第58話

操作ミスでフライングUP・・・楽しんでくだされ~・・・


◇~~~~~~◇


「山科様!どういうことですか!!」

「う~ん?戻って早々に何じゃ?」


京に滞在中は山科様宅に世話になることとなったがので、戻って早々に山科様に文句を言うとキョトンとしてるよ・・・よく考えたら主語とか色々抜け落ちていた。

落ち着け俺!え?俺が何時も落ち着いていないと?え?デフォだろうって!ははははは~面白いことを言うな~天の声は、俺はアゲアゲで人生を謳歌しているだけよ!!

おっといかんいかん、山科様を尋問・・・お聞きすることが先決だ。


「私も任官されるとお聞きしましたが?」

「それは・・・大胡武蔵、話したか?」


山科様は師匠に顔を向けて聞いているが師匠は首を横に振り、「上様が」と一言言った。

あ~これって多分師匠も知ってた感じがするぞ。

隠す必要が無くなって平常運転の師匠に戻って御座る。


「左様か・・・バレたなら仕方なし」

「仕方無しって何ですか!断固抗議します!!」

「長よ」

「な、何ですか?」

「これは主上のお決めになった事ぞ」

「そ、そうなんですか?」

「当たり前じゃ!儂が勝手に決めれることではないわ!!」


ふ~む・・・前世に通っていた道場の爺様は丸目蔵人佐が官位を得たなど言っていなかったが、これって完全に歴史改変だよな?

え?既に歴史改変を何度も行っているだろうと?・・・いやいや、俺は変えてないぞ!勝手に変わるんだよ!!

おっといかんいかん、天の声と会話してると変な間になるな。

帝よりという事は断ることは不可能、貰って当然、断るは不敬!

首チョンパは無いけど断れば今後が生き辛くなるな~


「わ、分かりました・・・有難く頂きます・・・」

「おお!!そうかそうか!!それは良きかな!良きかな!!」


山科様の喜び様は何か裏がありそうでおかしい気がするが、機嫌良いのに水を差す様な事はしない。

こう見えても山科様は権大納言と言うお偉いさんなのだしね~

テンションアゲアゲで喜びが止まらないと言った感じの山科様・・・俺のことでここまで喜んでくれることは有難いけど、端から見るとドン引きで冷静になるわ~

山科様が落ち着くまで少し待つと、落ち着いて山科様は話し始めた。


「されば、どんな官位が欲しい?」

「え?選んで宜しいので?」

「まぁ希望を聞くだけよ、希望無ければ文書博士もんじょのはかせ算博士さんはかせを考えちょる」

「何故その2つを?」

「お主の簿記を奏上しておるしの~主上もことほかに感心されとったぞ」

「左様で・・・」


う~ん・・・丸目文書博士長恵・・・今一・・・丸目算博士長恵・・・無いわ~2つとも無いわ~~!!

しかし、何が良いかよう解らんとです!!

適当言ってみる?


「え~と、他のでお願いします!!」

「左様か・・・何が良い?」

「え?本当に某は官位よく解りませんよ?」

「ふ~む・・・知っている官位を言って見よ」

「大納言・・・」

「まぁ儂の官位じゃな、それは今のお主では無理じゃな」

「左様ですか・・・だと思いましたが、思いつかないので・・・」


え~と、思いつく物と言うかどうでも良いんだよね~

師匠から呼ばれる「蔵人くらんど」っての実は結構気に入ってるんだよね~変えるのはちょっと・・・

それに、丸目と言えばやっぱり少なくとも蔵人でしょう!!

(2話で親父が最初に付けましたが、石見守いわみのかみも史実で実際は名乗っておりましたが、主人公はその事実を知りません。)


「あの~蔵人くらんどって言うのを変えたくないのと、聞きたいことがあるのですが?」

蔵人くらんどを変えとうないと・・・まぁそこは少し考えてみよう、それで、聞きたいこととは何じゃ?言ってみよ」


そう、知りたいのは官位を貰って直ぐ返納出来るか!!

例えば、某が官位に居続けるなど恐れ多いのでお返しいたしますとか・・・


「例えばですが、天子様にお会いしてその後に官位をお戻しすることは可能でしょうか?」

「ふむ、可能と言えば可能、可能でないと言えば可能ではないが・・・主上にお聞きしてみるで少し待て」

「はい、宜しくお願い申し上げます」


★~~~~~~★


頭の痛い事よ・・・長に任官を賜ることは何とか了承させた。

官位を欲しがる者は居っても嫌がる者なぞ初めて会う。

まぁ、そこが長の面白きとこではあるが。

献金時にも「官位欲しくて献金した訳じゃない」とはっきりと言いよった。

主上にお伝えはしたが更に感心されて何とか官位を授けたいと言われおる・・・

はてさてどうしたものかと思うておると、長よりふみで「大胡武蔵に官位を授けて欲しい」と言って来る。

文には「自分には身に余る物にて師匠にお譲り出来るので有ればお譲りしたい」や「相応しい者に与えるべきだ」と生意気にも書いて来よったが、自分の官位を求めない者が言うと重みを感じるから不思議な物よ。

