。
そして、話してみれば実に面白き御仁よ。
我が一族に年頃の娘が居なかったことが残念で仕方なしだ。
もしいれば・・・もしを語っても詮無き事よ。
時は流れ十日程前の話であるが、儂の下に御内書にて大友と毛利の和睦の取り纏めの依頼が来た。
当事者に依頼するのではなく調停者を出して頂けなかった事に儂は憤慨を覚えたが、ふと博多に長恵殿が来ていることを知り、天意を得た気持ちとなった。
長恵殿は色々あり、「従四位下
長恵殿ではなく蔵人様と呼ばねばなるまいが・・・儂は取る物もとりあえずかの御仁に会いに行った。
「鑑連殿!お久しぶりです」
「おお!
「いえいえ、前と同じく好きな様にお呼びください」
相も変わらない。
官位を得ても驕り高ぶらず実に出来た人物だ。
「わはははは~そうか、そうか、では、以前同様に
「はい、そうしてください・・・所で、頭を丸められて如何されたので?」
「いや、なに、主である
頭を撫でつつ事の経緯を話せば興味深そうにその話を聞いてくださる。
実に楽しき事よ。
「では、某は道雪殿とお呼びすればよいかな?」
「おお!そう呼んでくだされ!!」
儂はそのまま今回の件とこれからの交渉の助力を願い出ると快くお受けくださった。
肩の荷が一気に無くなった様な心地がした。
しかし、実際に毛利との交渉が始まると上手く行かぬ。
お互いがお互いを信じておらぬし、利権をめぐる言葉による闘争で話し合いは既に二晩を持ち越した。
何と不毛な言い争いと思うが、引くことは即ち利を捨てることと同義だ。
毛利側も引く気はないであろう。
そんな時、長恵殿が場の空気を一変させた。
「あんの~を~これ何時まで続けるのです?」
場の空気が固まったとは思えるほどに今までの怒声は鳴りを潜め長恵殿を皆が見詰める。
儂は面白き事が起こりそうな気がして心躍らせ長恵殿を見詰めた。
「「何!!」」
固まっていた物が動き出す様に毛利側だけではなく此方の者も射殺すような視線を長恵殿に投げかける一同。
はてさて、長恵殿はこの場をどう収める?
「それで?蔵人殿は何やら言いたいことがおありのようで」
今まで一言も発しなかった元就殿が言葉を発した。
その問いに呆れた様な視線で皆を見まわしてから元就殿を見据え大きくため息を一つ吐いてから語りだす。
「双方ともに構っている暇あるのですかな?」
「それはどういう意味かな?」
長恵殿の言ったことが理解できず問い返す元就殿。
「双方」・・・儂らの方にも何かあると?
「尼子」
元就殿と隆景殿が驚いた顔をしたが他の者は特に驚いた素振りも無し。
何かあるのか?
「ははははは~毛利家はここで和睦した方が宜しいようですな~」
我が意を得たりとでも思うたのか、こちら側の者が長恵殿に追従する。
しかし、長恵殿はそれを言った者をチラリと見てからゆっくりと此方にも語り掛ける。
「竜造寺に島津」
「その二家が何か?」
「今後、勢いが出て来る家と某は見ますが」
竜造寺に島津・・・
長恵殿が九州を巡る過程で見聞きして来たことで判断した今後我々の脅威となる家を上げた?
竜造寺は現在何とか大友の旗下に入ったが・・・
長恵殿には何が見えている?
儂はこの若者に城を与えれば周りを併呑して行くのではないかと心を躍らせてしもうた。
さて、長恵殿はこの後何を語るか、実に興味を惹かれる。
儂は年甲斐もなく心躍らせて続きの言葉を待つ。
〇~~~~~~〇
この大友と毛利の和睦の話は実は必ず主人公を絡ませようと考えた物の一つです!!
その為に初期段階?で
勿論、主人公に会わせたい人物であったと言うのもありましたが、この和睦に向けて仕込んでいた訳であります。
さて、次回は毛利元就の視点に移りますので同じような話が続きます。
本編が長くなり分ける形になりました・・・
うんちく書ける程の空きが・・・実はこの作品に特に縛りは無いのですが、出来るだけ1話4,000文字以内出来れば2,000~3,000文字で纏めることを心がけております。
あまり長いと無駄な装飾文章が増えるので出来るだけシンプルにと考えてそうしております。
勿論、うんちくは無駄文章じゃありません!!
(勝手に私がそう思っているだけです。)
今話はうんちく書くスペース無いので珍しくNoうんちく回となります・・・
では次回は元就視点からスタート!!
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