第23話

山科様の話を聞きノリノリの宗さんは堺の町衆を巻き込み公開問答を一大イベントに仕立て上げた。

天さんも話を聞いて乗っかったのでまぁ話が大きくなることなること・・・

今は俺と顕如の公開問答の話題で堺の町は大騒ぎです。

何でか知らんが天狗の弟子だとか今九朗判官いまくろうほうがんだとか言われるのだか?

現在の俺は今苦労呆眼いまくろうほうがんだよ!!

今は苦労していてほうけて眼が死んでるに成っているってことね。

駄洒落でも言わんとやっとれんわ~


(今〇〇は戦国時代や安土桃山時代では誉め言葉としてよく使われた語句です。有名なのだと今孔明とか今張飛、今関羽とかですね~丁度、三国志演義が日本に入って来たので三国志は特にこの時期はブームだったようです。九朗判官と言うのは源義経のことです。鞍馬山の天狗に教えを請うた逸話が有名で天狗の弟子だったなどとも言われます。幼少期に鞍馬寺に預けられてはいますね~天狗ではなくて、多分、お坊さんや山伏に教えて貰ったんでしょうね~天狗の弟子の方がかっこいいので創作かな?まぁ主人公も簿記を天狗に教えて貰ったって言っちゃったので・・・)


早いもので公開問答の日となった。

何か良いアイデアないか?的なことを宗さん、天さんに聞かれたので自棄になって町おこしのイベント的な感じの事提案したら、堺の町外れの原っぱで公開問答の舞台とそれを囲むように座席が出来て、更にその外周に出店が出来ました。

博多で作ったお菓子も何処から情報を得たのか作り方を聞かれたので宗さん、天さんに教えましたよ・・・

試作品で作った黒坊が美味いわ~

おっと現実逃避していたが、既に舞台上には顕如も居ますよ・・・

顕如と向かい合いに座り少し離れた位置に山科さま・・・横に同じ公家の何方かがいるけど・・・面識無いので何者かは知りませんが面白そうに見ておられます。

戦国時代は本当に娯楽無いからもう盛り上がること確定です。

馬揃えって言う簡単に言うと軍事パレードが娯楽になる時代だしね~

ああ、昭和から令和の時代も軍事パレードは娯楽になるか~TVとかで赤い国の軍パレとかニュースになってたしね。

自衛隊のフェスとか人気だったよ。

ブルー〇パルスとかの飛行機でのパフォーマンスは凄かったよ!!

本当に現実逃避してたらいつの間にか今回の公開討論になった経緯などの色々な説明が終わったようである。

大商人の友人2人が根掘り葉掘り聞くもんだから「知らない人にも解るように事の経緯も事前に話したら見ている者全員が理解出来て良いんじゃないの?」的なこと言ったら、日数も無いのに狂言師をどっかから連れて来て仕込んじゃったよ・・・

あ~そんだけ娯楽に飢えてるんだね~何か面白いこと考える?いやいや、俺、剣豪、お~イェイ!!(ラップ風)

多分、今、俺の頭は頭がおかしくなってるな・・・え?最初からおかしいと?何処からだよ!!え?生れ落ちた瞬間?・・・さて、問答はまだかな~


「双方ともそろそろ宜しいか?」


山科様が俺と顕如に声を掛けてくる。

良くは無いが頷く。

顕如も頷いたので始まるようだが山科様が大会の・・・違った、問答の開始を伝える。

俺が「あ~面倒くさ~」とか思っている間に顕如が先制攻撃。


「「進者往生極楽 退者無間地獄」を鬼、魔の所業と言ったと聞いたが相違ないか?」


「Yes I do.」と英語でふざけて答えたくなる位馬鹿らしく思うがここに至っては顕如よ!ボコボコにしてやるぞ!!