主上に長の文をお見せすれば仕切にまた感心されて大胡武蔵への任官をお認めなされた。

しかし、その条件に長にも任官させよとお命じされたが・・・

近衛の関白殿下も賛成されたのですんなりと2人の任官の内示は出た。

反対する者が居なかったのでと言っても良いが・・・

官位の2つや3つ与えても御釣りが来るほどに金子を得たことも大きいのであろうが・・・

当初予定しておった文書博士と算博士は長が難色を示した。

蔵人佐くらんどのすけが気に入っていると言いよる。

これは如何すべきか・・・

更に任官後に返上できるかと言いよる。

返上などと恐れ多き事ではあるが、元々が欲しい物ではない物を貰う訳だし長としてはそれが普通の事なのかもしれぬが、それで納得する者も少なかろう。

不敬だ不敬だと騒ぐ者も現れよう。

任官されても官位次第では身分不相応などと騒ぐ輩も現れるであろうし・・・

何方にしても主上がお望みだし、長に任官の件は認めさせた。

後は周りの雀どもが騒がぬようにするのが肝要か・・・

考えても埒が明かぬ、今日は疲れた、寝ることとしようぞ。

山科権大納言は気疲れで疲れた様でその日は深い眠りに落ちたと・・・


次回、事件は会議室で起こっているんだ!!問題は会議室で踊る!の巻


〇~~~~~~〇


うんちくタイム始まるよ~~!!

今回も元気にうんちく垂れます!!


さて、官位は基本的に返上はありません。

勿論、名誉なのでと言うのが大きいです。

特に上泉信綱の賜る予定の伊勢守などは朝廷では形骸化している官職なので有っても無くてもどうでもいいので集金手段の1つとして欲しがる大名に与えて集金していた側面もあるようです。

しかし、未だ機能している官職は仕事も付随するので引退での返上や上の位を賜ったので賜ったのと同時にお戻しした形になります。

ただし、ここで面白い官位があります。

蔵人くろうどと言う官位なのですが、この官位は一番下が六位となります。

主人公の蔵人佐くらんどのすけと同じ蔵人なのに読みが違うのが面白いですね~今回はここは取り合えず横に置いときます。

その内この件でもうんちく垂れるかも?

おっと、話逸れたので戻します。

蔵人の一番下位の位は六位なのに昇殿を許されたそうです。

五位以上でないと昇殿の資格ありません!!

それなのに六位で昇殿OKとは・・・何故なら帝様に対しての秘書や雑事を行う役職なので仕事柄許された訳です。

昇殿は駄目!だけど仕事しろ!!とか物理的に無理ですからね~

多分それが可能なのはポ〇モンのサ〇コキネシスか、X〇ンのス〇ーレット・ウ〇ッチか、斉〇楠雄か、タ〇マキか、影〇茂雄か、超能力者レベル5のア〇セラレータか、A〇IRAの鉄〇か、マ〇ドガル大佐、位だよ!!・・・結構一杯いるし、此奴ら集めたら・・・

いかんいかん、脱線脱線・・・

蔵人くろうど別当べっとうと言うトップがいますが、名目上の責任者の為大臣クラスの者が兼務したそうで、実質のトップはとうと呼ばれます。

定員2名で1人は非参議の四位の弁官べんかんの者が付きます。

弁官には大・中・少がありますが、蔵人頭くろうどのとうには大・中の者が就いたようです。

この者を頭弁とうべんと呼んだようです。

そして、もう一人が近衛中将このえのちゅうじょうより就きますので、この者を頭中将とうのちゅうじょうと呼びます。

この頭弁と頭中将がトップで仕事を回します。

その下に五位蔵人>六位蔵人>非蔵人(見習い)と言う形で組織形成されます。

面白いのが叙爵じょしゃくを嫌がる人が偶にいます。

その人は新蔵人しんくろうどと言う蔵人の中での末席に敢えて就くこともあったようです。

これを逆退ぎゃくたいと言います。

難しいと思うので今風に簡単に説明すれば、その仕事が気に入っているのでステップアップより今の仕事続けたいから出世諦めるって感じなどですね~

再度言いますが、蔵人くらんど蔵人くろうど同じ字で読みが違うですね~仮に主人公が蔵人くろうどになった場合は漢字で書く字面は同じですが、丸目蔵人くろうど長恵となります。

主人公は「くらんど」と言う呼び声?響き?が気に入っている訳ですが・・・

さて、主人公の官職はどうなる!!

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