第22話

あ~朝廷の集金公家とか対外担当官だとか未来で色々と面白可笑しく語られるこの時代では特に有名な公家の山科言継権大納言が納屋に来たよ・・・

へ~偉い人がお買い物来たんだ~とか思ってたら俺をご指名で訪ねてこられました。

え?権大納言って昭和から令和の世で言うと大臣クラスの偉い人だよ!俺に何の用だ?


「初めてお目も辞します。兵法修行者の丸目蔵人佐長恵と申します」

「よいよい、そんな堅苦しい態度は不要ぞ。儂は山科言継じゃ権大納言を賜っておるが気にするな何時もの口調でよいぞ」

「ではお言葉に甘えます」

「そうせい、そうせい」

「それでご用向きは?」

「うむ、実はの~」


内容を聞くと顕如よりの果し合い・・・違った、公開問答・・・俺、剣客なんだけど?

何か最近このままいくと後世に丸目蔵人佐って剣豪と呼ばれないような気がしてきたんだけど気のせいかな?

いや、まだ修正は可能なはずだ!!

でも、公開問答って・・・受けたくないけど権威の象徴のお公家さん、しかもあの山科言継からのお願いだよ、断るとか無理~


「はぁ、お受けしますが・・・何でそんなことする必要があるか不明ですね~」

「どういうことじゃ?」

「別にそんなことしなくても、今後の行いで自分たちの思いを民衆に伝えていけばいい話で、俺を巻き込むってのはただの私怨か何かじゃないんですか?」

「そうとも言うが、何処も今の乱世では舐められたら負けじゃしの~それは武士だけではなく坊主も公家も商人も一緒じゃ」

「まぁそうですね~・・・お受けしますよ、山科様のお願いですし、でもね~納得はできないですね~」

「すまんの~」

「いえいえ、山科様のせいではないですから、でも、やるからには相手をボコボコにしちゃいますよ?」

「ボコボコ?う~ん、言いたいことは解るが面白い言葉を使いよるの~」

「変ですか?」

「いいや、ひょうげておって良い!」


さ~て、顕如はボコボコにしてあげましょう!!

そういいつつも、相手は名うてのレジェンド坊主だしな~勝つ気はあるが勝てるかは不明。

前世で遊んだゲームの信長〇〇望では丸目さんは脳筋イノシシ武者なので武力以外は30前後なのよね~それに対し顕如は全てが高パラ・・・

ゲームでパラメーター負けてるがイノシシの恐ろしさを思い知らせちゃる!!


山科様と色々話したがこの人、実に面白い。

話の引き出しが豊富で話していて飽きが来ない。

流石は大名たらしの山科だよね~

俺が兵法修行者と言うことで剣豪の話などしてくれるのだがこれがまた面白い。

どうやら師匠の事も知っているのでダメ元で紹介してほしいことを言うとOKくれましたよ!!

うっしゃ~!!史実では多分こんなことは無かったかもしれないが、史実通りに弟子入りは出来そうである。

山科様のお願いは不本意であったが知り合えたことは大変行幸だったよ。

それから、呂宋壺の話題になったので話したが、とても興味を持ったので「見ます?」て言ってら首をブンブン縦に振るので見せたよ。

宗さんも自分の壺持って来て山科様と茶道具談義始めたから俺は何時ものようにモグモグタイム。

そして、その際に今回の一連の騒動の原因になったことが判明した!!

なんと、霜台の爺が自分の壺を自慢したことで呂宋壺の入手を考えている者が多くなっているようである。

特に顕如に嫌味たらしく自慢していたらしいよ。

そう言えば三好と本願寺は犬猿の仲だったね~

確か三好長慶の親父さんの死ぬ原因の一因があの宗派にあるらしいのだか・・・俺は巻き込み事故かよ。

それは置いておいて、紹さん、宗さんは今後はこの壺でウハウハになると思う。

今でも結構良いお値段するのだが史実では1国買えるとか城が立つとか言われた壺だけに今の価値でも安いのだから今後は・・・

それにしても、霜台の爺は特に仲の悪い本願寺の顕如を煽ったようでそれが原因で俺がどうやらとばっちりを食ったようだ。

今度会ったら文句言ってやる!!

それから山科様と他にもいろいろ話したが、そろばんや簿記に大変興味を持たれた。

丁度、簿記の教本的な物を作ったので見せると是非とも書き写させて欲しいと言われたのでお貸しすることとした。

このことがまた更なる事件を呼び込むこととなるが、その時この人物の身分を考えるべきだったのかもしれない。


★~~~~~~★


「弾正、お前があのクソ坊主に散々壺を自慢するから迷惑している者が居るようだぞ」


面白そうに儂を揶揄う長慶ながよし様。

長慶様も本願寺の事は殊の外嫌っておられるのでご機嫌ではある。


「は、面目もございませぬ」

「はははは~まあ、件の若者には詫びねばの~それに同じ「ながよし」なのだし仲良くやってくれ」

「は、勿論、今後も懇意にすることとしておりますが・・・多分、怒っているでしょうね~」

「怒っているだろうな~」


長慶様とともに笑いあう。

不意に長慶様が要望を告げられる。


「会ってみたいものよ」

「長慶様!」

「近い内に詫びに行くのだろ?」

「はい、近い内には・・・」

「では、その時に一緒に連れて行ってくれ」

「そ、それは・・・」

「勿論、身分を隠してじゃぞ」


長慶様もお人が悪い。

儂も人のことは言えぬか・・・

何とかは主に似るというが・・・

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