「相違ない」

「これは我らが覚悟ぞ、この日ノ本に楽土を作るという崇高な意思の現れたる言葉が「進者往生極楽 退者無間地獄」である。これも解らんとはな・・・」

「坊主の覚悟などどうでもよい!」

「はぁ?」

「坊主が自分たち自身で頑張る分には何も言わん」

「では何じゃ?」

「それを使い民衆を扇動する行いが間違っておると言うておる」

「はっ、何お言うかと思えば、これは門徒も同じ気持ちぞ」

「それは本当か?」

「勿論じゃ!!」


顕如のクソ坊主が茹蛸の様にまっかっかでカンカンに成ってござる。

始まったばかりなのにそのテンションだと持たないぞ。

それに血管切れるから落ち着けYo!(ラップ風)


「では、進まなくても極楽に行け、退いても地獄に落ちなくてもその門徒さんたちは着いて来ると?」

「も、勿論じゃ!!」


お~少し慌ててるぞ。


「本当に?」

「お主こそ何を根拠にそう申す」

「根拠?そんなの簡単じゃないか!」

「な、何だと?」


あ~焦ってる焦ってる。

それにしても此奴は自分から問答言って来たのに弱くね?

こちとらビジネスの世界で鬼たち《顧客》の前でプレゼンして鍛えたんだぞ!!

そんな俺に喧嘩を売るとはな~


「根拠聞きたい?」

「・・・言ってみろ」

「まぁ俺よりもお前たちの崇める親鸞聖人様が言っているではないか!!」

「な、何をだ!」

「念仏を唱えれば救われますと言われてなかった?」

「勿論、それは本願念仏の教え、心得ておるわ」

「そうなの?その言葉知らんけど」

「ふっ、所詮は田舎の武士か、そんなことも知らんとはな~」


あ~何か凄いどや顔だね~

田舎者なのは認めますよ~でもね~田舎者と言えども令和まで生きた俺はネットと言う便利な物で情報を漁れてこの時代ならちょっとした知識人よ~まぁ所々抜けてることもあるが広く浅く色々知ってるぞ!!


「田舎者であることは認めるが、田舎者か如何かはこの場では関係ないぞ」

「ふん」

「まぁいい、知っているなら話は早い。どんな者でも「南無阿弥陀仏」と念仏を一心に唱えれば救われるんだよな?」

「そうだ」

「なのに退けば無間地獄っておかしくないか?」

「そ、それは、覚悟だと言ったであろう?」

「覚悟ね、相分かった」

「解ったかこの粗忽ものめ!!」


自信満々の顕如・・・俺の言った意味理解してないよね~此奴。

さて、この流れで理解した者はどれ程いる?

まぁ、この程度で理解できる程の地頭あるなら騙されないよね~この時代は情報弱者だらけだからな~こんな馬鹿に騙される。


「みなさ~ん!!聞きましたか?退いても地獄には行きませんよ~安心してくださいね~!!」


俺の大声が会場に轟く。

固唾を呑んで成り行きを見た居たであろう民衆はポカーンとしていたが周りでヒソヒソ声が響き渡る。

人数多いとガヤガヤ凄い音になるね~顕如もハッとした顔になり少し青い顔をしている。


「それで?」

「いや、旗はあくまでも覚悟だ!楽土を作るためにはそこまでの覚悟が必要だということよ!!」

「楽土ね~」

「な、何じゃ!」

「楽土って誰の為の楽土?」

「勿論、人々のためよ!」

「人々って言うけど、それ誰が望んでいるの?」


問題はここ、勿論、この考えに賛同する者も多くいると思うよ~でもね、賛同するかどうかではなく「退けば地獄行き」と言われて仕方なく付き合っている人々まで巻き込んでいるところが嫌いなの!!

そして、それを使い洗脳して戦場の肉壁にするから大っ嫌いなんだよね~

そんなの作りたいならちゃんと説明して納得した上で協力してもらえよ!!


「私を含め全ての門徒が望んでおる!!」

「ふ~ん、本当に?」

「本当じゃ!!」

「じゃあさ~ここだけじゃなくて日ノ本の全ての門徒さんに「退いても地獄には行きませんよ~」てお伝えしても問題ないってことね」

「・・・」


はいダウト!!

本当はまだ言い足りないけど、ここまでの事だけであの肉壁戦法は使えなくなる可能性出てくるね~

だって、門徒の皆さんは救われたいから浄土真宗に入信しているだけで楽土建設とか考えてないよ、多分。

それに、退いても地獄行かないと知ってて戦場で退かない門徒さん何人いるのかな?

まぁ、後は知らんけど。


「山科様、終わりのようですよ?」

「ま、待て!」

「まだやるの?別に良いけど・・・後まだ如何して鬼、魔だと思ったかも言えてないしな~まだまだ他にも色々と攻撃材料はあるけど?如何する?」


そう言うと顕如はガックリと肩を落とした。

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