第84話

龍造寺四天王に両弾二島りょうだんにとうに無双の荒武者と呼ばれる石井忠修ただみちや馬渡刑部少輔・倉町太郎五郎・石井刑部少輔などの我が竜造寺家の誇る猛者たちには丸目蔵人に一泡吹かせてやるように言い含めて送り出したが・・・誰一人としてあの者に勝てる者は居らなんだ。

そればかりか、誰も彼もがあ奴にしっぽを振りよる・・・

しかし、まさか最初に百武志摩守が負けるとはな・・・

今では朝稽古を日課として嬉々として我が家中の者はこぞって丸目蔵人の下に行き「先生」と呼ぶ始末・・・幸いにして長い期間は居ないと本人が言っていたので、今少しの辛抱であろう。

面白き者ではあるが官位を持ち鼻持ちならぬわ。

ただの無い物強請りだという事は重々承知しておるが、官位官位、権威権威と儂の人生に於いて上の者が蓋をしよる。

あ奴が儂に言っている訳ではないのではあるが、どうしても毛嫌いしてしまうのはやはり儂が官位だ権威だに遠慮しておるのかもしれぬ。

目の上のたん瘤であった龍造寺本家も更にその上の少弐家も儂が倒してやった。

しかし、今度は大友という権威が儂の行く手を邪魔しよる。

今は勝てぬがいつの日か喰ろうてやろうぞ!!

そう思うとふと気が楽になった。

まぁあの者が家中の者どもに剣術を教えてくれることにより我が軍団も強化されることを考えれば悪いことでは無いと静観することとした。


★~~~~~~★


熊さんが何か仕掛けて来るかな?とか思っていたが率先して配下の者を此方に送り込んで指導を願って来るとは意外だった。

あの会見の様子から見て一癖も二癖もありそうであったし、何か仕掛けて来るかな~とか警戒していたけど何も無かったよ。

(仕掛けていましたが主人公は気が付きませんでした・・・)

まさか有力武将たちに行くようにと勧める程俺の事認めちゃった?

熊さんも人を見る目あるね~

さて、恒例となって来たが、龍造寺家の有力武将たちと弟子たちが切磋琢磨することでメキメキと腕を上げてきている。

弟子の中で顕著にその成果が表れているのは寿斎だろうか?

勿論、他の者たちも伸びてない訳ではないが、最近の伸びがいいのが寿斎である。


「寿斎」

「師匠何か御用で?」

「あ~今はお兄ちゃんでも良いぞ」

「・・・それで師匠、何か御用で?」


スルーされた・・・弟が冷たいです。


「え~と、最近調子が良さそうだと思うてな」

「はい、何やら掴めたような・・・そんな気がします」

「ほ~掴めたか!」

「いえ・・・明確な物ではなくてですね」

「どんな物か言語化してみよ」


これ重要!!何か物事を行う場合に言語化、要は説明出来るレベルにまで昇華できればそれを会得したと言える。


「言語化ですか?・・・それはどういう事で?」

「あ~簡単に言えば、説明出来るように落とし込めという事よ」

「説明・・・はい、少し考えて纏めてお見せします!」

「おう!頑張れよ」


寿斎は「言語化」という言葉が通用しなかった・・・この時代にはない概念?・・・まぁよく解らんな。

昭和以降の世界では「言語化」という言葉は普通に使われていたが、この時代ではあまり聞かない言葉なので使う者が居ない新しい言葉なのかもしれないが、色々混ざってちゃんんぽんになっているのだろう。

まぁ言っていることは間違いでは無いからいいや~寿斎がどんな結論に達するかが楽しみだ。

美羽・真里の2人も怪力の者に対してどう立ち向かうのかを試行錯誤しているようだ。

受け流しは出来るが押し負けることもまだまだ多いのでそこを課題と2人とも捉えているのであろう。

教えることは簡単だが、自分で掴むことを優先させているので敢えて俺からは何も言わないが是非とも「」を体現して欲しいものだ。

もう直ぐ1カ月が経とうとしているので、次の場所に向う事を考えている。

次は博多に一度行く事としている。

そして、一度師匠の所と奥平さんの所に顔を出してから京で垂れ幕出して対戦者を募ろうかと思っている。

前世の道場の爺様はこの時対戦者が現れなかったとか言っていたけど、それって寂しいよね~どうせなら多くの者が挑戦してくれる方が面白くない?・・・今の所良いアイデアも無いので追々考えるとして、先ずはそろそろ次の場所を目指す時期かもしれない。

ここ数年での出来事としては、毛利の跡取りが死んだ。

文通相手の小早川さんにはお悔やみの便りを送っておいた。

会うことはなかったが、縁が無かったのであろうから仕方ない。

それに、三好さん家の跡取りさんもお亡くなりとの噂が流れて来た。

代わりに別の者に跡を継がせるようだが揉めたとか何とか・・・もうそんな時期かと思う。

時は俺が知る歴史のままに流れている。

え?大分俺が改変していると?・・・いや!いやいや!!大枠は変わっていないぞ!少しだけほんの少しだけ歴史が動いただけだ。

そう言えば尾張のお猿さんもあの後如何なったのであろう?・・・若しかして、信長に斬られた?・・・奥平さん序に少し様子を見に行くか・・・生きていると良いね~


〇~~~~~~〇


主人公が九州に居る間に歴史が着々と動いております。

現在1563年~1564年位です。

1564年からの数年は戦国時代でも最も激動の時代と言われています。

何故ならば、1564年に巨人、三好長慶が亡くなります。

そして、1565年に永禄えいろくの変が起こり足利義輝が殺害されます。

ある意味この2年ほどが三好の政治が幕を閉じた年となります。

中央政局が大混乱しているさなか色々な事がありますが、時代の寵児、織田信長が台頭してきます。

大きな事件の陰で暗躍では無いですが、主人公が少し関わることもあるかと思い、作中では敢えて時代を曖昧にしておりますが、1563~1564年位という事を念頭にお読み頂くと史実との対比で面白くお読み頂けるかと存じます。

さて、次は博多に行く予定としております。

また新たな仲間が加わるかも?


また新たに1作品増やしましたがメインとこの作品中心で書き進めます!!

「ファンキー・モンキー・一休さん!!~新右衛門さんの受難~(仮)」てタイトルは直観的に直ぐに思い付いて付けましたけど気に入っています!!

タイトルで言うと候補として考えていたものとしては、今川氏真主人公?の「今川氏真観察日記」だったんですよね~以蔵と広郷はタイトル考えられなくてお蔵入り・・・

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