第76話
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◇~~~~~~◇
早いもので故郷に戻って来てから2か月ほど過ぎた。
紹さん・トーレスさんは流石に帰って行ったが俺は故郷にまだ留まっている。
元奴隷の弟子の女の子たちは少しづつ回復し今は昔ほどガリガリでは無いが、まだまだ痩せ気味だ。
しかし、体力の方は毎日の鍛錬等で大分ついたようだ。
特に黒人種の3人は黒人種特有の筋肉の質により他の者たちよりも体を動かすことに向いているようだ。
技術的な部分はまだまだではあるが、身のこなしと木刀を振るうスピードはピカ一と言えよう。
中でも美羽は剣術に
立ち稽古で相手をしてやるとハッとすることが時々ある。
この才能を伸ばしていけば女剣豪となり将来は名を遺す様な者に・・・そこまでは考え過ぎか。
さて、真里も黒人種の3人と違うベクトルで中々に才能があるようだ。
努力の天才と言えるのかもしれない。
女子の弟子の最年長者なので剣術を始めたのは一番遅いこととなるが、基本に忠実で真面目で努力家と言うまさに努力の人なのだ。
彼女の努力する姿に影響を受けて皆も真面目に鍛錬しているし、俺自身も負けられないと言う意識が生まれ充実した鍛錬を積んでいる。
莉里と春麗はまだ幼いが一生懸命皆に負けないように努力をしているし、才能は有りそうであるが、まだ海の物とも山の物とも言えない状態だ。
何にしても皆が皆一生懸命であるのは間違いないだろう。
弟たち、
「親父がいいと言えば良いぞ」と言ったら速攻でうちの親父にお願いしてその権利を勝ち取ったようだ。
まぁ、やる気があるのは良いことだ・・・多分。
そうこうしていると、何だか近郊で評判になり寺子屋状態となってしまっている。
九朗に「来るもの拒まず」とか言っちゃったから何か結構な人数が集まっっちゃったよ・・・
そんな中、色々教えて貰っているのに何もしないのは申し訳ないと弟子たちが言い始めたので、農作業を手伝ってもらうこととした。
そこで、人海戦術も使え尚且つ修行にもなるだろうから畑を作ることとした。
農作業は意外と筋肉を万遍無く使うので筋トレにはもってこいなのだ!!
筋トレしながら農地が増える!これは一石二鳥である!!
それに、戦国時代の農作地って意外と狭いしまだまだ開発の余地がある。
しかし、戦が起これば死人が出る。
死人が出れば人が減り現在使っている田畑も管理する者が減ったり居なくなりし荒れ果てる。
戦国時代の負のスパイラルここに極まれりなのだ。
更に、戦国時代は馬鹿も多く居る。
代表例としては先日会ったドン・純忠とかはまさにそれだろう。
領民に無理強いしてキリスト教に改宗させて、改宗しなければ殺したり追い出したり・・・
人が減ればそれだけ田畑が荒れて自分の収入が減るのにそれを今一理解していない。
いや、理解していても優先するから狂っているのか・・・
南蛮貿易の拠点として儲けているから無茶苦茶な事をしても実入りを気にしなくてもいい位に思っているのかもしれないな。
馬鹿は本当に困らないと事の重大さを理解しないのだろうね~
まぁそれは置いておき、開墾して豊かになれば人が集まる、集まればやれることも増える。
よし!良い機会なので奴隷にされた人をもう少し購入して雇い入れるか!!
剣豪じゃなく奴隷を使う大地主的な存在として後世語られるのは嫌だけど、助けたいと言う変な正義感もあるから前世の記憶と言う物があるのも質の悪い話ではある。
しかし、それがあるから今の自分があるので否定も出来ないと思う、実にジレンマだ。
おっと!話が逸れたな、いかんいかん。
何か恩返し的な事をしたいと言う要望もあるので弟子たちには開墾をさせることとした。
勿論、俺もするが、ここで登場!!三本鍬・四本鍬!!
