第26話

霜台爺さん・・・三好の中核の一人だけあってお付きの者もあのレベルとは・・・俺の見立てでは元就爺さんと同格・・・いやいや流石に・・・まぁ三好すげーってことだな、うん納得!!

最近はそろばん塾改め簿記学校に成っております。

納屋と天王寺屋の2商家は幹部か幹部候補にのみ教える様だけど、これ神屋も同じ感じだったし、そうだよね~教育重要だけど闇雲に教えても意味無いよね~必要な者に必要な物をだよね~

堺の町にも少し慣れて来た。

しかし、寒い・・・この時代の死亡率高かったのって戦国時代と言う戦が多い事だけが原因じゃないよね~

勿論、それが1番の原因だけどね~

俺は一介の兵法修行者、政治は政治家に、今の時代だと大名とか将軍様にお任せしよう!!

まぁ将軍様はお察しだけどね~

将軍様と言えば、名前が義輝よしてるに数年前に変えられたらしい。

ふへ~俺の知ってる足利義輝が爆誕!!

元からいたから誕生してないって?まぁそこはそれ、俺も歴史を全て知っている訳じゃないその穴を突かれたのさ、やるな!足利義輝!!え?将軍様は何もやっていないだろうって?

いや、やらかして今は近江の朽木くつきさんとこにお世話になっているんだったか?

まぁ何でこの話をしたかと言うと、加賀の一向一揆が成功して浄土の国が出来たんだけど、実際は無法地帯だから地獄なんだけどな~朝倉さんとこが加賀に行ったけどゾンビ・・・一揆の門徒たちに戦いを挑んだ。

苦戦した門徒たちは法主の顕如に助けを求めた。

顕如は将軍様にお願いして、朝倉との停戦交渉をした。

停戦交渉とは言うけど実際は将軍様のめいで朝倉が渋々それを受け和睦して撤兵した。

時代劇とかで見るだろ?「上意じょういである!!」てやつ、あれをやった訳。

それで、将軍様と顕如がこの件でくっ付いちゃって顕如の所に細川晴元の娘が六角義賢の猶子ゆうしとして輿入れすることになった。

ややこしいから簡単に説明すると、細川晴元の娘さんが六角義賢の義理の娘に1回なって顕如の所に嫁入りってことな。

顕如にとっては一気に2人の義理のパパが出来るってこと。

敵の敵は味方って言うけど、味方の敵は敵!!

俺の今の立ち位置は、顕如、細川晴元、六角義賢が敵でバックにいる将軍様も敵・・・オー!ノー!ガッデム!!

まぁ大分話がそれたな・・・まぁ多くの権力者に嫌われてるでOKだ。

話を戻そう、寒いから死ぬ人間多い。

そう、寒いのだ!!

話飛び過ぎでしかも長げ~よと思ったそこの人!そんなことでは社長さんの長い朝礼での話を乗り切れないぞ!!

さて、様は俺が寒い!!

仕方ないので考える。

納屋さんは皮・革を扱う卸問屋がメインのお仕事、決して壺屋じゃないぞ!!

そう、皮を取り扱う専門店!!

宗さんにお願いして皮で衣服作ったよ!!

俺の若かりし頃に着たあの栄光の革ジャン!!

そして、皮のコート!!

これで寒さも怖くない!!

うは~暖けぇ~本当はダウンジャケット欲しいけど時代が時代だし無理ですな~まぁこれ革ジャン・皮のコートがあるから問題なし!!

皮と革の違いは簡単に言えば皮が加工前、革が加工後な。

俺の暖かそうな様子見て例の如く宗さん・天さんが飛び付いた。

2人が着て良さを知ると店の者に飛び火する。

店の者が着ているのお客さんがそっれは何だと聞いてくるから実際に試着してもらうと・・・流行ったよ。

遊びに来た霜台爺さんも何時の間にやら革ジャン着てたよ。

背中に態々家紋と蜘蛛の刺繍してるし・・・確かにバックプリントの事は言ったけど導入早え~な~

何か堺と京で大流行となり街を歩けば結構皆が革ジャンか皮のコート着ているよ・・・時代感壊してスマヌ・・・

まぁ暖かいは正義なのだ!!


「長、借りとった物を返しに来たぞ」

「あ、山科様も皮の外套がいとうっすか・・・」

「これは良いの~暖かいし見た目も洒落とる」


簿記の教本的な物を返しに来た山科様が皮のコートを着ております。

白うさぎのコートなので真っ白なファーでゴージャス~

宗さんが目の色変えて俺のアイデアを根こそぎ絞っていったよ・・・まぁ前世が昭和から令和の俺はこの時代には無い物知ってるし俺のアイデアと言うか時代の先取り?

まぁそれはいいがこの人も俺に爆弾を落としにやって来たようだ。


「長よ新しい良き物は主上に先ずお納めせんといかんぞ!」

「はぁ?主上って天子様?」

「そうじゃ!」


天皇陛下の呼びなって時代と共に変わるんだよね~大昔は「王君おうきみ」とか「すめら」とかで、この時代だと「みかど」「天子てんし」「主上しゅじょう」で意外と歴史的には最近が「天皇陛下てんのうへいか」とか「陛下へいか」って呼ぶんよね~

俺のようなパンピー一般人は天子様って呼んでる。

その話を聞いた宗さんは慌てて「天子様に特注の皮の外套がいとうを献上します!!」と言ってたよ。

後日知ったが虎の毛皮のコートが完成して皇后さまの分と合わせて二揃え献上した。


「納屋よ頼んだぞ」

「は!よろしくお願いいたします!!」

「うむ、それで、長よ」


え?俺になんかあるの?


「何じゃ!今の話を聞いておらなんだか?」

「え?皮の外套は天子様に献上しないと駄目ってことですよね?」

阿呆あほうめ、新しき良き物じゃ!」


どういう事?

俺が首を傾けると呆れたように説明する山科様。


「お主はこれを主上にお納めするべきじゃ!!」

「え?それって簿記の教本的な物ですよ?」

「そうじゃ!これじゃ!!」


何言ってるの的にジト目で山科様を見つめたがまたしても叱責される。


「これを軽く読ませてもらったが、凄い知識じゃ!」

「そんなに褒めないでくださいよ~照れるじゃないですか~」

阿呆あほう、褒めとるが褒めとらん!!」

「え~どっちですか~」

「これをちゃんと清書して主上にお納めしろ!!」

「え?何言っちゃってるんですか山科様、ボケるのはまだ早くないですか?」

「失礼なやっちゃな~まぁ良い、兎に角そういう事や」


何かとんでもない事を言うボケ大納言・・・違った、権大納言。

皮の外套と一緒に天子様に献上することとなりました。

山科様が清書してくれるということでお願いしましたが、タイトルに「天狗流簿記術」とか書いてあるんだけど?

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