第13話
陰謀爺の毛利元就、意外と清々しい人物だった。
また会った時には酒でも飲みながら腹を割って話せたら楽しいのかもしれないな~まぁ身分違い過ぎて難しいかもしれないな。
それにしても、昭和の大社長とかでああいう爺さんいたな~と遠い過去?未来?の事を思い出す。
小早川隆景さんとは何だか仲良くなり文通友達となったぞ。
ひゃふ~!!彼からの手紙は将来、丸目家の家宝の1つとなるのかもしれないな。
「兵法を極めたら是非ともまた来て伝授してくれないか」との社交辞令的なお言葉頂きましたが、結構有名人になる予定の丸目ちゃんは本気にしちゃうぞ!!
その後は何事もなく堺へと到着した。
東洋のベニスとまで言われた堺の町は戦国時代に来たら1度は行きたい観光スポット!!
お小遣いも紹さんが結構くれたので少し散財は・・・まぁ着いてから考えよう!
「蔵人さん、見えてきましたよ!!」
金蔵が指さす方を見ると遠くからでも船が多く行き交う大きなことが見ただけで解る港が見えてきた。
テンションはアゲアゲでウキウキですよ~
ああ、「長さんと呼んでいいぞ」と金蔵に言ったんだけど「いえいえ、蔵人さんは私の恩人です!一生そんな軽口聞けませんよ」と言う。
「蔵の字が同じだから仲良くしようぜ」って言ったからか神屋では唯一、蔵人さんと此奴は言うんだよね~意外と律儀な奴である。
まぁ「蔵人佐様」と呼ぼうとするから「蔵人」でいいと言ったらさん付けで呼ぶようになった。
今世ではお前の方が年上なんだから俺だけ呼び捨ては・・・とか思ったけど本人が望んだので好きにさせている。
どんどん陸が近付いて来た。
東洋のベニス、堺、初上陸です!!
あ~船酔いは無かったが陸酔いで少しグラグラする。
まだ波に揺られているような感覚だがそのうち元に戻るだろう。
金蔵は忙しなく船より下ろした荷物をチェック中であるが、彼奴は陸酔いはしないようだ。
「慣れてますから」と言う彼は立派な貿易商なのだと改めて思った。
少し彼の見ている台帳を見たが俺が教えたチェックリストを活用しているようである。
勿論この時代にも同じような物はあったがバッテン付けたり斜線で消したりで後から見返し辛いので皆お馴染みのチェックシート風に様式を変えるとあら不思議、後から見返しても解り易い!!
金蔵も教えると「目から鱗です」と言いながら感心していたが、これも未来チートなのだろうが事柄が小さくてしてやったり感も無かったよ・・・
でも戦国時代に生きる生き馬の目を抜く商人たちには殊の外感心されてしまったぞ。
紹さんと言う大商人すら「長さんうちで商人遣りませんか?」と言って来た。
相手が真剣過ぎて「いや、兵法極めるから無理」って素で断ったよ。
そうこうしていると、チェックが終わり金蔵がこちらにやって来た。
「いや~この確認表は実に解り易いですね~」と本当にご満悦だ。
意外と少しの工夫で効率変わるよね~
いかんいかん、この物語は剣豪ものです!決して商人物語ではありません!!
閑話休題
金蔵の確認作業が終わったので今日からお世話になる
金蔵の案内でお店に着いたが・・・デカい・・・流石は紹さんのセレブ友。
「ごめんくださいまし~神屋の金蔵です」
「これはこれは神屋さんの所の金蔵さんやないですか!少し遅いんで心配しとりました!!」
あ~ソウダヨネ~毛利元就に強制呼び出しを食って数日遅れた。
勿論その分の補填的な物は・・・勿論ありますよ!!
上の者が呼び出しておいて何も無いとか沽券にかかわりますからね~
金蔵に「試しに例の壺を見せてみたら面白いんじゃないかな?」と言えばニッコニッコの笑顔で毛利さん家に営業掛けてましたよ!!
中々のお値段でご購入頂きましたよ、毛利様あざ~す!!
おっとそんなこと考えている間に金蔵と向こうの番頭さん?が話が終わったようで店主の今井さんの所に行くようだ。
「金蔵さん久しぶりやな」
「はい、宗久様ご無沙汰しております」
「早速やけどそちらのお若いお侍様が
「はい、そうでございますが件の?」
あ~俺も気になるぞ。
何となくだけど、本当に何となくだけど気になるんで・・・
「そうや~噂話こちらまで響いておりますよ」
「そ、そうですか・・・」
まぁどれの事かは解らんぞ、ちょっと、いや、可成りやらかした覚えしかないからな~
「それより先にご挨拶やな!堺で細々と商いを営んでおります今井宗久と申しますよてどうぞご贔屓に~」
「某は丸目蔵人佐長恵と申す。見ての通り兵法修行の為に旅している半人前の若侍だ、長とでも呼んでくれ」
「くふふっふ~紹策さんの手紙に書かれていた通り気さくな方やな~こちら気軽に宗とでも呼んでくださいな」
紹さんが言ってたように実に馬の合いそうな御仁だ。
「ではお互いに長さん、宗さんとでも呼びませんか?」
「お武家様なのに面白い方やな~長さんのこと気に入りました!この堺にいる時はここを我が家とでも思ってお過ごしくださいな」
「
その後は根掘り葉掘りと色々聞かれたが、問題がない範囲で有りの侭に話したよ。
そして、例の壺はやはりと言うか何というか気に入ったようだったので「宗さんは幾ら出されますか?」と聞いたらニッコリと笑いながら「そちらの言い値で」と返して来たよ。
紹さんも入って来た物見て「これは良い!」と言ってたしまぁ見る者が見れば価値があるのだろうが俺にはよく解らん。
ただの壺としか思えんがまぁそっち方面のセンスはお察しだよね~
一応は令和の時代まで残る名品については少しは知っているので物によってはどういう物かは理解できるがそれが如何素晴らしいのか聞かれてもチンプンカンプンなのだ。
そんなことを考えていると、宗さんが滞在費としてのお渡し予定の壺を抱き締めながら「もう返しまへんで~ぐへへへへ~」と何処の海鮮問屋かお代官様ですか?と言いたくなる様なことを言っている。
見ていて面白い人だし本人も気にしていない様なのでまぁ良いか~
「
「そんなに気に入りました?」
「勿論です!!」
「茶葉の保存には凄く良さそうですし、この形が実に
「そう言う物ですか?」
「はい、そう言う物ですけど、価値なんて見た者が決めるものでガラクタも人によればお宝ですよ、万人にウケれば名品となるんですからおもろいですね~無価値の様に思われている物を見出して欲しがる者に持って行くと言うのが商人の腕の見せ所ですね~今回は紹策さんにして遣られましたよ」
確かに商人はそう言うものだし、蒐集家と言うのは何時の時代もこんなものなのだろう。
カードゲームのカードに入れ揚げるのか茶道具に入れ揚げるのかと言った執着する物が違うだけだな。
カードゲームに興味無ければただのカードだし、茶道具に拘り無ければただの茶道具。
それに、手に入れたレア物をその価値を共有できる友達知人に自慢したいのも何時の時代も変わらない人間の習性だな。
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