第78話

日向ひゅうがにやってきました!!

日向といえば小次郎だよね!!

え?知らない?キャプテン〇の人気キャラだよ!!

空想上の人物で、勿論、この時代に居ないけどね~何となく言ってみただけ・・・

それはそうと、日向に来たなら行きたい場所がある。

え?チキン南蛮食いに行くのかと?いやいや、天の声さんよ流石にそれはこの時代に無いぞ!!

知ってる?言ってみただけ?・・・天の声さんも偶には冗談言うのね・・・

さて、行ってみたいのは信綱師匠の師匠に当る愛洲あいす移香斎いこうさいのゆかりの地、鵜戸うどの岩屋だ!(鵜殿岩屋うどのいわやとも言います)

この場所で移香斎さんは霊験れいげんにより開眼し陰流を開いたと言われている。

簡単に言うと精神統一してそれまでの経験を基に陰流を考えたんだろうね~とか思うけどこういう人物は意外と多いらしい。

修行するには丁度良いからなんだろうね~

後の奥山休賀斎、奥平さんも奥山明神にお祈りして開眼するとか何とか昔なんかで読んだ気がする。

まぁ九州の旅が終わったら訪ねてみる予定ではある。

さて、そんな場所があるので聖地巡礼としゃれこむ予定だ。


「師匠!先ずは何方を目指されておいでですか?」

「鵜戸の岩屋に行く予定」

「それはどの様な場所で?」


九朗が聞いて来たのでどういう場所かを説明すると興味を持ったようだ。


「移香斎殿が陰流を開眼された場所!!」

「そうらしいよ~」

「それは修行に良さそうな場所ですな!!」

「そうだろうね・・・」


修行に良い場所=辺鄙へんぴな場所と大体決まっております。

聖地巡礼したいだけなので特にそこに長滞在する気は毛頭ない。

来てみれば断崖絶壁の岩場にある立派に・・・焼失した社が・・・

地元民に聞けば十数年前位に竜造寺との戦で焼失したとのことだ。

岩屋は残っていたので石仏にお参りして愛洲移香斎の気分に浸る。


「長師匠!」

「おう、如何した?」

「何か来た」


美羽が指さす方を見ると騎馬に乗る数人の武士が此方に向かって駆けてくる。

見ていると、俺たち一行の前で止まり馬より降りて声を掛けて来た。


「某たちは伊東いとう三位入道さんいにゅうどう様が家臣にて丸目蔵人様にお会いしたい!!」

「お~某に何ぞようか?」

「おお!貴方様が丸目蔵人様か?」

「左様!!して何ぞ用かな?」

「はい、是非とも三位入道様がお会いしたいとのことでお迎えに参りました!!」


伊東三位入道、この地を収める戦国大名で、九州で最も官位の高い人物なんだよね~

会うのは良いが何か用か?・・・


「相分かった!」

「では、ご案内仕る!!」


やって参りましたは三位入道の御前・・・何だか俺はお偉いさんとの遭遇率高いよね~

今回は御呼ばれなので何事も無いと思いたい!


「お初にお目に掛かる、丸目蔵人長恵と申す」

「ふはははは~此方こそお呼びして申し訳ない、伊東三位入道義祐よしすけと申す」


確か今は島津とドンパチやっているんだよね~

この時期は九州もどこもかしこも戦続き。

伊東さん家は島津とドンパチ、大友も毛利に竜造寺にと何処も彼処もキナ臭い。


「それで何か御用でも?」

「なに、噂の人物が我が領に来たと聞いてな、会って見とうなっての」

「左様ですか」

「それにしても噂通りに面白き方の様ですな~」

「その噂とは?」


どんな噂が出回っているのやら・・・色々遣らかしている覚えはあるから否定できない。

え?自覚は有ったのかと?・・・勿論!多少はある・・・多少?あれが多少かだと!・・・訂正しよう、大分覚えがある・・・


「ふはははは~そう身構えなさるな」

「はぁ・・・」

「なに、今義経が天女の末裔に鴉天狗の末裔をお助けして弟子にしたと聞いてな」

「あ~」


元奴隷の娘たちの噂も出回っているのね・・・それに未だに「今義経」とか呼ばれている。

義経さんはかっこいいと思うけど最後が締まらないのであまり好きな呼び名では無いが、「今〇〇」と言うのは世人が勝手に付ける物で自分でどうこう出来る物では無いから既に諦めている。

呼ばれるだけ良いとポジティブに考えることとした。

どうだ、前向きだろ?


