第38話

その後はもう一手、多目さんと試合しましたよ!

そして、我も我もという事で何人もの方と試合しましたが全勝!!


「大石源三げんぞう氏照うじてると申す!丸目殿!先ほどの戦い感服いたしました!!」

「それはどうも・・・」


すごい勢いで顔を近づけ大興奮で俺に賛辞を贈る若者、大石君。

あまりの勢いで俺が引いちゃったよ・・・

氏照か~北条氏照にも会ってみたいがここにいるのかな?

などと考えていると氏康さんが近づいてきた。


「丸目殿、感服いたしました」

「あ~どうも・・・」


ニコニコ顔で強面の氏康さんは笑っているのに威圧されるよ、おぃ!

その後話してみれば大石さんは養子に出した息子さんとのこと。

ほ~氏康の息子で氏照・・・北条氏照!

会ってみたい武将をまた一人コンプしました!!

北条氏照は古河公方こがくぼうの足利義氏よしうじの元服式に息子で唯一氏康に帯同を許された息子で、氏康の息子の中で最も才があったとか言われる人物で後北条家の最盛期を築いた実力者なんよね~


「息子に是非とも兵法を教えて頂けませんか?」

「いや・・・某はまだ未熟で修行中の身でして・・・」

「なんのなんのあの腕前で未熟とは!丸目殿は志の高い方のようですな~」

「いや~氏康殿そんなことは無いですよ~」


氏康さんべた褒め、顔は怖いが褒められると嬉しいぞ~顔関係ないだろうって?

ははははは~顔怖いと笑いも何か思惑あるんじゃないのとか考えちゃうの!

まぁ高スぺ武将の氏康さんの事だから何か考えてるよ~絶対!!

絶対とか言う奴は信用できないって?何を言う!高スぺ武将を舐めるなよ!!

頭の中にCPUを5個位搭載しているぞきっと!

人間にCPUは搭載できませ~んだと!そんなの知ってるよ!!例えだよ!!

じゃあお前はどの程度積んでるんだって?・・・脳筋を舐めるなよ!!そんな搭載できる容量が筋肉が邪魔して無いんだよ!!

そんな事より今は氏康対応だ!逃げるなって?

いひひひひひ~逃げるも兵法の一つなんだよ!!

いつの間にか松田氏がその場から消えていた。

そして、何故か戦が終わるまでは氏照さんに兵法の手解きをすることとなったが、何だか氏康さんにいい様に転がされたように感じるのは俺だけだろうか?

史実では師匠は死なないがこの歴史ではどうなるやら、多分大丈夫だろうが、安全を祈っておこう。


(蛇足だと思いますが、CPU:Central processing unitの略称で中央処理装置のこと。パソコンの演算装置になります。家電量販店などで質問すればパソコンの頭脳等の例えがされるものとなります。人間にはまだ搭載できません!!)


★~~~~~~★


狙い通りに丸目殿の実力を見る為の試合が行われることとなった。

憲秀よ言い過ぎだと思うだようやった。

さて、誰が挑むのか楽しみじゃ。

このような場に綱成つななりが居れば我先にと挑んだだろうが・・・

どうやら元忠もとただが挑むようだ。

元忠もとただも知勇に優れ頼れる男ではあるが、剣術も優れた才を持ち研鑽にいとまが無い。

面白い対戦と相成った。

心躍ると言うのはこのような事よ。

始まる前からお互いに相手の目を見て笑い合っている。


「準備は宜しいか?」


2人ともが頷いたことで始まりを告げる合図が掛けられた。


「始め!!」


元忠は正眼に構えじっと丸目殿の一挙手一投足いっきょしゅいっとうそくを見逃すまいといった様相。

対して、丸目殿は上段斜めに構え闘志を前面に出したような大きな構えから相手に襲い掛かると言った様相。

構えだけで見れば丸目殿不利となるが、さて。

お互いに睨み合い全く動かない。

いや、動けないのかもしれぬ。

それだけ実力が拮抗しているという事だろう。

しかし、そう思うていると、丸目殿が素早く間合いを詰めて袈裟斬りに木刀を振るう。

大きな動作だったので元忠は後ろに跳ねてそれを躱すと次に自分の番だと言うように攻撃に出ようとした瞬間、通り過ぎたはずの丸目殿の木刀が下より元忠の木刀を跳ね上げて、気が付けば首筋に木刀を当てられた元忠の姿がそこにはあった。

何と言う技とその技の切れよ。

遠目に見ていたから何となくは動きを追えたが対戦していた元忠には何が起こったか解らずに気が付けば首筋に木刀を当てられていた様に感じたやも知れぬ。


「う、参った・・・」


元忠が負けを認めたが憲秀が騒ぎよった。

元忠は困り顔で如何すべきか思案しているようだ。


「されば、もう一手」


丸目殿はにっこりと笑い再度の対戦を承諾した。

元忠は嬉しそうに再度構えを取り再戦を始めた。

次も丸目殿が違う動きで元忠に勝ちよった!!

その後は何人もの剣術好きの者が挑むが悉く返り討ちに合っておったが・・・

この者を今、敵方に行かせるのは危険だ!

何としてもこちらに留め置かねば無駄な被害を被ってしまう。

そうこうしている間に息子の源三が教えを請いたいと詰め寄っておる。

これは千載一遇の好機よ。


「息子に是非とも兵法を教えて頂けませんか?」

「いや・・・某はまだ未熟で修行中の身でして・・・」

「なんのなんのあの腕前で未熟とは!丸目殿は志の高い方のようですな~」

「いや~氏康殿そんなことは無いですよ~」


おだてには弱い御仁の様だ。

照れた様子を隠すことなく喜んでおる。

ふむ、何とか押切このまま戦の終わった後に上泉殿の下に送ると言えば乗ってくれるやもしれぬ。

息子の源三も教えを請いたいようだし一石二鳥と言うところだろう。

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