第79話
薩摩に向っているが、俺こと、丸目蔵人にとっては中々に因縁ある地方である。
薩摩兵が攻めて来て手柄を上げて丸目の姓を得た。
今からまだ10年も経っていない。
更に、10年しない内に島津家が九州で台頭して来る。
その際に俺は島津
前世の道場の爺様に聞いた話では
立地的に近いので相争う仲だったが、今は相良の殿様は島津に味方しているようだ。
相良家は中々の蝙蝠外交で今は島津家と協定を結んでいるが数年後にはどうなるか・・・
争ったのだから今の協定を何方かが破るか破棄されるのであろうが、そこら辺の詳しい事を知らない俺は打つ手無しだが、まぁなるようになるだろう。
歴史によく言う強制力と言う物があるのなら抗っても無駄という事となる。
先の事は先の自分にお任せして今は薩摩を堪能しよう。
堪能と言っても田舎だが・・・
「丸目蔵人殿の御一行か!」
「何かご御用か?」
「これは失礼!某は島津
お!キターーーー!!会ってみたかった武将の一人またもコンプ!!
年齢的には同じ位か?
とても勇ましいThe薩摩武士と言った感じの人だ。
薩摩武士よく知らんけど・・・
威厳が滲み出ている?・・・将来を知る俺が勝手にそう思っているのかもしれないが、中々の堂々とした立ち居振る舞いで武者映えとでも言うのか、凛々しく見える。
さて、この時代はまだそこまで名を轟かせていない、これからの人だ。
丸目計画(丸目蔵人と幼馴染になって将来自慢する)は失敗したが、ここで将来の有名人と
義弘プロジェクトとでも名付けておこう!!
え?勝手に名付けるなと・・・まぁ硬いこと言うなよ天の声さん。
「その島津殿が何用かな?」
「はっ!我が親父殿が是非とも丸目殿にお会いしたいとのことでお迎えに参った!」
「相分かった!」
俺たち一行は島津の現在の当主に面会することとなった。
一応は女の子たちも弟子である事を伝えたが、特には驚かないのでこの鬼島津さんには先進的な考えを持った御仁のようだと勝手に考えている。
「長師匠、あいつ中々出来そう!」
美羽がそう言って来る。
美羽は剣術に嵌ったようだが中々のバトルジャンキーで強い者を求める。
にやりと笑いながら鬼島津さんを見詰める小麦色の肌の美人さんは違う意味で絵になる。
「まぁ立合って貰えるかもな」
「本当!長師匠、私がお相手するからね!!」
「お、おう・・・バトルジャンキーめ・・・」
「ん?何か言った?」
「いや、何も・・・」
鬼島津さんの案内で島津家の現当主の貴久さんにお会いする。
見た感じ50前後?
鬼島津さんもそうだが日に焼けた肌で健康的に見える。
「よう来られた!!」
「お初にお目に掛かる丸目蔵人長恵と申す」
「されば、島津
話してみるが貴久さんの歓迎ぶりに驚く。
何でも俺のファンの様な言い様で、大友に一泡吹かせた事や顕如との討論会に京での任官のこと等々実に楽しそうに話される。
「丸目殿には是非とも兵法を我が島津家にもお教え頂きたい!!」
少しの間薩摩に滞在し剣術などを教えることとなった。
島津四兄弟も続々とやって来てギラギラとした目つきで此方を見詰めて来る。
敵を育てるのは・・・等とは考えない!俺の方針は「来るもの拒まず、去る者追わず」だ。
みっちりと時間が許す限り教えてやろう!!
〇~~~~~~〇
我ら島津家は現在、伊東と揉めている。
水面下の話で表立った話では無いが何時か決戦の時はあると踏んでいる。
相良も家に協力した様に見せて裏で伊東と結びついているようであることは薄々解っている。
間者を放ちそこら辺を詳しく探らせているが特に確たる証拠も出ずに悶々とした日々を過ごしていると、間者の者より面白き知らせが届く。
「相良の家来の倅であの噂の丸目蔵人が此方に向かっている?」
「はい、そのようです」
間者の知らせでは伊東の客分としてもてなされ、剣術を教えていたと聞く。
日向より出立した丸目一行が何処へ向うか間者に見張らせておれば薩摩へと向かっていると言う。
実に面白きかな!
傍若無人な人物として聞いておるが、天狗様の弟子にして天啓を聞くと言う。
兵法の腕も剣聖上泉の門下で指折りで、将軍様や天子様の前でその腕前を師と共に披露したと聞く。
こちらに来ると言うのならば是非とも会ってみたいと思い義弘に迎いに行かせた。
此方に向って来る途中を遠目から見ると、噂通りに
対面して挨拶を交わす。
「よう来られた!!」
「お初にお目に掛かる丸目蔵人長恵と申す」
「されば、島津
「儂は是非とも丸目殿に会ってみたくての~」
「左様で・・・」
「そう警戒されるな、儂はそうよのう・・・お前様のことを好感を持って見ておったのよ」
「と言いますと?」
その後は儂の知る丸目の今まで行って来たことについて語ると普通は誇りそうなことなのに苦笑いをしておる。
「いや・・・実にお恥ずかしい・・・」
「わははははは~実に奥ゆかしい方の様じゃな、噂では傍若無人と聞いておったが」
「あはははは~・・・某は理不尽には目を瞑れぬ質にてそう見えたのかもしれませぬ」
話してみると噂で聞くような人物でなく実に興味深い御仁だと分かった。
無理を承知で願ってみた。
「丸目殿には是非とも兵法を我が島津家にもお教え頂きたい!!」
「されば、まだまだ修行中の身ではございますが、某の知る兵法についてお教えしましょう」
「良いので?」
「はい、某は「来る者拒まず、去る者追わず」を掲げ教えて御座る」
敵対するかもしれぬ間柄なのに何という人物か!
儂は一遍にこの丸目殿の事を気に入ってしもうた!!
息子たちも儂とのやり取りを聞いて丸目殿の事に好感を持ったのは間違いなさそうじゃ。
丸目殿を見詰める目が熱いからな。
さてもさても実に楽しみじゃ!!
〇~~~~~~〇
主人公が薩摩に推参!!
登場させたい人物2名はコンプ出来そうです!!
勿論、1人は鬼島津こと島津義弘!!
この人物は色々有名なので語る必要も無いでしょう。
もう1人は、島津家久。
本文中で語りましたが、丸目蔵人が史実で策略に嵌り武将としての将来を絶った人物です。
島津貴久の四男で、よく島津四兄弟として語られますが、1人だけ母が別の異母兄弟となります。
しかし、兄弟仲は良かったようです。
家久は初陣で敵将を討っている様で若い頃から大活躍したようですね~
立ち位置としては戦える参謀といった感じの人物で、島津家の専売特許の戦術である「釣り野伏せり」で「肥前の熊」こと
1575年に島津家の三州平定(薩摩・大隅・日向)の神の加護を感謝し伊勢神宮に家久が参拝しております。
その際に時の天下人である信長を見に行ったり、明智光秀に接待を受けたりしたようです。
秀吉の九州征伐の際は豊臣軍の
その際に長宗我部元親の嫡男、
そんな家久は1587年に居城としていた土佐原城で急死します。
色々な陰謀説が囁かれます。
毒殺だったような資料もあるのですが事実は不明です。
さて、この家久はドリフターズと言う漫画に出て来る主人公の島津
次回、家久登場!!
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