第54話

お陰様で「歴史・時代・伝奇の週間ランキング(2024/2/27)」にて8位という事で、今日も頑張って2話UP!!

読者の皆様!ありがたや~ありがたや~お礼はこれ位しかできませんが1話多めに今日もUP頑張っちゃいましたぜ!!


◇~~~~~~◇


塚原卜伝からも聞いていたが、上泉信綱、当代随一の兵法者の噂は偽りでも何でもなかった。

直光が弱い訳ではない。

直光は将軍家兵法指南役の名に恥じないだけの技量を持つ。

その事はここで我と共に見ていた者ども全てが知っておる。

その直光をまるで相手にしないあの強さ。

師は言っておった。


「儂が剣聖なら間違いなく上泉信綱も剣聖ですじゃ」


あの時はそんなことは無いと言い張り、師に困った顔をされたが・・・

上泉信綱より是非とも教えを請いたい。

しかし、そうなると上泉の弟子の丸目なる者が目障りだ。

「天狗の弟子」などと世迷い事を言う者などどうせ大したことはあるまい。

聞けば大友も顕如上人も口で言い負かされただけだ。

口先ばかりのくせに兵法者を気取るとは許せるものではない。

それに、山科様よりこの者の任官も合わせて行いたい旨を言われておる。

本人には内緒でとは・・・ほんに前例のないことで上泉の特例はあの腕を見れば納得できるが、丸目なる者の任官なぞ異例ぞ、《異例》!!

そこで、ふと良いことを思いついた。


「上泉信綱!見事であった」

「は!任官に叶いましたでしょうか?」

「ははははは~将軍家兵法指南をも手玉に取るお主ほどの者であれば特例も仕方なかろう、我も官位を賜るその方を祝福しようぞ」

「は!有難き事この上もございませぬ」

「ははははは~よいよい」


★~~~~~~★


だよね~だよね~そうだよね~♪

あれだけの事を成した師匠を認めないとか無いよね~

義輝君も解っているじゃないか!

は~これで「天啓」の間違いは正された?

何か「天啓」使う度に俺が凄く苦労してない?・・・え?身から出た錆?自業自得?・・・天の声は手厳しいな~


「上泉、その方の任官は認めるが、もう一人の者はまだその任官に堪えうる腕を持つか見せて貰っておらぬでな~少しそちらで待つと良い」

「もう1人でございますか?・・・はて?」

「ははははは~聞いておらなんだか」

「はい、聞き及んでは御座いませぬ」

「よいよい、山科様もお忘れになって伝え忘れたのやもしれぬ」

「左様で・・・」

「だが、その方が特例で任官するだけの腕を見せたのだ、その者も見せる必要はあろう?」


あ~何かもう一人任官される者がいる様で、将軍様は腕を見るとか言っているよ、誰だろうね~

でも、師匠の後に腕を見せるとか、ぷぷぷ~ハードル上がって大変で御座るな~南無南無~ご愁傷様で~す!!

でも、誰だろうね~腕を見せるという事は兵法者かな?

今度はどんなワクワク対戦が見れるかな~

弟子も一緒にとか言われた時は面倒臭!とか思ったが、来てラッキーだよ!!

早く対戦カードの発表をPLZ!!


「では、次にお主の弟子の丸目なる者の腕を確認しようぞ!」


はぁ~?な、な、何ですとーーーーー!!

ちょい待てーーーーーー!!


★~~~~~~★


大樹に任官の件で話を通した際に「上泉信綱の腕を見たい」と言っておったが、かの御仁なら問題無かろう。

序に長の任官の件も話を通しておいた。

あ奴は自分のこととなるので嫌がると思い先ずは外堀から埋めることとした。

異例ではあるが主上がどうしても長にお礼が言いたいと言われるし、望んでなくとも官位を与えたいとの思し召しだ。

長の行ったことはそれだけの大したことを行ったのだ。

大名でもない一国人の小倅こせがれが御大喪の費えだけではなく他の大名共を動かざる負えない状況を作り、思惑には無かったようだが献金を出させよった。

これは異例のことで10年は問題のう物事を進められる上に傷んだ御所の修築も可能となった。

そして、何よりもの事は何時もは官位官位と言う強欲な者どもが今回の献金では一言も官位の事や何かの便宜を図る様になどの要求は一切無く全く言って来なんだ。

これぞ胸のすく事ぞ!!本来はこうあるべき事ぞ!!