今回試作して鍛冶屋に頼んで作った三本ともう一つ四本の2種類!!
用途は一緒だから何方でもOKなのだが三本の方が負荷も小さいので小さい子にも使えると思い用意した。
この備中鍬は実は歴史が意外と新しく、18世紀に入ってからの代物なのでこれぞThe知識チートなのだ!!
勿論、この時代には本来無かったアーティファクトな代物なのだ!!
早速、弟子たちに使わせてみたが好評である。
そして、第二弾The知識チートはここに用意しましたスコップ!!
しかも、剣先スコップを鍛冶屋に作らせた。
総鋼作りの先端に木の棒をぶっ差してちゃんと持ち手も付けたホームセンターで見かけそうな一品ではあるが、剣先が鋭いので本当に武器になりそうだ・・・
丈夫に作りたいからと刀鍛冶屋に農具と言わずに発注したら切れ味鋭い備中鍬と剣先スコップが完成してしまったが、そこはご愛敬だという事にしておこう・・・
鍛冶屋からもどんな武器になるかと興味津々のご様子だったが納入時に農具と言ったら怒られた・・・まぁ良い思い出だな。
取り出した時には弟子たちからも「それはどんな
使えばその有難味が解るだろうからな~
「長師匠!これ凄い!!」
「おう!」
奴隷になる前は家で農作業の手伝いをしていたと言う愛が感動したように俺に感想を言って来た。
他の者たちも感動に打ち震えているだろう・・・そうでも無かった・・・
「兄上、いえ師匠」
「おう、普通の時は兄上でも長お兄ちゃんでも好きに呼んでいいぞ」
弟に「はい、はい」みたいな顔で再度声を掛けられたが、最近弟たちも俺のノリに慣れて来たのか適当にスルーするようになって来たぞ・・・お兄ちゃんは寂しいぞ!!
「兄上」
「おう、
「このような物をどう発想されたのですか?」
さて、どう答える?・・・勿論、「天啓」「天狗」はタブーだ!!
「この鍬は・・・」
「はい!」
なんか凄い期待した目で俺を見てくる・・・
どうしようかと考えていると俺の視界にある物が入り良いアイデアが思い付いた。
「そう、
「おお!!成程!!熊手で落ち葉を集めるが如く、土をこの鍬で掬い上げて集めるのですな!!」
「おう!そうだ・・・」
乗り切ったっぜ!!
俺は自分の思い付きに感動して脳内で自画自賛していると、更に頼蔵が聞いてくる。
「では、此方の道具はどういう風に考案されたのですか?」
「そ・・・それは・・・」
「それは?」
「長師匠~~」
お!天の助け・・・じゃなかった、向こうで俺を呼んでいる!!
「
「はい」
「向こうで俺を呼んでいるから行くが、何故これを俺がどの様に考案したか考えてみよ!」
「これをですか?」
「おう!じゃあ晩飯までにお前の考えをまとめておけよ~」
「はっ!分かりました!!」
ふ~晩飯までの猶予が出来た、自分の言い訳・・・如何考案したか考えておこう。
〇~~~~~~〇
爪が四本の物と三本の物が一般的です。
五本の物やそれ以上の物もあるらしいですが、初期段階では三本と四本が考案されたようです。
江戸時代後期の備中松山藩の山田さん考案と言われております。
この山田さんは藩の財政改革を行っていた様で、その一つとして
スコップは主人公が知識チート第二弾として登場させましたが、これに気が付いた読者の方は何人いるかな?
実はスコップの歴史は古く紀元前から使われております。
主人公は知らずに自分の知識チート活かして新しい道具を考案したと天狗になっている訳です。
勿論、この時代の物より主人公が作ったスコップの方が使い勝手は良いのですが、現存する農具となます。
主人公の勘違いして考えているスコップの歴史は軍用スコップ!!
軍用スコップとしては1869年にデンマーク陸軍のヨハンさんが発明し1870年に正式に軍で採用されたそうです。
さて、主人公と弟の頼蔵の夕食時の会話見ものですね~
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