第51話

飛騨からは京をひたすら目指しました!

勿論の様に途中途中で名産品に舌鼓を打ちましたよ~これぞ旅の醍醐味!!

京に着いたら一応は山科様に先ずはご挨拶をしないとね~一番世話になっているお偉いさん!!

しかし、居るかな?朝廷の集金人と言われる山科様は旅から旅の旅ガラスだしな~まぁ着いてから確認だな!


京に着き山科様を訪ねると御在宅でした~ラッキー!!

門先で出会った家人の方に名乗って少しすると直ぐに会って頂けるとのことで、師匠共々お会いすることとなった。


「おお!長、久しいな~儂の紹介状は役立ったようで何よりじゃ!!」

「お久しぶりです、紹介状・・・大変役立ちました・・・」


師匠が小さい声で「紹介状?」とか言っているが事情話したろ?思い出せ!!

数年前だからな・・・しかし、思い出してくれ!!

山科様には聞こえていないようで「そうか、そうか」と言って喜んでおられます。


「おっと、大胡武蔵おおごむさしよ、お前さんとも久しいの~」

「は!数年振りにお会いします」


大胡おおごと言うのは師匠の本当の性ね!

武蔵守の略称が武蔵で大胡武蔵と言う。

最近は俺の間違えたを文とかの名義に使うんだよね~意外と気に入っちゃった?

まぁそれは置いて起き挨拶が終わると行き成りとんでもない話が持ち上がった。


「大胡の、丁度良かった!」

「何がで御座いましょう?」

「其方に官位を授けることとなった!!」

「へっ?某にですか?」

「そうじゃ!」


うし!俺のお願いが聞き届けられたようで安心した!!

俺の暗躍は内緒にと山科様には十分にお願いしたと思うので大丈夫だろう。


「その方には従四位下、伊勢守を任官予定ぞ」

「伊勢守・・・」


師匠がこっちをジッと見つめてくるが何かな?・・・解るけど、何かな?

あ!話が続く様なので師匠が山科様の方に目線を戻しましたよ。


「それは有り難き幸せ!しかし、勝手に官位を授かる訳にもいきませぬので」

大樹たいじゅに挨拶か?」

「はい・・・」


大樹たいじゅって何よ?て思うよな。

「この~木、何の木、気になる木~♪」の大樹じゃないぞ~

え?世界樹だと!!そんなもんが戦国時代に有ったら俺っちが驚くわ~!!

大樹とは征夷大将軍の別称ね。

近衛大将・征夷大将軍の唐名らしいよ~後漢の偉い将軍様が自分の功を誇らずに大樹の下に退いたのが由来らしいけど、その大樹将軍のと呼ばれた者の名を馮異ふいって言うんだぜ~博識だろ~エッヘン!!え?・・・そうだよ!カードゲームの知識だよ!!

漫画やアニメ、ゲームも馬鹿にならんだろ?まぁそれはいいか~

今の問題は足利将軍の義輝君に官位を貰うお断りしないと駄目ってこと。

一応武士の棟梁なので飛び越して官位を貰うのは越権行為に成る訳~

面倒だよね~でも、形式は重要みたいだぞ。

勿論、形式で将軍様が駄目言っても駄目なんよ~ちゃんとした理由も無いのに否定すると将軍を認めている朝廷に対しての越権行為になるから将軍様が自らの権威を貶めることと同意義なんよ~余程の馬鹿以外は文句付けないけど通例儀式!

予定調和のお約束ってやつね。


「解った!儂の方から大樹への面会を依頼しておこう」

「そこまでして頂けるとは・・・有難く、恩にきます」

「ほほほほほ~よいよい」


そして、将軍様に会うこととなった師匠、しかし、何故に俺たちも一緒?

何かきな臭いよね~


★~~~~~~★


部屋で休んでおると家の者が来客を伝えて来た。

相手は大胡武蔵とその弟子たちと言う。

弟子!長も入門したと知らせを受けておる。

儂に感謝の手紙と合わせて以前話した任官の件を言って来た。

「某には身に余る物に御座れば、ふさわしい人物を推挙いたします」と言う文言と共に自分の師を推挙してきおった。

実にあ奴らしいことだが、大胡武蔵に先ずは任官してその後に長にという事が主上を交えた話し合いの場で決まった。

朝廷は長に大恩がある。

任官の1つや2つ訳もなし。


待っておると家の者が客人たちを案内して来た。

大胡武蔵に先に声を掛けるべきだろうが、長を見た途端につい先に声を掛けてしもうた、失敗失敗。


「おお!長、久しいな~儂の紹介状は役立ったようで何よりじゃ!!」

「お久しぶりです、紹介状・・・大変役立ちました・・・」


何じゃ?変な間があったが何かあったか?・・・まぁよい。

本人が役に立ったと言っておるし問題なしじゃ!


「おっと、大胡武蔵おおごむさしよ、お前さんとも久しいの~」

「は!数年振りにお会いします」


長から大胡武蔵と京に行くと文を貰ったが、まさか数年かかるとは思わなんだ。

しかし、来たのは都合がよい。


「大胡の、丁度良かった!」

「何がで御座いましょう?」

「其方に官位を授けることとなった!!」

「へっ?某にですか?」

「そうじゃ!」


おお、驚いちょる、驚いちょる!!


「その方には従四位下、伊勢守を任官予定ぞ」

「伊勢守・・・」


何かあるのか?大胡武蔵が長の方をジッと見つめておる。

そう言えば、内緒であったか?・・・はてさて。


「それは有り難き幸せ!しかし、勝手に官位を授かる訳にもいきませぬので」

大樹たいじゅに挨拶か?」

「はい・・・」


武士の棟梁か・・・面倒臭いが仕来りは仕来りか・・・


「解った!儂の方から大樹への面会を依頼しておこう」

「そこまでして頂けるとは・・・有難く、恩にきます」

「ほほほほほ~よいよい」


さて、これから色々と忙しくなろう。

先ずは大胡武蔵、いや、大胡伊勢の任官の準備じゃ!!


さて、次回はいよいよ剣豪将軍登場!!


〇~~~~~~〇


事実かどうかは別として、上泉信綱は1570年に従四位下を授かっていると言うことが言われております。

一介の武士に与えることは前例がないことなので、多分、実際は任官されていないと思われます。

朝廷からの任官は幕府内の役職を得ないと任官されない様なのでもし与えられたとしたら特例中の特例です。

今回、あえてそんな上泉信綱に官職を授けることは構成を考えて直ぐに思いつきました。

詐称じゃなく本当に官位あるって言う剣聖が見たかったと言うのもありますし、特例中の特例、異例中の異例ってロマンですよね~

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