第18話
「そう申されましても・・・無い物を売ることは・・・」
「お前じゃ話にならん!主人を出せ!!」
宗さんとお茶をしていると店員さんが慌てて宗さんに伝言を届けにやって来た。
どうやら厄介なお客様が来られて無い商品を売れ、主人を出せと騒いでいるらしい。
何時の時代もクレーマーでもブラックな方は
知ってるか?クレーマーも大きく分けて2種類居るんだよね~白と黒ね。
白は文句がそのお店やメーカーの為になる事を言う人々で違う言い方だと物言うユーザーとか言われたりもする。
基本はお店やメーカーなどに不満があっても何も言わずに去っていく。
だから何処が悪いと明確に言ってくれるのは親切なお客様である。
しかし、逆に黒は、あ~目の前にいい例がいるね~
まぁ簡単に言うと我儘言う奴ね。
我儘と要望は吉〇家とす〇屋位違うのだ!!
え?同じ牛丼チェーンだろうって、チッチッチッ甘いな~井〇屋のミニ羊羹位甘いよ!!
あ~話が逸れたな、え?牛丼の話はどうするって?そんなの自分で食って確かめろよ!今重要なのは目の前のクレーマーだ!!事件は現場で起こってんだよ!!
さて、内容をこっそりと見ながら確認しているとどうやら例の壺、呂宋壺を売れと言っているようだ。
確か今現在販売している物で売れる物はない。
霜台爺さんが全部お買い上げしたから無いんだよね~
店員さんも現在在庫なしなので入荷待ちをお待ちください、優先的にお回しします的な内容で予約販売をしようとしている。
勿論、正規販売品ではないので値段はその時の交渉次第。
宗さんの営む納屋は鹿皮をメインに皮を売る商家である。
勿論、得意ジャンルがそれと言うだけでお客様のご要望あればあらゆるコネを総動員して入手するけど今手元に無い物は売れない。
まぁ宗さんは自分用に確保してるし俺の手持ちも残り3つあるにはあるよ~でもね、それは売り物ではない。
俺のを提供してもいいけど・・・そうこうしているとさらにヒートアップ。
「おのれ~商人風情が!このままでは仏罰が下るぞ!!」
ああ、今、目の前にいるクレーマーは坊主頭に黒衣を纏、立派な
仏罰ってそんな簡単に落ちるの怖~い!!
まぁ神罰を勝手に借用した俺がそれ言うかって話ではあるけどね~
それに実は神罰はあるけど仏罰は無いとも言われる。
何故かというと、神も仏も崇める存在だけど、神様はそもそも願いを叶える存在じゃ~無い。
仏も同じと言えば同じだけど、助け導き悟りに導くのが仏の目的なので神とはそもそものコンセプトが違う。
え?不動明王様とかの明王様たちは悪を倒す戦隊ヒーローとかウルトラマン的存在だろって?
そうね~そうとも取れるけどちと違う。
明王様たちが行うのはキリスト教でよく聞く様なフレーズである「悔い改めよ~」てのをやっている訳ね。
愛のムチ的な発想ね。
殴りながら「悔い改めよ~」ってしている訳。
あれは仏的には罰じゃないの。
おっと、話がまたも逸れたな。
簡単に言えば、あの坊主の言う仏罰というのはそもそも無い訳だ。
聞けば真言密教のお坊さんらしい。
真言宗、弘法大師、空海の開いた宗派で高野山と言う令和では言わずとも知れた世界遺産に登録された観光スポ・・・聖地!!
この時代では厄介な宗教組織の1つなのよ。
特に力があるのが真言宗、天台宗、浄土真宗かな~まぁそれは取り合えず置いて起き、問題はその中の1つである真言宗の坊さんが店で騒いでいる。
ふぃ~前振り長くなったな、でも説明は重要!続き続き~
仏罰と使えばこの時代は意外と何もできない者が多い。
令和の世でも神罰が仏罰がと言われれば躊躇する人はそれなりに居るがこの血で血を洗う戦国時代はそういう人が大多数。
そのスペシャルカードを連発するのがこの時代の宗教組織の常套手段なんだよね~勿論、「は?仏罰?神仏?何それ美味しいの?俺が悪いならその罰俺に当ててみろや!!」的に色々やっちゃう人々が少数居る。
この時代でその代表格が、織田信長と松永久秀と言われている。
「お坊様、如何なされましたか?」
「お前は何だ?」
「はい、私はこの納屋を営んでおります今井宗久と申します。お見知りおきを」
「ふん!お前がこの店の主か・・・この店の者も
「それは失礼しました。宜しければ奥でもう少しお話をさせて頂けませんか?」
「分かった、案内せい!」
あ~宗さんがクレーム対応に乗り出しましたが面白そうです。
それに、昔から偉そうな坊主嫌いなんだよね~
愚痴を言えば、昭和から令和の前世でも「本堂建て替えるので金出せ」とか酷い者になると「
マジ切れしそうになるけどこの戦国時代はここに武力という名の仏罰が降る。
「それで?直ぐにでも用意できるのか?」
「そうですね~お値段によります」
お~流石はやり手の営業マン・・・違った、堺の
「はぁ?保存用の壺と聞いたが高いのか?」
「はい、何分にも舶来のお品でして呂宋より取り寄せました壺となります。割れ物ですから輸送にも気を使いますからそれなりには・・・それに今回は無理をして手に入れる関係上・・・」
「ふむ、幾らだ?」
宗さんがこっそりと耳打ちすると坊主が目を剥いて「高い!高すぎる!!」と叫ぶ。
幾らで吹っ掛けた?まぁ俺的には面白いから良いけど。
結局、散々文句を言いながらその坊主は去っていった。
そして、近い未来に納屋に災厄が降りかかる。
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