今頃は大樹に会い、恙無つつがなく今回の件の話は終わっておろう。

大樹には長に内緒と言い含めてあるし問題は無かろう。

さて、簿記を奏上しておるし、文書博士もんじょのはかせ算博士さんはかせか・・・ちと官位が低いか?

戻って来たらネタばらしじゃ!どちらが良いか本人に聞いてみようぞ。


次回、蔵人!行きま~す!!の巻


〇~~~~~~〇


任官は前例に倣いますので以前何処かで書きましたが、上泉信綱が持つ官位の伊勢守は詐称だと思います。

武官位の詐称は誰でも行う事で罪ではありません。

簡単に言うとかっこいいから付けて愛称的に使うのがスタンダードだったようです。

例えば織田信長も上総介かずさのすけを名乗っておりました。

勿論、本当に官位を得た場合はその官位を名乗ります。

信長を例にすると彼は権大納言ごんだいなごん右近衛大将うこんえのだいしょうと言う官位を賜りました。(ある読者様よりご指摘ありましたので文書を少し編集しました。)

その際は上様で呼ばれました。

又は右大将うだいしょう呼びとなります。

ちなみに、この右近衛大将うこんえのだいしょうと言うのは源頼朝が征夷大将軍に就く前に任官された官位の為、次の征夷大将軍に与えられることが多い官位と言われたいます。

本来、幕府とは右近衛大将が仕事をする場所を指して言いました。

そして、征夷大将軍はする将軍で律令制度では令外官りょうがいかんでした。

簡単に言うと蝦夷えぞ・えみし(北方面は関東以北を指して昔は未開の地、蛮族の住む場所と考えられていたようです)を征服する律令制に無い例外の特設の将軍となります。

京から離れますので全権委任して向かわせたので征夷大将軍の方が権限は大きいのですが元々は征夷大将軍より官位的には右近衛大将の方が上です。

何故なら右近衛大将は近衛このえなので天皇直属の親衛隊なので元々は軍のトップとなります。

しかし、武士が別の場所で朝廷から全権委任で幕府を開ける性質から鎌倉以降の武士からは征夷大将軍が好まれたようです。

話が逸れましたが、征夷大将軍になるためには一応は他にも条件がありますので必ずと言う訳ではないのですが、右近衛大将はそれだけの官位となります。

信長の場合は氏長者うじのちょうじゃになっていないことが条件を満たしてないと見られたとか言われますが、定かではありません。

氏長者と言うのは日本にはうじと言う大本のルーツを表す血縁から来る氏族しぞくがあります。

有名な物としては藤氏ふじし源氏みなもとし平氏へいしなどですね~

藤は藤原氏、源氏、平氏は言わなくともお解りかと思いますので略します。

信長は平氏となります。

信長は平氏長者へいしのちょうじゃに就く必要があった訳です。

後、面白いのが豊臣秀吉です。

お知りかと思いますが、秀吉は元が素性がよく解っていないので氏長者には成れないのですが、そこはそれ、時の権力者でしたので経歴ロンダリングして藤原氏となりましたが、その前は平氏を名乗っていたようです。

何故平氏か?というと、信長が平氏だからだと思われます。

正二位内大臣までは平秀吉を名乗っていたようです。

関白叙任時に近衛このえ前久まえひさ猶子ゆうし(養子としての義理の息子)となり藤原氏となり関白になる資格を得た訳です。

面白いのがこの後に秀吉は「」と言う氏を新しく新設して自分で就きます。

この時代では一番高貴な氏族は源平藤橘げんぺいふじたちばなの4氏と言われていましたが、それに匹敵する高貴な氏族を作ったとし、「豊秀吉」を名乗ったそうです。

高貴な氏族の中でたちばなだけ話少ないですね~

橘氏で有名なのは橘勉勢たちばなのはやなりですかね~

誰?と思いました?この方は弘法大師(空海)、嵯峨さが天皇と合わせて三筆さんびつと言われる字の上手な人物です。

弘法大師は唐でも筆上手として知られたそうですのでその人物と並び称される橘勉勢も相当の腕前だったんでしょうね~

橘氏の血縁者は多方面に才能有りましたが、特に文化面に特に適性があったようです。

現代で言うと、血縁を辿ると歌手の松田聖子さんはこの橘氏となります。

歴史って探ると面白いですね~!!

今回のうんちくこれにて完

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