「して、その後ろに控える女性にょしょうたちがそうかな?」

「はい、この者とこの者が天女の、この者とこの者が鴉天狗の末裔で御座る」

「ほ~確かに透き通るような御髪おぐしに、それにこの者たちの肌が黒いのは人種ではなく鴉天狗様の黒を受け継いでという事かな?」

「左様に御座る」

「ふむ・・・」


真里・莉里はプラチナブロンドなんだよね~あれから回復して本当に美人になりました。

間違いなく前世なら皆が振り向く程の美貌で姉妹揃っての立ち姿は絵画の様だ。

そして、美羽と咲耶も中々のもの、特に美羽は黒人種モデルか女優並みの目鼻立ちで、映画の主演とかしててもおかしくないね~

勿論、咲耶も比べる対象のレベルが高いだけで可成り可愛いぞ。

あの奴隷を売った商人も外見は一応考慮していたのかもしれないな~と今なら思うぞ。


「して、兵法修行で行脚と聞いておるが?」

「左様で御座る」

「して何故、岩屋に?」

「師の師があの場所で開眼されたと聞きあやかる為にも立ち寄りました」

「あ~愛洲殿か」

「左様」

「それで、何か得られましたかな?」


いや、聖地巡礼だけで何か得られたら苦労しないよとか思うが、正直にそれを言う馬鹿はいない。

え?言いそだだと?・・・俺は空気読むよ~でも今はそんなこと言い合っている暇はない!


「そうですな~私には何も開眼しませんなんだ」

「それは残念な事で」

「ははははは~早々得られる物でもなし、ゆるりと思案いたしましょう」

「出来れば陰流の流れを汲む新陰流を当地の者にもお教えいただけないか?」

「はい、某は来る者拒まず、去る者追わずを掲げておりますれば、お教えいたしましょう」

「おお!それは有難し!!」


あ~これが目的なのね。

海千山千の戦国大名だからとんでもないこと言われるんじゃないかと、結構、用心していたけど杞憂だったようだ。

少しの間滞在して新陰流を教えることとなった。


「長師匠!」


咲耶が槍指導していますが、最初に舐めたこと言った武将たちと立合いをさせたら無双した。

今、ニコニコしながら手を振っているが、この子も何気に能力が高い。

特に剣術より槍術に適正があったのか、弟子たちの中で一番の槍上手である。

勿論、剣術もそれなりに強いが、槍が凄すぎる。

そして、舐めてた武士たちに連勝して今では「咲耶先生」と言われている。


「おう!咲耶、今日も揉んでやったようだな」

「はい、何時もの通り」

「そうかそうか」


咲耶には信綱師匠から教えられた槍術だけでなく前世で俺が覚えた数々の物も教えている。

槍での立合い見ていると演武みたいにも見えるけど、俺の感覚から言うとゲームの必殺技だよね~

調子乗ってゲームでの技とか教えたら連続コンボ技とか普通に覚えやがった・・・

ゲームの技をリアルに落とし込むとは咲耶は本当に槍の天才かもしれんな~

他の弟子たちも伊東さんの家来をしばき倒して鍛えている。

「女人相手など!!」と最初に吠えてた連中も今は「先生」と言って美羽・真里に鍛えられている。

寿斎・吉兵衛・九朗は普通に最初から受け入れられていたのではあるが、最近は美羽派・真里派なる派閥が形成されつつある・・・

莉里と春麗も大分だいぶさまになって来た。

莉里は剣術を主体に教えている。

春麗は忍術を冗談で教えたら気に入った様で、忍術と剣術を主体に教えている。

忍術の何処が気に入ったか聞いたら「棒手裏剣」と言う。

俺がダーツ宜しく的に棒手裏剣投げ披露してそれを見た春麗が気に入ったようだ。

こんな感じでこの一年で弟子たちにも個性が出て来た。

ある程度教えたので次の場所へ移動を考えている。

次は修羅の国薩摩を目指そうかと思っている。

(※主人公が勝手にそう思っているだけで、修羅の国ではありません。)


〇~~~~~~~〇


伊東いとう三位入道さんいにゅうどう義祐よしすけは従三位 大膳大夫だいぜんだいふに任ぜられ、室町幕府の相判衆そうばんしゅうにまで上り詰めた人物で、伊東家の最盛期を築いた人物として知られています。

しかし、伊東家の凋落ちょうらくに追い込んだ人物としても知られております。

一人で栄枯盛衰を体現したような生涯を送った人物です。

丁度、主人公が滞在している今は最盛期となります。

48の城を治めていて本拠地の土佐原とさばらは「九州の小京都」とまで呼ばれる程栄えていたようです。

しかし、数年後には島津家によって国を追われ豊後の大友を頼ります。

この一連の出来事を伊東崩れと呼ばれました。

大友に伊東・・・

前に紹介した天正遣欧少年使節のメンバーに伊東マンショと言う人物が居ます。

この人物は伊東三位入道の孫に当る人物となります。

大友宗麟の名代としてヨーロッパに渡って行ったようです。

でもここが面白いのでこのうんちくを持って来たのですが、大友宗麟の名代なのに大友宗麟自ら任命した者では無い可能性が高いと言われております。

歴史のミステリーですね~

次回、島津家とご対面!!

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